前回の記事で、おおぶ将棋クラブのゆうちょ銀行の口座開設ができなかったことを書きました。

 

趣味の地域クラブ代表の私としては、口座開設に向けてできるだけの準備をして臨んだにもかかわらずうまくいかなかったわけですが、そうなると他の世間一般の任意団体の口座開設で困っている人は多くいるのではないか? と気になりました。そこでWebで似たような事例があるのではないかと思い検索してみました。やはり皆さん、苦労されているようです。いくつか紹介します。

 

2021.01.04
グループ銀行口座開設しました
こちらの方は事前調査により、ゆうちょ銀行の口座開設が難しくなっていることを察知し、JAバンクでの口座開設を選択されています。ゆうちょ銀行の口座開設がどのように難しくなっているのか指摘されています。

ところが、実際に取り掛かってみると、ゆうちょ銀行口座は2020年8月から、審査が厳しくなっていました・・・すこし遅かった・・・
具体的には、必要な書類が増え、通帳の作成業務が各地の貯金事務センターの扱いとなったため、各地区の郵便局では通帳の即時発行が出来なくなりました。
実際に活動している団体なのかどうかの審査がより強化されたようですね。
〇追記(3/1)当時、別団体で開設し利用していたゆうちょ団体口座に対して、再申請のお知らせが届きました。開設済みの口座に対しても、現在運営・監査が正しく行われている団体なのか改めて審査が入ると思われます。

 

2023/01/27
山の会オフトレイル 任意団体のゆうちょ銀行口座開設
こちらの事例では、ゆうちょ銀行の口座開設に成功されています。が、ここでも審査の過剰さにふれられています。

何度も窓口の担当者にも確認してもらったので、これで問題無いだろうと思ったのですが、1週間ほど経って、大阪貯金事務センターから、追加書類の提出を求められました。
その書類というのは、以下のようなものです。
・事業計画、予算計画(新規設立団体の場合)
・事業計画、予算計画を承認した総会議事録
実体の無い団体でないことを確認するためだと思いますが、既に提出した解散総会議事録・設立総会議事録から彷徨倶楽部の事業を継承しているのは明らかなのだから、どう見ても過剰防衛です。しかし提出しないことには話が進まないので、取り揃えて貯金事務センターに送付し、それから1週間程度で無事通帳が届きました。

年間10万円も取引があるか無いかという程度の口座開設に、随分と大袈裟な手続きが必要な時代になったものです

 

2024-03-23 17:03:35
~任意団体の口座の作りかた~ 改新みらいの口座を開設しました!
こちらは地域政党を立ち上げ口座開設にトライし、ゆうちょ銀行で失敗、JAバンクで作成できた人の記事です。ゆうちょ銀行で任意団体の口座開設は事実上ムリではないかと指摘されています。

正直なところ、サークルとか同好会とかで、ゆうちょ銀行の任意団体の口座を作るのは非常に難しいと思います。
上に示した事項を全て漏らすことなく満たすことは、あまりにもハードルが高いです。
マネーロンダリングや口座の悪用を防止するために、非常に審査が厳しくなっているのは頷けますが、ここまで厳しいとは思いませんでした。

結果、JAでの口座開設に方針転換され、こちらはうまくいったようですが、JAでも

JAバンクにおける任意団体の口座開設時の必要書類(5点)

(中略)

③任意団体の口座の開設目的を証明する書類
→伊奈町から発行された政務活動費交付決定通知書

「開設目的を証明する書類」は、特に補助金などの交付のない任意団体ではネックになる気がします。JAだと地域によっても審査ポリシーが違うかもしれないので、個別に相談・交渉していく必要があるのでしょう。

 

気安い趣味の団体であっても、それなりの人数が集まってお金を管理するとなると口座開設は避けられないものと思います。みなさん、口座開設には苦労されているのだなぁと実感しました。

 

金融機関の口座開設を視野にこれまでクラブの会則(規約)をつくってきたのですが、2024年の4月にゆうちょ銀行の口座開設をトライしたところ不備を指摘されたことについて以下の記事を書きました。

前回の記事で、ゆうちょ銀行から指摘された不備な点

1. 会員全員の参加による「総会」の規定がない。

2. 総会に替わるものとして「役員会」があるが、会員の総意を役員が代表する根拠が定められていない。(多数決や過半数の同意などの委任プロセスが不明確)

3. 役員会の成立要件が記載されていない。(例: 役員の3分の2の出席をもって成立する、など)

について、対策として以下の条項の改定を5月の役員会で議決しました。

 

1. 「会員は本会の目的および役員会の決定事項に賛同する」ことを明記し、クラブの方針は総会でなく役員会にて決定すれば足りることとした(第5条)

2.  議案の決議は出席役員の多数決で決することを明記した(第12条5項)

3.  役員会は代表または副代表を含む3名以上の出席により成立することを明記した(第12条2項)

 

これで ゆうちょ銀行の口座開設の審査は合格となるだろうと、6月に改めて口座開設の申請をしました。地元のゆうちょ支店の窓口の職員さんは「ほぼ大丈夫と思います」と受けあってくれたのですが・・・

 

1ヶ月ほどあと我が家に届いた書類は、無情にも「当行の総合的な判断により、口座開設をお受けいたしかねます」との結果となってしまいました。

 

一般に、おおぶ将棋クラブのような地域の趣味のクラブは「任意団体」と呼ばれます。昭和〜平成の時代にかけては、郵便局は地域密着で任意団体の口座を作りやすかったようですが、いつしかゆうちょ銀行では任意団体の口座は開設できなくなり、「人格なき社団」名義でしか口座が開設できなくなっているようでした。この「人格なき社団」、マネーロンダリングの起こり得ない団体であることが厳格に審査されているようで、役員の選任や会員全員の総意がきちんと反映される体制となっているか? 会員が入れ替わっても組織として存続できる体制が整っているか? が厳しくチェックされているようです。提出したチェックシートにはこんな記載がありました。

・多数決の原則が行われていますか。-会長・理事長等の選任、予算・決算の承認等 総会の決議が多数決による旨が、定められていますか。また、実際に行われていますか。

・構成員の変更にかかわらず、団体は存続しますか。-団体の活動が継続している間に、構成員の加入・脱退が行われることが予定されていますか。(会員の資格・除名の定めがありますか)

・代表の選任方法等は、定められていますか。-会長・理事長等が団体の代表者であること、代表の選任方法、権限、職務等が規約で定められていますか。

・総会の運営方法は、定められていますか。-総会の開催、時期、決議事項等について規定はありますか。実際に総会は開催されていますか。

将棋クラブでは会員の多数が小さい子どもさんであることもあり、会員全員の参加する「総会」を厳密に運営することはムリだよなぁ…と感じています。なので当クラブでは役員会で意思決定する仕組みにしたのですが…厳しくチェックすると、多くの趣味のサークルはこの要件を満たすことが難しいのではないかという気がします。

日本将棋連盟関係の送金はゆうちょ銀行の振替になることが多いので、口座を作るならゆうちょ銀行が第一候補だったのですが、残念な結果となってしまいました。過去の収支報告書一式・規約や活動実態を説明するWebページのプリントアウトも用意して万全のつもりでしたが、ゆうちょ銀行での口座開設はとてもハードルが高いのだと実感しました。

 

ゆうちょ銀行ではムリなことがはっきりしてしまいましたが、クラブの運営を安定的なものにするため、金融機関の口座開設はあきらめずにトライしようと思っています。

 

 

 

毎年、全国11の地域で開催される大規模なこども将棋大会として「テーブルマークこども大会」があります。私は将棋普及指導員であることもあり、毎年8月下旬ごろに参加を促すポスター・チラシが送られてきます。私の地元である愛知県大府市の近隣での開催としては東海大会があり、例年は名古屋のポートメッセ名古屋という展示会場で10月~11月上旬ごろ開催なので、大会の参加申し込みのタイミングとしてちょうどよい時期に広報活動ができるようにとの意図だったと思います。

 

ところが今年2024年については、はいつもよりかなり早く、参加を促すポスターとチラシ50枚が自宅に届きました。

 

 

みると『「テーブルマークこども大会」動員強化活動へのご協力のお願い』と題する文書が同封されています。なぜ*動員強化*が必要なのかの説明は書かれておらず、小学生以下の子供たちとその保護者への配布協力のお願いという内容になっています。

 

これは私の憶測ですが、やはり将棋日本シリーズ総合事務局は、コロナ対策禍を境にこども大会の参加者数が激減してしまったことを把握しており、危機感を感じているのでしょう。コロナ対策禍前の大会参加者数データが大会Webページからは閲覧できなくなったために、その不都合な事実は見えにくくなっており、今回のお願い文書でもその点には触れられていない点は、以前から主催者発表の参加者数の推移を見てきた私からすると、なんとももどかしく感じられます。これではチラシ配布をお願いされた他の指導員さんにも危機感が伝わりにくいのではないでしょうか。

 

いちど大会に参加した小学生には翌年も案内連絡がいくので、おおぶ将棋クラブの小学生にはほぼ周知されており、これらのチラシは将棋クラブに在籍していない子どもとその保護者に届けられないと「動員強化」にはならず、なかなかの難題です。チラシを受け取ったものの、誰にどうやって配ったらよいか困っている方も多いのではないかと思います。

 

せっかく届いた広報チラシなので、市内の子どもたちにどうやって届けるか考えてみることにします。

小学生の全国大会の是非について柔道での全国大会廃止に端を発し、将棋と柔道との対比に関するtopstoneさんの見解に感じた違和感について書いたところ、重ねてご見解をいただくことができました。記事を読んでいただいたこと、ありがとうございます。

さきの記事でも指摘したように、為末大さんが柔道の全国大会廃止に賛成とする理由の骨子は、 

「日本では、勝ってスポーツが大好きになった人以外は、大嫌いになる傾向があります。若年層からの全国大会の勝ち抜きシステムが、勝てない子にとって楽しくない仕組みだからです。子どものときに、勝ち負けではないスポーツのおもしろさを感じていることが大事だと思うのです」

という部分にあると思います。私も篠原信さんもこの点では一致していると思ってますし、topstoneさんも『問題は全国大会の有無ではなくて、将棋大会で負けすぎて将棋が嫌になる子をいかに出さないか、だと思います』とあるので、同じ見解なのだと受け止めています。しかしtopstoneさんは全国大会には『ほぼ利点しかない』と肯定的ですが、私は全国大会の実施は将棋の普及にほとんど影響ない、と懐疑的です。topstoneさんの記事を読み進めることで、その違いが身近の環境で将棋大会に参加する層や、母体となる小学生数が6倍あまり違うこと(県単位)にあるのではないかと思い至りました。

 

私の住んでいる愛知県内には至近の名古屋市で東海研修会が運営されており、5〜60名が在籍しています。大会の上位に勝ち進む子はほとんどそういったいわゆるガチ勢で、棋力が低めの子は大会に興味を持ったとしても2, 3回出ればほとんど勝てないと知って足が遠のき、大会に参加するメンバーは固定化しているように見えます。私からすると大会とはすでに将棋が好きになったガチ系の子が参加するものであり、これから将棋をはじめて間もない初級レベルの子に参加を勧められる大会は見た目ほど多くはありません。

 

それだけ強い子が多いなら、さぞ将棋の普及が進んでいるのだろうと思われるかもしれませんが、テーブルマークこども大会の参加者数は低迷傾向にあり、うまくいっているとも思えません。そのため、従前の「将棋教室 + 大会」という将棋普及の伝統的なアプローチとは違う取り組みが必要と私は考えています。

 

小学生の運動機会を増やし、地域の集まりや子ども会で普段から楽しんでもらうことを目指して開発されたスポーツ鬼ごっこという競技があります。じつはこの鬼ごっこも、柔道と同様に全国大会を廃止したことが報じられています。全国大会を4, 5回つづけた段階で、少しずつ「勝利至上主義」の兆候が芽生え、競技本来の楽しさが失われるとの問題意識から全国大会を廃止するいっぽう、楽しむことを主眼にした「鬼ごっこリーグ」が創設されています。似たようなアプローチ例は先に紹介した高校野球のリーグ戦やラグビーの事例もあって、成績上位者を選抜する方式ではどうしても「勝てない子にとって楽しくない仕組み」から脱却することはできないとの諦観が私にはあります。これは将棋にかぎらず、日本のスポーツ界に共通の課題です。それでも先進的な取り組みを進めている一部のスポーツ種目で改善の兆しが見えるので、将棋界における大会もその流れに倣っていくのがうまいやり方なんじゃないかと思っています。

 

将棋の楽しさというものは強い人だけのものではなく、そう強くなくても楽しめる共通の要素があるし、勝敗以外のそうした要素をどうしたら棋力に関係なく経験できる場がつくれるか?という視点で、従来方式の大会に依存しないスポーツマンシップを尊重する将棋普及の地域での場づくりに私は取り組んでいます。大会運営の省力化や大会のあり方については別に書いてみようと思います。

 

 

先日、将棋ウォーズの棋神解析券にギフト機能が追加できるようにしてほしい、と将棋ウォーズ運営事務局に要望した券について書きました。

 

リアル将棋大会でのちょっとした景品や日本将棋連盟の支部会員特典のひとつとして、また将棋好きの子に対するちょっとしたご褒美として気の利いた活用ができるのではないかと期待してのことです。幸いなことに、想定より早くHEROZ株式会社・将棋ウォーズ運営事務局よりお返事をいただくことができました。こういう応答がはやくいただけることは、企業イメージとして好感がもてます。内容は以下です。

ご利用いただき誠にありがとうございます。
将棋ウォーズ運営事務局です。

この度は貴重なご意見誠にありがとうございます。
ご要望に必ず添えられるというお約束は出来かねるものになってしまうのですが、
お客様同士でギフト券をプレゼントできるといった頂いた内容は、今後のご検討させていただきます。

いつもご利用いただきありがとうございます。
これからも将棋ウォーズご愛顧いただければ幸いです。

もちろん、実現にはアプリの改変が必要でしょうから、すぐの実現は難しいと思いますが、ゲームの世界でちょっとしたアイテムを他のプレーヤにプレゼントするようなことは普通に行われているこであるし、実現の可能性は高いのではないか、と勝手に期待しています。楽しみです。