遠い青春
古着フリークよろしく・・・子花が織られた赤茶色のツイードスーツは、くるみボタンのジャケット&ロングスカート。分厚いタイツと編み上げブーツで、長い髪を真ん中分けのおさげに結わき、太い2本の尻尾を揺らして証書を受け取ったのです。
頭の中のイメージは、プリンスエドワード島。しかしながら、一生に一度の卒業式に「赤毛のアン」とは、今思えば確実に周囲から浮いていたはずです。
毎年春になると、袴を着て美しく門出の日を迎える若者の姿に「やっぱり着ておけば良かったかなぁ」と思ったりする、とてもあまのじゃくな大人になってしまいました。
「あのころは良かったね」と思うのは、いつだって後になってからです。ところが“あのころ”にいた当時の私は、たぶん、何物にも満たされていないと勘違いしていたのでしょう。
青春を謳歌する人々を遠い目で眺めては、いい世代だなと思いを馳せるけれど、忘れてはいけません。
人はみんな、平等に歳を重ねていくだけということを。
たとえば25歳当時の私が若者を羨んだところで、20歳だった私を見た誰かもまた、「ハタチの若さ」を羨んでいたのかもしれません。
ただそういう事なのです。気づきは後からやってくるから、若さゆえの滑稽さも憎めず、微笑ましいのです。
実家のCDラック
カセットがCDに変わった当時のラインナップから
「何でコレよ~?」という最近の流行音楽まで、
母のCDセレクションは、なかなか愉快です。
時代の移り変わりを感じる邦楽洋楽、
駅の広場で演奏していた人たちから買った民族音楽、
かわいい系のポップスから、X-JAPANまで(小泉さんか!?)
クラシック、宗教音楽、ヒーリング音楽、
ありとあらゆる混ざり具合です。
音楽のみならず、あらゆる分野への固定観念のなさは
昔から見習うべき点だと思っています。
以前、「耳を塞ぐ」 でも触れましたが
そういえばいつも、実家には音楽があったのです。
そこから、ときどき
気になるCDをピックアップして帰り
ダビングするのも楽しいです。
とりあえず今夜あたり
尾崎豊を借りて帰ってこようと思います。
自作ベストに入っていない曲が
発作的に聴きたくなったりするのです。
まだケースが薄っぺらだったころの年季の入ったCD。
活字と同じで、音楽にも記憶が伴っていると思います。
あの人が好きだった歌手だ
あの場所でかかっていた曲だ
あの時の流行曲だ、というように。
ちなみに尾崎豊で思い出すのは
ご近所に住んでいたギターを抱えたお兄さんと
(我が家で、「シェリー」を熱唱してくれた)
夜の校舎窓ガラス壊して回れそうな懐かしい友達です。
いえ、別に平凡な生徒でしたけれども・・・(笑)
I'll Be There
ラジオで流れていた The Jackson5 の「I'll Be There」。
あらためていい歌だなぁと思いつつ
雨空の下、走っていました。
「大切な人」へ、私の行動パターンは単純です。
おおまかに言うとその人のために
何かしてあげたいと思うこと
その人を笑顔にしたいこと
私も笑顔でいたいこと、でしょうか。
でも「何か」って、どんなことがあるのでしょう?
思いついたことを書き留めてみます。
ちょっと冒険な服を着たり
髪型を変えようと思ったり
記念日でもないのにお菓子を買ったり
明らかに自分好みじゃない物に手を伸ばしたり
きまぐれに料理したり
回り道を楽しんだり
嬉しいニュースをシェアしたり
きれいな景色を報告したり
得意ではないことに奔走したり
頼まれてもいないことに徹夜をしたり
かなり苦手な早起きをしたり
それから
素直に喜ぶこと感謝すること
貰うよりもあげること
自分がされたいことを人にすること
ときには黙って隣りに座っていること
嫌なことは嫌といえること
相手を尊敬すること
成長しようと努力すること
あとは
謝ることと寛容さ
誠実な言葉と信じる心
よく聴く耳とよく見る眼
抱きしめたり られたり
大切な人の力になれたらいいな
そうすることで私にも力が湧いてくる気がして。
I'll be there
I'll be there
Whenever you need me, I'll be there
そう、いつだって私はそこにいるよ。
王子さまとキツネ
「星の王子さま」が好きです。
今一度手にとり、読み返してみます。
最初はチンプンカンプンかもしれないこの本は
回を重ねるごとに味わいが深まる一冊です。
「かつて子どもだった大人のため」の本だと思います。
推理小説を一気に読んで、2回目に複線探しに興じたり
それはそれで楽しいのですが
同じ本を何度も読み返すことは、実はあまりなく
そんな中で、一番読んでいるかもしれない
「星の王子さま」。
王子さまとキツネが親しくなるくだりが好きです。
パンを食べないキツネにとって、
それまで麦畑はただの気にも留めない風景で
何も感じることはないどころか、面白くもなんともない。
それでも、なかよしになった王子さまが
美しい金色の髪をしていたことで
つまらない麦畑の金色を見るだけで好きな人を思い出し
麦の穂がさやさや鳴る音も嬉しいものになる・・・
別れを前に「泣いちゃうよ」というキツネに、王子さまは
「(泣くなら)いいことなんてなかったじゃないか」といいますが
キツネは「あるよ、麦畑の色があるからね」と答えます。
そして別れ際のおみやげに、
秘密をひとつ教えてくれます。
- L'essentiel est invisible pour les yeux,
répéta le petit prince, afin de se souvenir.
「たいせつなものは、目には見えないのさ」
原書のフランス語を解せたら、
きっともっと深く感じ入ることができるのでしょう。
上を向いて歩こう
どうにもこうにも
胸がいっぱいになって
説明できない感情が涙になって
うわぁっとあふれ出した
幸せな気持ちも
悲しい気持ちも
嬉しい気持ちも
切ない気持ちも
純粋で無垢な愛情も
ぜんぶあなたのことだった
思い知ってしまった
手放すことが怖かった
それでも私はどこか清々として
もう、うつむかないように
気をつけようと思いました
大切なことをまた一つ
教えてもらったね
上を向いていれば
私は陽を浴びるひまわりのように
あなたの顔がよく見えるもの
ラッシュ
学区がやたら広かったため
一駅分だけ電車通学していました。
大きなスポーツバッグ
つぶした鞄
紺色のブレザー
眼鏡の日焼けあと
ポニーテール
三つ折りソックス
混み合う車内で流されると
降りられないままひとつ先の駅まで
遅刻です
大人になりかけの身体を
潰されそうになりながら
なんだか毎日
戦っていた気がします



