アカペラーの間でもかつて人気があった楽譜作成ソフトのFinaleシリーズ、
現在は無料のMuse Scoreが人気ですが、綺麗で素早く楽譜を作成するには、有料の方が良いです。
Finaleは2024年8月下旬に開発・販売終了のアナウンスがされました。
出版業界では最も使われているソフトで、楽譜作成界隈にかなりの衝撃を与えました。
公式サイトより代替品としてSteinberg社のDoricoが推奨されています。新しい開発環境、ユーザ目線で作成されたので、非常に使い勝手が良いとのことです。
私も体験版(Dorico pro5)をインストールしてみました。
慣れは必要ですが、使い勝手がよく便利なので正式に購入する予定です。
Finaleと比べてよかった点をいくつか紹介します。
iPadで楽譜作成可能(無料)
Doricoは、iPadでも楽譜を無料で作成できます。今まで無料で使い勝手の良いタブレット端末向けの楽譜作成ソフトはほとんどありませんでした。iPad版のDoricoは浄書機能やパート数に制限はありますが、アカペラ楽譜を作成する上で必要な機能はほぼ網羅されています。慣れが必要ですが、操作も簡単で、すぐに楽譜作成に取り掛かれます。
また、MusicXMLファイルにも対応しており、MuseScoreで作成した楽譜をDoricoに取り込むことや、その逆も可能です。PCで操作するのが苦手な人にもおすすめです。
Dorico for iPad: 楽譜作成アプリ | Steinberg
レイアウトが簡単、綺麗
楽譜レイアウトが非常に簡単にできます。五線譜同士の間隔もmm単位で直接入力でき、均等に配置できます。さまざまな部分において細かく設定できます。

拍の途中から音符が配置可能
Finaleでは、小節の1拍目からしか音符を置くことができませんした。
Doricoの場合には、拍の途中から音符を置くことができます。
譜例では、4拍目に4分音符を置きました。オレンジ色の線に合わせることで、任意の拍に音符を配置することが可能です。それ以外の拍は休符が自動的に置かれます。

アカペラ楽譜を作る場合には1拍目に音符を置かないことも多く、この機能は非常に便利です。
違う音価の音符で上書き可能
Finaleでは音符を配置し終わった後に一度音符を消す必要がありましたが、Doricoではその必要はなく、音符を置きたい拍に配置するだけで上書きできます。非常に便利な機能ですが、誤って上書きすることもあるので注意が必要です。
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ボイパ譜が簡単に作成可能
Finaleではボイパ譜を作るのが非常に面倒でした。バスドラ(音符が下向き)とそれ以外(音符が上向き)で声部を切り替えながら音符を配置していく必要があります。Doricoでは、音色ごとの設定をするだけで市販のドラム譜、ボイパ譜のような楽譜がすぐ作れます。

高速ステップのような操作も可能(要設定)
Dorico Ver5.1.60(Ver5の人は無料アップデート可)よりFinaleの高速ステップに近い形が可能となりました。「編集タブ」>「環境設定」「キーボードショートカット」>「シャドウノートをステップ上げ(下げ)」に対してショートカットキー(↑、↓)を割り当てることにより、音符入力時に、↑、↓ボタンで音高の操作ができるようになりました。

この万能ツールもメリットばかりではありません、デメリットもあります。
音符が書き換わる
Doricoでは、選択されている音符に対して変更を行います。
例えば、変更した音符をクリックし、音価(音の長さ)を選び変更します。
ところが、すでに音符が変更したい場所と違う箇所で選択されているとその音符が変更されてしまいます。
自分の気づかないところで音符が変更されていることもありえるのです。
ここは非常に気をつけることだと思います。

是非Doricoを使ってアカペラ楽譜に挑戦してみてください。
アカペラの練習方法、アレンジについてさらに学びたい方は、アカペラパーフェクトブックシリーズを読んでみてください。アカペラの練習方法、アレンジ(楽譜作成)、ボイパ方法など、アカペラを行う上で必要な情報が網羅されており、初心者向けのアカペラ楽譜も収載しています。
追記:Doricoを購入するとFinale27(英語版)がダウンロードできるとアナウンスされた件について、続報があったので、追記します。入手方法について、以下の記事でまとめています。
Finaleの英語版の入手方法(Doricoクロスグレード購入者) | アカペラ楽譜作成(アレンジ)、練習方法上達ブログ
MakeMusic社のeStoreにてDorico Proクロスグレードをご購入しなければ適用されない
ようなので、ご注意ください。以下添付されたメールです。
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拝啓 MakeMusic製品ご登録ユーザー様各位
(本メールはFinale 27ユーザーの方にも念のためお送りしております)
8月28日に、楽譜作成ソフトウェアFinaleの開発/販売元であるMakeMusic社がFinaleの開発/販売終了をアナウンスしましたことをご案内させて頂きました。その後、MakeMusic社が8月30日(米国時間)に「MakeMusic社の英語WebページでMakeMusicアカウントの登録をされていて、MakeMusic社のeStoreでDorico Proクロスグレードの購入者にはFinale 27(英語版)のダウンロード版を提供する」との追加のアナウンスがありました。
2024年8月28日に弊社から日本の皆様へご紹介させて頂きました、株式会社ヤマハミュージックジャパンLM営業部様の日本語WebサイトでのDorico Proクロスグレード優待販売に関しまして、MakeMusic社の追加のアナウンスを受けてヤマハミュージックジャパン様に確認しましたところ、ヤマハミュージックジャパン様ではDorico Proクロスグレードを購入された方へのFinale 27(英語版)ダウンロード版の提供はできないとのご連絡を頂きました。
Dorico Proクロスグレードを検討されているFinale 27をお持ちでない日本のユーザーの皆様で、MakeMusic社からの追加のアナウンスにありますDorico Proクロスグレードの購入者にFinale 27(英語版)ダウンロード版の提供を希望される方は、MakeMusic社のeStoreにてDorico Proクロスグレードをご購入いただく必要があるということになります。このMakeMusic社の8月30日の追加措置は、Finale 27をお持ちでない日本のユーザーの皆様に対して、Finale 27に搭載されたMusicXMLの現行バージョンであるMusicXML 4.0を使用してFinaleファイルをXMLファイルでエクスポートし、そのファイルをDoricoでインポートすることを考慮されています。
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