中国では2012年6月28日に公開され、日本ではひっそりとその年の10月のTIFF(東京国際映画祭)にあった「東京・中国映画週間」で上映されていた画皮2。
ひっそりとしすぎで私は見逃した。知ってたらそのために駆けつけたのに。。。
同じ頃にはやっとこ日本でも『画皮 あやかしの恋』のパート1が公開されていて、私はそっちに気を取られてたんだよなぁ。
2008年に沖縄映画祭で上映され、その後四年間も塩漬けになっていた作品がやっと公開ってんで舞い上がってて、情報収集を怠ってたよ。
で、現在は画皮一作目のほうは、DVDも発売され、順調に売れているように見える。
映画そのものも一作目は評判がよかったみたいで、よそ様のレビューを見ても絶賛ざんまい。
とはいえ、二作目のほうは、TIFFでひっそりしていて話題にもなんなかったからか、日本ではまったく公開される気配がない。
とりあえず、TIFF「東京・中国映画週間」
サイトからあらすじを引用しておくね。
(赤字にした演者の名は私・龍虎が加筆しました)
千年妖狐・小唯(ジョウ・シュン)は魔界の規律を破ったためその身に呪いを受け、さらには凍結地獄へ突き落され命の危機に瀕していた。
言い伝えによれば勇敢にして汚れのない、情熱に満ちた者の心臓を得ることで妖狐は人としての転生を果たせるという。
しかしその条件は、かの心臓を持つ者が自らの意志でそれを差し出すことであった。
凍結地獄から脱し、魔界からの逃亡の旅路で小唯は靖公主(ヴィッキー・チャオ)に出会い、彼女の心臓に目をつける。
靖公主は天性の美貌を兼ね備えた美しい女性だったがある日、狩りに行った際にクマに襲われその顔に傷を負ってしまう。
以来、金の仮面でその傷跡を覆い隠していた。
また靖公主の幼馴染であり白城を護衛する将軍・霍心(チェン・クン)は彼女を守れなかった責を問われ西域へ流罪となっていた。
その後、皇帝は靖公主を天狼の国へ嫁がせ縁戚を結ぶことを図る。
しかし彼女はそれを受け入れず城を出て自らの愛した霍心を探す旅に出ていたのだった。
靖公主に対し小唯は折を見ては、男が惹かれるのはやはり女性の美しさであるとそそのかし、彼女の心臓を手に入れようと画策する。
そして靖公主は自らの心臓を差し出すことで小唯の体を手に入れる。
一方、彼女の体を使い転生を果たした小唯は天狼の国へ妃として赴く……。
読んでもらうと分かると思うけれど、内容はわかりやすかった前作よりもちょい複雑になっています。
それにしても、観たかった。
すごい観たかった。
・・・というわけで、海外DVDで観ましたよ。我慢できなかったんだもん。
上の画像は、私が観た2Dバージョンじゃないけれど、こちらはブルーレイ版で3DバージョンのDVDパッケージ。
YESASIAで発売中。
で、さっそく感想です。
1作目を振り返ると、中国古典(聊斎志異)を題材とする典型的な悲恋もので、かつ藤原いくろう氏による可愛らしい音楽を添えて、最終的にはハッピーエンドであった後味のよい作品でした。
ドニー・イェンが出ているので、アクション映画としても観られたしね。
それに対して、2作目はポスターやDVDパッケージのおどろおどろしさから推測されるように、よりホラー度がたかまっております。
音楽は藤原いくろう氏ではなく、やはり日本人の石田勝範氏。
どよーんとしたトーンで統一します。
前作と比べて、恋愛の要素やカラミのシーン(レズシーンぽいのまであり)は多いのですが、それらも基本的には不気味。
敵である天狼の国人も不気味。
漢民族ではないという設定なので、しゃべっているのは中国語ではない。
(ちなみに本当に民族の言葉を使っているかどうかは私には判別がつきません。勘だけどウソ語じゃないかしら)
というわけで、アクションもそっちのシーンもずっと不気味なトーンが続きます。
唯一、派手は画作りに貢献しているのは、冒頭でコンセプト・デザイナーとしてクレジットされた天野喜孝さんの衣装だね。
ヴィッキーの仮面とか鎧のキラキラはこの人の役割じゃないかな。アニメキャラのデザインを数多く手がけている人ならではの仕事でした。
それで、問題となるストーリーなのですが、いかんせん複雑になっちゃっているな、と思う。
この物語のなかで、1作目と同じ役をやっているのは、ジョウ・シュンだけ。
つまり、狐の妖魔は前作からつながっているのですが、そこから500年後なので、当然、ヴィッキーやチェン・クンの役は前作とはつながってません。
で、狐の妖魔は前作の恋をひきずっているので、新たに恋をするでもなく、でもチェン・クン演じる将軍を誘惑しようとしたり、騙そうとしていたヴィッキー演じる公子に感情移入しちゃったりと、とかく一筋縄ではありません。
おまけに本作は画皮のタイトルの本領発揮で、女性陣二人が皮を張り替えて別人になるシーンまであるから、よく観ていないと訳がわからなくなるかもしれません。
結論ね。
日本で公開するのは難しいかもしれません。
第一に前作のトーンとは大幅に違います。天野さんのおかげで、画は美しいのです。
おまけに本作から3Dになったから余計にね。
でも、私のように2Dで観ると、CGのチープさが浮き上がっちゃいます。これは仕方がないのですが。
第二に前作を観ていないと狐の妖魔の複雑な心境が理解できないと思います。
最後の瞬間に改心するまで徹底的に悪かった前作の狐に比べ、本作の狐は中盤くらいから良い部分がちらついてしまいます。そこが2作目の物語としての深みでもあるのだけれど、前作を忘れていたり、観ていない人にはうまく感じ取れないような気がするのです。
私自身は、本作をとても面白く鑑賞しました。
それでも、本作にも前作のような可愛らしい部分があることを期待していた(もちろん、予告編を見てからは、それはないなって気づいたけれど)し、CGが増えすぎて、かえってチープに見えるところがあったことなど、がっかりしたところも少なからずあったことは否定しません。
しかし、全体としては佳作であることは間違いないです。
そもそも、前作が出来すぎていたのですよ。
それに、可愛らしい部分は、一作目と同じ監督、同じ聊斎志異が元ネタで、以前に本ブログの記事(『画壁 MURAL』を鑑賞
)にもした『画壁』(日本では、『チャイニーズ・フェアリー・ストーリー』のタイトルでDVD化済)に引き継がれているので、可愛らしいのが観たいという願望は、こちらを観れば満たされるしね。
というわけで作品同様、レビューも複雑な書きぶりになっちゃった。
おそらく日本公開はない、と思いますので、見たい人は海外DVDを買うしかないと思うよ。
そのくらいするようなコアなファンの人なら、本作の複雑だけど佳作ってところを理解出来るはずです。