南米・鳥獣虫魚・探遊 -12ページ目

10月のシングー・ファイト編・15 

シングー最下流では、夕日がきれいだった。

 

  シングーに夜の帳がやってくる

 

さてさて、アロワナは眼球が大きいよね。何回か書いたけど、食性の多くは、テレストリアル(陸生昆虫)なんだけど、それを食うため水面直下を泳いでいることが多い。泳ぎながら、常に上空を動く飛行物体の影に注意もはらっている。

 

  ギョロ眼のアロちゃん

 

水の澄んだ湖沼では、空中を飛んでいるルアーをみつけて、突っ走ることがある。セミとか大型の蛾とかと思うのかも知れない。魚雷のような航跡が水面を切って、着下地点に走ったときは、必ず着水と同時にボイルが炸裂する。これはなかなか爽快でもある。

  ボイルが炸裂!

 

Mちゃんは、順調にトップでアロワナを釣っている。ランディングも危なげがなくなった。後半は、ボートに上げないで、水面でフックを外してもいた。

 

 Mちゃんのキャッチ&リリース態勢

 

オレは、まだしつこくフライをやってたけど、この日に入ったポイントにはナッテリー・ピラニアがウジャウジャいるとこがあって、パスパスとストリーマーを切られる事件も続いた。

  これは、運よくフライが飲まれなかった

 

ちなみにシングー中流以上には、ナッテリーは生息していない。最後の急峻は激流だから、遡上して分布を広げられなかったのだろう。

 

 アロワナを追っていたアマゾンカワイルカ

 

ちなみカワイルカもシングー中流以上には生息しない。でも、ここにはウジャウジャいた。こいつらが暴れていると、釣りにならないこともある。

 

続く

 

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10月のシングー・ファイト編・14

カジュイ湖でないポイントでもアロワナは、かなり順調に釣れてくれた。新しいポイントは、禾本(かほん=いわゆるイネ類)の浮草であるカナラーナの絨毯が卓越していた。アロワナ狙いは、その絨毯のキワをタイトに撃っていく。Mちゃんもトップでかなり水面を炸裂させていた。

  美しい魚体のアロワナ・ファイト

 

たまに岸辺に倒木があるポイントもあった。ストラクチャ好きのスズキ系であるピーコックバスは、そんなところに居着いていた。

 

   

 倒木のストラクチャにフライを撃っていくと

 

怪人はしつこくフライをやっていた。フライが倒木ギリギリを通過したときモノクルス・ピーコが食った。

 

 

 ふぃっしゅ・おんシマシタ

 

使ったフライは、アロワナとピーコ兼用のタングステン・ビーズのついた小さなストリーマーだった。

 

 でっこちの♂モノクルス

 

ピーコックバスってのは、スズキ目のベラ亜目に分類されるファミリーの一員だ。ベラ亜目の大型魚の特徴として、♂が性的にサカリがくると、オデコがでっぱる。

 

続く

 

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10月のシングー・ファイト編・13

さてここで、シングー下流に生息するピーコックバスをちょっと解説しよう。2種類がいると書いたけど、学名で言うと…… Cichla monoculus と Chicla pinima  だ。

 

モノクルス・ピーコックバス

 

まずモノクルスだけど、本種はイエロー系ピーコックバスに大別できる。イエロー系の顕著な特徴は、胸ビレの下辺りに雲紋状の黒斑があること。この黒斑は、ジャイアント系にも、高原系(たとえばシングー・ピーコックバス)にもない。イエロー系はサイズ的には、他の系統よりも小さい。同系統には、数種類が知られているけど、モノクルス種が一番分布が広く、ペルー・アマゾンからアマゾン河口部まで本流に沿って生息している。地域によって模様がかなり変異がある。

  ピニーマ・ピーコックバス

 

ピニーマは、ジャイアント系ピーコックバスである。この系統には巨大化することで有名なテメンシスって種がいる。この2種の外見の違いは、体側のブラック・バーの形にある。テメンシスでは、バーが直線的で乱れがほとんどない。対してピニーマではバーが細くなったり、太くなったり、円形になったりする。

 

テメンシス・ピーコックバス

 

テメンシスの分布は、オリノコ河上流とネグロ河、マデイラ下流の一部、ウァトマン川下流、プレート・ダ・エヴァ川などと、やや狭い。対してピニーマは、アマゾン河南岸ではマデイラ下流~タパジョース下流~シングー下流~トカンチンス下流。そして北岸にも生息する。さらにアマゾン河口南岸から南の独立河川に東北ブラジル地方まで分布する。天然での南限は、おそらくバイア州までだろう。テメンシスのワールド・レコードは、14キロくらいで10キロ・オーバーも珍しくないが、ピニーマではめったに10キロを超えない。

 

続く

 

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10月のシングー・ファイト編・12

カジュイ湖では、陸っぱりもやった。Mちゃんが釣ったけど、彼のロッドにキズがついていたんだろう、ファイト中に折った。

 ゲットしたけど

 

オレのフライでは、小さなイエロー系のピーコを2つ追加。モノクルス種とされているシクラ属。

 

 ♂のピーコちゃん

 

浅場で、ちょっちピーコっぽくないアタリがあって、エキデンスが釣れてきた。シクリッドの一種で、ペルー・アマゾンではブフルキって呼ぶけど、ブラジル・アマゾンでは、アカラあるいはカラと呼ばれている。

 

 エキデンスくん

 

カジュイ湖のフィッシングは、まあ満足できる結果が出たけど、毎日ここに入るには、水路の通過往復がしんど過ぎるよ。漁師のヘナットと相談して明日からは、別ポイントでやることにした。

  Mちゃん&ネットのダブル・キャッチ

 

新開拓のポイント・シチュエーションは、いわゆる極東島サピーにとって、まさにアマゾン・フィッシングのイメージそのもの。その理由は、ピーコ好きのボンバダ・テルちゃんがユーチューブでいくつも映像を流して感化しているからね。いわゆる岸辺のストラクチャをピンでタイトに撃っていく形式。

 

 Mちゃんのピニーマ

 

Mちゃんも、テル方式にまるまる洗脳されていて、若いのにイメージが3億年前のパンゲア堆積岩のように硬化している傾向があった。だから、シングー上流の岩場からの陸っぱりに違和感があったんだと思う。それが上流スキル習得が遅れた要因かも知れない。下流でイメージがシンクロしたMちゃんが、ピニーマ種ピーコの爆釣を始めた。

 

続く

 

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10月のシングー・ファイト編・11

さてさて、お話しの舞台はシングーの上流部から下流のヴィトリア・デ・シングー方面に移る。幾日かのインターバルを買い物などに充てて、Mちゃんと二人でアジトを出発。ボートをヴィットリアからだして、ヴィラ・ノーヴァまで20分くらい、地元漁師のヘナットと会う。いつものポイントにしているカジュイ湖に入る水路の入り口は、2015年11月にヨシ&ヨシ・チームのときにキャンプ地にして今回も予定してたんだけど、そこはキャッサバ畑になっていた(笑)。そこで、ヘナットが新築中のシングー本流沿いに近い漁師小屋の敷地をベースにすることにした。

 

 今回のベース・キャンプ

 

まずは、いつものカジュイ湖に釣りにいく。ところがであ~る。狭い水路は昨年と同じ感じだったけど、奥に進んで湖面にでると、やけに浮草のホテイソウ(エイコホルニアのアズレア種)が膨大でクソみたいに厚くなっていた。この異変ついて、後でUFPA(パラ連邦大学)の生物研究スタッフと協議したけど、おそらくベロ・モンテ発電ダムの影響であろうという結論になった。

  シングー本流を堰き止めたピメンタル・ダム

 

堰堤が完成して、湖水を貯め始めたとき、下流域の一帯は水位がすごく下がった時期があった。このときにカジュイ湖も影響を受けて、湖底が露出しバイオマスが腐って、ふたたび水位が上がったときに水を大きく豊栄養化したのだ。そしてホテイソウ類などが大繁殖を果たしたに違いない。

  カジュイ湖

 

そんなわけで、水路から湖の奥にカヌーで入るのに、えらい時間と労力を使ってしまった。テルサード(蛮刀)で水草を切りながら、少しずつ進むしかなかった。釣りができる平水面に行くまで優に1時間も使った。オレも手伝いながら進んだので、けっこう疲れた。しかし、やっぱりカジュイ湖は、シルバー・アロワナがウジャウジャいた。

  シングー下流のアロワナ

 

手漕ぎカヌーは、2隻使った。小さなカヌーなんで、1隻での釣り人は、一人限定になるからである。オレも今回は、ちょっとフライを振りたかったし。

  ストリーマーを食ったアロワナ

 

今回のために白いマラブーの小型ストリーマー(小魚を模したフライ)を巻いた。アロワナは、昆虫食が6割、小魚食が3割くらいだけど、大きめの魚は余り食っていない。ロッドは、#7番。ラインは、9月のメシアナ隊員Mさんがデリバリしてくれたタイタン・テーパーのWF7F。結果は、すぐ出た。

 

  フライ・デ・アロワナ

 

Mちゃんもトップでアロワナを釣り始めた。でもカヌーが離ればなれで、近影が撮れない。オレは、ルアーでも釣った。

 

  まあまあ良いアロワナ

 

ちなみにアロワナは、オステオグロッサム類の一員。アマゾンには、2種類がいる。ブラックとシルバーである。ブラックは、ネグロ河やオリノコ河方面に生息が限定されるけど、シルバーはアマゾン低地の広範囲に分布している。

 

続く

 

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インペTシャツ第二回目・販売のお知らせ

第一回目のインペ・チャリティーTシャツが完売しました。皆様のご協力ありがとうございました。

 

 インペTシャツ

 

続けて、インペTシャツの再販を行います。第一回目は、直筆サイン入り+シリアル番号つきでしたが、現時点に於いてサイン入りを日本に物質転送させる機会がありません。そこで第二回目は、残念ながら、サインなし(汗)とさせていただきます。ご了承ください。購入は、下記のURLにアクセスください。

 

http://ameblo.jp/corvette821/entry-12270105012.html

 

 Tシャツ利益は、シングーの魚類調査の経費に充てさせていただきます

 

サイン入りご希望のリクエストを幾人の方から頂いています。機会を見つけて、サイン入りも販売できるように考えます。

 

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10月のシングー・ファイト編・10

翌日早朝、カマリオンの急流を攻めることにした。ここは、ハマるとカショーロ、ビックーダ、ピーコ、カマリピラニアのデカいのがくる。みんなが遊んでいる間、オレもちょっちフライ攻めでもやってみるか。

 

 フライでフィッシュ・オン!

 

急流の流心にストリーマーをキャスト。ラインは、シンクチップでシンク・レート6だから、急流に負けずに沈む。一投目から当たった。魚は急流に乗って疾っていく。跳ねたのは、良いサイズのビックーダだ。

 

 寄せてランディング

 

先日の予備調査日と同じ系統のキール・フックのストリーマーだった。フック・ポイントが上を向いているから、岩場の卓越したシングー上流でも根掛かりが抑えられる仕様になっている

 

 はい、ポーズ

 

本日が、シングー・ファイト前半戦の最終日である。今日の夕刻には、アルタミラに戻って、bozuちゃん&Sちゃんは、翌日に帰国の途につく。いやぁ、楽しく今回も遊べましたね。未使用の画像をいくつか並べて、前半戦の章を閉じよう。

 

 Mちゃんのパイクシクリッド

 SちゃんとRTC

 めきめき腕をあげているbozu先生

 このポーズは、もうやめたいのにぃ

 

Bozuちゃんは、またきっとアマゾンに来るだろう。Sちゃんも、機会があったら再見しましょう。

  上流岩場で記念撮影

 

さあ、これからMちゃんとシングー最下流を攻めにいくぞ! 請うご期待。

 

続く

 

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10月のシングー・ファイト編・9

ピーコックバスを楽しんだ日の前夜、実は隊員たちはナマズ釣りをやった。ポイントは声の届く距離だしぃ、ネットはジャポネス扱いに慣れているしぃ、オレは同行しないでビールをやっていた(笑)。ボートから、ぎゃぁ~、がはがははぁ~、という叫びが届いてきたから、隊員がウレシイやつを釣ったに違いない。戻ってきたbozuちゃん、開口一番、やりました報告。おぉ、良いRTCだ。暗くなってたから、生かしておいて翌日の昼に写真撮影をすることにした。

  前日に釣ったRTC

 

レッドテールは愛嬌ある顔してるから、熱帯魚としても人気があるムーちゃんだ。釣ったRTCに対して、可愛いというフレーズを使う隊員がたまにいる。もちろん感性ってのは、各自の自由であるから、文句を言う筋合いもないけど、怪人はもしそう思ったとしても、そのフレーズを使う気がない。可愛いと感じたなら、わざわざ口にハリを掛けたりしないだろうと思うからである(笑)。

 

 可愛い野生カピバラは触るな(パンタナルにて)

 

ついでに、また毒舌を吐いちゃおう。現在、極東の島国では南米原産カピバラが人気者になった。しかし、怪人は原産地でちっとも可愛いと感じない。野生個体は、たくさんのダニをつけているから、まるで触りたくない。おまけに、このダニは、たまに死人もでるロッキー山紅斑熱(ろっきーさんこうはんねつ)を発症するリケッチアをサピーに媒介する。極東の温泉に入っているカピは、すでにダニを駆除してある筈だけど、貴兄も貴女も南米で、可愛いからって野生カピバラを触っちゃダメだぜ。

 

 マトリンシャンも美味しい魚

 

昨日ブログで、美味しいからシングー・ピーコックバスを食事用にシメるお話しをしたけど、もう一丁、シメられやすい魚がマトリンシャンである。これは、塩焼きにすると、たいへん香りがよくて美味い。

  もくもくとカショーロを釣る

 

Sちゃんは、完璧にカショーロ・フィーディング・パターンが読めたようだ。流石にシングー経験2回目も伊達じゃあない。

 

続く

 

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10月のシングー・ファイト編・8

翌日は、ポイントを変えてピーコ狙いにすることにした。イリリ・キャンプ地から下ってシングー本流に入り、そこから遡ってカマリオン激流、それからサボン激流を越すと、岩場が入り組んだとこがあって、ここに多くのピーコが居着いている。まずは、Sちゃんがトップで掛けた。シングー2回目の彼は、岩場の攻め法を前回マスターしてる。

  岩場陸っぱり

 

シングー・ピーコの学名は、シクラ・メラニアエ。種小名は、メラニン(黒色色素)のあるヤツ、てな意味がある。ツクナレ(ピーコックバスの現地名)は、広範囲のアマゾンで美味しい魚として知られているんだけど、種類によって、そして水質によって味が少々変化する。

  黒斑の多いシングー・ピーコ

 

一般にイエロー系すなわち、モノクルス種やケルベリ種は、旨みが上質と認知はされているが、生息する水質に味が左右されることを怪人は検証してある。例えば、湿地帯マラジョー島の沼にいるモノクルス種。流れのからまない泥の沼にいる個体群は、明らかに泥臭い。ジモピーですら敬遠するほどだ。

  bozuちゃんも負けない

 

ブラジル高原系統のツクナレ、すなわちブルー(ピキティ種)、タパジョス中流もの(マリアナエ種)、シングー中上流もの(メラニアエ種)も美味しい定評がある。高原斜面を下る河川は、水質がいいことが要因だ。特にシングーという河川は、上流に大きな都市も工場もない。極上の清流に生息するシングー・ピーコの食味は、特上のカテゴリーに入る。

 

 またbozuちゃん

 

てな訳で、怪人主催のシングー・キャンプでは、食用にするためにピーコを必要量キープする。

 

続く

 

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10月のシングー・ファイト編・7

翌日、何はともあれMちゃんにカショーロを釣ってもらうことを目標にする。彼はパイクシクリッド、ピラニア、ピーコなどをポツポツ釣りだしてきて、キングボンビーが普通のボンビーになってきているから、希望は持てる。初日に入ったイリリ激流を攻めてから、またトローリングというプランを立てた。

 

 非情なSちゃんにヒット

 

イリリの激流では、追い風ウェーブが来ているSちゃんが先陣を切った。

 

 無事にランディング

 

さあトローリングに移ろう。実績ヒット系ミノーをMちゃんにつけさせて万全を期す。よし、来たぜ。バラさないでちょうだいね!

 

 これでパーフェクト

 

怪人、Sちゃん、bozuの安堵のため息がイリリに流れた。さあ、心置きなく釣りまくってちょうよ。

  Sちゃんがゲット

 

続けて、bozuちゃんにヒット。いよいよ、恒例の爆釣大会が始まった。

  ランディング態勢に入るbozuちゃん

 

またSちゃんだ。何か引きが違うみたい。ジャンプもない。

 

 あがったのはピラニア

 

再び、bozuちゃんにカショーロが跳ねる。

 

 やや小ぶりのカショーロ

 

ネットくんも参戦して、槍の穂先をゲットした。

 

 ビックーダだ

 

各自がバコバコと釣り続けて、本日のイリリ・ファイトの幕を閉じた。

 

続く

 

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