正三角柱のプリズムでも全反射は起こる | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

プリズムといえば、双眼鏡などに用いられている断面が直角二等辺三角形のプリズムと、光の分散(虹の七色に分かれる現象)の実験に用いられる断面が正三角形のプリズムとの2種類を思い浮かべる人が多いと思います。

 

前者を全反射プリズム、後者を分散プリズムと呼ぶ用語法もあるようです。試みに「全反射プリズム」および「分散プリズム」をキーワードにして検索をかけたとき出てくる画像をリンクすると下のとおりです。

 

 

 

光が屈折率の高い媒質(たとえば水)から低い媒質(たとえば空気)中へと出ようとするとき、屈折に関するスネルの法則という簡単な法則を用いて、つぎのことが言えます。光の入射角(光が二つの媒質の境界面に達するときにその面の法線とのあいだでなす角)を0°から始めてだんだん大きくしてゆき、ある角度まで大きくすると、出射角(屈折後の光が境界面の法線とのあいだでなす角度)が90°になり、屈折後の光は境界面スレスレの水平方向に向かうことになってしまう。これを臨界角と呼びます。

 

 

上にリンクしたサイトに計算が示してあるように、水から空気への場合、臨界角は約48.6°になります。入射角がこれよりも大きくなると光は空気中に出ることができなくなり、まるで境界面が鏡でできているかのように、そこで反射してしまうことになります。これが全反射です。

 

ガラスから空気への場合は、ガラスの空気に対する屈折率が水の空気に対する屈折率より大きくて約1.5であるため、臨界角は42°ぐらいになります。したがって、境界面に対してちょうど45°の角度で入射した光は(この場合、上で定義した「入射角」もまた45°)全反射を起こすことになります(これは水だと残念ながら起こらない現象)。この性質を利用することにより、断面が直角二等辺三角形であるプリズムの、二等辺のうちの一方に対して垂直な角度で光を入射させると、斜辺のところで全反射して直角に折れ、二等辺のうちのもう一方の場所から垂直に出射することになります。こうして光路を直角に折るのが上のリンクで名づけられている「全反射プリズム」であるわけです。

 

それに対して、上のリンクでは、断面が正三角形の、つまり全体の形が正三角柱のプリズムはもっぱら光の分散の実験用にだけ存在し、それと全反射とは無縁であるかのように描かれています。が、これはほんとうでしょうか?

 

試みに、正三角形(すべての頂角が60°)を、底辺をXY、頂点をOとする位置関係で描き、それを、中がガラスで充填されたプリズムの断面だと考えてみましょう。2つの斜辺のうち左側がOX、右側がOYだとして、OXの真ん中よりも少しO寄りにPという点をとり、そこから辺OXに対して垂直な角度で光がガラス内に向けて発したとします。するとその光はもうひとつの斜辺OYの裾のほうのどこか(ガラスと空気の境界面)へと入射しますが、そのとき辺OYとなす角は30°だから、入射角は60°となり、この光線はその点で全反射します。その点をSとすると、Sで全反射した光は再び境界面に対して30°の角度をなして下へ向かって進むので、その進む方向はちょうど底辺XYに対して垂直であり、底辺のところでまっすぐ空気中へ出ることになります。

 

同様にして、OYの真ん中よりも少しO寄りにQという点をとり、そこから辺OYに対して垂直な角度で光がガラス内に向けて発したとします。するとその光はもうひとつの斜辺OXの裾のほうのどこか(ガラスと空気の境界面)へと入射しますが、そのとき辺OXとなす角は30°だから、入射角は60°となり、この光線もその点で全反射します。その点をRとすると、Rで全反射した光は再び境界面に対して30°の角度をなして下へ向かって進むので、その進む方向はちょうど底辺XYに対して垂直であり、底辺のところでまっすぐ空気中へ出ることになります。

 

これらのことから、少なくとも、PやQが斜辺の真ん中よりも上にあれば、そこからガラスと空気の境界面に対して垂直な角度でガラス内に向けて発した光は、プリズム内で全反射して、プリズムの底面の下の垂直方向へと向かうことがわかります。

 

そこで、つぎのことが言えます。

 

正三角プリズム(等辺プリズム)のひとつの稜にまたがらせる形で、たとえば本の見開き2ページのようなものを60°に開いて、POQの位置に載せ、その紙面から発する光を、稜にあい対する面の外側の充分に遠い点(理論上は無限遠点)から観察すれば、その見開き2ページは、全反射の結果、あたかもプリズムの底面に平行なある高さの場所に180°に開いて置かれているかのように、観察される(ただし左右逆転して鏡像になりますが)。

 

このことは、実際に正三角プリズムを買ってきて、その稜のひとつを、ページの綴じ目(印刷製本業界の用語で「のど」と言います)の近くまで文字や絵が印刷されている本(地図帳にそういうのが多くあります)の、綴じ目のところに差し込み、密着させて、それをプリズムの反対の面越しに観察することで、容易に確かめることができます。

 

こうして、世に「分散プリズム」と呼ばれているものもまた、ある限度内において、全反射の機能を備えているのです。この全反射機能は、われわれの現実生活上に活用できると思われますが、それを利用した機器がいまだにどこにも見当たらないのは不思議なことです。

 

 

ぜひ造ろうじゃありませんか!

鳴かぬなら鳴かせてみようほととぎす!

夢をあきらめないぞ!

 

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