福井の「ダチョウ恐竜」新種 | 歴史ニュース総合案内

歴史ニュース総合案内

発掘も歴史政治も歴史作品も

 福井県立恐竜博物館は2023年9月8日、勝山市でダチョウ恐竜の新属新種を発見したと発表した。サイエンティフィック・レポーツ誌での論文で福井県立大恐竜学研究所の服部創紀助教授らが掲載した学名は、「ティラノミムス・フクイエンシス」(福井のティラノ擬き)だ。

 白亜紀前期の手取層群北谷層で1998年からの21年間に出土した化石55点(うち2017年に12点、その翌年に28点)を分析し、全身羽毛に覆われた外見から駝鳥恐竜と呼ばれるオルニトミモサウルス類の仲間と鑑定。個体は複数あり、ティラノサウルスにみられる腸骨の垂直稜や、上腕骨に既知の種では見られぬ小穴を認め、新属新種とした。全長2mで雑食か草食であり、肉食から草食に変わる途上の種という。獣脚類のオルニトミモサウルス類は平均して3m前後の大きさになるため、小型となる。オルニトミモサウルス類の化石に頭骨が含まれているのは初めて。

 今回の発見により、ティラノサウルス上科の特徴と思われてきた腸骨の垂直稜がオルニトミモサウルス類にもみられることが判明。この腸骨はポルトガルで化石が発掘されたアヴィアティラニスが、ティラノサウルス上科でなく最古のオルニトミモサウルス類の化石に変えうる発見となる。