これの続きで、
『カリ城』キャラ若返りの理由〈その2〉
は、簡潔に述べれば、
「未来少年コナン」が下敷きになっているから
に尽きる。
絵柄的には、8年前のTV 1stなどまるで参考にされず、同じスタッフ(作画監督:大塚康生 演出:宮崎駿)による最近作(最新作)こそが、あらゆる点で『カリ城』の下敷きになっている。
まずは
↓ラナ(右)がクラリス(左)、
↓レプカ(左)がカリオストロ伯爵(右)と、
↑伯爵の声には、当初レプカの家弓家正(かゆみ・いえまさ)が予定されていたが、スケジュールが合わず、石田太郎に。
家弓は『風の谷のナウシカ』(1984)のクロトワで、宮崎アニメの悪役に復帰。
新キャラに「コナン」の2キャラが割り振られてから、主要キャラの各人、
モンスリー(右)が峰不二子(左)、
ダイス船長が銭形、
↑銭形(左)の体格や四角い顔の輪郭が、パイロット版にもTV 1stにも映画1作目にもTV 2ndにも通じていないのは、コナンのダイス船長(右)をなぞらえているため。
コナンとジムシーが、
↑ほぼ同じ体格と顔つきのはずのルパンと次元なのに、『カリ城』では次元の顔つきが面長から四角に、体型がなんとなくズングリしているのは、ジムシーの影響。
ルパンと次元にあてはめられた。
↓ルパンと次元の腕と脚が短くなったのは、アクションが伝わりやすく、手足のひょろ長さに目が移りがちなのを避けるためであり、
同時にこれまた、「コナン」のアクションの再現でもあるためだ。
↓めったに見られない次元の目も、ルパンワールドでは見覚えない表情だが、
↑コナンワールドなら既視感あり。
↓TV 1stの次元の素顔は、ルパンの相似形(基本的に同じ顔)だった。
そして石川五ェ門だけは、「コナン」のどのキャラにも該当せず、
それもあってか、『カリ城』にはほとんど出番がなく、添え物扱い。
もっと言えば、「コナン」の作画監督も大塚康生ではあるけれど、キャラの資質は、大塚氏のものでなく、宮崎駿のそれである。
というのも、大塚康生が、いつもの自分流を「侍ジャイアンツ」(1973年10月7日~1974年9月29日)で貫いていた頃、
高畑勲と宮崎駿は、その演出を東京ムービーに請われながらもこれを辞し、
裏番組でズイヨー映像製作の「アルプスの少女ハイジ」の演出に移行しており、
↑「ハイジ」(左)放映は、1974年1月6日~12月29日の、きっかり1年間。
次回作「フランダースの犬」(右・1975年1月5日~12月28日/※高畑、宮崎は不参加)の途中から、製作がズイヨーから日本アニメーションに切り換わる。
↓男の子(ペーター)は、大塚の寄り目キャラを引き継ぎながら、
↑女の子キャラは新たな描き方に移行しており、それがラナの原型にもなっている。
実際、
女性でも平気で寄り目キャラに描いていた大塚氏が、
「コナン」1話で描いた
↓「視線の定まらない」ラナが、
ちっともカワイクないことに宮崎駿が激怒し、以後はラナの作画監督は宮崎駿自身が行うようになった。
↑ラナ(右)の直接の原型は、「ハイジ」翌々年の事実上の後継作(高畑勲と宮崎駿が続投)、「母をたずねて三千里」(1976年1月4日~12月26日)のフィオリーナ(左)。
↓そのため声も、同じ信沢三恵子。
つまり「コナン」の作画監督は、大塚康生が単名でクレジットされているが、事実上、宮崎駿と大塚のダブル体制だった。
そんなこんなで、『カリ城』のクラリスも、作画監督は実質上、大塚康生ではなく宮崎駿で、
↑アメブロの表示形式が変更したので、あえてはみ出し承知で原寸表示の、宮崎駿のレイアウト。
Macなら、つかんでデスクトップに移動すれば、オリジナルサイズでゲットできる…はず。
クラリスの表情に、パヤオの女の子のカワイさへの執念が見て取れる。
彼はひたすらクラリスを可憐に描き抜くことに全力を注いだため、
宮崎のチェックをすり抜けた、“大塚寄り目”の不二子だけが、
何カットかに痕跡をとどめるだけだった。
もっと書くことはあるが、長くなったので今日はここまで。