5.18 自民党の会合で 遠隔会議で実施

 

日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(自民党・比例代表全国区)です。

 

 我が国を繋ぎ、護り、発展させるために、人づくりは最需要課題です。中共武漢発の新型コロナウイルス感染症が世界中で流行する中であれば、尚更です。

 

 5月18日(月)、自民党本部において、3回目の「秋季入学制度検討ワーキングチーム」が開催されました。教育経済学者の中室牧子慶応義塾大学教授、政治学者で田中愛治・早稲田大学総長の2人の有識者から「9月入学」について、説明を聴取しました。

 

 要点は、科学的知見からは、「9月入学」は、入試費用の削減という「便益」よりも、学力低下や学力格差、低学歴、生涯賃金低下等の「費用」が大きく、一刻も早く学校を再開させ、失われた学習期間を取り戻すような継続的な公的支援が必要であること。我が国の国際化については、9月入学という学期移行ではなく、成功した諸国に学び、母国語と英語の両方の授業、2学期制から4学期制への移行、入学と卒業の柔軟化、通年採用、単位互換等の具体的な改革が重要との指摘でした。

 

 教育に関わる専門家で、来年からの9月入学に賛成する方は、私も何人かに聞いてみたり、調べたりしてみましたが、皆無です。

 

 それでも、政府が9月入学を導入しようと検討しようというのは、どういうことなのか。理解に苦しむところです。

 

 中室先生と田中総長の講演要旨は以下です。

 

●科学的根拠に基づいて「9月入学」を考える

 

 中室牧子先生からは、諸外国の研究成果を紹介して頂きました。論文の引用先については、省略致します。

 

⑴長期に渡る「臨時休校」がもたらす影響について

①子供の教育年数が減少し、将来の賃金も低下(アルゼンチン88日間のスト)。

②臨時休校の影響を受けやすいのは、より低学年の子供(米国メリーランド州の降雪)。

③休校は、積み上げ型の理数系科目への負の影響大。

④生徒が学校に通わない夏休み期間中に学力格差が拡大。

 

⑵オンライン教育の効果について

 ①教師と子供が双方向で遠隔指導を実施している自治体は5%(文科省調査)。

 ②遠隔教育の過去10年間の研究成果をまとめと、以下。

 ・遠隔教育の教育効果は対面と比較すると非常に限定的。

 ・もともと成績の低い生徒は、対面と比較すると、負の影響があるため、特別の配慮、サポートが必要。

 ・規模の経済が働くため、教育のコスト削減の効果は期待できる。

③成績の良かった学生は成績が上昇し、悪かった学生は低下(スイス)。

 

⑶9月入学は妥当か?

 ①今回の3か月に渡る臨時休校で生じたと考えられる問題は

  平均的な学力が低下し、学力格差が拡大。

 

 ②この2つの問題への対応として、9月入学が妥当か?

 従前の9月入学は、子供たちを5歳秋に入学させる(=入学を半年早める)ことを念頭においているのに対し、今回にわかに議論されている9月入学は子供たちを6歳秋に入学させる(=入学を半年遅らせる)もの。

 ・学校の授業日数や時間数の増加は学力にプラスの影響(米国)。

 ・37週から24週への授業時間の短縮は、留年率を高め、高校進学率を低下(独)。

 ・学習内容を変更しないのであれば、従前と同じ授業日数や時間数の確保が必要。

 ・土曜授業や夏休みの短縮は選択肢。ただし、学期中の気温が1度上昇すると、1年間の学習量の1%を失う(米国)。エアコンの設置が重要。

 

 ③入学年齢を半年遅らせることにデメリットはないのか?

・逸失生涯所得は大きい。

  入学時期を遅らせ、就学年齢が高くなると、認知能力(IQ)や学歴には影響はないが、30歳ごろまでの賃金が低くなる(24歳で▲9.2%、30歳で▲1.0%)(ノルウェー)。一方、メンタルヘルス問題は改善し、女子の妊娠を減少。

  逸失生涯所得の影響は長期にわたって接続し、かつその効果量も大きい。平均年収の約5分の1程度。

  入学時期を遅らせることで生じるリスクを取るよりも、一刻も早く学校を再開させ、失われた学習期間を取り戻すような継続的な公的支援をしていくことが王道ではないか。

 

⑷そもそも9月入学はアリ?

 政策の「便益」と「費用」を比較する必要。

 ①日本の教育の国際化【便益】

 ・高等教育機関に在籍している学生の内、海外への留学者は0.8%、受入れは3.5%。他の先進国と比較してかなり低い。

 ・留学生が少ない理由は、過去の研究によると、就職活動の早期化、言語力の低さ、教育期間同士での単位互換が行われないことと指摘。入学時期が決定的な要因であるという主張は多くない。

 ・海外留学が将来の賃金を高めることを示す研究もあるが、海外で学位を取得した優れた人材が海外で就労する「頭脳流出」につながることも示した研究もある。

 ・国際化を実現したいのなら、実践的な英語教育、国際交流プログラムや単位互換の推進、留学のための奨学金充実なども同時に着手すべき。

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 ②入試にかかる費用の削減【費用】

 ・高校入試や大学入試は、1~2月に実施されている。この時期は、降雪などの天候悪化、交通機関の乱れに加え、インフルエンザなどの感染症の流行が懸念される時期であるため、もし入試の実施時期を5~6月にずらせるのであれば、高校入試や大学入試にかかる費用を削減できる。

 ・制度の変更に伴って生じる費用(家計負担は3.9億円や教育が2.8万人不足との試算も)

 

●目的と大義と必要な政策の方向性は

 

(出所:田中愛治・早稲田大学総長 講演資料)

 

 田中愛治・早稲田大学総長からは、次のような話を頂きました。

 

Ⅰ.目的: 2020年度の児童・生徒・学生の救済

2020年4月の児童・生徒・学生たちを17ヶ月間在籍させ、2021年8月に卒業する制度を想定し、利点と課題を検討する

(利点)児童・生徒・学生たちが十分に学ぶことができる

(課題1)高校3年生の半数近くの生徒と、大学4年生の9割以上の学生は2021年4月から就職し、収入を得ることを期待してきたはずであるので、就職を5ヶ月延ばして、2021年9月まで収入を得られない状態に置くことは、世論の大きな反発を呼ぶ可能性が高い

(課題2)現在、小中高の学校の児童・生徒は学校に行って、友人と共に学び、遊び、時間を過ごしたいはずであるので、2020年度第1学期を9月に延期することは、問題が大きく、保護者の強い反発を招く可能性が高い

 

Ⅱ.大義: 日本の教育システムの国際化

仮に、2021年9月に日本中の全ての児童・生徒・学生が新入・進学するとした場合を想定し、利点と課題を検討する

(利点)欧米のアカデミック・カレンダー(学年暦)と一致するので、主に大学生の留学に出る学生数を増やし、海外からの留学生を受け入れやすくなる

(課題1)9月入学に制度変更しても、日本の学校・大学で日本語での授業を続けていれば、留学生の送り出しも、留学生の受入数は増加しない-国際化は進展しないー

(課題2)米国は5歳半~6歳で小学校入学をするので、現時点で日本より7ヶ月早く修学しているので、2021年4月に入学予定の児童を2021年9月に入学させると、さらに5ヶ月遅くなるので、大学卒業の知的職業に就く労働力が1年分、米国よりも恒久的に減少し、GDPにおいても不利になる

 

Ⅲ.日本の教育システムの国際化を推進する政策の方向性(背景)

(国際化の条件)国際化に成功している国の教育システムを参考にする

• オーストラリア、ニュージーランドは、大学は2月入学だが、学年暦のズレが国際化の障壁になっていないーー添付の図1を参照

• また、米国、カナダ、英国、シンガポール、インドの大学は基本的に全ての学科目の授業を英語で提供している。西欧諸国の多くの国も母国語と共に英語での授業を多く提供している(ボローニャ・プロセス)

• 国際化に成功している国の大学は入学と卒業の学期を柔軟に設定している

(課題1)日本語のみで大学教育を提供していては、国際化は進展しない

(課題2)大学の卒業を日本の全ての大学で4月入学か9月入学か、3月卒業か8月卒業かの一方に決めれば、国際化は進展しない

 

Ⅲ.日本の教育システムの国際化を推進する政策の方向性(提言)

提言1: 日本の多くの大学で多くの専門科目を日本語と英語で教育できるように変革する

提言2: 日本型クォーター制(4学期制)を導入し、各学期ごとに、入学も卒業も認める制度に変革する(参考文献:田中愛治「早稲田大学の4学期制導入の目的と運用」『IDE現代の高等教育』No.553, 2013年8-9月号,pp.13-19,参照)--添付の図2.を参照

セメスター制(2学期制)においても、各学期ごとに入学も卒業も認める制度に変革する

提言3: 大学在学中に海外留学しても、就職活動の機会も逃さないように、日本の企業が通年採用へ全面的に移行する必要がある

• まとめ: 日本語と英語での教育、並びに柔軟な学期制度による入学・卒業の新しい教育システムに変革しない限り、日本の国際化は進展しない

 

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●9月入学の私の意見

 

私は「9月入学」については、今まで3回ブログに書きました。

 

 ①4月29日「学校現場が混乱するだけ」

 https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12593170711.html 

 ②5月11日「労多くして功少なし」

 https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12596238872.html 

 ③5月日「政府が考える課題は13点 待機児童問題が深刻化」

 https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12597335884.html

 

 

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●中共武漢発の新型コロナウイルス感染症対策 

 

中共武漢発の新型コロナウイルス感染症の国内外の感染拡大が依然続いています。政府与党では、一体となって対策に取り組んでいます。

 

 支援策一覧をまとめています。詳細は、リンクを貼ってありますので、ご確認ください。

 https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12591695637.html 

 

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●赤池ブログから(日々の活動報告) 

 

9月入学の是非 世論は賛成多数だが課題が多く「功なし」

https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12596238872.html 

 

文科省が「感染症予防」の指導資料公表 子供はもちろん国民の常識に

https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12595968482.html

 

5.8一人一律10万円給付 開始自治体は郵送2割・電子申請6割強 

持続化給付金は50万件の申請殺到 初日に280億円支給

https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12595726862.html 

 

中共へ損害賠償請求を 脱中共に向けて産業の国内回帰と国際連携を

https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12595047543.html

 

海洋国家 海事振興タウンミーティングで14の決議

https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12575499307.html

 

2.13日本遺産の日 第2回日本遺産推進フォーラム開催

https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12574773960.html 

 

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●災害支援

 

災害ボランティアを募集については、感染症対策のため中止しています。

・詳細は https://www.saigaivc.com/

 

日本赤十字社では義援金を募集しています。

・詳細は http://www.jrc.or.jp/contribution/ 

 

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●自民党党員募集

 

 自民党では党員を募集しております。党員は、自民党総裁選挙での投票権を持つことができます。ぜひ事務所までご連絡下さい。

 

●赤池まさあき後援会入会案内

 

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