【夕顔413-2】「ぬ」「に」の識別問題
アイスショー「氷艶2019―月光かりの如く」では、
高橋大輔さんが、「源氏物語」の光源氏を
幻想的に演じていますね♪
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を賜り、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は物の怪に襲われ急死してしまいます。失意の中、喪も明け、光源氏はかつて関係のあった人妻の空蝉へ、そして一夜の逢瀬であった軒端荻へと、想いを馳せつつも、夕顔の四十九日を終えました。一方、伊予介と空蝉が地方へ下ることとなり、光源氏は一夜の関係を結んだ人妻の空蝉と和歌を交わします。
【今回の源氏物語】
なほ、かく人知れぬことは苦しかりけりと、思し知りぬらむかし。かやうのくだくだしきことは、あながちに隠ろへ忍びたまひしもいとほしくて、みな漏らしとどめたるを、
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☆ 古文オリジナル問題~助動詞識別~☆
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なほ、かく人知れAぬことは苦しかりけりと、思し知りBぬらむかし。かやうのくだくだしきことは、あながちCに隠ろへ忍びたまひしもいとほしくて、みな漏らしとどめたるを、
問)傍線部ABCの文法説明の組み合わせとして最も適当なものを1つ選べ。
1.A 完了の助動詞 B 打消の助動詞 C 形容動詞の語尾
2.A 打消の助動詞 B 強意の助動詞 C 形容動詞の語尾
3.A 強意の助動詞 B 打消の助動詞 C 完了の助動詞
4.A 動詞の語尾 B 完了の助動詞 C 断定の助動詞
5.A 完了の助動詞 B 強意の助動詞 C 断定の助動詞
古文読解のヒケツは、次の3つのポイントです。
⑴ 古文単語を覚える
⑵ 古典文法(助動詞・敬語)をマスターする
⑶ 古文常識を理解する
特に重要となってくるのが、
文法事項の識別です。
今回のような問題は
センター試験でもよく出てきますが
大学入試共通テストになっても
基本的な識別問題として
重要視されてくると思われます。
今回のオリジナル問題のレベルは
しっかり確認できましたか?
まず、大きな識別ポイントは
助動詞「ず」と「ぬ」の識別です。
打消(~ない)と完了(~てしまった)は
意味が真逆ですよね~;;
なのに、今回のAのように
直前の活用形(接続)で判別できない場合は
直後のつながりを見て
傍線部自体の活用形を考えて識別します。
Bのように、
直前が「知り」という連用形に接続している場合は
識別しやすいですよね♪
ちなみに、Bの「ぬ」は
直後に、現在推量の「らむ」があります。
完了の「ぬ」が未来を表す助動詞等と共に用いられる時は
時制の関係で、強意の意味となります。
また…
【知る(しる)】
【他動詞:ラ行四段活用】
①理解する。知る。わきまえる
②関係を持つ。つきあう。特に男女交際をする
【自動詞:ラ行下二段活用】
…(多く「人に知る」「人知れず」の形で)人に知られる
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
このように、
「知る」には四段と下二段の活用があることも
この機会に覚えておきましょう!
なお、
Cの「に」の識別はできましたかな?
【あながちなり(強ちなり)】
【形容動詞:ナリ活用】
①無理矢理である。強引である
②ひたむきな様子。一途である
③あまりにはなはだしい
④(下に打消)そうむやみには。必ずしも
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
重要古語の形容動詞は
識別問題でも必須なので
しっかりと覚えていきましょうね!
【答え】…2