2023年6月19日、チャールズ3世国王はウィンザー城のセントジョージ礼拝堂で、ガーター勲章の式典を主宰しました。毎年6月にセントジョージ礼拝堂で騎士団の特別感謝礼拝が行われます。

生涯に何度もガーター騎士団の式典に出席してきたチャールズ国王は、初めてこの由緒ある騎士団の式典を主権者として主宰しました。ガーター騎士団の団員でもある王室メンバーやその配偶者もウィンザーでの式典に出席しました。



キャサリン皇太子妃は騎士団員(ナイト)の妻として出席。





ガーター勲章(Order of the Garter)はイングランドの最高勲章です。正式なタイトルは“Most Noble Order of the Garter”(最も高貴なガーター勲章)。グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の栄典においても騎士団勲章(order)の最高位とされていますが、全ての勲章の中ではヴィクトリア十字章とジョージ・クロスが上位とされています。



ガーター勲章を授与できるのは主権者である国王だけで、国王、プリンス・オブ・ウェールズ(皇太子)、非常に重要な王族、友好国の君主を除いて、24名しか受章することができません。公職に就いた人、国民生活に特定の形で貢献した人、または主権者に個人的に仕えた人を称えるために、主権者(チャールズ国王)によって個人的に選ばれます。 



今回はアップホーランドのアシュトン女男爵キャサリン・アシュトン(左、政治家、一代貴族※)はガーター騎士団のレディ・コンパニオンとして任命され、バーンズのパッテン男爵クリストファー・フランシス・パッテン(右、政治家、一代貴族)はガーター騎士団のナイト・コンパニオンとして任命されました。


※一代貴族はイギリス貴族のうち世襲ではなく、一代限りで貴族に叙された者で、現在の制度は1958年の一代貴族法で制定されています。一代貴族は全て男爵または女男爵(baron/baroness)位であり、終身で貴族院議員となります。1985年以降は世襲貴族は王族を除いてまったく創設されておらず、臣民が叙されるのは事実上一代貴族のみとなっています。1999年にはトニー・ブレア政権によって貴族院法が制定され、世襲貴族の議席が92議席に限定されたため、貴族院議員の大多数は一代貴族になり、貴族院は「先祖の活躍と地位のみに基づく」世襲貴族中心の議院から本人の実績や経験に基づく一代貴族が中心の議院へと転換されました。




700年近いの歴史を持つこの騎士団は、エドワード3世によって1348年の4月23 日のセント ジョージの日に設立されました。

1348 年、エドワード3世は息子のウェールズ皇太子エドワード・オブ・ウッドストックをガーター騎士団の騎士に任命し、ガーター勲章を授与しました。  



1948年以来、6月にウィンザー城で行われる式典は、ガーターセレモニー(Garter Ceremony)、またガーター・サービス(Garter Service)と呼ばれ、その年に新たに叙任される勲爵士があれば叙任式が開かれます。




ウィンザー城での叙任式が終わると、正装姿の騎士団員たちが、新しく叙された騎士団員を先頭にウィンザー城内のセントジョージ礼拝堂まで行進します。この行進は公開されており、観光客も見物することができるそうです。




騎士団の正装であるマント。ウィリアム皇太子、グロスター公爵リチャード王子等は戴冠式でもこのマントを着用されました。アン王女やキャサリン皇太子妃は別のマントでした。

↓マントの違いについては過去の記事で紹介しました



セントジョージ礼拝堂に到着したチャールズ国王(74)とカミラ王妃(75)。暑い季節にマントを羽織って数百メートル行進するのは高齢のお二人には大変だと思います。
ガーター騎士団のメンバーであるアレクサンドラ王女(86)は健康上の理由により欠席されています。
アンドルー王子は王室騎士団員の一員として昼食会には参加されましたが、昨年同様行列に参加することは許可されませんでした。
また、ケント公爵エドワード王子(87)も礼拝堂での式典には出席されましたが、行列には参加されませんでした。

セントジョージ礼拝堂に到着されるケント公爵エドワード王子



ウィンザー城でガーター勲章の礼拝を前に気を失った近衛騎兵隊の隊員も。  


この帽子を暑い時期に長時間被るのは危険そうです‥‥




カミラ王妃は2022年1月1日に叙任されています。
騎士団員(ナイト・コンパニオン)の妻ではなく騎士団員(レディ・コンパニオン)として出席されるのは今回が2回目です。


ティモシー・ローレンス中将、グロスター公爵夫人バージット妃、キャサリン皇太子妃、エディンバラ公爵夫人ソフィー妃等騎士団の配偶者達は行列を見守ります。








ウィリアム皇太子の姿を見つけたキャサリン妃の笑顔がかわいいです。


プリンス・オブ・ウェールズは自動的にガーター騎士団のメンバーとなりますが、ウィリアム王子は2008年に団員番号1000番で叙任されています。



キャサリン皇太子妃のカーテシー

戴冠式ではマントの中に軍服を着用されたアン王女も、今回はカミラ王妃と同様に白いドレスを着用されていました。




行列はセントジョージ礼拝堂の中へ進みます。


チャールズ国王夫妻も階段を登りきり、やっと教会内へ。

礼拝中のセントジョージ礼拝堂。礼拝は非公開で行われます。



キャサリン妃の今回の衣装は昨年のロイヤルアスコットで着用されたポルカドットドレスに雰囲気が似ていました。両方ともお気に入りブランドのAlessandra Richのものですが、ロイヤルアスコットで着用されたドレスは白地に茶色のドット柄、帽子とパンプスも茶系の物を合わされていました。
今回、キャサリン妃はAlessandra Richのビスポークドレス、パンプス、帽子、クラッチバッグと新しいアイテムでコーディネート。2日前のトゥルーピング・ザ・カラー続いて今回も式典に対する気合を感じます。


Jennifer Chamandi
VITTORIO 85
Ivory Nappa Black Patent Micro Toe Cap
£580(約105,200円)



そして、キャサリン妃のクラッチバックはソフィー妃のチェーンバッグとブランドとカラーがリンク!
これは偶然でしょうか?


ソフィー妃は5月17日のコンウォール訪問でも使われていたバッグです。今回はフォーマルな場に合わせて付属のチェーンストラップに付け替えて使用されました。


EMILIA WICKSTEAD
Mara Floral Taffeta Faille Midi Dress
£1,628(約295,300円)

Jane Taylorのグラデーションが美しい帽子。2022年のロイヤルアスコットで着用されたものを再び着用されました。



グロスター公爵夫人バージット妃は派手さはないものの上品なコーディネート。衣装に合わせたジュエリーも素敵です。
戴冠式では次女ローズ・ギルマンがバージット妃のように左右対称にブローチを身に着けていました。












トニー・ブレア元首相



礼拝終了後、王室のメンバーは順番に馬車に乗り込み、会場を去りました。




新ファブ4の4ショット



とても仲が良さそうなキャサリン皇太子妃とソフィー妃





アン王女、ティモシー・ローレンス、エドワード王子、ソフィー妃が馬車に同乗されました。



グロスター公爵リチャード王子とバージット妃









臣民の騎士団員は24名と定員がありますが、24名の騎士団員に加えて王室のメンバー、海外王室の叙勲には定員は無いようです。





現在の王室の騎士団員(叙任日順)

・ケント公爵エドワード王子

・プリンセス・ロイヤル アン王女

・グロスター公爵 リチャード王子

・アレクサンドラ王女

・ヨーク公爵アンドルー王子

・エディンバラ公爵エドワード王子

・プリンス・オブ・ウェールズ ウィリアム王子

・カミラ王妃


カミラ王妃もチャールズ国王の即位前に叙任されていたので、いずれはキャサリン妃も叙任されるでしょう。


現在の外国人騎士団員(叙任日順)

・デンマーク女王マルグレーテ2世

・スウェーデン国王カール16世グスタフ

・スペイン前国王フアン=カルロス1世

・オランダ ベアトリクス前女王

・日本の前天皇 明仁上皇

・ノルウェー国王ハーラル5世

・スペイン国王フェリペ6世

・オランダ ウィレム=アレクサンダー国王




2019年のOrder Of The Garter Service にはスペイン国王夫妻とオランダ国王夫妻も出席されました。


いずれ日本の徳仁天皇陛下もガーター勲章を叙任されるかもしれません。



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以上です。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。