【夕顔279-2】基本の心情問題☆偏差値58☆ | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【夕顔279-2】基本の心情問題☆偏差値58☆

古文の読解練習は、毎日古文に触れることで、

古文目線をつけていくことが最も重要です。

毎日古文が読めないあなたは、源氏物語イラスト訳で☆

源氏物語イラスト解釈ラブラブ

 

【これまでのあらすじ】

天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。

ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は急死してしまいます。部下の惟光(これみつ)に後始末をさせ、光源氏は茫然自失のまま二条院へ戻ります。宮中からの使者などが見舞いにやって来るなか、惟光が日暮れて戻ってきました。

 

【今回の源氏物語】

いといみじと思して、

「我も、いと心地悩ましく、いかなるべきにかとなむおぼゆる」とのたまふ。

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 ☆ 古文オリジナル問題~偏差値レベル58 ☆

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「添ひたりつる女はいかに」とのたまへば、「それなむ、また、え生くまじくはべるめる。我も後れじと惑ひはべりて、今朝は谷に落ち入りぬとなむ見たまへつる。『かの故里人に告げやらむ』と申せど、『しばし、思ひしづめよ、と。ことのさま思ひめぐらして』となむ、こしらへおきはべりつる」と、語りきこゆるままに、いといみじと思して、「我も、いと心地悩ましく、いかなるべきにかとなむおぼゆる」とのたまふ。

 

問)傍線部の心情説明として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。

 

1.惟光は、夕顔の侍従である右近の今にも死にそうな様子を光源氏に伝えながら、どうしようもなく悲しい気持ちが抑えられずにいる。

 

2.惟光に優しく宥められながらも、右近は、主人である夕顔の死がとても受け入れられず、ひどく心を乱して嘆き悲しんでいる。

 

3.夕顔の侍従である右近は、惟光が近くにいてくれるため、心穏やかでいられるものの、夕顔の死をまったく受け入れられずにいる。

 

4.光源氏は、右近の尋常ならぬ嘆きを聞くや否や、今まで信じられずにいた夕顔の死が真実味を帯びてしまい、心痛めている。

 

5.夕顔の死に心を痛めていた光源氏は、侍従であった右近の今にも死にそうな様子を聞くにつれ、悲しみがいっそうひどくなっている。

 

びっくり  チュー  キョロキョロ

 

現代文の小説と同じく、

古文、特に王朝文学では、心情問題もよく出題されます。

 

 

心情問題の解き方は、古文目線を身につけていればカンタン☆

 

解釈問題の場合と同様、

一語一語品詞分解し、

前後の文脈を確認しながら

選択肢と照らし合わせる。

 

これだけです!!

(σ・∀・)σ

 

 

心情解釈の場合は、前後の文脈の中でも、

特に状況に着目しましょう!

(。´・∀・)ノ゙

 

 

 

 

ではやってみますね!

     下矢印

いと/いみじ/と/思し/て

 

【いと】=たいそう

【いみじ】=はなはだしい。ひどい

【と】=引用の格助詞

【思し】=「思す」(「思ふ」の尊敬)の連用形

【て】=単純接続の接続助詞

 

 

この中で、特に注意すべきは、

「いみじ」  と  「思(おぼ)す」です。

キョロキョロ

 

【いみじ】

【形容詞:シク活用】

①はなはだしい。並々でない

②よい。すばらしい

③ひどい。恐ろしい

 ※Weblio古語辞典より

   矢印

「いみじ」は、英語でいう「very much」の意味で、

文脈により、プラスにもマイナスにも使われます。

 

 

なので、直前の状況をしっかりつかんで、

文脈判断すべきですね!

   下矢印

「添ひたりつる女はいかに」とのたまへば、「それなむ、また、え生くまじくはべるめる。我も後れじと惑ひはべりて、今朝は谷に落ち入りぬとなむ見たまへつる。『かの故里人に告げやらむ』と申せど、『しばし、思ひしづめよ、と。ことのさま思ひめぐらして』となむ、こしらへおきはべりつる」と、語りきこゆるままに、いといみじと思して、「我も、いと心地悩ましく、いかなるべきにかとなむおぼゆる」とのたまふ。

 

光源氏が「添ひたりつる女はいかに」とおっしゃると、

 

惟光は、「それなむ、また、え生くまじくはべるめる」と、

係り結びの法則を用いて、まず強調的に主張します。

 

そして、今朝は自殺しようとしていたこと、

 

また、

 

五条の家の者に夕顔の死を知らせたいと言うのを

自分がなだめて止めている、という現状を、

 

これまた係り結びの法則を用いて強調的に主張しています。

 

 

「語り聞こゆる」の「聞こゆ」は、

謙譲の補助動詞ですので、

ここまでの話し手は惟光です。

 

 

それを「聞こゆるままに(申し上げるにつれて)」

   下矢印

いと/いみじ/と/思し/て

 

につながっていくんです。

キョロキョロ

 

 

ここまで見ると、

傍線部の主語は、惟光とも捉えられそうですが…

 

ここで、2つめのポイント

「思す」に着目☆

 

 

【おぼす(思す)】

【他動詞:サ行四段活用】

…お思いになる(「思ふ」の尊敬語)

 ※Weblio古語辞典より

   矢印

源氏物語では、光源氏には敬語を用いますが、

従者の惟光や、女房の右近には敬語を用いません。

 

これ、古文常識

 

 

したがって、

 

傍線部の主語は、光源氏とわかります。

 

1.惟光は(×主語ズレ)、夕顔の侍従である右近の今にも死にそうな様子を光源氏に伝えながら、どうしようもなく悲しい気持ちが抑えられずにいる。

 

2.惟光に優しく宥められながらも、右近は(×主語ズレ)、主人である夕顔の死がとても受け入れられず、ひどく心を乱して嘆き悲しんでいる。

 

3.夕顔の侍従である右近は(×主語ズレ)、惟光が近くにいてくれるため、心穏やかでいられるものの、夕顔の死をまったく受け入れられずにいる。

 

4.光源氏は(○)右近の尋常ならぬ嘆きを聞くや否や、今まで信じられずにいた夕顔の死(△本文にナシ)が真実味を帯びてしまい、心痛めて(△「いみじ」ズレ)いる。

 

5.夕顔の死に心を痛めていた光源氏は(○)侍従であった右近の今にも死にそうな様子を聞くにつれ、悲しみがいっそうひどくなっている。

 

 

 

 

 

 

【正解】…

 

 

 

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