2023年5月31日、フレデリク皇太子の従弟でマルグレーテ2世女王の甥であるドイツ系デンマーク人の貴族、旧ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公国の第7代当主グスタフ王子(54)Prins Gustav af Sayn-Wittgenstein-Berleburgとカリーナ妃(54)Prinsesse Carina  af Sayn-Wittgenstein-Berleburgの第一子であるグスタフ・アルブレヒト王子が5月26日に誕生した事を発表しました。

夫妻は代理母による出産を予定していることを2023年4月に公表していました。




※ザイン=ヴィトゲンシュタイン(Sayn-Wittgenstein)は、ドイツ・神聖ローマ帝国の領邦国家の1つで、現在のノルトライン=ヴェストファーレン州に存在したヴィトゲンシュタイン伯爵領(Grafschaft Wittgenstein)が、14世紀にザイン伯爵家の傍系に相続されたことにより、ザイン=ヴィトゲンシュタインと称したものです。

ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク家は、約200年にわたって同名の主権郡を統治しました。1792年には公国に昇格しましたが、1806年に公国はヘッセン大公国に吸収されました。1918年、ドイツ帝国で君主制が廃止されると、ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルクの第4代リヒャルト王子(第7代グスタフ王子の曽祖父)の称号は、ワイマールおよび他のドイツ共和国によって認められなくなりましたが、その後は姓として合法的に保持されています。


グスタフ・アルブレヒト王子はアメリカで代理母による出産で誕生し、夫妻も出産に立ち会ったそうです。

グスタフ王子とカリーナ妃(2022年)


7代グスタフ王子の父親はザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公家代6代当主のリヒャルト王子で、母親はデンマークのマルグレーテ女王の妹ベネディクテ王女です。ベネディクテ王女は結婚後もデンマークの公務を続けており、王位継承権も保持しています。


ベネディクテ王女


デンマーク国内で義務教育を受けなかったベネディクテ王女の3人の子供たちは、国王フレデリク9世との取り決めによりデンマーク王位継承権がありませんが、 デンマークの評議会規則によってHighnesses(殿下)として扱われる事が定められています。


デンマークのフレデリク9世国王とイングリッド王妃(スウェーデン国王の娘)の間に生まれた三姉妹は、

長女がマルグレーテ女王、次女がベネディクテ王女、三女はギリシャ王国に嫁いだアンナ=マリア王妃です。


マルグレーテ女王、ベネディクテ王女、アンナ=マリア王妃(2021)






ザイン=ヴィトゲンシュタイン家当主のグスタフ王子は19年関連れ添ったパートナーのカリーナ・アクセルソンと2022年6月3日に民事上、6月4日に宗教的にドイツのバート・ベルレブルクで結婚式を挙げました。


グスタフ王子は長年、パートナーのカリーナ・アクセルソンと暮らしていましたが、1939年の祖父5代当主グスタフ・アルブレヒト王子の遺言条項が裁判所で無効とされるまで結婚することができませんでした。 遺言書では、プロテスタント、貴族、アーリア人以外の女性と結婚した場合、家督を相続することができないとされていました。



父親のリヒャルト王子は相続に関する遺言書の条件を満たすベネディクテ王女(デンマーク王女)と結婚し、家督と城と財産を相続しました。

一方、グスタフ王子が選んだ女性カリーナ・アクセルソンはアメリカ生まれの元モデルの作家でした。(父親はスウェーデン人、母親はメキシコ人)

作家としてはティーン向けファッション探偵シリーズ『Model Under Cover(モデル・アンダー・カバー)』で最もよく知られています。

また、モデルとしては1990 年代に『マダム フィガロ』、『エル』、『ヴォーグ パターン』の表紙を飾りました。 




2016年、夏季休暇をデンマーク王室と過ごすグスタフ王子とカリーナ・アクセルソン(右から3人目)



グスタフ王子とカリーナ・アクセルソンはベルレブルク城で暮らし、夫婦同然の暮らしをしていましたが、祖父の遺言書の条件を満たさないカリーナ・アクセルソンと結婚すれば、親族達が相続権を主張する恐れがあった為、事実婚状態が長く続きました。

グスタフ王子はザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公家の当主として、またベルレブルク城に本拠を置く同族会社ウィトゲンシュタイン=ベルレブルクスケ・レントカンマー社のトップとして、父リヒャルト王子のあとを継いでいました。



結婚が認められる前もパートナーとして家族の行事にも参加。ベネディクテ王女からザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク家のティアラもお借りしていたようて、夫婦同然の待遇でした。


右のティアラは2010年のマルグレーテ女王の70歳誕生日を祝う祝賀ディナーでカリーナがつけ始め、以後カリーナ・アクセルソン専用のティアラとして使われているようです。ウェディングティアラでもありました。
デンマークのヨアキム王子の結婚式や…

2013年にはスウェーデンのヴィクトリア王女の結婚式にもグスタフ王子のパートナーとして参列しました。






2017年3月21日、夫であるリチャード王子の葬儀に出席するベネディクテ王女


しかし、2017年に父リヒャルト王子が亡くなると、他の親族がカリーナ・アクセルソンとの関係を指摘し、相続を主張して提訴しました。カリーナ・アクセルソンはそれ以降パートナーとして公の場に姿を見せることをやめました。2020年にドイツの裁判所が祖父グスタフ・アルブレヒト王子の遺言書の結婚に関する条件を無効とする判決を出し、2022年4月にはデンマーク王室がグスタフ王子とカリーナ・アクセルソンの結婚を発表しました。

※多くの海外サイトでグスタフ王子の大叔父であるルートヴィヒ・フェルディナンド王子が提訴したと伝えられていますが、確かに大叔父にあたる人物でルートヴィヒ・フェルディナンド王子は存在しますが、この方は1943年に33歳で亡くなっているので、提訴したのは別の親族だと思います。また、大叔父というと「親の叔父」今回の場合は「祖父の弟」となるので、名前は違いますがもう一人の大叔父も1983年に既に亡くなっています。大叔父の子孫でしょうか?

父親のリヒャルト王子は5人兄弟ですが、女性に家督相続が認められていないので、家督相続を主張すると考えられるのは叔父のロビン王子(1938-)またはその息子のフェルディナンド王子(1971-)の可能性が高いです。



ザイン=ヴィトゲンシュタイン家はノルトライン ヴェストファーレン州最大の林業会社の 1 つを所有しており、現在のバート ベルレブルク市にあるベルレブルク城も所有しています。城は王朝継承の規則に従って、ザイン=ヴィトゲンシュタイン家の当主によって継承されてきました。リヒャルト王子の個人財産の少なくとも50%(推定5億ユーロ)は3人の子供たちに平等に相続され、残りの半分は故人の遺言に従って、子供、妻、または第三者の間で分配されたと言われています。






2022年6月3日、カリーナ・アクセルソンは19年間の交際を経て、ドイツ系デンマーク人の貴族、ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公第7代当主グスタフ王子と民事結婚し、ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公妃となりました。 



翌日、二人はバート・ベルレブルクで宗教的にも結婚式を挙げました。 

結婚式にはベネディクテ王女はもちろん、デンマーク王室のフレデリク皇太子、メアリー皇太子妃、ヨアキム王子、マリー妃が出席されました。



結婚当時53歳の2人には子供を授かる可能性は低く、グスタフ王子には弟もいないため(妹が2人いるが、女性は家督相続不可)、後継者は叔父のロビン王子とその息子のセバスティアン王子と見られていました。ロビン王子とセバスティアン王子も家督は一旦譲ったものの、将来的には自分たちのものと思っていたところに代理母出産!しかも赤ちゃんの性別は男の子でした。(男児が産まれなければロビン王子の子孫に家督が渡るはずでした)


ちなみに赤ちゃんのグスタフ・アルブレヒト王子の名前の由来が、夫妻を長年苦しめた遺言書の主である5代当主グスタフ・アルブレヒト王子であるのが気になります。



長年結婚と出産を許されなかったグスタフ王子とカリーナ妃でしたが、待望の赤ちゃんも授かり、家督相続も安泰。おめでとうございます!!!



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