昨日、2035年9月2日の、本州中央部を皆既帯が横断する北陸・北関東皆既日食について、どこで観望するのが適切かという議論を、Yahoo!JAPAN知恵袋に出して、質問とレスのやりとりをしていて、気づいたのですが、
天文、特に皆既日食に詳しい方にお尋ねします。 - 2035年9月2日に本州... - Yahoo!知恵袋
その日食が属しているサロス番号145系列の日食は、20世紀から21世紀にかけて、あとのものほど皆既帯中央での最長継続時間が長くなっていることがわかりました。
たとえば、日本でも日の出直後に網走や知床半島で皆既が観測された1963年7月20日(日本時間21日)の日食では、皆既帯中央のいちばん恵まれた条件の場所(カナダ北部)でさえ、皆既継続時間は1分40秒という短いものでしたが、サロス周期で2周期あとの1999年8月11日のヨーロッパ日食のときは、皆既帯中央にあたるルーマニアのティミショアラ付近での継続時間は2分23秒と、前より少し長くなっていました。
それからさらに2周期あとの日食である2035年9月2日の日食の場合は、皆既帯中央での継続時間はさらに長くなって、2分54秒であることが、NASAの提供している予報からすでにわかっています。ただし、その最大食の場所は太平洋上です。で、そこより西に位置する日本の陸地の上でだと、中心線上の好条件の場所でも継続時間はそれより短いはずだから、最大限期待できるのはどのくらいの長さなのかなと考え、質問を出してみたのです。
質問についたレスによると、中心線に近い陸上の土地である宇都宮や水戸では2分30秒前後の継続時間が予報されているとのことで、それなら、ヨーロッパ日食のときの完全中央での値に比べて遜色がないんだなと、うれしく思いました(もっとも、それを観望できるかどうかは、当日のお天気に加えて、わたし自身の寿命が続いているかいないかに、依存しますがね)。
で、この際、サロス番号で同系列(145番)に属する日食の時代的推移を確かめてみたくなって、1909年6月17日の日食から始まって、2089年10月4日の日食までの11回の日食のデータを追ってみました。
すると、皆既の継続時間は
1909年6月17日 …… 0分24秒
1927年6月29日 …… 0分50秒
1945年7月9日 …… 1分15秒
1963年7月20日 …… 1分40秒
1981年7月31日 …… 2分02秒
1999年8月11日 …… 2分23秒
2017年8月21日 …… 2分40秒
2035年9月2日 …… 2分54秒
2053年9月12日 …… 3分04秒
2071年9月23日 …… 3分11秒
2089年10月4日 …… 3分14秒
とわかりました。
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上にリンクした地球半球図の上の日食図を観察すると、この系列の日食は、20世紀の最初の回には中心食帯が通るのは北極近くだけという偏った日食で、正午中心食となる場所ではかろうじて皆既だが、日の出直後や日没寸前に中心食が起こる場所では金環という、ハイブリッド日食(金環皆既日食)だったことがわかります。そして、その後、時代とともに中心食帯が南下してきていることがわかります。
この系列の日食が北極付近の部分食から始まって、しだいに南下して、南極付近の部分食に終わるまでの全経過は下にリンクする表で確認できます。
NASA - Catalog of Solar Eclipses of Saros 145
なお、サロス周期についての詳しい情報は、下にリンクするウィキペディアの記述をご参照ください。
サロス周期 - Wikipedia
NASAの英文ページにも以下のような解説があります。
NASA - Eclipses and the Saros