
序盤は戸部が海老名に告白しようとするシーンがあります。告白直前に比企谷が割り込んで告白することによって、戸部が傷つかないようにしました。比企谷は優しすぎます。私なら戸部に告白させて戸部自身が傷ついた後にフォローする形をとります。比企谷の行動は過保護の親と非常によく似ていると思います。過保護の親も子供の失敗をあらかじめ取り除きます。
「可愛い子には旅をさせよ」
このことわざを比企谷に贈りたいです。戸部の傷をあらかじめ取り除くということは、戸部が成長する機会を失うことにほかならないからです。雪ノ下や由比ヶ浜も比企谷のやり方を否定します。
「これでまた明日からいつも通り変わらないで済むかもしれない。けどさ、人の気持ちもっと考えてよ。なんでいろんなことがわかるのにそれがわからないの…。」
由比ヶ浜のセリフです。人の心理を見破ることと人の気持ちを理解することは違います。私も割と比企谷と同じタイプなので気をつけたいです。ただ、人の気持ちを理解できなくても、人の気持ちを理解するふりはできると思います。それにより、人に寄り添うことは可能だと思います。しかし、そういった言動をするのは比企谷のいう「本物」ではないです。だから、比企谷はそういった言動はしないと思います。
「きみのやり方では本当に助けたい誰かに出会ったとき助けることはできないよ」
平塚先生が比企谷にいったセリフです。比企谷の助け方はわるくいうと「ごまかし」でしかないので、いつかがたがきます。
「問題の根っこはひとつなんだよ。心だ。分からないか?ならもっと考えろ。計算しかできないなら計算しつくせ。全部の答えを出して消去法で一つずつ潰せ。残ったものが君の答えだ」
8話で平塚先生と比企谷がドライブし車に降りて橋で話し合うシーンでのセリフです。心とは考えてもわかるものではありません。しかし、比企谷は人の気持ちを理解できないので、比企谷自身の長所を目一杯使うしかないのです。
ここで漫画『アイシールド21』のヒル魔の名言を紹介します。
「ないものねだりしてるほどヒマじゃねえあるもんで最強の戦い方探ってくんだよ一生な」
こちらの名言と平塚先生のセリフは被るところがあると思います。比企谷の「あるもん」は、洞察力と計算です。それをひらすら磨けばよいのです。
「傷つけないことはできないんだ。人間存在するだけで無自覚に誰かを傷つけるものさ。生きていても…死んでいても…ずっと傷つける。かかわれば、傷つけるし、かかわらないようにしても、その事が傷つけるかもしれない。」
個人的に好きな名言です。人間は自分に近しい人間に接するときほど自己犠牲な行動をとりがちです。そして、我慢もしがちです。でも、それではいけないのです。
「傷つける覚悟をして関わる」
この言葉を胸に行動したいものです。
「この時間がすべてじゃない。でも、今しかできないこと、ここにしかないものもある、いまだよ比企谷、いまなんだ。考えて、もがき苦しみ、あがいて悩め、そうではなくては本物ではない…」
- 中学生のときにしかできないこと
- 高校生のときにしかできないこと
- 大学生のときにしかできないこと
- 社会人のときにしかできないこと
- 晩年のときにしかできないこと
5つともあると思います。今に焦点を当てて、過去は振り返らない。そのぐらいがちょうどいいのかもしれません。
そして、作中屈指の名言。
「俺は本物がほしい…」
俺ガイル好きなら全員知っているセリフです。ここでいう本物とは、欺瞞や嘘がない本音で話し合う関係を指していると思います。この名言が出る以前も、比企谷は嫌味っぽく発言するシーンは多々ありますが、全て本音です。だから、「俺は本物がほしい…」と発言をすることに矛盾はありません。比企谷の気持ちは痛いほどわかります。かくゆう私も割と本音ベースで話す人間であり、嘘や欺瞞でうまく立ち回る人がすごく気持ち悪く見える時もありました。
「そんな会話して何が面白いのかわからない」
そうやって尖っていた時もありました。ただ、それではうまく社会で生きていくことができないのです。比企谷もそれをわかっている上で、発言をしているのはわかります。しかし、いつか諦めがくるでしょう。高校、大学、社会人とステップを踏む内に、本音ベースの対応が通用しなくなるのです。人生、難しいものです。
比企谷は理想主義者であり、かなり人間関係に苦しんでいるとは思います。しかし、比企谷が必死にもがいている姿というのはかなり勇気がもらえます。
次は、雪ノ下のセリフです。
「比企谷くん、いつか私を助けてね。」
こちらも名シーンでのセリフです。雪ノ下は何でもできる完璧超人であり、自分の意志で行動できる人というイメージがありますが、実情は全く違います。このセリフからも分かる通り、基本受け身です。自分発信の行動がありません。家庭環境によって、そうなってしまっていると感じます。だから、雪ノ下は被害者です。
姉の陽乃はかなり性格が悪いです。嫌味っぽく人の心理を指摘します。そういった部分では比企谷と陽乃は共通しているといえます。しかし、決定的に違う部分があります。比企谷は他人優先であり、陽乃は自分の快楽が優先されます。だから、陽乃が関わると比企谷の周りの関係がおかしくなります。一言で表すと「破壊者」です。しかし、陽乃も被害者です。親のレールに敷かれた人生を送っており、ストレスが溜まっているのだと思います。
最終話では、比企谷自身が雪ノ下や由比ヶ浜に対しレッテルをはっていたことに気づきました。雪ノ下には「強い」、由比ヶ浜には「優しい」。でも、内情は違いました。そういう理想を押し付けていたのでした。それに比企谷自身が気づいたので、今後はより鋭い観察眼で社会を見据えることができるでしょう。
本作は人間関係を学ぶという意味ではうってつけの作品だと思います。
みなさんに何度でも見ていただきたい作品です。