ロレンスのもう一つの旅/サントラ探訪(6) | アディクトリポート

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いわゆる往年の名作だと、サントラ盤が長年にわたって、何度も発売されたりする。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ロレンス

この流れは2つに大別され、一つは
オリジナル・サウンドトラック。
つまり劇伴音楽として演奏、録音された純正品で、
新たな音源が発掘されたりすると、出し直されたりする。

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特に最初の発売が、まだCDの普及してなかった1984年以前の場合、
音質を向上させ、レコード時代より曲数を増やして再発売されることがある。

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ゴーグル

アラビアのロレンス』(1962)の純生サントラCDといえば、これが決定版だろう。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-naka

アラビアのロレンス オリジナル・サウンドトラック
サントラ
サウンドトラック・リスナーズ・コミュニケーションズ (1991-07-01)
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しかし悲しいかな、なにせ古い作品なので音質が悪く、

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-rore

「このCDを聴く」という行為が、「映画館で体験した映像と音楽の華麗なる融合」の再現とは、およそほど遠いのが実情。

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-アリ1

そこで、シルヴァというレーベルから、オリジナル・サウンドトラック・スコア盤、すなわち劇伴音楽の楽譜どおりに演奏と録音をやり直したものが、1992年に発売された。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-uyut
↑ジャケットは何度か変更されているが、ディスクの内容は同じ。
Lawrence of Arabia
Lawrence of Arabia
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Philharmonia Orchestra
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さすがに現代のデジタル録音の音質はきわめてクリア。
ところが今度は、きれいにまとまりすぎて、重厚な迫力とか、荒々しさが失われてしまった。

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-アリ2

そしたら、別のスコア盤が、2年前に2枚組で出ていたのを、最近になって知った。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-rtrtれ

【2枚組完全盤】アラビアのロレンス(Lawrence Of Arabia)
モーリス・ジャール(Maurice Jarre)
Tadlow/Rambling (2010-10-13)
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『ロレンス』の劇伴音楽は、全てを収録しても1枚のCDに収まってしまうので、2枚目はモーリス・ジャールの映画音楽集なのだが、それはともかく、サントラ盤ではなく、スコア盤が出し直されるなんて話は、初めて聞いた。
有名代表曲の別演奏バージョンなら無数にありますが、そうではなくて、「1タイトル丸ごとぶんのスコア盤の再製作」という意味

作家集団Addictoe オフィシャルブログ-アリ

なぜならそれは、前のスコア盤に、「それじゃダメ」とケンカを売ってることになるからだ。

なのに今回、どうして2度目のスコア盤が実現したかというと、本アルバムのレーベル、タドロー・ミュージック(TADLOW MUSIC)の社長でありプロデューサーのジェームズ・フィツパトリック(James Fitzpatrick)は、先のシルヴァ版でもプロデューサーで、その時にやり残したことを今回やり遂げているから。

彼は恐らくこう考えた。
「モーリス・ジャールの手がけた『ロレンス』の音楽のポテンシャル(真価)は、実際には発揮されず終いで、ほとんどの人に魅力が伝わりきっていない。本当の『ロレンス』の音楽の実力は、まだまだこんなもんじゃない!」

スコア盤再製作に至った経緯は、書くとえらく長くなるので、英語のインタビューを読んでいただくとして、肝心なのは、リスナーにやり直した意味が伝わるかどうかだが----

聴いてみて、なるほど納得!
「ああ、ハイハイ、これがやりたかったのね!」
という感じ。
これならついに、映画館で『アラビアのロレンス』を観た時の
※テレビ放映やDVD鑑賞ではない
臨場感が見事に、いやもしかしたらそれ以上に、蘇りましたよ!


というわけで、選民意識っぽい、ちょっといやらしい物言いを覚悟の上で、
わかる人だけに限定ですが、激しくオススメの、執念の1枚
と申せましょう。