原本の哲学書はなかなか難しい本が多いです。しかし、本書を読むことにより、様々な哲学書の内容を簡単に把握することができます。

 

現実世界で起きている様々な事柄と結びつけて解説をしているので、非常に頭に入ってきやすい内容となっています。

 

例えば、承認欲求を満たすためにどうすればよいのかをジャック・ラカンが答えてくれています。

それは「大文字の他者」に認められると良いと主張しています。SNSでのいいねは小文字の他者による承認だといえます。大文字の他者とは、「私たちの想像上のものであるにもかかわらず、それでいて私たちの行為の基盤となる秩序」のことです。つまり、自分自身を承認してあげればよいということでしょうか?

 

思い出したくない過去をフラッシュバックすることに関してもコメントしています。

 

  • ディオニュソス的な生→喜びも苦しみもある、振れ幅の大きい、自分の背負った運命に翻弄される生きかた
  • アポロン的な生→賢く理性的な生き方

以上の2つの生があるらしいです。ニーチェはディオニュソス的な生を勧めています。正直なところ、アポロン的な生にあこがれてしまいます。しかし、よく考えてみると喜怒哀楽の全てが詰まった人生の方が「生きている」という感じがするかもしれません。

 

古典本をよく読んでいらっしゃるライフネット生命保険創業者の出口治明さんもこうおっしゃっています。

 

人生の豊かさは喜怒哀楽の総量で決まる」

 

すごく良い言葉だと思います。

 

不幸な体験も幸せな体験もすべて因縁でつながっているとニーチェは主張しています。これを「永劫回帰」というらしいです。良い考え方です。ポジティブになれる哲学だといえます。

 

このように、日々の悩みを哲学者がわかりやすく回答してくれるという形をとっています。

哲学の入門書としてはぴったりの本だといえます。