MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

皆既日食を観測する場合、場所が「中心線から至近の場所」であることにあまりこだわらなくてもよいという話を書きましたが、そのついでに、「じゃみろう」さんがだいぶ前にわたしと同じアメブロに投稿なさった羅臼岳皆既日食の写真をリブログしておきましょう。

 

あの日食のとき、中心線上の浜小清水に陣取った人たちは霧に妨げられて皆既の写真を撮ることができず、中心線からかなり離れてはいるが日の出直後の太陽を妨げるものなしに撮影できる可能性の高い羅臼岳山頂に陣取った観測隊が、大成功を収めました。

 

その観測隊が「東京理科大学天文研究部」の学生たちであったと知って、「東京理科大学って、賢い人たちが多いんだろうな」と思ったのですが、そこが将来、人生後半期に入ったわたしが14年間奉職する職場になろうとは……。

 

 

このところ続けて皆既日食を話題にしてきましたので、それについての情報を追加しておきましょう。

 

これは個別の皆既日食についてではなく、皆既日食一般について言えることですが、「皆既帯の中で北限界線と南限界線との中央を通る中心線上がいちばん長い皆既時間を期待できる」ものの、その〝常識(あるいは「固定観念」)〟にとらわれすぎて、観測の陣をどこに張るかについて、「何が何でも中心線に至近の場所に」とこだわるのは、愚かだということです。

 

本影錐が地球表面を掃くように移動してゆくさい、個々の時点ごとのその影は、一般に円に近い楕円となりますが、話を簡単にするために真円だとして考えると、その中に中心からいろんな角度で動径を引くことができ、それらの動径のもつ偏角の正弦(サイン)と余弦(コサイン)を計算することができます。

 

ある偏角を考え、動径をその位置に固定し、その動径が円周と交わる点を観測地と考えたとき、その偏角の正弦(の絶対値)が「その地が中心線から南北の限界線までの距離の何割だけ中心線から離れているか」の指標となります。そして、その偏角の余弦(の絶対値)が、「その地での皆既継続時間が、中心線上の最大継続時間の何割であるか」の指標となります。

 

言葉だけの説明ではわかりにくいので、一例として、下にリンクする、2009年7月22日に起こった皆既日食の際の、吐噶喇列島付近の皆既帯図をみて下さい。

中心線に近い場所|日食の観測場所|日食観察の準備

 

ごらんのように、中心線からみて、南北限界線までの距離の半分ぐらい離れた場所でも、皆既継続時間は、中心線上でのそれに比べて、さほど遜色のない長さになっています。

 

その根拠は、「sin30°=0.5 に対して cos30°≒0.866 であること」にあります。

 

同様にして、下にリンクするサイトで、いろんな角度のサインとコサインの関係を求めてみることにより、「中心線からの乖離率」と「皆既継続時間の、最長継続時間に対する割合」との関係を容易に求めることができます。

三角関数(度) - 高精度計算サイト

 

逆三角関数の計算サイトも併用すると、「まず『中心線からの乖離率x』を指定し、『それをもたらす偏角θ』を求め、そのθを代入して cosθ を求める」という手順が使えます。

逆三角関数(度) - 高精度計算サイト

 

 

 

 

 

 

来年8月2日に起こる今世紀最良の観測条件と思われる皆既日食については、もう4年も前からみなさまにご報告しておりますが、

2027年8月2日の皆既日食 | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

 

そのとき「NASAのサイトが本来用意してくれていたはずの、伸縮自在のグーグル・マップ上の皆既帯図が、どういうわけか現在リニューアル中だということで、アウト・オブ・サービスなっており、……」と書いておいたのが、その後復旧して、閲覧可能になったのがわかりました。

 

NASAの日月食情報ウェブサイトの↓このページを開き、

NASA - Catalog of Solar Eclipses of Saros 136

 

その中の「2027 Aug 02」をクリックすると、グーグルマップ上の皆既帯の図が示されます。それを自分で適当にズームアップすれば、たとえばエジプトのルクソール付近の任意の地点での第2接触(皆既食の始まり)の時刻、第3接触(皆既食の終わり)の時刻、それを差し引きした皆既継続時間などが、詳しい数字で出てきます。

 

試しにやってみて、Luxorという文字の書いてある場所をクリックしたら、皆既継続時間6分22.7秒と表示されました。

 

たぶんそのあたりが、多くの旅行会社の企画する日食観測ツアーの集結地点として選ばれることでしょう。

 

なお、このグーグルマップとは別にNASAが提供している正射図法の地球半球図の上の日食図は、つぎのとおりです。

SE2027Aug02T.GIF (1121×1452)

昨日、2035年9月2日の、本州中央部を皆既帯が横断する北陸・北関東皆既日食について、どこで観望するのが適切かという議論を、Yahoo!JAPAN知恵袋に出して、質問とレスのやりとりをしていて、気づいたのですが、

天文、特に皆既日食に詳しい方にお尋ねします。 - 2035年9月2日に本州... - Yahoo!知恵袋

その日食が属しているサロス番号145系列の日食は、20世紀から21世紀にかけて、あとのものほど皆既帯中央での最長継続時間が長くなっていることがわかりました。

 

たとえば、日本でも日の出直後に網走や知床半島で皆既が観測された1963年7月20日(日本時間21日)の日食では、皆既帯中央のいちばん恵まれた条件の場所(カナダ北部)でさえ、皆既継続時間は1分40秒という短いものでしたが、サロス周期で2周期あとの1999年8月11日のヨーロッパ日食のときは、皆既帯中央にあたるルーマニアのティミショアラ付近での継続時間は2分23秒と、前より少し長くなっていました。

 

それからさらに2周期あとの日食である2035年9月2日の日食の場合は、皆既帯中央での継続時間はさらに長くなって、2分54秒であることが、NASAの提供している予報からすでにわかっています。ただし、その最大食の場所は太平洋上です。で、そこより西に位置する日本の陸地の上でだと、中心線上の好条件の場所でも継続時間はそれより短いはずだから、最大限期待できるのはどのくらいの長さなのかなと考え、質問を出してみたのです。

 

質問についたレスによると、中心線に近い陸上の土地である宇都宮や水戸では2分30秒前後の継続時間が予報されているとのことで、それなら、ヨーロッパ日食のときの完全中央での値に比べて遜色がないんだなと、うれしく思いました(もっとも、それを観望できるかどうかは、当日のお天気に加えて、わたし自身の寿命が続いているかいないかに、依存しますがね)。

 

で、この際、サロス番号で同系列(145番)に属する日食の時代的推移を確かめてみたくなって、1909年6月17日の日食から始まって、2089年10月4日の日食までの11回の日食のデータを追ってみました。

 

すると、皆既の継続時間は

1909年6月17日 …… 0分24秒

1927年6月29日 …… 0分50秒

1945年7月9日 …… 1分15秒

1963年7月20日 …… 1分40秒

1981年7月31日 …… 2分02秒

1999年8月11日 …… 2分23秒

2017年8月21日 …… 2分40秒

2035年9月2日 …… 2分54秒

2053年9月12日 …… 3分04秒

2071年9月23日 …… 3分11秒

2089年10月4日 …… 3分14秒

とわかりました。

 

SE1909Jun17H.GIF (1121×1452)

SE1927Jun29T.GIF (1121×1452)

SE1945Jul09T.GIF (1121×1452)

SE1963Jul20T.GIF (1121×1452)

SE1981Jul31T.GIF (1121×1452)

SE1999Aug11T.GIF (1121×1452)

SE2017Aug21T.GIF (1203×1543)

SE2035Sep02T.GIF (1121×1452)

SE2053Sep12T.GIF (1121×1452)

SE2071Sep23T.GIF (1121×1452)

SE2089Oct04T.GIF (1121×1452)

 

上にリンクした地球半球図の上の日食図を観察すると、この系列の日食は、20世紀の最初の回には中心食帯が通るのは北極近くだけという偏った日食で、正午中心食となる場所ではかろうじて皆既だが、日の出直後や日没寸前に中心食が起こる場所では金環という、ハイブリッド日食(金環皆既日食)だったことがわかります。そして、その後、時代とともに中心食帯が南下してきていることがわかります。

 

この系列の日食が北極付近の部分食から始まって、しだいに南下して、南極付近の部分食に終わるまでの全経過は下にリンクする表で確認できます。

NASA - Catalog of Solar Eclipses of Saros 145

 

なお、サロス周期についての詳しい情報は、下にリンクするウィキペディアの記述をご参照ください。

サロス周期 - Wikipedia

 

NASAの英文ページにも以下のような解説があります。

NASA - Eclipses and the Saros