先週のブログでは、羽田事故に関する私の意見を書いたのだが、FBにもブログを載せており、そちらでかなり盛り上がった(と私は思っている)。

そこで考えたことも含めてこれからの航空のあるべき姿についての私の意見を述べてみたい。

これまでの航空の歴史を考えてみると、大きな事故があり、それをNSTB(National Transportation Safety Board:国家運輸安全委員会)などの専門機関が多角的に検証し、事故原因と再発防止の勧告を出して、それをFAA(Federal Aviation Administration:アメリカ連邦航空局)などの行政当局が航空メーカーや航空会社、空港などに規制や認定などの形で実施して、安全性を高めるというループを繰り返し回してきたことによって発展してきた。

例えば今回の事故で、火災が発生したJAL機から90秒以内の全員脱出ができたことがJAL側で死者を出さなかった一つの要因であるが、この90秒での脱出は、すべての新機種において、理論だけでなく実地に試験をすることが求められていて、またその実施もちゃんと子供も年寄も入っていて、出口が半分しか使えない暗夜の脱出というまさに今回の事故と同じような条件で実施されて、要求をパスしなければならない。

 

 

「この「緊急脱出90秒ルール」では、全乗客乗員が90秒以内に安全に脱出し、航空機を放棄できることを実演により証明することが求められていて、シミュレーション(実地試験)は、乗客は年齢性別を混合させる割合も規程され、航空機の出口が半数封鎖された状態で、日没後90分以上経過した快晴の暗夜という設定で、最小限の床照明の中での脱出を行う。 」(Wikipediaから)

総2階建てのA380が開発されたとき、最大搭乗人数の873人が乗った状態で、本当にこの脱出ができるのか(それも半分は普通より高い2階部分という条件で)が争点で、実際、本当に大がかりなテストをやって、78秒で実際に脱出できた。(これがA380開発のクライマックスと思っている)こういう規制がなかったら、今回の事故でもJAL側に死者が出ていただろう。

https://www.youtube.com/watch?v=He4qypnFrhs

事故からNSTB、FAAという流れができたのは、1956年にアメリカのグランドキャニオンで発生したUnitedとTWAの空中衝突事故だった。それまで旅客機は、フライトプランは事前に出しているが、管制レーダー範囲外を飛ぶことも多く、ある意味自己責任での自由な飛行が許されていた面があったが、定期旅客便は原則としてフライトプラン通りに計器飛行方式で飛行することとし、それから外れる場合は、管制の許可を得るという今のスタイルが確立されたと思う。

 


そういう意味では、今回の羽田事故は、様々な新技術で安全管理を行っているはずなのに、致命的な事故が起きた事例としてきっとこれからの航空の安全管理に影響を与える大きな事例になるのではないか。

で、先週のブログにも書いたが、一番大きなな問題は、着陸や離陸の許可という決定的に重要な情報を、人間同士の無線音声会話に頼っているということに問題があると思っている。もちろん、管制も操縦も人間がやっている以上、この音声通信をやめろと言っている訳ではないのだが、これだけに頼っているということが問題で、勘違いのようなヒューマンエラーを減らすためにも、もっと複線の通信で強化する必要があると思う。

例えば、今回、管制塔側には、海保機が滑走路に侵入していたことがモニターに表示されていたということで、これを見落とした管制官が責められたりしているのだが、問題はこの表示がなぜ着陸機にも見えないのかということだと思う。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000331334.html

もしこういった誤侵入に対しての対応としては、着陸側がゴーアラウンド(着陸を断念して再上昇する)するということが必要なアクションだと思うのだが、それを判断するための情報が管制塔側にしかなく、管制官がそれに気づいて、JAL機にゴーアラウンドせよと無線指示をしないと回避できないというシステムは、脆弱すぎるのではないか。

こういう決定的アクションに繋がる情報は、着陸機側からも見えるようになっていて、複数の目でそれが気づけるようになっていることが重要だと思う。

さらに言えば、これだけではなく飛行機側も管制側も入手できるすべての情報は、管制官や着陸機も含めてすべての関係者から全部見えるようになっているべきだと思うし、されにそれはシステムによって監視されていて、アクションアラートを出す仕組みになっていくべきだ。

もちろん昔はそんなことをする通信帯域を着陸機と管制の間で確保することは難しかった訳だが、地上とのデジタル通信ももちろんできるし、通信衛星経由のInternet接続はすでに実用化されているし、さらにStarlink Aviationが提供している広帯域通信を使えば、地上との大容量情報シェアは可能なはずだ。

 

https://www.starlink.com/business/aviation

この発展形として、究極的には、航空に関連したすべての情報がデジタルツイン(インターネットに接続した機器などを活用して現実空間の情報を取得し、サイバー空間内に現実空間の環境を再現すること)化され、Net上に現実を反映したVirtual羽田空港が出現し、そこから管制官も、パイロットも、乗客も、航空マニアも必要な情報を得るという世界になるはずだ。

 


その端緒はすでに訪れていると思っているのだが、私は飛行機に乗った時に以前はずっとフライトマップを見ていたのだが、最近はもっぱら機内インターネットにつなげて、FlightRader24を立ち上げて、自分の乗っている飛行機をずっとフォローするという体制に移行している。

 

 

 

これは私が空撮趣味というものを持っているので、周りの飛行機を監視するという意味もあるのだが、今の機体の高度やスピードも正確にわかるので、今後どういう形で前の飛行機を抜くのか、後ろからくる飛行機に抜かれるのかも予想できるのである。(同じぐぐらいの高度で、近くで抜かれていくというのが空撮には絶好の条件である。)

 


また、今どこにいるのかも正確にわかるし、窓から見える景色の中に気になるものがあった場合それは何なのかをちゃんと把握できるのである。

 


正にFlightRader24はデジタルツインの原型なのだ!!!私は未来の航空マニアだ!!!

でももしかして、こういう情報ほしいと思っている乗客って私だけ???