テーブルマークこども大会は全国11の地区で開催され、将棋が指せる小学生以下(未就学児を含む)ならだれでも無料で参加できる大会です。大会なので、地区ごとの優勝を争う形ではありますが、事実上の予選であるブロック対局は勝っても勝てなくても3対局でき、また自由対局では対局数におうじて駒形の消しゴムを集めることができるし、くじ運が良ければ指導対局も受けられる、運営がよく工夫された大会です。必ずしも競技志向でない一般の将棋が好きな子に自信をもって参加をお勧めできる、貴重なイベントだと思います。
参加無料で棋力に関係なくだれでも楽しめるなど、参加にあたってのハードルが低く、全国的規模でおこなわれるこのイベントの参加者数は、子どもへの将棋普及がうまくいっているかどうかのバロメータになると私は思っています。そのような理由もあって、じぶんの子が初めて参加した2015年以降、この子ども大会の参加者数の推移を見守っています。ところが2020年以降の3年間、この参加者数はそれ以前にくらべ激減しており、変調をきたしています。先日の記事『野球人口低迷の話をきっかけに、将棋の楽しさについて考えてみたこと』で引用したグラフを再掲します。
この変調はもちろん、2020年以降、コロナ対策が3年間も継続された影響が原因です。2020年の参加者数ゼロは、コロナ対策により大会自体が中止になったためです。もちろん将棋以外のあらゆる小中高学生の大会・イベントが影響を受けました。(こどもや若者のコロナ感染による身体的・医学的な影響じたいは軽微であり、イベント中止などの原因はコロナ感染の影響ではなく、人為による *コロナ対策* の影響とあえて主張します。)
翌2021年には保護者の付き添い人数を制限・対局毎の棋具の消毒・座席間隔拡大・対面パーティションの設置など、さまざまな「感染対策」の徹底のもと開催されましたが、引き換えとして参加者数は以前の1/3~1/4くらいまで減ってしまいました。
ワクチン接種などが行き渡り、またオミクロン株への変異により相当に弱毒化したことを受け諸外国では2022年以降、感染対策の緩和が進みましたが、なぜか日本においては「感染対策」が3年目も継続され、プロ棋戦においてはそれまで明文化されてなかった対局中のマスク着用が義務化されるなど、緩和どころかルール強化すらされる有様でした。
そして2023年5月以降、国はようやく指定感染症の扱いを従来の季節性インフルエンザ並みの5類に位置づけが変更され、ようやく脱・感染対策の風潮が広がりつつあり、テーブルマークこども大会参加者数もV字回復を期待したいところですが、どうなるでしょうか。
私には、いろいろと気になる点があります。
1. とくに2020年・2021年は活動休止となる支部・将棋教室が多く見受けられた。普及活動の低迷により、この期間に本来なら将棋人口に参入していた層を相当程度、失った可能性がある。
2. 今後はマスク着用を他者に求めない方針を呼びかける中、プロ棋戦においては依然、感想戦などでのマスク着用ルールが維持されている。科学的根拠の無いルールで息苦しいムードが継続し、将棋ファンでない一般人の将棋対局に対するイメージが悪化している可能性がある。
3. 以前は低学年・高学年別に参加者数が開示されていたが、2022年は合計数のみの開示となり、低学年からの参加者数が把握できず普及の実態が見えにくくなった。おおぶ将棋クラブではこの3年間、1~3年生の新規入会が他の学年よりも少なくなっており、回復の兆しがみえない、
などです。今後の参加者数の推移と、ことし2・3・4年生の新入会員数の動向が気になっています。