〝Libroscanner〟の自薦解説文(改訂版) | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

今年のお正月、特許出願中の複写装置のアイディア(仮称〝Libroscanner〟略称〝LIBROS〟)について第一報を書き、わたしが企業への売り込みのために用意した簡潔な解説文も掲載して、みなさまのご高覧に供しましたが、

特許出願中〝Libroscanner〟 | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き (ameblo.jp)

〝Libroscanner〟の自薦解説文 | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き (ameblo.jp)

 

このたび「解説文」を改訂しましたので、新しいのをみなさんのご高覧に供します。

 

つぎの手順でダウンロードできる「特開2022-174725」の添付図を参照しながらこの「解説文」をお読みいただければ、中学・高校程度の理科を履修済みの方には、おわかりいただけると思います(明細書の原文は「この案をもし感光体ドラムとトナーを用いる古いアナログ式複写機の機構で実現するとすればどうなるか?」という時代錯誤的な問いへの答えを長々と書き入れたものだったため、きわめて冗長で、その大部分はデジタル時代である今となっては不要なものです。読むに値する部分は【0001】~【0084】、【0174~0188】、【0199~0200】、【0203】~【0219】だけです)。

 

(手順)

①特許庁の「特許情報プラットフォーム」(J-Plat-Pat)にアクセスする。

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)

②「特許・実用新案」を選択し、下の指定の欄に数字2022-174725を入力して検索を開始すると「特開2022-174725」が表示されるので、それをクリックする。

③文献単位PDFをクリック→継続をクリック→表示された4桁の数字を入力。

④画面右下のPDFダウンロードをクリック。

 

     *     *     *

 

(以下引用)

 

この案の要点を知っていただくためには、添付の図のうち、図10、図11、図12、図27、図28の5枚だけをご覧いただき、つぎの12項目の説明に目を通していただくだけで済みます。

 

Ⅰ.断面が正三角形である等辺プリズムの、稜を挟んで60°の角度で向き合っている2つの側面(ガラスと空気とのあいだの境界面)は、そのどちらもが、みずからの上に直接載せられた被写体(例えば本の見開き2ページのうちの片方)に対しては透過面としての役割を果たし、他の側面の上に載せられた被写体(本の見開き2ページのうちのもう片方)に対しては(全反射の原理によって)鏡面としての役割を果たすという、一人二役的機能を備えている。

 

Ⅱ.それゆえ例えば、本のページの横幅(ページの綴じ目から小口までの距離)を仮に1としたとき、断面の一辺の長さが1.366であるような等辺プリズムを用意し、そのひとつの稜に跨がらせた姿で本の見開き2ページを図10(これは断面図)のPOQのように載せ、それをプリズムの前記の稜に相対する面(仮に底面と呼んでおく)の外の点Wに視点を置いて観察すると、あたかもその2ページが完全な平面状に開かれて、左右逆転してP〞O′Q〞の位置に置かれているかのように、虚像として観察される(ただしここではガラスの空気に対する屈折率を1.5と仮定しており、前述の全反射だけでなく、底面での屈折をも考慮に入れている)。

 

Ⅲ.この関係を立体的にとらえると図11、図12のようになる。本の見開き2ページをCLDFMEとしたとき、それを図11(B)のようにプリズムに載せ、プリズムの底面の外から観察すると、当該2ページは図12(A)のC′L′D′F′M′E′の位置に左右逆転して置かれているかのように、虚像として観察される。

 

Ⅳ.この虚像を図12(A)のJからKまで移動するデジタルカメラによって走査すれば、見開き2ページ全体の像をデジタル・データとして取得できる(ただしこの走査によって取得できるのは、もとの被写体の鏡像のデジタル・データであるから、被写体そのものの像をプリントアウトさせるためには、データ処理の過程で鏡像から正像への変換を要する)。

 

Ⅴ.実際の走査にあたっては、カメラを移動させるのではなく、3枚の可動鏡を使って、被写体のどの部分を撮影している時でも、そこからの光がつねに(被写体・レンズ間の距離を不変に保ちながら)不動の位置にあるカメラへと導かれるようにするのだが、これについては通常の複写機とまったく同じである。

 

Ⅵ.いずれにせよ、この走査のプロセスは、通常の平板状に置かれている被写体を走査する場合と同様の機構によって実現できるので、ガラス窓の上に直接平板状に置かれた被写体を複写する通常の複写機の機構に多少の改変を加え、ガラス窓の上にプリズムを着脱できるようにし(図27)、プリズムを装着したときにはデジタルカメラを置く位置も連動して変わるような機構(図28)を製作すれば、平板状の被写体を複写する第1の複写モードと、本の見開き2ページを複写する第2の複写モードとのあいだで切り替えのできる、汎用の複写機を製造することができる。

 

Ⅶ.ただし、デジタルカメラの部分に、プリズムの着脱に連動して、データ処理のプロセスが「鏡像←→正像」間で切り替わるようなプログラムを組み込む必要がある。

 

Ⅷ.以上、筆者の提案は、複写機のうちの「画像読み取り装置」の部分に限っての提案である。プリンター部分の設計は、いろいろありうるので、ここでは特段の例は示さない。

 

Ⅸ.筆者のこの提案に対して、以下の意見を述べた者がいた。「現在はデジタル技術が急速に進化しつつある時代であるから、自然な姿で机上に置いてある本の見開き2ページをカメラで撮影しておいて、その像を修正処理することで、各ページの印刷原板どおりの平面像はこうであるはずだという姿をプリントアウトさせるぐらいのことは、すでに可能になりつつある。先端技術者はそういう技術開発こそを目指すべきであり、幾何光学的方法で見開き2ページの像の平面化をめざすような原始的な技術は、いまさら開発するには値しない」と。

 しかし、文字や画像が印刷してある範囲が、各ページのうちの、ある程度綴じ目(印刷・出版業界の用語で「のど」)から離れた部分にだけ限定されているような本については、そのようなデジタル技術での対応が可能だとしても、綴じ目(「のど」)の間際まで画像が印刷してある地図帳のようなものに対しては、上記評者が言うような洗練された方法は無力であり、原始的ながら、筆者が提案している幾何光学的方法以外に有効な方法があるとは思えない。実際に上記のような地図帳の「のど」の所に等辺プリズムの稜を密着させてながめてみれば、筆者の提案こそが現実的であることを、容易に理解できよう。

 

Ⅹ.また、以下の意見を述べた者もいた。「紙の冊子形態をとる本は現在急速に廃れつつあり、そのようなものを開いてコピー機のガラス面に押しつけて複写するような機会も減りつつある。いったん紙の冊子形態の本として出版されたものでも、出版元によってデジタルファイルが保存されており、それを電子ブックにして紙の本と同時並行的に販売することが一般的になってきている。今後は、本の見開き2ページをきれいに複写したい人は、電子ブック版を手に入れて、それの該当ページをプリントアウトしさえすればよく、そうすればきれいに平面化された像を容易に得られるであろう。したがって、紙の冊子を複写するなどという特殊な需要に応える機器をわざわざ製造しても、需要が少なく、採算性が悪い」と。

 確かに、紙の冊子を押し広げて複写する機会は今後減少するであろう。しかし、デジタルファイルが存在しない過去の文献は依然として膨大な数、存在しており、それのデジタルファイルをこしらえるために冊子を分解することは文化財保存の観点から許されないケースも多い。したがって、筆者の提案する方法こそがその文献をきれいに複写する唯一の方法であるというケースは依然として残り続ける。

 

ⅩⅠ.では、そのような、活躍の機会が(あるにはあるが)少ない型のコピー機を製造して、なおかつそれを採算性のよいものにするにはどうしたらよいか?

 正解は、図28に示されている第2の複写モードに最初から特化した設計のコピー機を製造しておいて、それをそのまま平板状の被写体を複写する用途にも流用することである。これは簡単なことで、稜を挟んだ2つの斜面のうち片側斜面だけでA3判の被写体に対応できる大きなプリズムをコピー機の上面に設置し、平板状の被写体を複写する際には片側斜面だけを使って複写し、冊子体を複写する際にはプリズムの稜を跨ぐように冊子を載せて複写すればよいのである(そうすると冊子体としては片ページだけでA3判という大きなもの――新聞縮刷版の大きさ――まで複写できる)。その場合は、プリズムをスライドしたり、カメラの位置を移動させたり、データ処理のプロセスを「鏡像←→正像」間で切り替えたりする手間は一切要らない。プリズム待避スペースを確保することも要らない。従来のコピー機と比べた場合、被写体載置台が板ガラスでなくプリズムであることによって若干コスト増があるとしても、効用の増大を考えれば、そのコストは償われるのではないか。そのコピー機を購入した人が「自分は冊子体を複写するような機会はない」と思えば、その機能を使わなければよいだけである。

 

ⅩⅡ.前項の設計思想を体現したコピー機の具体的設計としては、たとえばつぎのようなものが使い勝手がよいと思われる。 

 まず大きな等辺プリズムをコピー機本体の右上端に頂角60°の稜が向くように設置する。稜を挟んで右側のガラス面が傾斜85°の坂をなし、左側のガラス面が傾斜35°の坂をなすように傾けて設置する。右側の急斜面の上は、本(冊子状の被写体)のコピーを取るとき以外はカバーをかぶせておき、本体の右上端に露出するプリズムの稜が危険でないようにしておく。プリズムの大きさは、A3判の用紙の短辺を1としたとき、断面の正三角形の1辺が1.366であるような大きさとする。そのときA3判用紙の長辺は1.414であるから、これが本体の奥行きのおおよその目安である。プリズムは稜から測って左右とも長さ1のところまでが被写体を載せうる範囲となる。平板状の被写体をコピーするときは左側の緩傾斜のガラス面の上に載せてコピーする。そのガラス面の上には、左下側の適当な位置を軸とした開閉自在のカバーをつける(通常のコピー機でも被写体載置台となっているガラス窓の上に奥側を軸とする開閉自在のカバーがつけてあるのと同様)。本(冊子状の被写体)をコピーするときには稜を露出し、左側の緩傾斜のガラス面と、カバーを外した右側の急傾斜のガラス面に跨らせて冊子体を置き、必要に応じて操作者が本の背のところを手で押さえ、プリズムの稜が本の「のど」にしっかり食い込むように補助しながら、コピーを実行する。

 プリズムの裏側、すなわちコピー機本体の内部に向けて露出している傾斜25°の底面の下に、通常のコピー機の場合と同様の、3枚の可動鏡とデジタルカメラからなる走査装置を設置する。走査の方向は手前から奥へという方向になる。

 

以上

 

 

(補足)

 筆者が出願時の明細書に第ⅩⅠ項に示した最も簡単な実施形態を書き込まなかったのは、当時は依然として「この案をもし感光体ドラムとトナーを用いる古いアナログ式コピー機の機構で実現するとすればどうなるか?」という問いに固執していたからである。

 アナログ式コピー機の機構で第ⅩⅠ項の実施形態を実現しようとする場合、冊子体を複写する際にはレンズの視野の中央部分の像をドラムに転写し、平板状の被写体を複写する際にはレンズの視野の縁辺部分の像をドラムに転写することになる。そのため、後者の場合、一般に凸レンズの結ぶ像であれば避けられない縁辺部における若干の歪みが無視できないし、また【0058】~【0062】および【0174】~【0188】に述べてある「プールの底効果」による若干の像の歪みも避けられない。また、冊子体を複写する際にはドラム上の潜像を転写する紙を縦長に(プリズムの稜と直交する方向を長辺として)配置する必要があるのに対して平板状の被写体を複写するときはドラム上の潜像を転写する紙を横長に(プリズムの稜と平行な方向を長辺として)配置する必要がある。これらの難点のゆえに、第ⅩⅠ項の実施方法を現実的ではないと筆者は判断したのである。

 しかし、画像読み取り装置が取得した情報をデジタル処理してプリンターに受け渡す近年の方式を用いる場合には、これらの難点は何ら難点ではなくなる。像の若干の歪みはデジタル処理の過程で補正できるし、また、プリンターが画像読み取り装置とは独立に設置される場合、原稿を置く向きとプリントアウトのときの紙の向きは同じでなくてもよいからである。

 

 

(引用終わり)

 

     *     *     *

 

いかがですか?

 

素人の考えだとハナからバカにしてかかる人もいるかもしれませんけれど、世の中には「コロンブスの卵」ということもありますので、エンジニアの方々は虚心坦懐に読んでくだされば幸いです。

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