【夕顔280-2】敬語の文法識別☆偏差値58☆
あなたは、「現状」⇒「プロセス」⇒「目標」の順に考えていませんか?
『東大読書』によると、まずは「目標」設定をしてから、
「プロセス」と「現状」を見ていくそうです。
その方が、遠くへ行けるから☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は急死してしまいます。部下の惟光(これみつ)に後始末をさせ、光源氏は茫然自失のまま二条院へ戻ります。宮中からの使者などが見舞いにやって来るなか、惟光が日暮れて戻ってきました。
【今回の源氏物語】
「何か、さらに思ほしものせさせたまふ。さるべきにこそ、よろづのことはべらめ。人にも漏らさじと思うたまふれば、惟光おり立ちて、よろづはものしはべる」など申す。
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☆ 古文オリジナル問題~偏差値レベル58 ☆
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「何か、さらにA思ほしものせさせたまふ。さるべきにこそ、よろづのことBはべらめ。人にも漏らさじとC思うたまふれば、惟光おり立ちて、よろづはDものしはべる」などE申す。
問)傍線部A~Eの説明として間違っているものを、次の中から1つ選べ。
A.尊敬の動詞・助動詞・補助動詞が入った、最高敬語である。
B.「はべら」は丁寧語で、惟光から光源氏への敬意を表す。
C.「たまふれ」は下二段活用なので、謙譲の補助動詞である。
D.丁寧の補助動詞「はべる」は、連体形止めとなっている。
E.地の文にある「申す」は、作者から惟光への敬意表現である。
センター試験、そして再来年から実施される大学入試共通テストでは、
知識というよりも、思考力・判断力が重視されます。
ヽ(*'0'*)ツ
特に、敬語は、
ただ覚えるだけでは、正答が導き出せない場合が多いので、
今後も出題される傾向にあると思います☆
(;・`ω・´)
「何か、さらにA思ほしものせさせたまふ。…」
思ほし/ものせ/させ/たまふ。
【思ほす(おもほす・おぼほす)】
【他動詞:サ行四段活用】
…お思いになる(「思ふ」の尊敬)
【物す(ものす)】
【補助動詞:サ行変格活用】
…〔尊敬の補助動詞を伴って〕(~で)おありになる。(~て)いらっしゃる
【させ給ふ(させたまふ)】
【連語:助動詞+補助動詞】
①〔「さす」が尊敬の場合〕お~になられる。お~なさる。お~あそばす(非常に高い尊敬の意を表す)
②〔「さす」が使役の場合〕~をおさせになる。~させなさる(身分の高い人がだれかに行わせる意。使役する人に対しては下の「たまふ」が尊敬の意を表す)
※Weblio古語辞典より
「させ」が使役か尊敬かがポイントですね
この場合の「ものせ(ものす)」は、
「思ほす」という本動詞に続く補助動詞です。
思ほし/ものせ/させ/たまふ。
お思いになっ/てい/―/―
なので、文脈上、使役の対象は存在せず、
「させ」が使役になるはずがありません。
「何か、さらにA思ほしものせさせたまふ。…」
A.尊敬の動詞・助動詞・補助動詞が入った、最高敬語である。(○)
会話文のため、惟光が光源氏に何重にも尊敬語を用いているのです。
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「…さるべきにこそ、よろづのことBはべらめ。…」
【はべり(侍り)】
【自動詞:ラ行変格活用】
①おそばにいる。ひかえている。お仕えする(「あり」「居(を)り」の謙譲)
②あります。ございます。おります(「あり」「居(を)り」の丁寧)
【補助動詞:ラ行変格活用】
①〔動詞の連用形に付いて〕~ます。~(て)おります(丁寧)
②〔形容詞・形容動詞・助動詞の連用形に付いて〕~(で)ございます。~(で)あります(補助動詞「あり」の丁寧)
※Weblio古語辞典より
「よろづのこと―はべら/め」
この語順で捉えたら、
「すべての事(が)―あります/でしょう」となり、
「はべり」は本動詞となります。
けれど、あたしは、今朝のイラスト訳で、
さるべきにこそ、よろづのことはべらめ。
訳)万事、そうなる運命だったのでございましょう。
「~にこそ―はべら/め」というつながり、
すなわち、「に」を断定の助動詞と捉え、
「はべり」をそれに連なる補助動詞として訳しました。
…どっちが正しいかは、置いといて…
「はべり」が丁寧語であることは、確かですよね!
(σ・∀・)σ
会話文での丁寧語は、
話し手から聞き手への敬意を表します。
したがって…
「…さるべきにこそ、よろづのことBはべらめ。…」
B.「はべら」は丁寧語で、惟光から光源氏への敬意を表す。(○)
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「人にも漏らさじとC思うたまふれば、…」
「たまふれ」という活用の形を見ただけで、
「あっ 下二段活用! 謙譲語ね!!」
と見抜いてしかるべき☆
「人にも漏らさじとC思うたまふれば、…」
C.「たまふれ」は下二段活用なので、謙譲の補助動詞である。(○)
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「…惟光おり立ちて、よろづはDものしはべる。」
この「はべる」は、動詞「ものし(ものす)」に続いているので、
明らかに補助動詞ですよねっ!
(灬ºωº灬)
「はべり」はラ行変格活用動詞なので、
「はべる」という活用の形は、連体形になります。
では、なぜ文末なのに連体形で終わっているのでしょうか?
(ㆁωㆁ*)
直前部分を見ても、係り結びを形成する係助詞は出てきていません。
したがって、係り結びの法則ではありませんね;;
…こんなふうに、
係り結びでないのに連体形で終わり、
文全体に余韻を残す技法を、連体形止めと言います。
詩歌などでよく使われる、体言止めと同じような用法ですね。
(●‘∀‘●)ノ"
古文では、今回のように、会話文でもよく出てきます。
「…惟光おり立ちて、よろづはDものしはべる。」
D.丁寧の補助動詞「はべる」は、連体形止めとなっている。(○)
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「…」などE申す。
会話文直後の「申す」は、「言ふ」の謙譲語です。
謙譲語しか用いられていないので、
主語は、光源氏ではありませんね。
地の文なので、
作者から「申す」という動作の受け手への敬意を表しています。
したがって…
「…」などE申す。
E.地の文にある「申す」は、作者から惟光へ(×)の敬意表現である。
誰に言ったか、
つまり、「申す」の受け手である光源氏に対する敬意なのです。
【正解】…E