安閑二年正月五日、第二十七代安閑天皇は、豐稔により大酺を賜ふの詔を発しました。

 

 

 

「御歴代天皇の詔勅謹解」による現代語訳


国内外は清く通じ、国家は栄え富んでゐる。私の喜びは大変大きい。大いに饗宴をはること五日にして、天下の歓びをつくすやうに。

 

これは五穀が豊かに稔り民の喜びの声が国中に満ち溢れたことを大いにお喜びになられた詔です。天皇統治の理想的な成果が表れ民と共にこの喜びを分かち合うため酒食を御下賜されて振る舞われたのです。ここには君民和楽の我が国体のあるべき姿が映し出されています。それは民のことを第一にお考え遊ばされる大御心です。国が富み栄えて民の生活が向上することが天皇の望まれている理想的な世の在り方ということです。

 

また正月にこの詔を出されたということは、年の初めですからその年も五穀豊穣となるよう予祝の意味もあったでしょう。そもそも天皇がわざわざ言葉を発することが祈りそのものともいいますから、こうしたことを言うことには大きな意味がありました。

 

このブログでは、明治に暦が変わる以前の出来事は基本旧暦で見るようにしていますが、お正月の時期のものだけは、新暦に合わせているものもあるのは、年の始まりであることに意味があるからです。

 

現代人の私達は、何の悩みもなく当たり前のように食事をとっていますが、大きな自然災害が起きる度に被災地では食べ物がなくなるということが、近年繰り返されています。また、その影響を被災していない地域まで受けるということまで起きたりもします。

 

毎年多くの災害が起き、その度に復興が大変ですが、しかしそれでもまだ日本は恵まれていますので、その被害ですぐに誰かが飢えるなどということにはなりません。しかし、古代はそういう被害があったらそれは即飢饉に直結し多くの人々が命を失うことになりましたから、五穀豊穣は今以上に切実なことでした。現代日本でも国際情勢が変われば、大きな災害一つで国一つがとぶようなことにもなりかねませんから、食糧を確保することが古今東西、最重要課題であることに変わりません。

 

五穀豊穣はただ豊作になるということではありません。国の安寧がなければ国内は荒れ、五穀豊穣にはなりません。

 

ネット社会となり、世界中の情勢が以前よりわかりやすくなった現在、国際情勢が大きく動いていることを肌身に感じるようになっている人が増えているのではないでしょうか。一瞬先がどうなるのかは誰にもわかりません。

 

だからこそ、天皇は年の初めと春に祈り、秋に感謝を捧げてきました。紀元の時から、あるいは紀元より前からも。そしてこれからも続いていくでしょう。

 

天皇の祈りが表れている、天皇陛下の一般参賀でのお言葉。

 

お言葉は以下の言葉で締めくくられています。

「本年が、皆さんにとって、安らかで良い年となるよう願っています。

年の始めに当たり、我が国と世界の人々の幸せを祈ります。」


日本だけで幸せになることはできません。他の国で起きたことが気候変動はもちろん政治・経済他、全て日本にも関わり影響を与えます。一昨年から引き続きコロナ禍ですが、これも世界規模で起きています。だからこそ、天皇陛下は我が国だけでなく世界の平和と安寧を願われていらっしゃることが、このお言葉からわかります。

 

美味しいご飯が食べられる日本に生まれたことに感謝し、なにもないときは天下の歓びを味わい、災害等の国難に備えていく。それこそが、国の基本です。そして、五穀豊穣の時には、喜び祝い、そうしたことが続くよう願ってきた歴史も伝え続けていきたいものです。

 

そうしたことをきちんと伝えることを怠ってきたことが、飽食の時代を招いたり、多くの食品を無駄にするような企業を生んでいるのではないかと思うからです。

 

以前友人から、お菓子工場で多くのお菓子が廃棄されるのを目の当たりにしてショックを受けた話を聞きました。ほんのちょっと色がついたお菓子が焦げとされ、ほんのちょっとした窪みが変形ということではじかれていくそうです。もちろん美しいお菓子はそのようにしてできるのでしょうが、同時にそうでないものがあまりにも多く製造され廃棄されており、しかもそこまで多く廃棄されるためか、効率に走る従業員が誤って落としたりはじいても全然気にしないようにもなっていることにも驚かされたといいます。そしてほんの短い間に、廃棄用のバケツが一杯になったそうです。その工場では、多くの有名企業のお菓子が作られていたそうで、そのことにも驚かされたそうです。そして、やはり大規模な工場になるとこのように食品が無駄にされるのものなのか?ともったいなく感じたといいます。

 

日本では、野菜なども形の整ったものばかりが売られて、ちょっと形が変わっただけで売られないとは昔からよく言われてきましたが、最近ではそういう形のものでも売られるような場もできてきています。農家が多く、農家やあるいは家庭菜園のある家で育った人が多い日本で、そのような売り方が一般的になったことが異常だったんだと思います。

 

パン工場があるところでは、その近隣で形の崩れたものがアウトレットとして売られているところが多くあります。友人がショックを受けたお菓子工場も、廃棄菓子を捨てないように生かす方法を考えていくようにしてほしいと思いますし、日本中に同様の食品製造工場があると考えられますから、そういう場所でも同様にしてほしいものだと思います。

 


五穀豊穣のため頑張ってきた我国の歴史としきたり

 

 

 

 

 

秋の新嘗祭とセットとなる春のお祭り。去年は満月と重なりました↓

 

記紀の神話と稲作と国造りが符合する本

 

『日本製』で日本全国を取材された三浦春馬さんは福島のお米農家をはじめとする農家も何件か取材されています。農家こそ日本製の基本といえます。『日本製』に刺激されたのか日本の良いものを取材するMOOK本が増えていますが、あらためてこの『日本製』を考えると日本全国くまなく取材されたことといい、多岐にわたる対象といい、物凄くバランス良く我が国について考えさせられる凄い本だと思います。

この写真お気に入りです

このコピーは真実だと思う↓「ごはんは神様」

 

神職でもある涼恵さんが歌う「豊葦原の瑞穂の国」

 

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