主人公であるグレゴール・ザムザが、急に虫に変わってしまう物語です。
虫になった瞬間、家族からの反応は冷たくなります。つまり、どんな親密な関係性を保持していても、見た目が酷かったら相手にしてもらえないことを表しています。
かなり酷な事実です。そして、作者であるカフカは、虫を具体的なイメージで描こうとしませんでした。
つまり、どんな虫の姿かわからない状態なのです。では、虫はどういう象徴で本作に出されたのでしょうか。
それは、「役に立たない」という意味で出されたのだと思います。もう少し詳しくいうと、人間の役に立たないという意味で虫という存在を出したのだと思います。
虫になった以上、働きにも出られないですし、見た目も良いものとはいえません。そうなると、家族からも見放されるのです。
グレゴール・ザムザは作者自身を表しているといえます。カフカは文学の道を志そうとしましたが、カフカの父であるヘルマンはそんなカフカを冷笑的な目線で見ていました。
しかし、当時の時代背景として労働を重きに置いていた時代だったので、その背景とカフカの志望する文学の道とで、カフカ自身が自分の生きる道に迷っていたと解釈することができます。
つまり、役に立たないことが排除されることへの悲しみ、そんなに簡単に排除していいのかという作者の訴えが本作のメッセージとして受け取れます。
役に立たなくても、真に心に訴えるものがあればそれでいいのではないかと個人的には感じました。









