エンゲージメントは組織と個人の結びつきだということから探求をスタートしたが、次のステップとして、そのエンゲージメントを構成している(または、中に含まれている)要素について分解してみたい。

◯ビジョン(理念)共有
エンゲージメントの中には、まず組織におけるビジョンまたは理念が含まれている。
組織がどこへ向かっているのか、何を大切にしているのか、そこに所属している人々の各々が、それを組織と共有していなければ、エネルギーが分散してしまい、結びつきも弱くなる。
反対に、皆が同じ方向を向いて進んで行けば、結びつきは強くなり、大きな力を生み出すことができる。
ビジョンおよび理念が組織と個人で共有できていることは、エンゲージメントにとって最も大切な要素だと考えられる。
◯情熱(モチベーション)
次に、自分の置かれている立場や役割に対して、情熱を持ち、モチベーション高く、やりがいを感じていることがエンゲージメントの要素として上げられる。
稲盛和夫さんの「成功方程式」で言うところの「熱意」がそれに当たる。
成功方程式からもわかるように、仕事および人生にとって、情熱(モチベーション)は大きな要素の一つだ。
◯帰属意識
個人が組織に対して心理的な一体感や強い所属感を持ち、組織の一員として誇りを感じることもエンゲージメントの重要な要素だ。
よく、「自分達がやっていることを家族や友人に自慢できなければ成功しない」と言われるけど、それだけ組織がやっていることに自信と誇りを持つことが大切だと言えるだろう。
Z世代は帰属意識が低いなどとささやかれるけど、ボク自身は決してそうだとは思わない。
ただ、組織にZ世代を惹きつけるような、夢中にさせるような要素が欠けているだけ。
帰属意識が高ければ、当然、組織との関係を長期的に維持しようとする意欲も高くなり、入社してすぐに組織を辞めようという人も減るだろう。
組織の幹部がエンゲージメントに注目するようになった大きな動機であり、大切な要素の一つだ。
◯コミュニケーション
コミュニケーションとは、人と人とが意思を通じ合うことを表す言葉であるが、一般的には思いを交わす対話のことを表すことが多い。
エンゲージメントの要素の一つと考える場合、意思を通じ合うための対話と解釈しておく。
組織に所属している人同士が自由に対話をする環境があり、その量も豊富であれば、組織に所属するそれぞれ人同士の意思疎通が図られ、行動もスムーズでストレスが少ない状態になるだろう。
このような環境ができていれば、当然、協力し合う関係を醸成し、組織と個人の結びつきも強くなる。
後日触れるが、エンゲージメントを高める施策を考える場合、コミュニケーションは外せない要素になってくる。
◯信頼関係(人間関係)
信頼関係とは、お互いを理解し合い、認め合い、尊重し合える関係であり、そのような関係性を組織と個人の間で築き上げることは、エンゲージメントの重要な要素の一つだ。
信頼関係が築かれている環境は、居心地が良いばかりではなく、自分が必要とされている(みんなとつながっている)感覚(共同体感覚)も高くなる。
そうすると、心理的安定感や自己価値観が向上し、社会的責任感が醸成され、レジリエンスも強化され、健康と幸福感まで向上する。
◯主体的関与
組織でやっていることや起きていることを人任せにせず、自分主体で責任を持って行動できる、関与できることも、エンゲージメントの大切な要素だ。
自主性と主体性の違いについては、こちらを参考にして欲しい。
自分が主体的に関与することで、周りを巻き込んでの行動が起こり、全ての責任は自分にあるという姿勢も生まれ、エンゲージメントを高めてくれるケースが多い。
◯学習(成長)機会
組織の中に個人がキャリアアップや成長できる機会があることも、エンゲージメントにとって大切な要素だ。
個人のキャリアアップや成長は、組織にとっても大きなメリットとなり、組織・個人の双方にメリットがある。
組織の中に個人のスキルアップや専門性を向上させる文化があると、積極的に制度やリクエストを出さなくても、組織全体で個人の成長をサポートできるようになるので、そこを目指すのが理想だろう。
◯チャレンジ精神
チャレンジ精神とは、新しいことや困難な課題に対して積極的に取り組む姿勢や意欲を指すが、これもエンゲージメントを構成する要素に含まれている。
チャレンジ精神は、個人や組織が成長し続けるために重要であり、創造性や革新を促進する要素だ。
組織に失敗を寛容に受け入れられる体質が備わっていれば、チャレンジ精神は脈々と受け継がれるが、失敗を責め立てる体質ならば、萎んでしまうだろう。
◯報酬(評価)
当然、報酬・評価はエンゲージメントの大きな要素だが、近年はその価値が低下していると言えるだろう。
価値観が変化してきていることが大きな背景だが、評価基準が明確じゃなかったり、正当な評価が難しい点もその理由として考えられる。
一昔前は個人のモチベーションを上げるために、高額の報酬を設定することが多かったが、最近はその内容の充実を求める声が大きい。
もちろん、いまだに高額報酬は本能的に個人からの食いつきが良いのだが。。。
◯満足度(納得感)
組織の活動に満足しているか、納得しているか、ということもエンゲージメントの要素には含まれるだろう。
裏を返せば、自分で選んで組織に所属している、自分がコントロールして組織の行動を全うしている、という感覚がエンゲージメントの要素になっているということだ。
この感覚を個人が持つためには、やはり、ある程度の権限を委譲されている必要はあるだろう。
◯価値観一致
組織の文化や価値観が個人の信念や行動と一致していることも、エンゲージメントの要素には含まれている。
そうでなければ、腹の底から組織のミッションやビジョンに共感し、自分の持てる力を全力で注いで貢献しようという気持ちにはなれない。
心に火をつけるには、個人が持っている価値観を始め、興味・関心・好奇心を刺激する必要があるだろう。
※.「やる気に火をつける3つの導火線」も参照して欲しい。
◯プライバシー(安心・安全)
個人のプライバシーを尊重することもエンゲージメントの大切な要素だろう。
ここが安心できる場所だという心理的安全性が確保されていない所では、人は100%の力を出すことができない。
言い換えれば、自分を脅かす要素が存在する場所では、身を守るために力やエネルギーを使わなければならず、持っている能力を分散させられてしまう。
心配をしないで済む環境、脅威的なストレスが少ない環境を整えられれば、間違いなくエンゲージメントは向上するだろう。
と、つらつら上げてみたら12項目もあり、我ながらよく出たと思いつつも、これだけではないとも思っている。
ここに記した12項目は思考のトリガーとしては活躍できるだろうから、この記事を目にした方が何らかのヒントを得てもらえたら幸いだ。