ブラックペアン シーズン2
原作は海堂尊の「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」。
シーズン1で“オペ室の悪魔”と呼ばれた天才外科医・渡海征司郎を演じた二宮和也が、シーズン2では心臓冠動脈バイパス術の世界的大家で、“ディアブル(悪魔)”と呼ばれるほどの金の亡者、天城雪彦を演じている。
天城と渡海の関係は?
天城はなぜ東城大に来たのか?
シーズン1との関連は?
第2話:神に愛された悪魔VS少女の祈り
天城が来日して東城大病院に着任した。
が、天城の自由気ままに手術室の中に入り、見学をしていた。
黒崎教授の手術室では、天城を退出させるために来た世良に「こんな簡単な手術にこんなに時間をかけている理由を知りたいじゃないか」と。
そこには、渡海先生の右腕であったナース猫田がいた。
黒崎教授に猫田がメッツェンを渡す。
その様子を見て、天城が猫田に興味を持つ。
カンファレンスルームでは高階がスナイプ2.0を使った手術の発表をしている。
そこに天城が現れ、「これで1発800万とは、高いのか?」と・・・
高階は「優れたものにはそれなりの価値が不随するものです。今保険適用の申請もしていますので、興味がおありなら…」
「いや、大丈夫」と高階の発言をさえぎり「僕にはこんなガラクタは必要ないので」と軽やかににこやかに言う。
渡海先生に瓜二つの天城…カンファレンスルームの雰囲気がざわめく。
垣谷が、天城のことを紹介するが、それでは不足だと、天城は自分で自己紹介をする。
「僕は、心臓冠動脈バイパス術の進化形、ダイレクト・アナストモーシスを世界で唯一扱える心臓外科医の天城雪彦です」と。(なんと自信満々な態度なのか)
天城雪彦先生です
また、佐伯教授が計画中の新病院のトップに就任するために来日したことを明らかにする。
(新病院のトップを狙っていた黒崎と高階は驚愕する)
「新病院は世界トップレベルの医療技術を高額で売る。それを支払える者のみ手術を受けることができる。それを基本原則とします」と新病院のコンセプトを発表すると、一同が騒然となる。
高階は「医師が金のあるなしで患者を選ぶことは許されない」と天城に反対するが、
天城は「そのお考えが日本の医療を地に落としたわけだ…」と喧嘩を売るような発言・・・。
このやり取りを終始面白そうに聞いていた佐伯が、天城の実力を皆に証明する必要がありそうだと。
そこで、天城は公開手術で日本医療界にデビューすると宣言した。
佐伯は、新病院を世界最先端の医療施設にすることが、日本医学会の次期会長選でその座を競っている維新代の菅井教授に勝つための鍵となるからだ。
ゴールドコーストで出会ったミンジュは高階の助手となり、世良は天城の助手となった。
高階なんかに教えられたくないんです
そんな中、世良が担当していた患者:洋菓子店を営む繁野をミンジュに引き継ぐことになった。
繁野は資金が足らずスナイプ手術を受けられずにいた。孫の結衣は繁野が独自開発した大人気商品であるアップルパイの試作を繰り返している。
今日も試作品を持ってきた結衣が繁野に試食してもらっているが、まだまだ改良点があるようだ。
看護師の花房は、「そんなものを食べたら血液検査ができない」と。大切なアップルパイを「そんなもの」と呼ばれて悲し気な結衣。
そこへ、猫田がやってきて、検査は予約変更するから大丈夫と。結衣は猫田がお店の常連客だと気づいた。
繁野の娘:麻美は、アップルパイのレシピと販売権を売ることで手術資金を調達しようとする。繁野と孫の結衣は猛反対。
繁野は孫が一生懸命アップルパイの試作をしているのに、そのレシピと販売権を手放したら孫の夢を叶えることができなくなってしまうから売りたくないのだと。
結衣が試作品のアップルパイを持ってロビーに座っていると、猫田が通りがかった。
お腹が鳴っている。
結衣は猫田を祖父のお店によく来てくれてありがとう。試作品をよかったらどうぞと渡す。
猫田がアップルパイを手に取った瞬間、天城が横取りして食べてしまった。
そして、祖父と同じ改善点を指摘する。これじゃまだまだだなと。
これよかったらどうぞ
繁野の検査を進めていくと、狭窄が進んでおりスナイプ手術では対応できない。
繁野が助かるためには莫大な費用がかかる天城のダイレクト・アナストモーシスを受けるしかないことが判明。
そして天城はなんと結衣に手術を受けるための賭けを持ちかけるのだった……。
一方、新病院のトップを密かに狙っていた高階に、全日本医学会会長の座を佐伯と争っている菅井が近づいてくる……。
以下、ネタバレです。
天城は結衣に提案した賭けは、あと3日でアップルパイを完成させること。天城が厳選した審査員が判定をするということだった。
「死ぬ気で頑張ろうね」と。(言っている内容は冷たいのだが、繁野の店の未来を考えての賭けとも受け取れる・・・)
公開オペは東城大のライバル維新大が主催する学会で開催されることになった。
講演者として招かれていた高階のサポートもあり実現したようだ。
佐伯のOKが出て、協力体制で手術のチームを編成することになった。
黒崎は立候補するが、天城に「力不足」と拒否される。
公開オペ決定
実は、着任以来、手術室を見学していたのは、医師とスタッフの力量を判断し、チームメンバーを選ぶためだったのだ。
第一助手に垣谷、第二助手に世良、オペ看に猫田、花房…と各部門の実力者が選ばれた。
患者は繁野だが、シャンスサンプル(二者択一)の賭けが終わっていないので、今は患者候補であると発表した。
患者に賭けをさせるということに医師スタッフ一同は非難の嵐。
楽しそうな天城と、苦虫を潰したような佐伯。
<洋菓子店シゲノ>
孫の結衣がアップルパイの試作をするが、なかなかうまくいかない。
投げ出しそうになるが、天城の言葉が思い起こされ奮起して試作を続ける。
<病院長室:佐伯の部屋>
看護師長が猫田に「公開手術の日に休暇ってどういうこと?」
猫田は公開手術の日に合わせて、有給申請を出したらしい。
佐伯は「きみが育ったの維新大の主催だからかな?」
猫田は「執刀医が天城先生だからです」と。
それだけでは理由にならないので、公開手術には必ず参加するようにと、佐伯から命令が下された。
<食堂>
猫田がスイーツをやけ食いしていると、
花房が新しいお店で買ったというアップルパイを持ってきた。
いつも無反応な猫田が珍しく食いついた。
「どういうこと?この味はシゲノでしか買えない米粉のアップルパイ。でもあのお店は閉店中のはず。どこで手に入れたの?ねぇ。」と、半端ない圧で尋ねてくる。
そこに、「ご協力ありがとう」と天城が登場する。
賭けの審査員は猫田だったのだ。
孫の結衣が見事に繁野さんのアップルパイを完成させたのだ。
掛け金は未来の結衣が支払う。アップルパイの販売権を天城に預け、天城が結衣に永久的に販売権を貸し続け、売上の一部を永遠に天城に支払い続けるということだった。
<菅井教授の部屋>
高階が菅井と打ち合わせ中。明日の公開オペが成功するかどうかは高階の手腕にかかっていると。失敗すれば、東城大佐伯の新病院構想にケチがつき、菅井教授の次期会長選が優位になる。うまくやりますと高階。
<公開オペ当日>
「高階先生のおかげで無事公開オペを迎える日がきました。たとえそれがどういう狙いだったとしても、感謝しています。今日プレゼンターが一人追加されていたようでしたが…」と天城が高階に伝える。
そこに、菅井教授と共に追加のプレゼンターが現れた。
その追加のプレゼンターは、高階と過去に因縁があった安島(新納慎也)だった。
維新大の姉妹校テキサス医科大の医師安島は、オペの実力ではなく、狙った相手を学会で糾弾することで有名になっている人物なのだった。通称、クラッシャーの安島。
高階はロスの学会で安島に糾弾されて失墜したという経緯がある。
その安島をプレゼンターとして急遽招聘したのは、菅井だった。
手術が開始されると、早速、安島がケチをつけてきた。
テキサス大の最新の研究では、内胸動離断のオペでは術後の閉塞率が38%、患者の命を危険にさらしていると。
しかし、天城は今まで数百回ダイレクトアナストモーシスをしているが術後の閉塞率は0%であること、一方、安島の発表した論文の患者が実は死亡しており、その事実を隠蔽していることについてコメントを求め返した。
安島は窮地に陥り、退出をしていった。
安島の正体について、猫田が調べて天城に報告していた。
とはいっても、猫田は天城の新しい相棒ではないらしい。
狭い術野でどうやって縫合していくか。それはこの手だけが知っている。
ルペラシオンエフィニ ルクレシボ 心臓は美しい
手術は終了した。
天城は懇親会へと向かった。
垣谷が僧帽弁の石灰化をそのままにすることに疑念を持つ。
世良は天城に相談してからと主張するが、菅井教授の煽りもあり「その後は任せた」という天城の言葉に従って、石灰化の除去を続けて実施することにした。
菅井教授は天城の手術が成功したが、この後、この第一助手の手技でなにか起こってしまえば結果オーライという感じか…。
石灰化除去を進める垣谷。
無事に終了したかと思ったのだが、動いた心臓は大量出血を起こしてしまった。
カオスに陥る手術チーム。
垣谷は呆然としていて指示もできない状況。
高階は菅井教授から時期東城大の教授の席を提案されるも、患者の救出に向かう。
が、左室破裂を修復した高階だったが、出血は収まらない。
高階は血が止まるまで待とうというが、
世良はこのままでは血が止まるのは難しいという。
垣谷は高階のキャリアに傷がつくので、高階の方法で凌くことが良いという。
「今、そんなことどうだっていいでしょう!繁野さんは全てを懸けてオペに臨んでいます。じゃあ我々医師だって全てを懸けてオペに臨むべきではないでしょうか。助けたいんですよ」と、世良の訴えを聞く高階。
手術室が一旦落ち着く。
そこに、花房が天城を連れて戻ってきた。
そして天城が処置を開始する。
【BGM:ベートーベンのピアノソナタ「悲愴」第3楽章】
左室破裂部分にフェルトを当てて縫っていくが、その位置は見えるところではない。手の感覚だけで正確に縫合していく。
ピアノソナタの音に乗って、軽やかに上に行ったり下にいったりと・・・すべるように滑らかに天城の手は動いていく。
血はとまった。
これでショーは全て終了となります。
<繁野さんが退院する日>
結衣が猫田にアップルパイを手渡す。
「味は良かったけど、見た目はまだあれね…」
「見た目も味も完璧にできるようにまだまだ頑張ります。お店が再開したらぜひまた来てください!」
と。
猫田の手から勝手にアップルパイを一つ取っていく天城。
「おれも」といって世良も頂こうとするが、猫田に拒否られる。
だが、花房には一つどうぞと猫田は渡す。
「猫田さん、米粉のアップルパイお好きですよね」
「日本人の体は米でできているから」と渡海が言っていた言葉を発する猫田。
天城がアップルパイを食べていると、結衣が戻ってきて天城にお礼を言った。
「アップルパイのお礼にきみにこれをあげよう。たまには神に聞くといい」と天城はコインを差し出す。
が、
「要りません。私は自分で頑張ります」と頭を下げて去っていった。
そっかというような風で再びアップルパイを食べる天城。
<病院長室室の佐伯>
佐伯は維新大が公開オペに厄介なゲストを招くという情報を持っていたため、猫田に調べて天城に報告するよう命令していたのだ。
「全ては佐伯先生の手の上ということですか…」と看護師長。
世界一の心臓外科を実現するためには天城の力が必要だ。
<資料室>
天城の鼻歌が聞こえる。パガニーニのカプリースだ。
資料を読んでいる。探しているものが見つかったようでファイルを手にして部屋を出ていく。
ファイルの背には「医療事故調査報告書」と記してあった。
(なんの医療事故だろうか?シーズン1の佐伯のブラックペアンの事?)
ー感想ー
アップルパイのレシピと販売権を売却して手術費用と捻出するのではなく、販売権を天城が取得して天城から貸与することにより売上の一部を支払うという提案は、繁野さんと孫娘の未来を考えてのことだと思えて、天城は単なる悪魔ではなく、実はいい人なんじゃないか…と思います。(第一話に引き続き2回目です)
なぜ、天城が金にこだわるのか、それも大金。そして、その金はなにに使われているのか…。これから解明されるのでしょう。
趣里さん演じる猫田の抜群のそっけない言動がインパクトあってとても良いです。
出世に響くからという理由で手術を中止しようとする高階と垣谷に対して、なんとしても助けたい!という世良の対比は、現実と理想の対比で、これからの展開でも世良のスタンスというのが天城の行動の理由にも結び付いてくるのでしょうか…。
いろいろと謎が多いですが、次がまた観たくなります。
そして、医学監修をしている山岸俊介氏が「片っ端から、教えてやるよ」のドラマの解説コーナーで、第2話の解説が掲載されていました。
垣谷先生が石灰化を完全除去したがったのかについても、この解説を読んでよく分かりました!それは、この学会で「石灰化は完全に除去したほうがいい」と発表している方がいたんです。菅井教授の開会の挨拶のすぐ後くらいにそのシーンは出てきます。きっと垣谷先生だけではなく、会場にいる出席者全員が聞いているわけですから、除去したくなってしまったんですね。
こういう細かいところの設定が好きです。が、山岸氏の解説でその伏線が分かり更に見直してしまいました。
シーズン2 第1話から第9話までのネタバレ目次
第1話「神に愛された悪魔」
第2話「神に愛された悪魔VS少女の祈り」
第3話「成功率0%のオペの行方!?」
第4話「天才医師VS医療AI」
第5話「お前は死ねない!50億円オペの結末は?」
第6話「メスを持った看護師&去り行く医師」
第7話「手術失敗!裏取引の罠」
第8話「渡海と天城の秘密」
第9話「戦う人よ、諦めないで!」