韓国文化財庁は8月12日、現存最古の韓国国旗「デニー太極旗」を国家宝物に指定予告した。この他、三・一運動期につくられた「ソウル津寛寺太極旗」や独立闘士の金九が1941年に署名した太極旗も国家宝物となった。
国立中央博物館が所蔵するデニー太極旗は、朝鮮国の外交顧問でもあった米国外交官オーウェン・ニッカーソン・デニー(1838~1900)が1891年の帰国時に持ち帰ったもので、縦182.5cm、横262cm。周囲の四卦が黒色でなく青色で、太極の二色の配置が現行とやや異なる。色が国旗を1882年に制定した朝鮮国が近代化のために外交努力したことを示す証となる。
津寛寺太極旗は、2009年に津寛寺の七星閣で発見された。宗主国の日の丸の上に太極旗の模様を描いた唯一で最古の事例であり、朝鮮王朝では冷遇されていた仏教寺院が近代の独立運動の拠点になっていたことを示唆している。
大韓民国臨時政府国務委員会の主席だった頃の金九が署名した太極旗(縦44.3cm、横62cm)には、「強弩未勢」なる仇敵日本を打倒し、独立する決意を示した「義句」が143字墨書されている。同旗を受け取ったベルギー人のシャルル・メウス神父が、独立闘志の安昌浩の妻に渡したものが1985年に独立記念館に寄贈されていた。
太極旗のデザインでは、中央の円が陰陽を意味し、周囲に八卦のうち4つが配されている。1949年に韓国国旗とされた同旗は1882年8月、特命全権大使の朴泳孝(パク・ヨンヒョ)が日本に向かう船上で発案したと伝えられてきた。しかしながら、同年7月の時点で米海軍省が発行した「海上国家の旗」に同デザインの太極旗が記載されており、同年の米朝修好条約交渉の頃に既に使用されていたという。2004年に注目された新発見だが、船上で発案されたという既存説の方が伝承くさくもある。