「秘宝という名の悲報」/映画『進撃の巨人』問題を考える〈その2〉 | アディクトリポート

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これ(「珍劇の虚人」(進撃の巨人)問題を考える〈その1〉)の続きだが、
その前に、
いただいた2つのコメントに関して。

まずは、鬼嫁さんより、
「実写映画には、タイタンと呼ぶに値する巨人は1体だけしか出て来ない」
旨(むね)のご指摘を受け、
調べてみると、
タイタンもジャイアントもギリシャ神話が起源だが、
タイタン(ティーターン)はオリュンポス十二神よりも先に存在した超巨人族

teddo
写真と本文は関係ありません。

狭義には、ウーラノスとガイアの間に生まれた、
12柱の神々の兄弟姉妹を指す(ティーターン十二神)。

①オーケアノス
②コイオス
③クレイオス
④ヒュペリーオーン
⑤イーアペトス
⑥クロノス
⑦テイアー
⑧レアー
⑨テミス
⑩ムネーモシュネー
⑪ポイベー
⑫テーテュース

↓ミクロマン(こびと)のタイタン(巨人)って、どっちやねん?
takara
まあ、それこそが「小さな巨人」を体現したのか。


ジャイアント(ギガース、ギガンテス)は、
オリュンポス十二神
①ゼウス
②ゼウスの妻ヘーラー
③ゼウスの娘アテーナー
④アポローン
⑤アプロディーテー
⑥アレース
⑦アルテミス
⑧ デーメーテール
⑨ヘーパイストス
⑩ヘルメース
⑪ポセイドーン
⑫ヘスティアー
——に対立する存在で、
タイタンと比べれば小さかった…らしい。

sann
画像はイメージです。

なるほどね。

するってえと、
ATTACK ON TITAN
という英題は、
「ラスボスを倒せ」程度の意味かも知れんが、
ラスボスにしては最初に出て来てしまう、あのデカイ奴の場面以降の、
カス巨人たちは、
題名にすらならないオマケ
=文字通りのザコになってしまう。

それに、
最初が大文字のTitan「タイタン=超巨人族」という固有名詞だった場合のみ、
省略しても言い訳が立つ、
単数にはつきものの冠詞(a か the)をつけた方が自然だから、
ATTACK ON THE TITAN
こそ適題だろうし、
「進撃の巨人」の素直な英訳は
ADVANCE OF THE GIANTS
じゃないかって、イングリッシュネイティブの疑義は、
2012年には出てたようだし、
↓この対比図で見ると、
たおいひ
サイズを問わず、巨人は「タイタン」に統一されてるけどね。

そもそも「進撃の巨人」関係者に、
ギリシャ神話の知識と教養があったかは、大いに疑わしいし、
それにしたがう義理も、別にない。

前も書いたが、
「進撃の巨人」の魅力は、過去のナニモノにも縛られない新しさなんだから、
なまじっか、ギリシャ神話の知識なんかに、
さかのぼらない方がいい。

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芸能事務所タイタン所属なのに、
↓爆笑問題の田中裕二はなぜ…
びさり


タイタンといっても、土星最大の衛星ではありません。

よん

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もう一つのコメント、
tyo0911さんの方は、
私が「珍劇の虚人」と題して、こうしてダラダラ書きながらも、
おそらくこのブログ記事では行き着かなかったであろう、
さらにその先までズバリと見抜いた究極の結論で、
そこさえ読めば、今後の私の関連記事は読まなくてもいいぐらい。

よって、今日のこの記事も、
すでにかなり長くなったので、
これにておしまい。





というのも、
さすがにどうかと思うので、
今回は短くまとめられる話を先に。

実写映画『 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』で脚本を担当した、
映画評論家の町山智浩氏がメインライターをつとめる映画雑誌、
『映画秘宝』について。

その昔、
私も町山マジックに引っかかり(?)、
この人のいうことに間違いはないと思い込んでいた。

2007年、なぜか氏がプッシュする
「ヒミコさん」という映画が、2週間限定上映
ということで、
みこ
わざわざ行ってみたけど…
どうにも褒めるところのない珍作だった。

思えば、町山氏への疑問が芽生えたのは、この頃だったのかも。

当時「ヒミコさん」に寛容だった知人の一人目は、
某テレビ局の知的財産部長で、
年収4000万円クラスだが、
多忙を極めるどころか、(たしか)年間250本以上も映画を見ていたから、
よほどヒマをぶっこいていた様子。

それだけ映画を見ていて、よりによってこの映画をほめるかね?
「腰砕けだけど、映画愛みたいなものを感じた」
とか、ホントよくいうよ。

もう一人、「ヒミコさん」を評価していたのは、
脚本家の南木顕生(なんき・あきお)さんという方で、
2014年4月4日に亡くなられた


よりによって、プロの脚本家が、
いかなる観点からしても、
この映画のどこかしらを評価するかね、しかし。

「ヒミコさん」には、
色々と名の通った人もちらほらと顔だししていたが、
その中の一人、医者役で出演した
切通理作(きりどおし・りさく)氏の過去の著作も、
それ以降の発言も、
私の中では、なんの説得力も持ちあわせなくなった。

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「著作と演技や出演作は関係ない」
と思う人もいるだろうが、
当時の切通氏は、
私の把握する限り、
ミクシィでたま~につぶやくだけだったが、
ペ・ヨンジュンの「四月の雪」(2005)とか、
まだまだあぶない刑事」(2005)とか、
「ヒミコさん」出演前にも、
特定のファン層におもねるような、
箸にも棒にもかからない作品をヨイショする傾向があり、
「この人の言い分は、つくづくあてにならないな。
というより、わざわざミクシィで発言して、誰かのためになんの?」
と強い疑問を感じていた。

時が過ぎ、2009年末のこと。

私は色々あって、「秘宝」をハブられ(笑)、
それは別に「発展的関係解消」でいいんだけど、
年末のベストテンに、
「秘宝」編集者、田野辺尚人氏が、
「ヒミコさん」の藤原章監督の次回作
「ダンプねえちゃんとホルモン大王」
しょうじょ
(2009年12月19日公開)
を入れていて、我が目を疑った。

まあ、見てないから、なんとも言えないが。

Yahoo!レビューは、
平均3.75 点と高評価で、星1つをつけた人はいない。
とはいえ、評価はわずか4人だけのもの


ひるがえって「ヒミコさん」に至っては、誰もレビューを書いていない

次が2011年。
田野辺氏もツイッターに進出。
やたらと「電人ザボーガー」をプッシュしていた。
daihyou

なので、見たけど…。

主人公の大門豊は、双子として生まれたが、
母親は出産してすぐに亡くなり、
竹中直人が演ずる父、大門博士は、自分の母乳で(!)双子を育てようとして、
豊の弟にあたる双子の片割れは、どうやらそれが原因で乳飲み子の時に死んでいる。

兄の豊だって、授乳(?)の条件は変わらなかったはずなのに、
なぜ無事だったのかは、語られない。

ここに来て、そこまでマジメに見ていた自分を恥じ、
「ああ、この映画は、真剣にみてはいけない種類のやつなんだ」
と、うんとハードルを下げれば、
終盤におなじみの主題歌が流れてクライマックスとなると、
けっこうウルッと来るけど、
すいぶんと志が低いとも感じた。



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↓「忍者部隊月光」(1964-66)の名月から、
しんじ
↑「戦え! マイティジャック」(1968)の今井進隊員、

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↓「仮面ライダーV3」(1973)のライダーマン結城丈二
chennji
↑そして「ザボーガー」(1974-75)の大門豊を演じた山口暁氏は、

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1986年4月6日に、わずか41歳の若さで肝臓癌のために死去。
入院からわずか4日後の急逝だった。

でもって、この映画「ザボーガー」で、
山口氏の遺族も、大門豊の復活に感無量みたいな記事をネットで見かけた覚えもあるが、
ぜんはん
今探しても見つからないのを、
「そりゃそうだよな」
と言う気がしてしまう。

映画を見た人ならわかるが、
山崎真実扮するミスボーグと、
mami2
大門役の古原靖久のからみのシーンは、
さすがに裸や直接の“あの場面”こそないものの、
AVもかくやの下品の限りを尽くしたもので、
山口氏のご遺族にも失礼極まりないものだった。

この映画について、当時のブログでこう書いた

某映画雑誌周辺の、本作の持ち上げようのすごさは明らかに度を越していて、
ふだんもっと「まともな映画」を、さんざんこき下ろしている人が、高く評価するのがよりによってこれ?と、その人たちの見識まで疑ってしまうような。



次が昨2014年の『GODZILLA』


でもって、今年の「秘宝」9月号の「進撃」特集ページの構成は、
昨年の『GODZILLA』の記事を、ほぼ踏襲。



10月号も「乗りかかった舟」で、
今さらやらないわけにもいかずに、
表紙にまで、後編「エンド・オブ・ザ・ワールド」のビジュアルが躍っちゃいるが、

映画秘宝 2015年 10 月号 [雑誌]
洋泉社
洋泉社 (2015-08-21)


記事を読めば、
「これが本当に、あの、各方面から非難ゴウゴウの映画についての記事なのか」
と思わされるような、
深遠で綿密な計画に基づく、
立派な作品の前後編

みたいな雰囲気が醸し出されている。

「秘宝」の問題って、
なにしろ身内に甘くて、
主たる映画作品そのものよりも、
あくまでも従であるべき雑誌の立場の方が優先する、
本末転倒な異空間が、
誌面では成立し続けちゃってることなんだよね。

だいたい、
●映画館で観ただけじゃ真意が伝わらず、
●映画雑誌を読んだり、関連書籍にあたったり、
●評論家が説明しなきゃ、理解できない映画じゃ、
そもそも作品として欠陥不良品でしょ?

だもんで、
こういう「秘宝」の一編集人がくりかえす、
詐欺まがいのやり方は、
どうにも感心しないなあ。

信用を築くのには長い時間がかかるけど、
失う時は一瞬。

何年に一度の粉飾決済だからバレないだろ、
と思っても、
どっこいオレみたいな、
しつこいヤツが見張ってるんだよ。

映画「ヒミコさん」本編のヤフーレビューゼロ、
「ホルモン大王」の4人、
ってえのもかなりヤバイが、
「秘宝」9月号のアマゾンレビューがたった1件
発売された10月号に至ってはゼロっていうのも(原稿執筆時8/28)、
完全な読者離れ(もはや誰にも相手にされてない)と、
シラケ状態を如実に示しているんでは?

ウソは必ずバレるし、
バレたらウソをついた人間は責任を取るのが、
世の中の正しいありようです。
zeronn
↑今世間を騒がせている、ビリケンのパクリ野郎の問題も同じこと。

このまま行くと、
「秘宝」休刊なんていう「悲報」に接するのも、
あながち冗談ではないような…。

……。

結局ダラダラと、長~く書いてしまいましたとさ。