それなりに良かった回だったと思います。
一人ずつ館から人が消えていく本作の現象は、まるでアガサ・クリスティーの『そして、誰もいなくなった』をモチーフにしているように見受けられました。
ロシア人形を実際の寸法になおした上で、寸法を測るやり方は非常に機転の利いていて面白いと感じました。
人間はいつも仮面をつけていることを知り、怯える七瀬美雪に対し、金田一は「人間とはそういうもの。良い仮面ならいいのでは。」と主張したところは非常に良かったです。
悪い仮面をつけている人もいるでしょうが、良い仮面の人もいるはずです。
ラストシーンで実は一連の事件を起こした桐絵想子ではなく、山ノ内恒聖が本当の黒幕だったのではないいかという推理を高遠は予測します。闇の中に潜って、人の心の闇を覗いてきた彼だからこそ、そういったセリフが出たのではないかと感じました。
一方で、金田一は「そんなの憶測でしかない」と突っぱねます。この金田一と高遠の関係が非常に好きです。
桐絵想子の動機も設定として良かったですし、終わり方もきれいでした。まるで、地獄の傀儡師の仕業のように。