南米・鳥獣虫魚・探遊 -20ページ目

セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その11

オレの使っているネット・プロバイダーにビールスが侵入し、今日は午後まで回線が不通でした。では一昨日の続き……

 

この日のために、新調したフライ・タックルがあった。アマゾン地方をメイン舞台にしている怪人は、尺程度の魚を釣る級のタックルを久しく持っていなかった。そこで、英国本格派の正当フライ・アングラーであるケンちゃんに頼んで、極東島で有名な中古市場ベリー・ネットで、8フィートの5本継ぎ、#4~#5のロッドと小型軽量リールを買ってもらって、知り合いにアマゾンまでデリバリーしてもらった。協力していただいた諸兄にお礼を言っておこう。

 

トゥルッタ第1号

 

もちろんフライも新規に巻いていった。まず第一投は、やっぱドライでしょ。#16フックにタイイングしたバイビジブルを結んだ。このフライは、昔むかしパタゴニアで小さいけどブラウンをいくつか釣ったことあるお気に入り。何たって浮力が強いし、Bi-Visibleっていうくらい視認しやすい。上手から流して、急流の下手で沈んだ瞬間に第1号が食った。バイビジブルって、ウェット風に使っても効果があることは、極東島の山岳でも確認してある。

 

トゥルッタ第2号

 

ロッドは、ちょっと型落ちダイワのカーボンなんだけど、テツ西山系のアクションは投げやすいね。実はグランデ怪人、普段はダイワをほとんど使わない。でも、フライ・ロッドだけは、使う。さて、セーハ・ガウシャのトゥルッタは、ドライでポチポチと釣れてくる。始めから大きいのはムズカしいと思ってはいたけど、みんなこんなサイズだった。

 

初日のトゥルッタ第5号くらい

 

ニジマスの横に見えるランディング・ネットだけれど、これもAMAT・アート、すなわち怪人の自作だ。輪っかの部分は、昆虫用ネットの金属部を使用。ネットは、以前に隊員さんが持ってきた中国製投網から切り取った。柄の部分はアルタミラの釣り具屋で買った竹の延べ竿のニギリ部分って寸法である。初日の午後の釣果は、7匹くらい。まあ、マズマズでしょう。

 

続く

 

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セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その10

午後に1本しかない長距離バスに乗って、サン・ジョゼ・ドス・アウゼンチスに到着したのは、夜の9時ころだった。バスを降りるとポルト・アレグレよりも更に冷たい風が吹いていて街頭に設置してあったデジタル気温計は、11℃を表示していた。とりあえずホテルに入って、ピンガ(ブラジル焼酎)を生でくらって身体を温める。翌朝、ホテルに付随しているランショネッチ(軽食屋)の女の子をからかいがてら、タクシーを呼んでもらう。

 

ランショネッチの女の子

 

タクシーで小一時間、標高1000mくらいの丘を縫って目的地のポウザーダ(ロッジ)・ポトゥレイリーニョスに昼前に到着。

 

ロッジの看板

 

昼食をすませて、午後の1時ころシルベイラ川に降りる。そして、少し岸辺を歩いて川の相を読むことにした。

 

シルベイラ川の遠景

 

ここでちょっと、この河川の地勢的な解説を入れておこう。水系のご本尊はラ・プラータ河である。ラ・プラータとは、大西洋の河口から、ウルグァイ河の合流点までを指す固有名詞。この合流から上の本流筋は、パラナ河と呼ばれ、源流はブラジリア付近となる南米で二番目に巨大な河川だ。さて、ウルグァイ河だが、ルアー・アングラーなら知っているサピーは知っている、サルトという大型ドラードのポイントがアルゼンチンとウルグァイ国境にある。地元では、「ゼニさえムーチョに出せば、サルでも20kg級が釣れる……」とアルゼンチンで陰口を叩かれているダム直下である。

 

サルトのドラード

 

熱帯魚のホプリアス・マニアならウルグァイ河のラセルダエを知っているかな? 大型になるホーリー系で10キロを超えることができる。現地では、タラリラとも呼ばれる。もし水草マニアなら、このブログで紹介済みのエキノドルスの深緑系が、このウルグァイ水系に種類が多い垂涎の地。

 

タラリラ(ホプリアス・ラセルダエ)

 

ウルグァイ河の上流は、ブラジルのサンタ・カタリーナ州とリオ・グランデ・ド・スル州の境辺りを流れていて、その源流は、標高1000~1500mくらいの高原になっていて、そこが今回の怪人の釣り場であ~る。

 

続く

 

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セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その9

さぁ~て、いよいよブラジル最南端のトラウト・フィッシングのお話しをしよう。怪人はまずアルタミラからマラバという街に陸路バスで移動した。ベロ・モンテのダム工事のおかげでトランスア・アマゾノカ街道が少し良くなって11時間くらいで着ける。昔は5月のような雨期のころは、何時になったら到着できるか、神さま頼みだったことを思えば、便利になったなぁ。マラバの定宿に一泊して早朝のゴル航空便でサン・パウロのガルーリョスまで飛ぶ。ここで、ちょっと用事を済ませて、翌日の朝の便で、リオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレに飛ぶ。空港から出ると、クソ寒~い。南極から今年最強の寒波が来ていたんだ。

 

PUC科学博物館の入り口にあるカルノタウルスの模型

 

翌日の午前中に長距離バスのチケットを買って、タクシーでPUC(カトリック大学)の博物館に行く。そこに展示してある中生代三畳紀化石がお目当てだった。

 

博物館展示のプレストスクスの頭骨

 

この博物館は前々から見学したいと思っていたところなんだけど、思っていた通り(笑)、内容はたいしたことがなかった。世界的にみて、中生代三畳紀の脊椎動物化石は、オーストラリア、アフリカ、マダガスカル、アルゼンチン北部、そしてここ南ブラジルのリオ・グランデ・ド・スル地方が宝庫である。まあ、言ってみれば、その時代は上記地域が陸でつながっていた、すなわちゴンドワナ大陸があった時代なんであるね。中生代三畳紀ってのは、恐竜がテラ(地球)に出現した時代である。ここ南ブラジルでも、いくつかの最古恐竜類が出土している。

 

古代恐竜ヘレラサウルス復元模型

 

しかし、それにしても寒いなぁ。明日から山脈地帯に行くんだけど、そこは間違いなくもっと冷えるだろう。てなわけで、セーター着と下着にするトレーナー用の長ズボンを買った。ホテルのTVを見ていたら、冬用の洋服が飛ぶように売れて、地元の洋服屋さんたちはホクホク顔、ってのがローカル・ニュースで流れていた。翌日、バスに乗ってサンタ・カタリーナ州境に近いサン・ジョゼ・ドス・アウゼンチスというとこまで北上した。

 

続く

 

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セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その8

南ブラジル特産の品の最後を締めくくるのは、霊長類のサピー関係でいってみよう。まず特筆ものは、フェミニンの美女であ~る(笑)。世界でもっともゼニを稼いでいることで知られるスーパーモデルのジセル・ブンチェン(一時期、ディカプリオの彼女でもあった)は、ガウシャ(リオ・グランデ・ド・スル生まれ♀)だ。2013年ミス・ワールド候補ブラジル代表のサンクレー・フランツもガウシャだった。

 

サンクレーちゃん

 

ガウショ(ブラジル発音の男性形)、すなわちスペイン語のガウチョってのは、もともとはウルグァイ、アルゼンチン北部、ブラジル最南部に住んでいた牧童のことだ。19世紀後期には、社会的な階層としては消滅しているんだけど、南米の荒くれものカウボーイのような人種イメージが今に伝わっている。

 

ガウショ風のシュラスコ

 

ガウショ名物は、パンパと呼ばれる荒野に薪火を焚いてのシュラスコ(肉塊焼き)だけど、とくにクステイラ(スペア・リブ)部分を熱愛する。極東島では狂牛病騒ぎのせいで廃れてしまったけど、「肉は骨に近いほど美味い……」という格言を守っているのが、純血ガウショ風である。

 

シマホンは、金属のストローで吸う

 

もう一つのガウショ名物は、シマホンと呼ばれるマテ茶、ヒョウタンにマテの粉を入れて、上から熱湯を注ぐ、それを専用の金属ストローで回し飲みにして吸う。苦いけど頭がスキっとして美味しい。

 

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セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その7

次なる特産品紹介は、昆虫のクワガタ類である。クワガタっちゅうのは、テラ(地球)での分布をみると、東南アジア&熱帯アフリカに圧倒的に種類が多い。じゃ南米は? 残念ながら、この大陸には種類が少ない。もっとも種類が豊富な地方が南ブラジル地方である。ちなみにアマゾン低地なんぞは、ごくごく少数の変な小さなクワガタしか生息していない。同じような環境を使うカブト類の種類が多すぎて適応できなかったのだろう。

 

ブラジルウカヌス・アルバレンガイ

 

アマゾン低地に棲むクワガタが上画像のブラジルウカヌスという奇妙なヤツ。まるでクワガタに見えない理由は、上からだと大顎が見えないからだ。タパジョース上流で採れているから、シングー流域にもいる可能性がある。採集方法は、FITを使用したと記述されている。FITってのは、フライング・インターセプト・トラップのことで、飛んでる虫を透明な板のようなもので落とす装置。実は怪人も、そのトラップの試作&テストをやっている。

 


ブイジホソクワガタ

 

ホソクワガタ類は、チリクワガタ類と並んで南米を代表するクワガタで30種ほどが記載されている。その多くがリオ州からブラジル南端方面に分布している。


ツツクワガタの一種

 

ツツクワガタ類は、アンデス地方からブラジルにいるけど、アマゾン地方にもいる可能性もある。♂の大顎の形がユニークである。

 

化石種のアンベリクスツツクワガタ

 

ツツクワガタの仲間は、化石種も知られている。ドミニカ共和国の新生代第三紀の琥珀(こはく)から発見されたシンデサス・アベリクスである。

 

続く

 

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セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その6

パラナマツ、「深緑系エキノ」と南ブラジル特産品の紹介にプランツが続いたから、アニマル・キングダムでいってみよう。まずは、節足動物のアエグラ属、すなわちタンスイコシオリエビ類だ。これもブラジルでは、南部地方にしかいない。最近のアクアリューム・シーンでは、甲殻類を飼うってのも流れになっている。小型のビーシュリンプなんか、大人気だ。タンスイコシオリエビもハマってるマニアがいて、その繁殖が楽しまれている。

 

ブラジル産タンスイコシオリエビの一種

 

南アメリカ大陸の寒冷地にトラウトを定着させようという試みは、もう一世紀以上も前のことだった。ヨーロッパからブラウンが、北米からレインボウとブルックが、受精させた発眼卵の状態で船で運ばれた。パタゴニアで孵化したトラウトたちが一番喜んだのは、そこにパンコーラと呼ばれるタンスイコシオリエビ類が生息していたことだった。トラウトは、そいつらを食いまくって大型化できた。アエグラ属の分布は、寒冷地のパタゴニア地方が中心だけれども、太平洋岸のアンデス山脈の渓流にも、ボリビア以南までタンスイコシオリエビ類がいる。極東の島国のショップでは、ペルー・タンスイコシオリエビって商品名で流通している種類がいるけど、怪人の持っているデータでは、インカの国には、アエグラ属は棲んでいないから、産地ネームはガセ(笑)である可能性がある。

 

アエグラ・ミクロフタルマ

 

大西洋岸のほうでは、ブラジル最南端のリオ・グランデ・ド・スル州から北にサンタ・カタリーナ州、パラナ州、そしてサン・パウロ州の南部まで生息している。北端付近のタンスイコシオリエビに、アエグラ・ミクロフタルマってのがいる。こいつは洞窟に棲んでいて、色素がなくて白い珍種。ミクロフタルマが生息するサンタナ洞付近の洞窟渓流には、眼が退化したナマズのピメロデラ・クローネイも棲んでいる。

 

ピメロデラ・クローネイ

 

昔むかし怪人は、サン・パウロ大学の研究者と一緒に、ここいらの洞窟探検をやったことがある。でも残念ながら、白いタンスイコシオリエビは観れなかった。

 

続く

 

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セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その5

ブラジル最南端、リオ・グランデ・ド・スル州の特産品の続きを記そう。熱帯魚世界では、魚をほとんど入れないで、水槽に水草を植えて楽しむ流れがある。EUで生まれたのが、オランダ式水草水槽、いわゆるダッチ・アクアリュームだね。南極1号とかのダッチ・ワイフってのもあるけど、ここでは関係がない(笑)。

 

ダッチ・スタイルのアクアリューム

 

最近の潮流に、ネイチャーアクアリュームってのもある。自然の生態系を水槽で再現しようって考えかたで、提唱者は、ADA(アクア・デザイン・アマノ)社長の天野尚さん。ADAって会社の水草水槽用の製品は美しいガラス細工になっていて、ヨーロッパで人気が高いけど、極東島では値段が高すぎるゼという裏話で知られる。天野さんは、昨年の8月に故人となった。怪人は、そのニュースを熱帯魚界の魔人M大兄からのメールで知った。サイトを見てみたら、晩年の天野さん、ずいぶん痩せているなぁ。彼は、元競輪選手で、体格のよいゴツいヒトだったけどなぁ…… 実は怪人は、天野さんのアマゾン案内を何回かやったことがある。ご冥福を祈ろう。それはさておき。

 

エキノドルス・ポルトアレグレンシス

 

水槽用の水草として有名なのに、エキノドルス属がある。オモダカ科の被子植物だ。もっともポピュラーな種が、その名もアマゾンソードプラントって、エキノドルス・アマゾニクスだけど、ほかにも種類が多い。この仲間で人気があってお値段も高いのが、「深緑系エキノ」って呼ばれるグループで、そのほとんどは、ラ・プラタ河の支流ウルグァイ川水系に自生している。すなわち南ブラジルの特産品と言ってもいい。もっとも古くから知られる深緑エキノは、エキノドルス・ポルトアレグレンシスだね。ポルト・アレグレって、「喜びの港」ってな意味だけど、リオ・グランデ・ド・スル州の州庁所在地の都市名でもある。水草の種小名は、ポルトアレグレンシスなんだけど、その名の場所が原産地ではな~い。新種の記載に使われた標本は、ポルト・アレグレ市内にあった熱帯魚店の水槽で発見されたという逸話は有名であ~る(笑)!

 

エキノドルス・ホレマニー(赤いタイプ)って呼ばれていた水草

 

「深緑系エキノ」には、エキノドルス・ウルグァイエンシスってのもある。水草として人気のあるエキノドルス・ホレマニーも、最近この種のシノニム(別名同種)とされた。

 

エキノドルス・オパクス

 

オパクス種は、葉っぱが丸っこいのが特徴の「深緑系エキノ」。このオパクス系で、葉っぱがデコボコしているタイプは、むちゃくちゃクソ高いお値段で一世を風靡したことがある。

 

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セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その4

実を言うと、怪人にはけっこう前から練っている計画がある。南米の最南端、大陸でもっとも南極に近い大地フエゴ島。ここに移植されたブラウン・トラウトの降海型であるシー・トラウト、そしてレインボウ・トラウトの降海型であるスチールヘッドをフライで狙うという案である。この旅行で同時にやれる遊びは、パタゴニア特有の昆虫を観察すること。有名なチリクワガタ(チリコガシラ)とか美麗チリオサムシをメインにして、寒冷地のモンキチョウ(コリアス属)も観てみたい。過去150年間に11頭しか採集されていないコウテイモンキチョウ(コリアス・ポンテニィ)の再発見は、超ムズかしいだろうけどね(笑)。

 

チリオサムシ類の一種

 

大陸南端のシートラやスチールが遡上するのは、2月~4月。2017年か2018年にはやっつけるつもりでいるんだけど、その前哨戦、あるいはプラクティスとしてやっておかなければ、と思っていたことがある。それが今回の個人釣行、セーハ・ガウシャのトゥルッタである。 セーハってのは、ノコギリとか山脈という意味である。スペイン語なら、シェラ。シェラ・カップとかシェラ・ネバーダ(雪の山脈)に使われている。ガウシャってのは、ブラジル最南端のリオ・グランデ・ド・スル州生まれのような意味。この山岳地帯は、ブラジルで最も寒いとこで、毎年必ず雪が降る。亜熱帯~温帯なんでスキーができるほどには積もらないけど。

 

ブラジルでも雪が降る

 

このブラジル南部の地方で特有のものをいくつか挙げてみよう。まずは、上の写真にも写っている樹木である針葉樹のナンヨウスギ。属名は、アラウカリア。現在では南半球の特産になってるけど、中生代には北半球でも繁茂していたレリック、すなわち生きた化石。アルゼンチンの中生代ジュラ紀から化石種のアラウカリア・ミラビリスが多産する。

 

美しく珪化したアラウカリア・ミラビリス種子の化石

 

南ブラジルに多いナンヨウスギ樹は、パラナマツ(アラウカリア・アングスチフォリア)である。茶色い種子は、片側が尖った紡錘形で長さ数センチ、それがぎっしりと詰まって果実になっている。

 

果実を割ったパラナマツの実

 

この種子のことを現地ではピニョンと呼んで、圧力鍋で煮て食用とする。皮を剝いてそのままナッツ風でも美味しいし、ペーストやマリネ風にして酒のツマミにしたり、しばしば料理のあえもの素材としても使う。独特のニチャっとした食感と風味がある。

 

フィレ肉のピニョンあえ

 

ブラジル南部を旅行したら、このピニョンを食べないとね。

 

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セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その3

熱帯アマゾンのパイザージェン(景色)は、釣りの環境として実に素敵である。熱帯雨林の濃密な深緑、そこを飛び交う色とりどりの鳥類。青く輝く鱗光をみせて舞うモルフォチョウのような昆虫。そんな環境をバックにして、いろいろな大物を釣って、もちろん最高である。

しかし、確かに暑い! 実は怪人は寒いところも結構好きなんだ。熱帯で沸騰する頭を、年に一回くらい冷やしに山岳トラウトのフライ・フィッシングもやりたいなぁ、とたまに感じてしまう。

 

真夏のバリロッチェ、ナウエル・ウアピ湖

 

南米で始めてトラウトを釣ったのは、アルゼンチンのパタゴニアだった。「南米のスイス」ってキャッチで有名なバリロッチェに行ったのは、もう10数年以上前かな? 時期は3月だった、南半球の真夏だね。タンゴのナイト・ショーを観たブエノス・アイレスは、かなり暑かった。バリロッチェは、パタゴニアの中でそれほど寒い地域ではない。だもんで、ちょっと水温が高くて渓流のトラウトの活性がイマイチ。小さなブラウンやレインボウをドライやニンフで釣ったけど、フライでは大物が出なかった。ナウエル・ウアピ湖などのルアーだったけど、野生ブラウンの52cmと48cm、レインボウの40cmが釣れたのは、まあ幸運だったかもしれない。こいつらは、後述するパンコーラ(タンスイコシオリエビ)を口からボトボト吐いた。渓流にたくさん自生していたウォーター・クレソンを摘んで、トラウトの腹にバターと一緒に詰めてコテージのオーブンで焼いて、冷えたアルゼンチン・ワインの白で決めたのは楽しかったけど、フライ・フィッシングに関しては、フラストがけっこう残った。

 

カンポス・ド・ジョルドンの街

 

二回目の南米トラウトは、サン・パウロ州の山の中カンポス・ド・ジョルドンだった。ここのキャッチは、「ブラジルのスイス」だね。同州では、かなり寒冷なところで、ときたま雪も降る。

 

カンポス・ド・ジョルドンのアルコ・イーリス

 

ここはカンツリ形式のポンドで、#6のフル・シンキング・ラインをじっくり沈めて、バガー系ニンフのゆっくり引きで、けっこう数は釣った。でも大きいヤツで30センチなかったのが残念。ここでも、やっぱフラストを残してしまった。

 

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セーハ・ガウシャのトゥルッタ……その2

英語のニジマスはご存じ、レインボウ・トラウトである。ポルトガル語で鱒のことを、トゥルッタと呼ぶ。スペイン語なら、トゥルッチャであるね。虹の意味のアルコ・イーリスを語尾につけると、虹鱒になるのは当然だ。すなわち、ブラジルでは、トゥルッタ・アルコ・イーリス(truta-arco-íris)。学名は、オンコリンクス・ミーキス (Oncorhynchus mykiss)じゃね。

 

トゥルッタ・アルコ・イーリス

 

多くのサピーがブラジルっていうと熱帯をイメージするね。それは、おおむね間違ってはいない。「熱帯」ってのを緯度で定義すると、「赤道を中心に北回帰線(北緯232622秒)と南回帰線(南緯232622秒)に挟まれた帯状の地域」となる。赤道に近いアマゾン地方は、もちろん熱帯。南回帰線は、サン・パウロ市のちょっと北を通っているから、今年のオリンピック開催地リオ・デ・ジャネイロは、熱帯圏に入る。じゃ、サン・パウロは、亜熱帯? ところが亜熱帯と温帯の区別は正式には明確な定義でない。温帯にあって最寒月の最低気温の平均が摂氏0度以下には下がらない地域とか、温帯であって年平均気温が18度以上である地域とか、冬季の平均気温がほぼ15度以上ある地域である、などとあやふや定義がされることもあるけど、一般に熱帯よりやや寒いところで温帯より暑いトコみたいな感じに使われている。

 

リオ・デ・ジャネイロは、熱帯圏

 

トゥルッタ・アルコ・イーリス、すなわちニジマスの適水温は、12℃以下くらいだけど、この仲間、すなわちサルモニダエの中では高温に強くて、22℃くらいの水温でも生きていられる。前述のようにブラジルは、熱帯から亜熱帯なんだけど、標高の高いとこは当然のように寒い。前述した文献、中南米のトラウト移植、そのブラジルの章は、何度も読んだ。記述によると、熱帯圏では、ミナス・ジェライス州とリオ・デ・ジャネイロ州の境にある高山地帯、リオ州のノーヴォ・フリブルゴでニジマスが何とか定着したとあった。

 

ノーヴォ・フリブルゴの山岳

 

もともと怪人は、極東島の山岳渓流のルアーを始めて、フライもやるようになったアングラーから派生している。すなわち淡水の釣り、山地のような変化のある景色が楽しめることに重要な意味を感じていた。だから、それほど海の釣りには馴染めない。海岸では半分の景色が水面、船で沖にでちゃえば360度が水面しか見えない(笑)。それじゃあ、自然を愛でる感性的に面白くない。魚を釣ることは大きな目的ではあるにしても、海というフィールドはイマイチ、心が躍らない。

 

続く

 

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