『Aeternvm's Basis of The SHOW BUY -商品で勝負しよう-』、商品がお店を選別する、絶対基準「X」を知ろう、「X」を知ると、商売の好循環が生まれる。
Copyright©2018 by 島田智史
第7回 になります。いよいよ、満を持してというか、延ばしに延ばしたとでも申しましょうか。今回、絶対基準 「Ⅹ 」が姿を現します 。随分お待たせしました。みなさんも「X」の答えを一緒に考えてくださりましたでしょうか。
わたしの答えとみなさんの答えが一致していれば嬉しい限りです。たとえ違っていたとしても、その答えのほうがもっと素晴らしいものかもしれません。もし、よろしければその答えを教えていただければ幸いです。わたしの答えは、みなさんをきっと拍子抜けさせることでしょう。身近な言葉だけれど、それビジネスで使う?という言葉ですから。
みなさんのリアクションの表情をうかがい知ることができれば、もっと楽しいのですが、できないのが残念です。
それではさっそくスタートしましょう。
第7回 のメニュー
・第4章 「共鳴と共感」
・20.仕事の苦い経験
・21.「また来よう」
第4章
「共鳴と共感」
20.仕事の苦い経験
わたしが以前、イベントの仕事に携わっていたというお話をブログでしたことがあると思います。その時の経験です。イベントという商品ははっきりとした形があるわけではありません。直接手に触れることもできません。なかなか評価のしづらい商品です。
集客率、イベントの参加人数、施設全体における売上貢献度などが評価の対象ということになるでしょうか。ほかの部署の人から見れば、ときとして遊んでいるようにも見えてしまいます。以前登場した営業の方々からは楽しそうでいいなどと、冷やかされることもありました。
華やかそうに見える仕事ほど、現実の仕事は地味なもので、泥臭いです。いずれの仕事に当てはまることでしょうが、とりわけ納期は絶対で延ばすことができません。デスクワークから肉体労働まで、徹夜なんて当たり前、からだ大丈夫ですかの世界です。そのハードさとの引き換えに、達成感は今まで経験した仕事の中で一番だと思います。
ここではあまり難しい話、基本構想、企画段階などは端折ります。運営実施段階、初日になれば、会場運営者からはイベント用の機材がどうのこうのスタッフがどうのと、質問やクレームなどが入ります。休憩中で慌てて駆けつけて、機材の設置の指示や運営者への謝罪などアクシデントも多々起きます。屋外イベントとなると、天候にも注意を払わなければなりません。雨が降れば中止になるようなこともあります。そうした判断もしなければなりません。
無線機片手にいろいろな指示もださなければなりません。安全面にも配慮したり、もう書けばきりがないくらい。いろいろなことが同時進行で起こり、瞬時、瞬時の判断が求められます。
イベントという商品に限っては、実際に運営してみて明らかになるバグが付いて回ります。突発事態に対処するには、いかに真剣にイベントを作り上げてきたか、常にイベントという仕事にどう向き合っているかという姿勢がまさに問われるわけです。臨機応変さと、誠実さ、日頃から鍛錬が必要になります。これがわたしのいう「商売の根本」についての原点になっています。
わたしは、次のイベントに生かすためにアンケートをとることを常にしています。好意的な意見がある一方で、もちろん、辛口の意見もあります。でも、わたしは辛口の意見がとても大事だと、いつも思っています。好意的な意見よりこちらを優先して読みます。ここから今回のイベントで何が足りなかったのか、どこが面白くなかったのかなどのいろいろな貴重な情報をいただくことができるからです。それを参考にして、次回にはもっといいものを作り上げることができます。
また、スタッフからもいろいろな意見がでます。制作過程から運営過程の段階で、異論反論タイムです。これがまた、わたしにとっては有意義な時間です。「ここが面白くない」、「この人数では運営なんてできない」などネガティブワードがでてきます。どこが面白くないの、ではどうしたら面白くなるかな、この人数でできないなら、何か工夫する方法ないかな、お客様にとって一番ベストな形にしようよと話をもっていきます。かといって、スタッフにご無体な難題をおしつけることは致しません。その理由はのちに触れます。
お客様が主役という認識がしっかり共有できれば、答えはおのずと収斂していきます。わたしたちのレベルはその程度なの、みんなのレベルはもっと高いのではという姿勢を問います。できない思考ではなくて、できるようになる思考へと導きます。
そして、結果を出します。成功体験をさせます。お客様が喜ぶ姿を直接、体験します。もちろん、結果がでないときもあります。その時はしっかりと検証します。検証して、修正して、鍛錬して、再びチャレンジします。この繰り返しを行うと、必ず結果が出てきます。あまり褒められる話ではないですが、ときには失敗を経験することも大事です。成功することよりも意義があることもあるのです。アーサー・フェリルという古代史学者がローマ軍の強さを「訓練」と「規律」の2つである」と説明していました。
わたしたちのイベントの強さは「鍛錬」と「チームワーク」の2つだと言えます。
ところで、先に話したような対等な立場で議論することがふつうはないそうなのですが、わたしはそんなふつうとは関係ありません。お客様に楽しんでもらえるの一点につきるわけですから、全員参加です。上司部下はこのときは関係ないのです。ディレクターだの、アシスタントディレクターだの、という肩書は「最高のイベントという商品」(絶対基準)の前では関係がないわけです。
もちろん、最終的にどういう形にするかはわたしが決めるわけですが、全員参加で作り上げたという意識の共有がとても重要なわけです。全員で決めたことだから、当然責任感もトップダウンと異なり、全員が持つことになります。「意識の共有」と「責任感の共有」、これも商品の絶対基準「X」にとっては重要なキーワードとなります。もちろん、できあがったものに最終責任を負うのは、わたしの役目です。
それと、これも大事なことですが、スタッフが「楽しい」と感じることです。このスタッフが「楽しんで」仕事をしているかは、お客様と接するすべてとは言いませんが、仕事ではとても大事なことです。ツアー、ホテル、遊園地などで、スタッフがつまらなそうな表情で仕事をしていたら、お客様であるみなさんはどう感じますか、というのがわたしの答えです。いずれもサービスが商品です。ということはそこで働く人も商品の一部となるわけです。
ここで「楽しい」「楽しんで」という言葉に誤解が生じないように補足します。遊んでいるとは全く別物です。「楽しい」「楽しんで」には前提があります。「鍛錬」の上に、自分たちで作り上げたという充実感と今、行っている仕事に対して喜び、誇り、責任感、向上心を持っているということです。結果として、毎日、仕事に行くことが楽しみだということになります。「楽しい」の前にはその何倍もの「苦しい」があります。しかし、結果として「楽しい」が何倍も上回ることになるのです。
では、ファッション、スーパーマーケット、家電量販店となると商品そのものですから、販売員がつまらなそうな顔をしていてもよいのか、という質問が出そうです。わたしは以前、商品が目的であって、リップサービスや”O・MO・TE・NA・SHI”は無用であると言いました。しかし、商売の基本・根本においては「その仕事が好きであり、誇りを持ち、その仕事に対しての鍛錬をいとわないこと」と書きました。ということは、会社やお店の姿勢として仕事が好き、誇りをもっている、鍛錬をいとわないとなれば、当然ながら、従業員がつまらなそうに仕事をしていることはあり得ない、というのがわたしの答えです。とはいえ、現実はそうでないことのほうが多いということも承知しています。この解決法についても機会を改めて書きたいと思います。
話がまた少しそれました。ところで、かくいうわたしは、最初はこんな優等生とも言える考え方とは真逆でした。この話は、最初にわたしが経験したイベントでの苦い経験があったからこそ、思いついたのです。以前ブログでお話したことがありますが、もう一度、その経緯を説明します。わたしはもともとイベントとは縁もゆかりもない部署で仕事をしていました。それが突然、イベントの部署への異動となったわけです。周囲が驚いていましたが、一番驚いたのは本人です。
そして、異動先の上司に挨拶をして、イベントのイロハを学ばせてもらえると思い込んでいました。ふつうはOJTなどがあるものなのですが、やはり、この部署は普通ではなかったのです。ここのみなさんは根っからのイベント屋さん(イベントのプロ)なのです。イベント業界からの転職組で構成されていました。みなさん、最初から仕事はできて当たり前という感覚なのです。
イベントの上司からいきなり「このイベントの担当をお願いします。あなたの今までの人生で経験したやり方でやってください」と言われて、ファイルを渡されました。その後の経緯は端折りますが、前の部署の部下がわたしにイベントのイロハを教えてあげてと、根回しをしていてくれて、わたしを鍛えてくれたアシスタントがいたのです。おかげて、イベントの実施計画から運営までを学び、実施することができました。でも、わたしはそのとき、完成したイベントを観て、達成感というものをまるで感じなかったのです。モヤモヤとしたものを感じました。
その原因は、わたしのイベントという仕事に対する姿勢にありました。やらされ感で作った感覚と、どこか面白くない感覚がありました。好きでもなければ、誇りも持たない仕事をしていたのです。これは致命的です。このときは商品の絶対基準や商売の基本・根本など考えも及んでないときです。参加者は楽しんでいました。観覧者はまばらでした。そして、運営する側は今一つの雰囲気でした。つまり、商品として粗悪品だったわけです。それが何もわかっていなかったときのわたしには、違和感とモヤモヤ感になっていたわけです。その答えを探しながら時は過ぎていきました。
21.「また来よう」
これ、誰の言葉だと思います。もちろん、お客様の言葉です。これこそが最上の褒め言葉だと思います。この言葉はどういうシチュエーションで発せられるのでしょうか。
この言葉はわたしが経験したことです。イベントの仕事に対する姿勢が変わり、イベントの仕事が好きで、誇りを持ち、仕事に対する鍛錬をいとわなくなってからのことです。確か、そう丁度、5月の青い空がさえわたる連休のラストでした。
3月にイースターのイベント、そして5月のGWとクリスマスから5月まではこれでもかと、イベントが連続します。今のわたしのようにこうして机に向かい黙々と書類の山と戦っていました。もちろん、机にしがみついているだけではありません。肉体労働もあります。毎日が戦場にいるような(戦争に行ったことがないのにこの表現は適切ではないのですが)、真剣勝負が続いていました。
そんなあるときチーム内で、イベントという商品はという話になりました。本当、無形文化財だよねなんて冗談交じりに話していました。わたしがふと、TDLのことを思い出して、安全、礼儀正しさ、演出、効率、というのがあったという話をしました。
すると、確かに「安全第一」、だれでも楽しく遊べる「安心」、そして何よりお客様に楽しんでもらえる「クオリティ(品質)」、という話になってきました。でも、何かもう一つ足りません。あと一つ、何かないかなあ。みんなならではの何か。いつも、イベントを作りながらお客様のことを思い浮かべるとき、運営して、お客様と接するとき。ハート、こころかな、あっ近い、近い、あと少し、う~ん。そうだ「まごごろ」はどう。一同、「それ、それ、それいい」。
みなさんからみれば、なんと場当たり的な発想だと感じることと思います。しかも、冗談から話は始まっています。冗談から駒です。でも、真剣に考えているときや、真剣にさがしているときほど、答えや探し物が出てこない経験、結構あるのではないでしょうか。
思いもよらないときにアイデアが浮かぶことを「リンゴが木から落ちた瞬間」というそうです。アイデアは突然、所かまわず生まれます。ニュートンの万有引力が生まれたことと同じです。
ニュートンとの比較は大げさですが、わたしの商品への絶対基準が誕生した瞬間です。お客様の「安全」、「安心」、「品質」、そして何より大事なお客様への「まごころ」、これこそが自信をもってお勧めできる商品の基準になりました。「まごころ」は「魂」、「ソウル」、「愛」とも言えます。まだ、このときは「商品の絶対基準」という表現ではなく、「イベントという商品の基準」と呼んでいました。
人間の脳は疑問の解答を求め続けていると、ある日、突然何かの拍子に答えがでてくるそうです。ですから、今何か疑問に抱いていて、答えがすぐ出なくても、諦めずに考え続けてください。いつの日か、ある瞬間、必ず答えが所かまわず生まれます。ちなみに、この作品もまさに、いつも疑問に思っていて、GW中に生まれたものです。
「まごころ」は日本文化の魂ではないでしょうか。だれもが共通してもっているものです。しかも、敷居がとても低い、汎用性の高い言葉です。相手のことを思いやることがこの言葉の特徴です。
「まごころ」を込めて贈ります。誰が、わたしが、わたしたちが、会社が、誰のためにお客様、目的はお客様に喜んでもらうために、ハッピーになってもらうために。どうですか、だれもがハッピーになる言葉なのです。
「まごころ」は「共鳴」し「共感」を呼びます。「ハート・ツー・ハート」です。打てば響くのです。まごころには小手先のテクニックは必要ありません。自分たちがどれだけその商品に愛情を注いだか、お客様のためにどれだけ真剣に取り組んだか、その思いや常日頃からの鍛錬が込められています。
5月GWのイベントの最後の日、タブレット端末を使ったイベントで、ある場所でいろいろなクエストをクリアすると、認定証がもらえるといった見た目はごくごくシンプルなイベントです。
でも、これをつくるまでには、シナリオやどんなクエスト出そうか、どういうふうにすればお客様に楽しんでもらえるか、加えて場所、場所での部門間の調整やら、シンプル(これが大事)だけれど、完成まで四苦八苦しました。出来上がってテストしてみたら、うまく画面表示されない、思ったような映像になっていない、ナレーションが動画とずれるなど、イベントにつきものトラブルがありつつも、本当にぎりぎりで完成にこぎつけたものでした。
いよいよ、イベントがスタートし、期間中、多少のトラブルはありつつも、お客様にかなりの好評を得ました。
ところで、不思議なことですが、人が10人集まると大抵、人間関係で好き嫌いがでたり、そりが合わなかったりで、反目しあうことがあります。これを「十人十色の法則」とわたしは呼びます。わたしはなぜか、そういうことにうまく折り合いをつけさせることができます。いつも、「因果応報の法則」の話をします。そして、全員参加で話した「まごごろ」の話を思い出させます。いがみあったり、反目しあうことがイベントという商品にどんな影響を与えるかを考えさせるのです。スタッフたちはプロですから、その意味することを十分に理解しています。
これはいずれ、人間関係について話題にしたいと思います。わたしは高校時代、かなり複雑な、ものすごく個性的な仲間と一緒に過ごしてきました。それゆえ、大抵の人と折り合いをつけることができます。さらに大学時代には考え方がまるで違う仲間たちとも、折り合いをつけることができました。折り合いという言葉より、尊重という方が適切だと思います。聴く耳をもつ、お互いを尊重するということができました。もちろん、神様ではないので、どうしようもない場合もあります。大抵、信念のない人や媚びへつらう人とは馬があいませんでした。
わたしの採用を強く推してくれた方はわたしのことを当時、「お前は猛獣使いだなあ」なんて言わていました。顔出ししていないので、想像できないとは思ますが、サーカス団のライオン使いとは程遠いというか、正反対です。確かにイベントに携わる方々は一癖も二癖もあり、個性もかなりあります。イベント屋さんではなかった分、イベントの常識にとらわれない仕組みを作ったことがよかったと考えています。
先ほどの人間関係の話に加えると、暇があると、人間関係のトラブルが発生しがちです。適度に忙しくさせる工夫も必要です。閑散期には、わたしはある手法を使って、スタッフたちに技術レベルの向上を勤しませることで、未然防止という消極的発想ではなく、生産的なコミュニケーションとポジティブ・ビヘイビア(行動)を形成する環境を作りました。これが今までのイベントの常識を覆すものに大化けすることになりました。ある手法やこの大化けは、いずれ別の機会でお話しできたらと思います。
「まごころ」という基準が明確になってから、また不思議なことに、イベントという運営の場面、お客様と接する場面になると、そのとき反目しあっている者同士がお客様の前だけは一致協力して、最善を尽くすのです。これは彼ら彼女らの日頃からのイベントという仕事に対する姿勢の現れなのです。つまり、プロフェッショナルなわけです。なによりイベントという商品への「まごごろ」をもっています。結果がうまくいくと、ぎくしゃくしていた人間関係も完全とはいかないまでも、かなり緩和されます。あれ昨日まで喧嘩してたんじゃないの、「うるさい」とわたしが一喝され、ハッ、ハッと笑いになります。
「まごころ」はまず内部からプラスの方向に拡散していきました。そして、後ほどお話する外部へと拡がっていきます。
現場の動きではスタッフたちには、わたしも敵いません。彼ら彼女らは一瞬の変化に気づき、目と目で会話し、あっという間に、トラブルや問題が起きる前に見事にことを処理することができるのです。これは以前、お話したことのある高コンテクスト文化の好例です。わたしが気づくのは彼ら彼女たちがもう動いた後です。
GWイベントも最終日になり、最後の回に、あるファミリーが戻ってきました。予定の時刻を過ぎてそろそろ迎えを送ろうかなと、思っていたところでした。スタッフがファミリーのお子さんに認定書を渡しているとき、わたしは少し離れた場所で見守っていました。
そして、そのファミリーがラストだったので、さて撤収だとスタッフのところに行くとき、そのファミリーとすれ違いました。
そのとき、お子さんが「また来よう」と言っているのを耳にしました。
わたしは思わず「ありがとう、でもこのイベント今日で終わりなんだ、ごめんね。」と言いました。
すると、「でも、また来るよ」と元気に答えてくれました。
この光景を見ていたスタッフがふと一言いいました。「これって、まごころ効果?」。わたしはハッとしました。そうか共鳴し、共感したのだと思うと、物凄く嬉しい気持ちになりました。そして、確信しましたイベントという商品の基準は「安全」「安心」「品質」「まごごろ」だと。
エンターテインメントにある娯楽性はどこにあるの?という質問が出ると思います。それは品質とまごころに含まれています。品質にはお客様を喜ばせるしかけが入っています。まごごろには、お客様が共鳴し、共感してもらえるハートや私たちの日ごろの鍛錬が入っています。
「まごころ」は一度、プラスの方向に転がりだすと、プラスがプラスを生み、雪だるまのように急成長します。「まごころ」を最初に、転がすときがとても重要です。これは転がす人の要素がとても大切です。下手をするとソリティアゲーム(一人遊び)になってしまう可能性もあります。この辺りの話もまた別の機会を設けたいと思います。
To be continued.
第7回 のあとがき
ついに、引き延ばしに、引き延ばした絶対基準「X」の正体=「まごごろ」が姿をあらわしました。わたしが最初にこのお話をしたとおり、とても身近で近頃、忘れ去られているものではなかったのではないでしょうか。あるいは、なんだ、そんなの当たり前でしたかでしょうか。
「X」に「信頼」と答えを想定された方もいらっしゃったのではないでしょうか。なぜか、わたしの話の中では「信頼」という言葉は今まで一言も登場しません。一般的に商売の話では「信頼」という単語がよく登場すると思います。セミナーやハウ・ツー本の類では頻繁に登場するかと思います。
なぜ、わたしはその単語を使わないのか。それは「信頼」は商売をする者が判断する言葉ではないからです。商売する者が決める言葉ではないからです。
では、誰が判断し、決める言葉なのか、「お客様」です。商売をする者がいくら「信頼のある商品」ですと言っても、お客様がそう思わなければ意味がないわけです。だから、わたしはこれまで信頼という単語を一切使わなかったわけです。唯一一か所だけ使う場面があります。それは商売の話ではなく、情報の話です。
テクニックとして「信頼してもらうにはどうしたらよいか」「お客様と信頼関係を築くにはどうすればいいか」などがセミナーやハウ・ツー本の類などでテーマになると思います。
もし、そのセミナーをお客様が聞いたとしたらと、想像してみてください。お客様にとって、とても楽しい話でしょうか。納得のいく話でしょうか。近頃巷間ではやりのWIN-WINの関係を築けるでしょうか。それなら信頼しようとお客様が思うでしょうか。
それがわたしの答えです。テクニックをマジックに置き換えるとわかりやすかもしれません。マジック・ショーのセミナーにお客様が参加したら、種やしかけが明かされて、さぞがっかりされるでしょう。きっとそのマジックを見せられても、楽しくも何ともないはずです。テクニックも同じことです。手の内を明かされれば、かえって騙されたと思うでしょう。信頼どころか、「二度と来るもんか」になってしまいます。
信頼は「作るものではない」のです。信頼は「得るもの」なのです。「商売の結果」として「お客様から得るもの」なのです。
商談の場面でわたしは次の言葉を聞いたら、絶対に相手の人を信用しません。その言葉、よく聞くと思います。ここは、じらさず正解を言います。「ここは、私を信じてください」です。
この言葉を聞いたら、わたしは絶対にその人とは取引をしません。なぜなら、その言葉以上に相手を納得させる材料がないと言っているのに等しいからです。「信じてください」と言われても、それ以外に何もないのです。その人の何を知っているかといえば、商談の場面でのことだけです。
信じるのは第三者であって、本人が言っても意味がないのです。先ほどの信頼と同じです。
わたしの感覚が悪いのか、先ほど話しました「WIN-WIN」という単語も実はとても違和感のある単語の一つです。ベンチャー企業の経営者がよく好んで使う単語です。これも商人同士の話ならある程度納得いくのですが、お客様との関係となると話は違ってきます。
これも、信頼と同じです。商売をする者が決める話ではないのです。やはりお客様から得るものです。商人あるいは支配人もしくは使用人がお客様と「WIN-WIN」の関係を築くというのは、きわめて傲慢であり、自己満足でしかないとわたしは思います。
「WIN-WIN」は、お客様が発する単語です。商売をする者が発するとすれば、自分にとって都合の良い商売だったということを言っているのと同じです。「WIN-WIN」は誰にとってのものか、誰のためのものかよく考えてみる必要があります。
わたしは商人たちや講師たちが「WIN-WIN」という言葉を聞くたびに、「WIN-WIN」「WIN-WIN」鳴くな(わたしはこの単語がセミの鳴き声に語感から聞こえます。地に出て、短き命を燃やすあの鳴き声、WIN-WINも同床異夢と切なき、悲しき叫びかな)と、心の中で叫んでいます。そもそも、商売人同士はゼロサムゲームの世界です。勝者と敗者が存在し、そこから挑戦者が現れ、勝者と敗者が生まれるの繰り返しで、ビジネスは発展していくというのが資本主義です。「WIN-WIN」という単語は耳障りはいいのかもしれませんが、単語には常に表裏があります。そのあたりも考えてみると、とても面白いと思います。「WIN-WIN」と言っていたら、いつの間に片方が「EN-EN」とよく泣いていたりします。最初は作り笑顔でニコニコと「WIN-WIN」さんはやってきますから。
「WIN-WIN」もわたしがいうとろの「新しい情報」のカテゴリーに入るので、一言、なんでそこまで否定的かという、一つの例を、追加します。Stephen R. Covey著 ”The 7 (Seven) Habits of Highly Effective People" 邦訳「7つの習慣」で「WIN-WIN」という言葉は広まりました。
著者によれば、わたしのような考え方を「欠乏マインド」と呼ぶそうです。「幸福量は決まっていて、誰かが幸福を得れば、自分の幸福は減る」と発想していると、著者は述べています。ここで重要なキーワードは「幸福」です。
わたしと著者では発想が根本から異なっているという点です。わたしは「経済」、貨幣で考えているのですが、著者は幸福という「哲学」で考えているわけです。以前お話した。正解は一つではないの話になります。つまり、前提やバックグラウンドが異なるわけです。これが異なれば当然、答えも違ってくることになります。わたしも誰もが幸福になるのが一番だと思います。この点について異論はありません。
わたしは商売、ビジネスの話をしています。哲学の話ではありません。そこで、「Win-Win」の具体例を挙げたいと思います。マイクロソフト社とアップル社の話です。両者はライバル関係で、敵対していると考えている向きが多いと思います。ところが、創業初期においては、Stephen R. Coveyの著書にある「Win-Win」の関係にあったわけです。Bill GatesとSteve Jobsの両者は協力して事業を推進していた時期があったのです。詳細はググルと分かります。
ところが、あることをきっかけに両者は決裂します。マイクロソフトがWindowsを開発し、発売したのが原因です。Jobsは猛烈に怒ります。マッキントッシュのパクリだと、Gatesはそれを意に介しません。マッキントッシュこそ、ゼロックスのパクリだと。こうして両者は決裂し、敵対するようになったわけです。「Win-Win」の結果として、哲学的にマイクソフト社には幸福が訪れ、アップル社には不幸が訪れたわけです。経済の結果として、マイクロソフト社がOSで市場と利益を独占することになります。一方のアップル社はOSで敗退することになります。著者の言うところの幸福では説明できないのです。当然と言えば、当然の話です。商売、ビジネスの話だからです。
「Win-Win」はスタートの段階でよく語られるのではありませんか、これからは「両社」で「Win-Win」の関係を築きましょうと。でも、終わりの段階の話はされません。なぜでしょう。それはマイクロソフト社とアップル社の結末を見れば明らかです。ハッピー・エンドにならないからです。
だからこそ、わたしは「まごごろ」を提唱しているわけです。
わたしの考えは「まごころマインド」 です。
前提やバックグラウンドが異なると、同じものを見ても、答えが異なるというとても面白い一例です。わたしは、こういう違いが大好きです。モノごとを多角的にみると、また、違ったアイデアが浮かぶからです。Stephen R. Covey氏は人間関係や生き方についていろいろなヒントを与えてくれます。意見は違えども、学ぶことはたくさんあると思います。わたしはこの多様性をとても愛しています。
Winny(ウイニー)のほうがよほど美味しいです(日ハムのウィンナーソーセージのこと、怪しいソフトウェアのほうではありません)。 Winnie the Pooh (クマのプーさん)は世界中でとっても愛されています。
またも、挑戦的な言葉を発してしまいました。でも、本音ですから、はっきり言いましょう。と思う、今日この頃です。
本文並みに長い話をしてしまいました。
今回が今までの中で一番長文でした。大変、お疲れさまでした。
今回は別の機会や機会を改めての連発でした。本作品の趣旨とは別枠の内容でしたので、ご理解を下さればと存じます。
今回は「まごころ」の導入編です。第8回 は「まごごろ 」の具体事例=成功事例 、まごころが入ると〇〇が生まれる という話をします。それからアイデアは〇〇すると生まれる という話をします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
各回の記事 は、下線付きの数字 を
クリック してご覧ください 。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
15 は未完 です。
『Aeternvm’s Basis of The SHOW BUY-商品で勝負しよう-』
(島田智史の「商売の基本」)
商品がお店を選別する、絶対基準「X」を知ろう、「X」を知ると、商売の好循環が生まれる。
Copyright©島田智史, All Rights Reserved.
Q.どんな和菓子が好き?
A.鹿児島県の伊集院まんじゅう
昔(一体いつじゃ)は日持ちしない和菓子で
すぐくされるので、鹿児島へ行った帰りに
よく買ってきました。
今では代替わりされて洋菓子屋さんに変身
今じゃ通販されているそうで…
▼本日限定!ブログスタンプ
にほんブログ村
Success is going from failure to failure without a loss of enthusiasm.