〝Libroscanner〟の自薦解説文 | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

昨日、特許出願中の複写装置のアイディア(仮称〝Libroscanner〟略称〝LIBROS〟)について第一報を書きましたが、それだけではまだ不十分だと思いますので、以下に、わたしが企業への売り込みのために用意した簡潔な解説文を掲載して、みなさまのご高覧に供することにします。

 

下のアドレスからダウンロードできる「特開2022-174725」の添付図を参照しながらお読みいただければ、中学・高校程度の理科を履修済みの方には、おわかりいただけると思います。

file:///C:/Users/Owner/Downloads/JPA%202022174725-000000%20(1).pdf

 

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(以下引用)

この案の要点を知っていただくためには、添付の図のうち、図10、図11、図12、図27、図28の5枚だけをご覧いただき、つぎの説明に目を通していただくだけで済みます。

 

Ⅰ.断面が正三角形である等辺プリズムの、稜を挟んで60°の角度で向き合っている2つの側面(ガラスと空気とのあいだの境界面)は、そのどちらもが、みずからの上に直接載せられた被写体(例えば本の見開き2ページのうちの片方)に対しては透過面としての役割を果たし、他の側面の上に載せられた被写体(本の見開き2ページのうちのもう片方)に対しては(全反射の原理によって)鏡面としての役割を果たすという、一人二役的機能を備えている。

 

Ⅱ.それゆえ例えば、本のページの横幅(ページの綴じ目から小口までの距離)を仮に1としたとき、断面の一辺の長さが1.366であるような等辺プリズムを用意し、そのひとつの稜に跨がらせた姿で本の見開き2ページを図10(これは断面図)のPOQのように載せ、それをプリズムの前記の稜に相対する面(仮に底面と呼んでおく)の外の点Wに視点を置いて観察すると、あたかもその2ページが完全な平面状に開かれて、左右逆転してP〞O′Q〞の位置に置かれているかのように、虚像として観察される(ただしここではガラスの空気に対する屈折率を1.5と仮定しており、前述の全反射だけでなく、底面での屈折をも考慮に入れている)。

 

Ⅲ.この関係を立体的にとらえると図11、図12のようになる。本の見開き2ページをCLDFMEとしたとき、それを図11(B)のようにプリズムに載せ、プリズムの底面の外から観察すると、当該2ページは図12(A)のC′L′D′F′M′E′の位置に左右逆転して置かれているかのように、虚像として観察される。

 

Ⅳ.この虚像を図12(A)のJからKまで移動するデジタルカメラによって走査すれば、見開き2ページ全体の像をデジタル・データとして取得できる(ただしこの走査によって取得できるのは、もとの被写体の鏡像のデジタル・データであるから、被写体そのものの像をプリントアウトさせるためには、データ処理の過程で鏡像から正像への変換を要する)。

 

Ⅴ.実際の走査にあたっては、カメラを移動させるのではなく、3枚の可動鏡を使って、被写体のどの部分を撮影している時でも、そこからの光がつねに(被写体・レンズ間の距離を不変に保ちながら)不動の位置にあるカメラへと導かれるようにするのだが、これについては通常の複写機とまったく同じである。

 

Ⅵ.いずれにせよ、この走査のプロセスは、通常の平板状に置かれている被写体を走査する場合と同様の機構によって実現できるので、ガラス窓の上に直接平板状に置かれた被写体を複写する通常の複写機の機構に多少の改変を加え、ガラス窓の上にプリズムを着脱できるようにし(図27)、プリズムを装着したときにはデジタルカメラを置く位置も連動して変わるような機構(図28)を製作すれば、平板状の被写体を複写する第1の複写モードと、本の見開き2ページを複写する第2の複写モードとのあいだで切り替えのできる、汎用の複写機を製造することができる。

 

Ⅶ.ただし、デジタルカメラの部分に、プリズムの着脱に連動して、データ処理のプロセスが「鏡像←→正像」間で切り替わるようなプログラムを組み込む必要がある。

 

Ⅷ.以上、筆者の提案は、複写機のうちの「画像読み取り装置」の部分に限っての提案である。プリンター部分の設計は、いろいろありうるので、ここでは特段の例は示さない。

 

Ⅸ.本提案を商品として実現する場合、プリズム部分の製造にかなりコストがかかるであろうことを勘案すると(このような大きなプリズムを部品として持つ既存の光学機器を筆者は寡聞にして知らない)、一般消費者向けの商品として最初から汎用機を製造・販売する戦略は不利かもしれない。一般消費者にとっては本提案の「第2の複写モード」を必要とするほど分厚い本を複写する機会は少ないであろうから、その場合の機能を追加されているというだけで従来の複写機に比べて価格が2倍にも3倍にも跳ね上がっている高価な複写機を購入するメリットは少ないと考えられる。それゆえ、マーケティング上の戦略としては、まずは「第2の複写モード」に特化した「本の見開き2ページを複写するための専用機」を開発し、売り込み先を図書館、大学などに絞った販売戦略を立てることが賢明かもしれない。その場合は、図28に示す姿に固定化された設計を採用すればよいわけであるから、プリズムの着脱と、それにともなうカメラの位置の移動およびデータ処理プロセスの切り替えは不要となり、在来の複写機と比較しての価格上昇要因は、プリズムを用いることで生ずるコストの上増し分だけとなる。

 

Ⅹ.このような装置への社会の需要を予測するためには、まずは国立国会図書館など大規模図書館の関係者から意見を聴取することが近道であろう。

 

ⅩⅠ.図書館、大学などで分厚くて重量のある冊子(例えば新聞縮刷版や、学術雑誌の数号分をハードカバーの合本として製本してあるものなど)を複写している現場を観察すると、本を複写機の上に載せるよりも、まず60°に開いた本を架台に載せ、その上から複写機のプリズム部分を徐々に降ろしていって、微調整しながらプリズムの稜が本の綴じ目のところに密着する状態へともってゆく装置のほうが便利かもしれない。その場合は、プリズムが図11や図12に示してある姿とは上下逆の姿をしている画像読み取り装置をプリンターとは切り離して製造し、そこから画像データをプリンターへと送信するようにすればよいであろう。

 

ⅩⅡ.筆者のこの提案に対して、以下の意見を述べた者がいた。「現在はデジタル技術が急速に進化しつつある時代であるから、自然な姿で机上に開いて置いてある本の見開き2ページをカメラで撮影しておいて、その像を修正処理することで、各ページの印刷原板どおりの平面像はこうであるはずだという姿をプリントアウトさせるぐらいのことは、まもなく可能となるだろう。先端技術者はそういう技術開発こそを目指すべきであり、幾何光学的方法で見開き2ページの像の平面化をめざすような原始的な技術は、いまさら開発するには値しない」と。しかし、文字や画像が印刷してある範囲が、各ページのうちの、ある程度綴じ目から離れた部分にだけ限定されているような本については、そのようなデジタル技術での対応が可能だとしても、綴じ目の間際(ぎりぎり)まで画像が印刷してある地図帳のようなものに対しては、上記評者が言うような洗練された方法は無力であり、原始的ながら、筆者が提案している幾何光学的方法以外に有効な方法があるとは思えない。実際に上記のような地図帳の綴じ目の所に等辺プリズムの稜を密着させてながめてみれば、筆者の提案こそが現実的であることを、容易に理解できよう。

(引用終わり)

 

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