2023年7月17日、マレーシア クランタン州のソフィー=ルイーズ皇太子妃がクランタン州の首都コタバルにあるマレーシア医科大学病院(HUSM)で第一子の王子を出産しました。



スウェーデンの民間出身のチェ・プアン・ソフィー・ルイーズ・ヨハンソン・ペトラ(37)はテンク・ムハマド・ファイズ・ペトラ皇太子(49)の妻であり、クランタン州の皇太子妃です。


誕生した王子はヨハンと名付けられました。ヨハンという名前はドイツ系の男子に多く使われる名前で、聖書の人名ヨハネに由来します。英語ではJohn(ジョン)、フランス語ではJean(ジャン) 、 スペイン語ではJuan(フアン) 、ポルトガル語ではJoão(ジョアン) と表記される名前で、西洋式の名前が付けられたようです。スウェーデンでもヨハン2世(デンマーク王ハンス)、ヨハン3世、カール14世ヨハンなど、歴代国王の名前にも使われる名前です。
イスラム教の王家の後継者にキリスト教の聖人に由来する名付けに驚きましたが、イスラム教ではムハマンド以前の預言者も聖人として扱い、イエスキリストも聖人の一人として扱う宗派もあるそうです。マレーシア、クランタン州の聖人に対する扱いは不明です。



ヨハン王子の伝統的な正式名はテンク・ムハンマド・ヨハン・ビン・ムハンマド・ファイズ・ペトラです。テンクとは王子を意味し、王室の男性は全員ムハンマドという名前を持ちます。





マレーシアの国王は5年の任期を持ち、マレーシア連邦を構成する13州のうち9州の君主である9人のスルターンから選挙で選ばれます。ただし、各スルターンが輪番で国王に選ばれることが慣例となっており、選挙は形式的なものです。

現在のクランタン州スルタンであるムハンマド5世は、2016年に第15代マレーシア国王に選出されましたが、2019年1月に任期3年を残して退位し、パハン州のアブドゥラ・アフマド・シャー州王が新国王に選ばれました。

2023年5月6日にイギリス・ロンドンで行われたチャールズ国王とカミラ王妃の戴冠式に出席されたマレーシアのヤン・ディ・ペルトゥアン・アゴン・アルスルタン・アブドラ・リヤヤトゥッディン・アルムスタファ・ビラー・シャー国王とラジャ・ペルマイスリー・アゴン・トゥンク・ハジャ・アジザ・アミナー・マイムナ・イスカンダリア王妃




ムハンマド5世は王位を捨てて元ミス・モスクワでモデルのロシア人美女と結婚しましたが、退位直後に離婚。日本でも少し話題になりました。




ムハマド5世の退位から約3ヶ月後、弟のテンク・ムハマド・ファイズ・ペトラ皇太子も兄に続いて外国人女性と結婚しました。




ソフィー=ルイーズ・ヨハンソンはスウェーデンのリンシェーピング出身、スウェーデン国籍の民間人でした。ソフィー=ルイーズ・ヨハンソンはイギリスでオペアとして働きながら留学していた期間に、同じくイギリスに留学していたテンク・ムハマド・ファイズ・ペトラ皇太子とロンドンで出会いました。お二人が出会った時期や交際期間等は明らかにされていませんが、2018年のバレンタインデーに皇太子がプロポーズしたと報道されています。

※オペア留学とは現地家庭にホームステイをしながら、家事や子どもの面倒を見てお給料をもらい、学校に通うなど海外で暮らすことができるプログラムです。アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアやドイツなど、世界各地で多くの日本人がオペアをしています。





2019年4月19日、コタバルのイスタナ・バライ・ベサール宮殿でテンク・ムハマド・ファイズ・ペトラ皇太子(当時45)とソフィー=ルイーズ・ヨハンソン(当時32)は結婚式を挙げました。スウェーデンからのソフィー=ルイーズ皇太子妃の家族も含めた300人のゲストが出席しました。




結婚に伴いイスラム教に改宗し、正式にクランタン州チェ・プアン・マコタ(皇太子妃)の称号を得たソフィー=ルイーズ妃ですが、祖国スウェーデンへも忠実であり続けます。




スウェーデン料理のレシピを定期的に共有したり、カネルブッラー(シナモンロール)などのスウェーデン料理を使ったチャリティー活動を行っています。




毎年6月6日のスウェーデン建国記念日には民族衣装ブナドを着用し、この行事に関する歴史的事実を共有しています。





テンク・ムハンマド・ファイズ・ペトラ・イブニ・アルマルフム・スルタン・イスマイル・ペトラ皇太子(1974年1月20日-)は、2010年10月18日に兄ムハンマド5世がクランタン第29代スルタンに即位したことを受けて、クランタン皇太子(テンク・マコタ)の称号を与えられました。スルタン・ムハンマド5世は3度結婚しましたが、(2人の妻とは離婚)正当な後継者がいません。


2018年6月7日にマレーシアのクランタン州コタバルで非公開で行われたイスラム式結婚式で、スルタン・ムハマンド5世はイスラム教徒の名前「リハナ」で知られる元ミスモスクワのオクサナ・ヴォエヴォディナと結婚。婚姻中の2番目の妻に黙って内密に結婚したと言われています。(マレーシアではイスラム教徒の一夫多妻制が認められており、4人まで妻を持つことが可能。ムハマンド5世の父である先代のスルタンも晩年の3年間、2番目の妻が居ました。)
2019年の退位はオクサナとの結婚に反対する勢力または世論によるものだと言われています。



メディアは2019年5月21日にモスクワで男児が誕生したと報じましたが、 男児誕生から1か月後の2019年6月22日、ムハンマド5世はシンガポールでオクサナと「タラク・ティガ」(第3のタラク)またはタラク・バーインによって離婚しました。この離婚は妻に結婚の解消を告げるだけで執行され、取り消し不能な離婚でした。オクサナに断りなく離婚が成立してしまったのでしょうか。




オクサナ・ヴォエヴォディナはInstagramで息子の写真を公開

ムハマンド5世は離婚直前に誕生した男児について自分の子供ではないと主張しているという報道もあります。
オクサナは自分の息子がスルタンの唯一の男性後継者「クランタンの皇太子」であり、「将来のマレーシア国王になる可能性がある」と主張したとされています。
現在、ムハマンド5世の子女としてクランタン宮殿によって発表および承認された人物はありません 。


ムハマンド5世は2004年に最初の妻と結婚しましたが、2008年に離婚。2010年に2度目の結婚をしました。

チェコ出身で2010年10月30日にスルタン・ムハンマド5世と結婚したヌール・ディアナ・ペトラ・アブドラ王妃(35)。
2022年8月2日に夫のスルタン・ムハンマド5世から、スルタナ・ヌル・ディアナ・ペトラ・アブドラ殿下、ケランタンのスルタナという形式でケランタンのスルタナの称号を授与された。結婚から12年、 ただの妃から王妃に昇格したようです。

2022年11月12日、スルタナ・ヌール・ディアナ・ペトラ王妃はクランタンのスルタン ムハンマド5世の53歳の誕生日祝賀会に合わせた叙任式で、769人の栄誉と勲章の受賞者リストの先頭に名前を連ねました。ヌール・ディアナ王妃に名誉親族階級(DK)およびビンタン・アル・ユヌシ勲章が授与されました。無断で新しい妻と結婚したということで本妻は冷遇されているのかと思いましたが、そうでも無さそうです。


現在のマレーシア国王であるアブドラ・シャー(パハン州のスルタン)の任期は2024年初めに終わり、次の国王はジョホール州のスルタンになると予想されています。このままムハマンド5世に正式な後継者が誕生しない場合、生まれたばかりのヨハン王子にもいつかマレーシアの王位に就く機会がめぐってきます。慣例通りに国王が選出され続けた場合、クランタン州は40年以内にマレーシア国王の王位が回ってきます。任期途中での退位または辞退があった場合には、時期がより早まる可能性もあります。



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