毎夜繰り返される電脳書簡


夜毎綴られる恋だの愛だの


都度熱を増すコトバの麻薬


望んでいたはずだったのに




目を閉じ見ぬふりをしてた


でも…気付いてしまった…


目を開けて見ぬふりを止め


耐えきれなくなったから…




「どうしたの?」


ドウモシナイヨ


「何かあった?」


ナニモナイケド


「何でも良いから何か言って」


私ニハ家庭モ仕事モアルノ


「僕の事がイヤになったの?」


ドウシテ私ヲ困ラセルノ?


「誰か好きな人が出来たの?」


押シツケナイデ気持チ全部


「僕は大丈夫、我慢出来るよ」


我慢ナンテ出来ナイクセニ




言葉を遣り取りすればするほど


心が擦り減っていくようで


諸々全部否定をすればするほど


快楽苦痛へと変化をする



若さという狂気を孕んだ君は


想いを力いっぱいぶつけ続ける


老いを意識してしまった私は


重りを射込まれる苦痛に耐える



若さが凶器である事を知らぬ君は


心の奥に脳の内に次々と傷をつけ


老いに逃げ込もうとす愚かな私は


耐えきれずにドクドクと血を流す




立ち上がれなくなるほど見えぬ血を流し


ベットの上で泣いている事に気がついた


「この線路の向こうには君の家がある」


いつか君が綴った線路を横目に行き倒れ




全部私ガアノ人ニ言エナカッタ言葉ダッタンダ…

たぶん嫉妬していた


綴る事が出来ないのプライドが


まるで排泄をするのと同じ位当たり前に


言葉が溢れ出てくるのだと言った年下のオトコ




あれは救いの手に映った


コトバが枯渇したオンナの闇には


嫉妬は思わぬ場所へと導く道標と成って


其れはココロでもカラダでもないを生み出して





脳が誤作動を起こした




「早く僕を見つけて」




愛を語られし訳でなく




「僕はここにいるよ」




タガタメに向けられた




「目印は薔薇一輪」




勝手にだと思い






柄にもなく恋愛ゴッコに嵌っていく



脳に射込まれる大量の脳内麻薬に…



カラダの快楽抜きの初心恋愛ゴッコ





コトバノ愛撫ヲ頂戴…モットモット私ダケニ頂戴

突然何かが変わったわけではない




何かを失った訳でも捨てたわけでもなく




ズルイ人生をズルイまま息続けていた




ただ溢れていた言葉がふいに枯れてしまっていた




書けなくなってただ電脳性界を彷徨うだけの抜け殻みたく







そんな時、は私を見つけた・・・見つけてしまった






「詩を書いています。」





気力も言葉も失っていた私に




電脳性界には似つかわしくないアプローチ




きっと軽い気持ちだっただろうその一文に





アゲハは足を止め



ワタシは手を休め





嫉妬にも似た思いが湧き上がる




性欲でもなく



哲学でもなく



存在意義や



興味本位や



策略でもなく



恋慕でもない




真意の見えないに対しての




欲情でもなく



思惟でもなく



存在根拠や



自己本位や



奸策でもなく



恋焦れしない





ただ突き動かされた何かに





そう・・・




ただ導かれるまま




見えない何かを渇望していた私は




まるで蜜に魅かれる蝶のように




詩を言葉を求め吸い寄せられ




よく似た感情を携えて落ちていく





恋はするものではなく落ちるもの・・・





擬似恋愛ナノニ落チテ沈ンデイク









アゲハワタシと存在する限り



已むことのない「欲望」


焦燥感にも似た「希求」


正も誤も見えず「迷妄」



永遠と思える其れらに思い煩う




快楽だけを唯求めれば、ココロの在り方に惑乱し



心を求めれば、脳が麻痺する程の快楽が欠乏する



その場だけの快楽ならば、何を思い惑う事もない



堂々巡りを理解はしても、アゲハは納得はしない



極上の快楽をもっともっとと貪り、手に入れる迄





見えないモノだから、手にすることができないモノだから




渇望する




たとえそれが自分をさらに紛雑なる道へ誘うとしたとして




煩悶する




どうしても止められなかったのは「存在しない物見たさ」







キミのカキコミが甘い蜜のように誘う



薔薇の様に鋭い棘を身に纏ったキミ



綴られる言葉は未だ知らぬ脳内麻薬






アゲハは其の危うく未知なコトバの蜜に…



ワタシは触れる者を拒むような鋭い棘に…






放恣な価値観にほんの僅かな倫理的要素を加え






キミトイウ暗闇ニ脳内麻薬ヲ求メ落チテ行ク・・・

アゲハは気まぐれで奔放で色んな場所を行き来する




身を削る様に活動的になることもあれば




全てを遮断し存在そのものを消してしまうこともある




傷つく事に多少は慣れていたと思いつつ




でもやはり我慢出来なくなる…脳内麻薬が誘うから




ただふらふらと彷徨っていたはずだった




見失わない程度にごく僅かな脳内麻薬で騙し騙し




ワタシアゲハも見失わない中間地点を




漂っていたはずだったのに…思いがけず扉は開かれ




再び出会いを貪る…理由なんて…略無い






脳内麻薬の香りを思い出し、辿る様にアゲハが目を覚ます




又深く未開の電脳性界の樹海へと歩を進め


更にディープな心の闇を探し求め飛び立ち


もっと暗い別の見えないナニカを追い求め




『貪欲に性を貪る破天荒な女性』




何気なく放った男の一言はスイッチとなり




眠ッテイタハズノ欲望ニ火ガ点イテシマッタ

人によっては不快感等を感じる内容かもしれませんので、閲覧には各自で細心の注意を払ってください・・・




時々性癖が抑えられずに犯罪に到ると思われる


事件がマスコミを賑わすことがある



見るたびにワタシからは

「キミは一線を越えてしまったんだね・・・」と

肯定も否定もしない、同情とも違う溜息が漏れる



その度に世間からは出会い系という電脳性界に非難の視線が浴びせられ

あたかもそこの住人はすべて犯罪者と言わんばかり・・・



コメンテーターの決まりきった台詞


徐々に確信から遠ざかる下世話な字列


注意を促す耳障りなキャスターの声


そのどれもワタシには響かない・・・



けれどその時ワタシは明確に一本の線を確信出来る



緋色の一線



それを越えてしまえば「犯罪者」となってしまった彼らと同じになる



其の緋い線



ワタシはそれを確認しながら此方側にいる快楽を知ってしまったから



目の前の線



其れを常に意識してギリギリの処で更に更にと快楽を貪り続けている



ワタシ彼らもそんなにかわらないのかもしれない・・・




否、知りつつ此方側で色々画策しているのだから




ワタシノ方ガ汚クテズルイ生キ物ナノカモシレナイ・・・

ワタシ、否・・アゲハはよく飛ぶ・・

「飛ぶ」とは「いなくなる」という事・・・


云うなればある日突然其の場所から消えてしまう



アゲハは気まぐれで奔放で色んな場所を行き来する

幾度となくやり取りされるメイルに羽根を休めていたかと思えば

ひらりと身をかわし、舞う様にカレの胸の中に飛び込んでみたり

ふわりと舞い上がり、飛び込んで来たメイルに降り立ってもみる

との会話に切なくなって、カレの甘いイジワルを欲しがったり

そうかと思えば、ネットもメイルも携帯さえ全て遮断したくなる



本当に蝶の様にひらりひらり、ふうわりと規則性もなくイキテイル



何故だろう?

欲しいと渇望しながらソレが手に入りそうになると飛びたくなり

如何してなの?

ソレと相対する異質のモノに羽根を休め、言い訳を探してみたり

何処へ行くの?

出ない答えを求め続けて今日も電脳性界をふらふらと飛び回って

如何したいの?

甘美な蜜も切ない涙も湧き上がり滾る血のにほいすら求め続ける




どうしてひとつでは我慢出来ないのだろう?


目の前には救いの手がいつも待っている・・・それすら疎ましく感じ

自分自身で罪を作り罰を与えぼろぼろになりながらイキ続ケテイル



アゲハが「失踪」するのは

きっとそういう全てを受け止めきれなくなって飛べなくなる前に

最後の力を振り絞って飛び、鋭気を養う為の充電に羽根を休めて

奔放故に傷つき満たされぬココロとカラダを確認して取り戻す為


答えが見つかったらアゲハは如何なるのだろう?



羽根ヲ休メナガラソンナ事ヲ想ッタ

いつもの様にカレの都合でふいにお誘いの電話

しばらくオアズケされていたが断る事などないと知ってて



「明日の夜逢えない?他に約束とかある?」

「もう我慢出来ないよ・・・どうしてくれるの?」

「声を聞いただけで反応しちゃってるよ・・・」



なんて訊いてくる・・・本当にイジワル・・・




目が合った瞬間に微笑むカレの眼鏡の奥で細くなる切れ長の目・・・


信号待ち、ハンドルをリズミカルにトントンと小突く綺麗な指・・・


エレベーターに二人きり、ふいにぎゅっと抱き寄せられる瞬間・・・


他愛も無い話を続けながら華奢なその眼鏡を外す、ほんの一瞬・・・


ネクタイを細くしなやかなその3本の指でゆるめ、ほどく仕草・・・


「逢いたかった」 「イイコにしてた?」なんてイジワルな口唇・・・


「ほらこんなになってるよ」スラックスに隠されてたカレの其れ・・・


全身で欲望をぶつけて逝く時の額の汗の粒と濡れて張付く前髪・・・


カレのイジワルに拗ねたフリをするを後ろから抱く力強い腕・・・


シャワーに向う後姿のカレの縋りたくなる背中と小さめのお尻・・・


またね。の前に目を閉じ口唇をツンと突き出しキスをせがむ顔・・・




胸がきゅぅんとなる度毎にワタシカレに言う



「其れ好き。。。」



勇気を出して言ってるのにカレワタシに言う



「好きなモノが多いんだね」



本当にカレは何もわかってない?わざとなの?


わからないよ、全然・・・わかってよ、コノ気持ち




コンナニ貴方ガ好キダト言ッテルジャナイ・・・イジワル・・・