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夜の底は柔らかな幻 上 (文春文庫)
670円
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夜の底は柔らかな幻 下 (文春文庫)
670円
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(あらすじ)※Amazonより
特殊能力を持つ“在色者”たちが、“途鎖国”の山深くに集まる“闇月”。殺戮の風が、次第に暴れ始める―。殺人者たちの宴が、幕を開ける。(上巻)
煌びやかな闇が、手招きする。目前に迫った暗黒の世界“フチ”。そこで待つ“ソク”の正体とは!?ここでは何が起きているのか。(下巻)
◇◆
第149回直木賞候補作である。
恩田陸の作品には大きく分けて、広く皆に親しまれる大衆作品と独特の世界観作品(またの名を読者置いてけぼり作品笑)の二つに分けられる。
今作品は後者の典型的な読者置いてけぼり作品で、恩田陸作品を多数読んできた読者には相変わらず、の妄想小説なのだが、置いてけぼりにされているわりにこれがおもしろいほどのめりこめる作品であった。
というのも、私のツボの一つ、民俗学、に見事にハマっちゃったのである。
※民俗学とは・・高度な文明を有する諸国家において、自国民の日常生活文化の歴史を、民間伝承をおもな資料として再構成しようとする学問で、民族学や文化人類学の近接領域である。(wikiより)
現実にある、日本という国、田舎では当たり前に存在する宗教的行事(お盆とか)など、そんな基本的な常識世界に、薄く薄く丁寧に仮想世界を重ねていく恩田氏。
その作業は、もはや神の領域。
神の領域・・といえば、実際、ホトケ、が出てくるのだが、普通にキンキラキンのホトケが地中から登場しちゃったら、どえらいスケールのでかい話になっちゃって、読者が置いていかれるのが普通。
でもそうはならないのが恩田氏のテクニック。
私はむしろキンキラキンのホトケに心を鷲掴みにされた。
日本人には、祖先や目に見えない霊魂、自然への畏怖がどこかに必ずある。その繊細な部分をうまくあぶりだし、読者の意識下の理解を助けているのだ。
生けるものの世界と黄泉の国の境界線。その境界線上の世界を、気味悪く、不気味に、それでいて圧倒的な魅力で描き出す。
これ、一応、SFってことになるのだろうか??ファンタジー?
内容が内容だけに(日本人の宗教観念を民俗学視点から描いている)この作品で直木賞を獲るかもしれない、と大きく期待したのだが、この回では残念ながら獲ることはなかった。
→『あもる一人直木賞(第149回)選考会ー結果発表・統括ー』
→『あもる一人直木賞(第149回)選考会ー結果発表・統括ー』
今作品ではわりと本気で直木賞を狙ってた。と思う。
が結果として「蜜蜂と遠雷」という大作かつ名作で第156回直木賞を受賞したのだから、長年直木賞を獲り損ねていてよかったのだと思う。ビバ!六度目の正直!!
→『蜜蜂と遠雷』
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蜜蜂と遠雷
1,944円
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こちらは上記でいうところの「広く皆に親しまれる大衆作品」にカテゴライズされる名作である。