奇天烈音楽館・別館 -10ページ目

はじめての紅白歌合戦

いまはまったく見ることがなくなったNHK「紅白歌合戦」ですが、子どもの頃は結構熱心に見ていました。
なかでも1972(昭和47)年の紅白歌合戦は実に鮮明に記憶として残っています。そうです、希代の実力派歌手・朱里エイコさんが初出場を果たしたのです。

朱里エイコさんに関しては以前本家ブログでも書きましたが、10代の頃から本場ラスベガスの舞台を経験し、最後はかのフランク・シナトラのバックまで務めたほどの実力派。歌はもちろん踊りの上手さも群を抜いていました。それもそのはず、お母さんがダンススクールを経営しお父さんはオペラ歌手という超がつくサラブレッドだったのです。

ラスベガスで成功を収めた朱里エイコさんは、凱旋帰国します。「逆輸入歌手」の先駆者的存在です。そして1972年に出した「北国行きで」の大ヒットでいきなり紅白初出場を果たすのです。歌謡曲の歌姫は美空ひばりさんだとよくいわれますが、ポップス部門では間違いなく朱里さんがナンバー1だと信じて疑いません。

しかし、あまりに本格的過ぎた彼女の曲は日本では受け入れられなかったのかもしれません。世に出るタイミングが早すぎたのです。これといったヒット曲に恵まれず、いつしか表舞台から姿を消してしまいます。たまに名前をみかけても愛人との刃傷沙汰で逮捕されたり、ステージをドタキャンするなどのスキャンダラスな一面ばかりが目立ちました。しかも肝臓病を長らく患い、投薬の副作用から激太りぶりが話題にされたことも。ちなみに朱里さんは一滴もお酒が飲めなかったそうです。

晩年の朱里さんは足立区のスナックで月に何回か歌うことで生活の糧を得、生活保護も受けていたとか。
そして、2004年に56歳という若さでこの世を去ります。亡骸もしばらく引き取り手がなかったということですから、いかに社会から隔絶されていたかがわかります。

そんな悲しすぎる最期も手伝って、毎年、紅白の季節になると朱里エイコさんのことを思い出してしまうのです。

ちなみに映像のはじめに朱里さんを呼び込んでいるのは、紅組キャプテンを務めた佐良直美さんです。

 次の北国行きが 来たら乗るの
 スーツケースをひとつ 下げて乗るの

 あ~ 何も貴方は知らないの この街と別れるの
 明日 貴方にお別れの 手紙が届くわきっと

 いつも「別れましょう」と言ったけれど
 そうよ 今度だけは本当の事なの

 次の北国行きで 消えて行くの
 二人 愛した町を 去って行くの

 あ~ 愛に疲れた二人なら このままで身を引くの
 憎み合わない、そのうちに 私は消えて行くの

 いつも「別れましょう」と言ったけれど
 そうよ 今度だけは本当の事なの

 あ~ 電話かけてもベルだけが 空き部屋に響くだけ
 明日 私がいない事、その時に気付くでしょう

 いつも「別れましょう」と言ったけれど
 そうよ 今度だけは本当の事なの


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はじめてのブルーノート東京

生来の出不精のうえに人ごみが苦手な私はライブを見に行くことも実はあまりありません。
しかし、「これは絶対見逃したら一生後悔する」という場合は、
もちろん迷うことなく出撃します。

ジャズギターの革命児・John McLaughlinが「The Free Spirits」というトリオで来日したのは1993年の12月。
いまでこそ超売れっ子になってしまったオルガン奏者Joey DeFrancesco(ジョーイ・デフランセスコ)とドラム奏者Dennis Chambers(デニス・チェンバース)を従えてのトリオです。
これは絶対に見逃してはいけません。

当時は30代に突入したばかりでしたが、恥ずかしながらJAZZクラブに入るのは初体験。
居酒屋とはまったく異なるゴージャズな雰囲気に圧倒されてしまいました。
そう、情けないことにアガッてしまったのです。

とはいいつつ、おもむろに席に着くとお店の人がオーダーをとりにきました。
そっか、ここはただライブを聴くだけではなく、お酒も頼めるのね。知らなかった。
またしても緊張感が漂います。
いつものように「レモンサワー」というわけにはいかないので、一番安い「生ビール」を注文しました。
だいいち、メニューには居酒屋と違ってレモンサワーもアタリメも載っていません。
お通しも出てきません。
しかし、生ビールを発注したもののお店の人はその場から立ち去る気配をみせません。

え! 生ビールは駄目なの? どうして、どうして(@_@;)
「お食事はどうされますか?」
なるほど、美味しいお酒と小粋なディナー、そしてお洒落なJAZZという演出なんですね。
こりゃ、敷居が高いわ!
結局、不承不承、食べたくもない「サラダ」を1品注文するはめにw

肝心のライブですが、そりゃもう大満足の一語。
当日の音源はCDにもなっています。
Tokyo Live/Free Spirits

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ブルーノート東京

はじめての「帝王」

高校入学までは、JAZZは大人の音楽だという先入観がありました。

実際、テレビに出てくるJAZZといえば原信夫、世良譲、渡辺貞夫、阿川泰子、アンリ菅野といった苦みばしっているか、妙にニヤニヤしているか、妙な色気を振りまく大人たちばかり。
世良譲が実にイヤラシイ表情を浮かべつつ伊東ゆかりの後ろ姿を眺めながらバックをつけるという妙な固定イメージがあったのです。
当時は生粋のHR少年でしたから、そうした妙に大人ぶってお洒落な音楽に対して若さゆえの嫌悪感を抱いていました。

ところがある日、高校の同級生の家に遊びに行った時から私の価値観は180度変わることになります。
「JAZZでも聴いてみる?」とおもむろに出されたのは、帝王ことMiles Davisの「Black Beauty」。1970年、フィルモアでのライブ盤です。

スピーカーから飛び出てきたのは、帝王の慟哭の叫びです。しかも、エフェクターによって極端に歪みワウワウまでかかっています。えっ!ワウワウってトランペットでも使うわけ!?
バックを務めるリズム隊もドシャドシャと派手に暴れまくっています。
ある意味、ロックよりもロックらしい自由性と暴力性。
何なんだ!これは!と驚いてしまったのが運の尽き。病膏盲に入る…そんなうなされた状態がいまをもって続いているのです。

ジミヘンやThe Whoなどが出演した「ワイト島」ライブ映像です。若きキース・ジャレットとチック・コリアの姿を見ることができます。

Legendary performance at the Isle of Wight Festival, 1970.
Miles Davis (trumpet), Gary Bartz (sax), Chick Corea (piano), Keith Jarrett (organ), Dave Holland (bass),
Jack DeJohnette (drums), Airto Moreira (percussion)


Black Beauty/Miles Davis

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