この夏、我が家には「予想外」が一杯で、ブログも長らくサボっておりました。
今年は夏の猛暑や繰り返す台風などの影響で、日本中が混乱し、「予想外」のことで溢れていました。これを書いているこの瞬間も、台風24号がこのほぼ真上を通過している状況です。
予想外に長くて酷い高温の9月、夏風邪(ヘルパンギーナや手足口病)の残存、そして冬風邪の代表格、RSウイルスの大流行や、これまた「予想外」のインフルエンザの早期出現など、全てがいつもと違う初秋です。
これら天候関連の異常は、やはり地球温暖化の影響はきっとあるでしょう。某国首脳は「温暖化問題は存在しない!」と「予想外」の発言で顰蹙を買っています。
ちょっと、最近の「予想外」の話題を挙げてみます。
「LGBTは生産性がない」某政治家の暴言
LGBTはとはセクシャルマイノリティーの一部を指す略号ですが、この発言者は、いろんなところで「予想外」の発言をされているようです。いろんな意見を持つ自由ももちろんあるので、この発言を全て否定することはできませんが、発言者の社会的立場を考えると、その影響など自分の置かれた立場をわきまえてないとしか思えませんね。
大多数(マジョリティー)に属している(と思い込んでいる)人は、なかなか少数派(マイノリティー)のことを理解しようとしないし、自分はそうじゃないという排除の意識が働いてしまうのでしょう。私が関わっている重度の障害を持つ患者さんや、発達に偏りのある子どもや、社会の箱に当てはまりにくい不登校や心身症の青年達。自分がそちら側に立ってみないと分からない世界があって、こんな世界も、このような政治家さん達にとっては、まさに「生産性のない」世の中にとって足手まといの集団になるのでしょうか。何かのきっかけで、マイノリティー側に立たされた人が、とまどい、絶望悲観し、そのときになってやっとマイノリティーの意見や気持ちが分かるようになる、こんな余り良いとは思えない形があります。もちろん
マイノリティー側が、マジョリティー側に比べて、不幸だとか、大変だとか、そんな風に捉えることも、すでにマジョリティー側の意見ですから、この2極化分類自体がナンセンスなのでしょうけれど。
私が、障害児者医療に関わって感じ、そしてのめり込んでいるのは、彼らを助けようという意識ではなく、彼らやその家族と付き合ってみて、とっても楽しく、人間味溢れていて、それでいて奥深く、一筋縄ではいかない大変さも一杯で、そんな彼らにすっかり洗脳されて気がついたらやりがいがあって、のめり込んでいた、そんな感じですね。
世の中には、至る所に、優生思想があります。LGBTの発言にしろ、相模原障がい者施設殺傷事件にしろ、マジョリティー側を自認する一部の自分勝手な人の意見の様に思えますが、おそらく世の多くの人の潜在意識の中に、少なからずある、そんな思想です。自分が病気になって、自分の子どもに障害が判明して、自分の子どもが不登校になって、はじめて気づくのです。誰しもがあるかもしれないことなのに。
動物の世界には、種の保存のために、優性形質が残され、劣性形質が自然淘汰される仕組みがありますが、人間は高等な機能を獲得した生き物ですから、考えたり、想いやったり、工夫したり、いろんな対応が可能なレベルに到達しています。マジョリティー、マイノリティーと分けること自体がナンセンスだとみんなが思えるような社会になって欲しいなと思います。
元気な赤ちゃん、いたずら好きの小学生、落ち着きのないADHDさん、こだわりの強い自閉さん、手足の不自由な中学生、寝たきりで医療ケアを沢山必要とする重度の子どもたち、人工呼吸器を手放せない成人の脳性麻痺さん、てんかんをお持ちのこどもから60歳台の方まで、本当に多彩な顔ぶれが、待合室に混在しています。いろんな特徴、いろんな個性を持っている人たちが一堂に会する、そんな診療所を(自分勝手に)目指してきました。
そういう、気持ちで日々診療に向き合っている人間としては、この種の発言、この種の事件は許しがたき内容です
「いろんな」真っ黒くろすけさん達
東京医科大学事件
ちょっと毛色が違う話です。東京医科大学が医学部医学科の一般入試で女子受験者の得点を一律に減点し、合格者数を制限していたことが判明したニュース。医師を目指して真面目に勉強している女子学生さんは大変憤っていたに違いないですね。私の周りにもいます!さらに現役医師の約60%がその操作を「理解できる」と答えたというニュースも。
私も開業までは、大きな病院で、もちろん女性医師とも仕事をしてきた立場ですので、結婚、出産、育児などで、勤務に制限が生じるケースに何度も出会いました。現場のマジョリティー(2014年データで、医師の総数29万6845人、男性医師23万6350人、79.6%、女性医師6万495人、20.4%)である、男性医師に仕事量が偏ることは確かにありますが、家庭のことをやりながら、一方で医療の世界にも貢献している女性は、それなりに大変な思いをしながら働いているわけなので、それをマジョリティー側からの意見しか述べてないことに、残念な気持ちです。
悔しいことですが、女性の方が成績優秀が多いことは学生時代を思い返しても実感しますし、丁寧な仕事ぶりや女性ならでは視点など、男性には無い付加価値も沢山あり、男性は女性にかなわない、そんなことも認めざるを得ません。2017年12月には、米国医師会の学会誌JAMA Internal Medicineに「女性内科医が担当した入院患者は、死亡率や再入院率が低い」という調査結果が掲載されたことも話題になりました。
私も男性ですから、女性医師「にも」負けたくないという意識はありますが、そもそも男性が女性より勝っているのか?
こんなことを感じさせるエピソードは結構あります…
日々の診療をしていて、一番に思い浮かぶのは、「男の子はとっても泣き虫である」ということです。予防注射や普通の診察など、母親の膝の上で、ギャギャー泣いては抵抗するのは決まって男児。統計とってはいないけれど、印象としては泣き虫度は、男児8女児2くらいですね。仮に泣いても女児は診察室を出ると場面が変って泣き止みますが、男児は下手すると診療所をでるまで「ずっとしつこく」泣いてます。切り替えができず、わがままです。母を困らせたり、母を叩いたりして泣き叫ぶのは、大抵男児。同じ男として情けないくらいです。中学生くらいになっても、注射するときに、「ちょっと待って」と往生際の悪いのもきまって男児ですね。
それを見守る女性である母親も、母性本能でしょうか、男児にはべったりだし、甘やかしているし、手をかけ過ぎているし、娘ににはもっと淡々とした対応なのに。
こんな、情けない男児が、中学くらいになれば、「おかん、うるさい」何やらで偉そうに振る舞う様になるんですよね。さらに大人になっても女性に偉そうな態度をしたり、ときにDVになったりと。決して自分の意見をきちんと言えないくせに、いざとなったらすぐ手を上げたり、偉そうに言ったり、困ったら自分勝手に投げ出したりと、いつの間にか、男性優位の「優生思想」に近づいています。
こんなこどもを見ていると、やはり生物学的に、遺伝学的に、また人類学的にみても、そもそも優れているのは女性では?と思う事が一杯です。
我が家は圧倒的に女性優位(妻、娘2名、祖母)で、さらに口の達者な女性軍なので、男性(祖父、私)は尻に敷かれていますが、それぐらいが丁度いいバランスでしょうか。
そうそう「予想外」と「女性優位」に絡んだ話題が一つ。
我が家には、男性軍の助っ人メンバーに、ダックスフントの♂はじめ君がいました!人間の男児と同様、あかんたれ、泣き虫、心配性で抱っこ癖がついているワンコですが、このたび訳あって、「予想外に」お友達(援軍)がやって来ました。マルチーズの♂クッキー君です。とっても小さなお友達ですが、なかなかのしっかりもので、はじめ君もまずはライバル意識バクハツです!
二匹の掛け合いはこれからです!
そんなこともあって、我が家が少しにぎやかに、そして少し和やかな雰囲気になっています。
長女がとってもしんどかった時期に、我が家を救いにきたはじめ君と同様、今回も私たちの心を和ませる役割をクッキー君が担ってくれるといいなと思います。
そういうわけで、我が家も、これまでの女性の数的優位から、やっと数的対等に持ち込めました(♀:祖母、妻、娘2人 vs ♂:祖父、私、はじめ、クッキー)ので、これから我が家では対等に戦っていけると思うと武者震いです(ほんとうは怖くて 戦えない…)
「頑張ろー!おー!ワンワン!キャンキャン!()」
そんなこんなで、世の中は女性も男性もありません。
マイノリティーも、マジョリティーもありません。
みんなで一緒にですね
最後に、前回のブログに掲載した、トトロのハリボテ作製。
その第2段を作製しました!
当初の計画と違い、「予想外に」とっても大きな作品になりました!
時間も、材料も、労力も全てが半端ないくらいかかりましたが、満足のいく出来映えとなりました。もちろん、私一人ではなく、妻の協力も沢山もらいました
診療所のロビーに飾っていますので、一度ご覧下さい。
今年の後半戦、楽しく嬉しい「予想外」と出会えるといいなあと思います
M.A.