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90代の女性患者さん。

 

他の医療機関で治療を受けて、食事を摂ろうとしなくなったからと

 

CVポート留置され、高カロリー輸液管理となり

 

ご家族が長期療養を希望したため

 

私の勤務先に紹介転院となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

もともと認知症があり、拒食や拒薬があったそうです。

 

込み入った会話は難しく

 

意志疎通が難しい時もありますが

 

痛いとか、苦しいとかの返答は可能な方です。

 

 

 

 

 

 

 

転院してから半年ほど経った頃

 

点滴の滴下不良が進行し、高熱が出始めました。

 

試しに抗菌薬を投与しましたが

 

症状が改善するはずもなく

 

カテーテル感染を考え、CVポートを抜去することとしました。

 

 

 

 

 

その後、速やかに解熱しましたので

 

今後の栄養をどのように摂るかを検討する事にしました。

 

転院時には経鼻経管チューブは

 

留置されていませんでしたが

 

今後、病状の悪化が見られた時の

 

内服の薬での治療や

 

胃腸を使っての流動食の摂取のために

 

経鼻経管チューブを留置させていただくことを

 

ご家族に了解いただき、始めることにしました。

 

 

 

 

ガストログラフィンによる腸追跡では

 

胃腸の動きには問題なく直腸まで達し

 

通過障害は認められませんでしたので

 

お白湯を少量から始めて、流動も追加し

 

段階的に増やしていきました。

 

 

 

 

 

順調に排便もみられ、途中までは上手くいきましたが

 

後もう少し、のところで嘔吐してしまったのですね。

 

流動を変更したり、注入時間を工夫したり

 

内服薬を調整したり

 

チューブを十二指腸まで挿入して留置するなど、あれこれ工夫しました。

 

 

 

 

 

 

胆嚢、胆管炎でも無かったので

 

何とか流動で栄養を摂っていただきたいなと

 

粘っていましたが

 

大量に嘔吐しての誤嚥性肺炎を月に1回程度を

 

何回か繰り返してしまったので、断念する事にしました。

 

 

 

 

ご家族に状況をご説明したところ

 

高カロリー輸液に戻すことを希望されました。

 

毎日の薬を内服するようになったため

 

チューブは留置したまま

 

高カロリー輸液に戻すことにしました。

 

今は、嘔吐することもなく

 

調子が良ければ、簡単なやりとりが出来る状態で

 

療養を続けていらっしゃいます。

 

 

 

 

 

 

今後は、高カロリー輸液で可能な限り

 

長く療養していただいて

 

カテーテル感染になって点滴できなくなったら

 

また、その後の対応を検討する事になると思います。

 

いつまでも、高カロリー輸液で寿命を伸ばせるわけではないので

 

期限付きではありますが。

 

 

 

 

 

 

食べれなくなったら、寿命。

 

この考えの患者さんやご家族もいらっしゃいます。

 

その考えに基づくと、この患者さんは

 

とっくの昔に寿命を迎えたことになります。

 

医療技術が発達したから、可能になった治療はたくさんあります。

 

その恩恵を受けるのは私達ですが、本当に難しい。