恋愛小説家 -68ページ目

プリンちゃん

さらさらと

チラシの裏に、プリンの絵を描きました。

プッチンプリンを「ぷっちん」した上にクリームを絞り

人工的に真っ赤なさくらんぼを飾った絵です。

 

その次に顔と、ひょろ長い胴体と棒のような手足を加えました。

「プリンちゃん」と命名し、わざわざ下に書きました。

 

プリンちゃんは

私と彼のデートのたびに

レシートの裏や、カフェのペーパーナプキン、

ノートの隅に増殖していきました。

 

ふざけて描いた落書きから

仕舞いには自作のプリンちゃんグッズまで登場し

彼の部屋の本棚にちまちまと陳列されはじめました。

 

それからしばらくして

ファンシーなキャラクター雑貨店で発見したのです。

「プリンちゃん」と同じ名前の、ブサイク顔したプリンさんを。

 

彼は私に

「あまりにも素晴らしいから、誰かに盗まれたようだね」と

面白そうに笑いました。

私はいつの間にかプリンちゃんを描かなくなりましたが

本棚のプリンちゃんグッズはいつまでも飾られていました。

 

遠い記憶を呼び起こしてしまったせいで

プッチンプリンが久しぶりに食べたくなりました。

colors

恋愛小説家

 

複雑な空の色に思わず立ち止まりました。

濁っているのに透明で、暗くてもなお鮮やか。

混ざり合った色は自然の生み出すアートです。

 

この不思議な光景をなんとかして

上手く紙の上へ乗せることができないものかと

昔から、ずっとずっと試してきました。

ところがどんな絵の具でも思い通りに描けませんでした。

 

そしてあるとき、とうとう

「これは私の道じゃない」と筆を投げたのです。
 

本当は誰が何といおうと

思うままの色で描けば良かったのでしょう。

それを心で解っていながら

自分を正当化する言い訳をして逃げました。

 

 

忠告は

愛する人からされるほど耳が痛いから

それまで知らなかった大切なことを聞いても

片意地をはり謙虚な気持ちを忘れてしまいます。

 

染み付いている習性や身についた物の見方は

大人になるほど簡単に変えられなくなっていきますが

たとえゆっくりでも意識的に努力を怠らなければ

修正を加えることはできると思います。

 

あなたの色と私の色を混ぜたらどんな絵が描けるのか

完成しない一枚を大切に掲げながら、

明日を楽しく生きていたいものです。

 

空の向こう側

恋愛小説家


海外どころか本州からも出たことのなかった私にとって

大人になるまで史上最速の乗り物は「こだま」でした。

両親の実家も近県に集中し、家族旅行は専ら近場の半島あたり。

ヘビースモーカーの父の運転で車酔いに耐えていました。
 

そんな私が、大学の卒業記念に

初めての海外旅行でハワイへ行くことになりました。

ところがその旅行すら、就職先の都合でお流れになったのです。

 

(つくづく飛行機には縁がない・・・

一体いつ乗れる日がやってくるのかな?

ここまできたなら、最初に乗るときは記念にしたくなるわ)

 

それから出逢った彼はとても素敵な人でした。

「実はまだ飛行機に乗ったことないの」と打ち明けたところ

「あ、それ俺も!」と、気さくに話に乗ってきました。

 

私たちは、貯金をしてそのうち南の島へでも行けたらいいねと

楽しい夢を見るようになりました。

デートの度に旅行代理店の前で立ち止まり

パンフレットを眺めたり、持ち帰ったり・・・。

 

結局その夢はかなわないまま

二人の恋が先に終わってしまった訳ですが

あれから飛行機に乗る日には

どうしても彼のことを思い出してしまいます。

 

白い雲海を見るたびに

(綿あめみたい。上を歩けそうだよね?)と

子どもめいた報告をしたくなるのです。

空の向こう側にいる彼も、私を想い出しているでしょうか。

 

湖畔にて

私があなたにしてあげられることや

あなたにはない良い部分には

どんなことがあるでしょう

 

私はとても従順なつもりで

熱心に想いを寄せることしかできません

あなたの言葉をほんの少しも疑わず

いとも簡単にだまされてしまうでしょう
 

あなたの横で昼寝をしていたら

見知らぬ湖畔にたたずんでいる気持ちになりました

小鳥のさえずる朝もやのなか

大きな湖が目の前に広がっているのです

 

人気のない静かな森の奥にある

誰も知らない秘密の湖

その水はどこまでも透明で波もありません

 

打てばどこまでも音が響くような静寂の世界で

たぶんここは「あなた」だと思いました

 

私は小舟を浮かべて遊ぶことにしました

力の限りオールを握りしめて

漕げるだけ遠くまで森の奥まで

 

湖上で深い霧に包まれることもあるでしょうか?

一人きり迷子になってしまうでしょうか?

 

たとえ迷子になっても

この水はきっと静かに流れて

安全な岸まで導いてくれるはずだと

そこはかとない安心感がありました

 

愚かでしょうか

こころからあなたを疑いません

 

それだけが私の美点であり

自分なりの愛なのだろうと

遠い寝息を聞きながらぼんやりと考えていました

 

白い花

恋愛小説家

 

わたしは木蓮がとても好きです

いつの日か小さな庭をもてるのならば

かならず苗木を植えたいと夢見ています

 

だから

 

「あなたを花にたとえるなら・・・木蓮。」

 

彼がわたしに言ったその言葉には

冷静ではいられないほど

強く心を揺さぶられたのです

 

数ある花のなかから なぜなのでしょう

たちまち運命を信じきってしまいました

 

「どうして木蓮なの?」

「春がきたら一番に咲くから。」

 

ああ

わたしはこの人がとても好きです

 

随想 091105

この12時間で頭の中を駆け巡った

思いつきをメモしておこうと思います。

 

チョコレートジャムをホットミルクに入れると、

かなり美味しいホットチョコになりました。発見です。

 

自分は<そんなに>悪くないと思うなら

相手に弱さや落ち込んだ様子をあえて見せずに

にこにこ笑って、あっけらかんと胸を張っていたいです

 

どう思われる?ずうずうしい?迷惑かな?

人からの評価に悩むよりも先に伝えてみたら

気がかりも、ただの杞憂で終わってしまうようです。

 

朝型人間に改造してみようと4時半に起きたのに、

その後きっかり2時間、うとうと長い悪夢にうなされました。

<信頼を失う>という、非常にリアルでシビアな夢でした。

 

月が28日周期で満ち欠けすることは

人間の心身と、きっと深く繋がっているのでしょう。

文明の中で生きていたって、人はただの<生命体>です。

 

思い通りに行かない今日を何とかしたい!ともがくのは

長い人生を見据えたら滑稽なことかもしれません。

それでも、長いようで短い時間に心が急いてしまいます。

 

あなたに逢いたい。

その感情は単なる思慕だけではなく

私という小さな座標を

あなたを通じて確認したいからなのかもしれません。

 


WANTS

たとえば

プレゼントは何がいいかと聞かれても

ほしい「物」が思いつきません。

 

簡単に手に入るものは、自分で買えてしまいます。

それでも、あえて誰かにプレゼントしてもらうのならば

それは単なる「物」ではなくて

特別な意味を持った「宝物」になってしまうからです。

 

そう簡単に選ぶことなどできっこないです。

 

私には人に「これをください」とリクエストした記憶が

ほとんどありません。

数少ない具体的なリクエストはたしか・・・

 
11歳の誕生日の

「ローラースケート」と

17歳の誕生日の

「ミル付きコーヒーメーカー」だけです。

この年、母にもらったコーヒーメーカーは

なんと今でも現役です。

 

前に、「一番星 」という文章を書きました。

ここに登場する「わたし」は、私自身の本心に近いです。

(自分で書いたものなので当たり前かもしれませんが)

 

何も望みません。
あなたがそこにいてくれるなら。

 

やっぱりチョコが好き

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「本日限定」という言葉に惹かれて
チョコレートジャムを買いました。

クーベルチュールチョコレートと生クリームを煮詰めたジャム。

nutellaのチョコレートスプレッドのように使うのでしょうか。

でも、ファットスプレッド(マーガリン)の感じはありません。
 
昨夜のこと。

夜中に・・・どうしても誘惑に負けて
一匙すくってお味見してみました。

お気に入りの金色のスプーンは、遠慮がちな一口サイズ。
甘すぎず少しビター。かなり濃厚で、おいしいです。

温度があがると、とろとろになります。

そのままでも食べたい味でした。

 
一口では飽き足らず

朝はスコーンに塗って、いただきました。

 

その昔、高校生だった私は真剣に考えました。

「どうして私はこんなにチョコが好きなんだろう?」

くだらない疑問を真剣に考えた結論として

「それはたぶん、人生がビターだから。」と

大人ぶった発言をしたところ、友人に突かれました。

 

私はチョコレートに目がありません。

 

映画、「Meet Joe Black(ジョーブラックによろしく)」で

ハンサムな青年に憑依した死神に扮するブラッド・ピットが

大きなスプーンでピーナッツバターを舐めるシーン。

 

死神の入った青年の身体で

初めて味わったピーナッツバターに

「I thoroughly enjoyed this.」と、すっかり気に入って

映画の中に、ピーナッツバターが何度も登場します。

 

複線で、ヒロインとのベッドシーンのあとで

彼女が「まるで初めての男性とするみたいね」と言うのです。

死神として「初めて」というのがユーモラスなのですが

そこで、こんな会話が出てきます。

 

「Did you like making love to me?」
「I loved it.」

「More than you love peanut butter?」

「Yes!」
 

私も甘い甘い台詞で

「チョコレートより好き?」と聞かれてみたいものです。

 

Buon Compleanno!

恋愛小説家

 

移動中の車から、見上げた空

今宵は満月なのですね。

 

年齢の数字が増えるのを嫌がるかというと

私に限っては、そんなことはありません。

新しい1年にどんなことがあるのか

どんな人との出逢いが待っているのか楽しみです。

自分が幾つなのかさえ、

うっかり忘れて生きているだけだったりして??

 

ところが気付けばいつの間にやら

短期間のうちに、合法的に(違法ってことはないですが)

甘いものを大量摂取できる夢の週間に入っていました。

 

今年、私はたくさんの方から

誕生日を祝っていただいています。

「もしかして・・・すごい幸せ者じゃない?」

気のせいではなく、まったくもってその通りです。

 

誕生日の日付が変わって、メールを下さった方もいて。

ちょっと想像しますよね

そのタイミングぴったりにするために

何分か前にスタンバイしてくれていたのかなって。

私自身もそういうことを思いつく人間です。

そわそわ・ワクワクする気持ちを知っているから

余計に、ありがとうと思います。
 

暮れゆく空に浮かんだ満月を見ていたら

今年の夏から秋にかけて味わった

いくつかの完全な円を思い出しました。

よりによって満月だなんて。

やっぱり今年の誕生日は特別なのかもしれません。

 

ろうそくを吹き消すときは、心からの願い事をひとつだけ。

まぶたの裏に、あなたのことを想い出しました。



しろいうさぎとくろいうさぎ

母からの誕生日プレゼントは絵本でした。

 

 

「しろいうさぎとくろいうさぎ」

 

子どものころ、幼稚園の本棚にもありました。

今年、私が手にした本はなんと142刷ですって!

 

毛色の違う、2匹のちいさなうさぎが

森の中で一緒に遊んでいるのですが

くろいうさぎが、悲しくなってこぼします。

「いつも きみといっしょに いられますように」

そんな願い事が

心からのものと気づいた2匹は

「いつも いつも いつまでも」

一緒にいようと結婚するのです・・・

 

なるほど

原題は「THE RABBITS' WEDDING」。

 

幼児向けのひらがなも心に染み入ります。

私のために、あえてこの本を選んでくれた

母なりの愛情がじんわり伝わるからでしょうか?

 

親という字は

木の横に立ち、子どもを見つめているという意味。


いくつになっても、すみません。

ぎりぎり32歳の私が泣いております。

いつも本当にありがとう。