恋愛は文化に依存するらしい.

 

本能的に異性に肉欲を感じて性行為に及ぶ.

これは太古からあった.同意の場合もあるし同意なしの場合もある.ペニスのある動物はみなレイプをする.鳥は基本ペニスは無く穴なのでレイプは不可能だが,カモなどペニスのある鳥はレイプをする.レイプをすることが子孫繁栄で有効であれば,進化論からそうなる.(レイプつまり乱婚が主流だった時代もヒトにはあるらしい.夜這いもその派生)ただ堕胎技術が進んだ現代日本ではレイプで子を2.07人以上得ることはほとんど不可能ではないだろうか.

 

重度知的障碍者はそういった本能的な性欲しかないらしい.実際にそばに裸の若い異性が居れば欲情するが,アダルトビデオを見たいとかは思わないらしい.(アイムの佐藤 典雅さんがYouTubeで言っていた.)

 

結婚は恋愛を経てするもので,恋愛のゴールは結婚である,という意識はかなり最近のものらしい.
(過去記事1)でも書いたが,1960年代はお見合い結婚の比率は50%だ.私が以前見た統計資料では,恋愛結婚がお見合い結婚を超えたのは1970年代中盤だった.

 もっともお見合い結婚と恋愛結婚の境界も曖昧なので,正確なところは議論の余地がある.

 

 一般的には恋愛は明治時代に欧米から日本へ輸入されたという説が有名だ.夏目漱石はI love youを,あなたと見る月はきれいですね,と訳したとか.

 

 そこでいう恋愛とは,こうだ.

 清楚で貞淑な女性を神聖に扱い,その女性の美貌に男は一目ですぐに惚れてしまう.女性は男性にハッとしつつもすぐには心を開かない.そして様々な困難が出てくるが,それを克服するのは男性の仕事だ.女性は特に努力はしない.女性の心を得るために困難を克服する努力をすることで,男は自分の女性への愛情が強いことを証明していく.その時,男はほかの女は目に入らない.一人の女だけのために努力していく.そうやって精神的に強く愛をささげる男のみを女は受け入れる.そうした男性の存在が女性の価値となる。そして結婚する.一夫一婦制の結婚だ.

 

 これはもともとは中世の騎士道社会・宮廷での身分の高い家の女性と騎士との間の精神的な愛がもととなる.もともとは城を守る兵士が,城主が留守になった城の王女たちへ精神的な愛を通して,城主への忠誠を示す形が原型のようである.だから肉体関係は無く精神的な愛なのだ.その騎士道精神がレディーファーストとなり,時代とともに貴族・騎士から庶民へと降りて行ったようだ.

 

 手塚治虫が出てくるまで少女漫画に恋愛は無かったようだ.それまでは滑稽な話や怖い話しかなかったらしい.リボンの騎士の頃以降には少女マンガでは恋愛ものばかりになる.

 

 結婚とは,子孫をつくるためにするものであり,良い子孫をたくさん残し,飢えて死なさず良い状態で孫ひ孫へとつなぐためのもの.その目的のためには誰とどうやって結婚をしたらよいか.結婚は手段なのである.(そもそも結婚は裕福な家どうしの契約であって,庶民のものではなかった.社会福祉も裁判所も無い時代,貧乏人同士の結婚は意味が無い)しかし,メディアが庶民の心を幼少期から変革した.子を作るとか,そのために性行為をするとか,それよりも精神的な愛と言う気持ちこそが重要であるという新しい文化を形成するようになる.

 

 子供より結婚より,精神的な恋愛こそが素晴らしいものであり,そのためには女に尽くす男こそが立派な男.それだけ深く強い愛情をそそぐ男に愛される女こそが立派な女,という考えにシフトしていく.さらには,愛の証明のためには男はどんな苦難をも乗り越えることを要求され,仮にその女が不妊症であっても病気で余命いくばくもなくても,それでも精神的な愛はやめない,それこそが美しい恋愛の形とされたりする.

 そう,恋愛は現代の宗教なのだ.目的のための手段であったはずのものが,現代ではそれ自体が目的とされる.

 

 少子化問題の原因のひとつがこの精神的愛の崇拝にあるのかもしれない.精神的な愛なら本来の目的である子供を産むことをあまりしない女でも愛するのが本当の愛になってしまうから。恋愛傾向別出生率の調査とかあったら面白いと思う。

 

 中世宮廷社会の頃は食べるものが無く,キリスト教の影響もあり,少子化が推奨されていた.子供が多く生まれたら森へ捨てに行っていたのだ.(ヘンゼルとグレーテルは実母に森に捨てられた話)現代でもごく最近までそうだった.中国の一人っ子政策がおわったのは2014年だ.

 

 

 

 恋愛も学校もたんなる精神的な文化の一つにすぎないのかもしれない.社会的意識が変わることで簡単に180度変わってしまう文化なのかもしれない.時代の中にいると良く見えないが,過ぎ去ってからだと見える.

 

 何年か先になったら,恋愛教・学校教育教全盛だった時代として今の我々が若い世代から笑われるかもしれない.もうすでに不登校児が増え,学校神話は崩壊し始めている(過去記事2・3)

 もっとも結婚も変わりつつある.マッチングアプリで出会って結婚なんて上の世代は引くだろう.恋愛結婚の落ちこぼれとして婚期のがしかけ男女のあつまりという印象があった.しかし今の若い世代は比較的抵抗が無くなりつつあるのではないだろうか.

 また結婚の前に妊娠して子供が産まれても昔ほど後ろ指指されなくなっているのではないだろうか.

 

 ここまで書いてきて次のニュースが目に止まった。

 

 

 

 

 男性たちよ、安心しなさい、普通の女性はハイスペック男性を求めてはいません、と。笑い、当たり前だ。普通の女性が相手にしてもらえるのは普通スペックの男性だけだ。特に一夫一婦制では。男と女はほぼ同数なのだから。

 

(続き)

 

 

 

(過去記事1)

 

 

(過去記事2)

 

 

(過去記事3)

 

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