皆さんこんばんは。
アクション・ホラー映画フリークのいわしでございます。
世間は何かとコロナウィルスでざわついておりますが、なかなか外出もままならない状況になったら映画でもみて気分を紛らわせましょう。
特に単純明快、スカッとするアクション映画なんかオススメですよ。

まあそんなブラックな時事ネタはさておき。
以前のこのいわしの映画独論シリーズにおいて間違いないの少ないカンフー映画の楽しみ方と題しまして、背景にある中国の歴史を知りましょうというコラムを書かせてもらいました。
ストーリー性を重視する作品やカンフー作品でもその背後にある歴史的事件を知るとより一層作品への評価が変わってくるということで大きく時代で分けてその代表となる作品を紹介したのですが、小難しい中国の歴史は敷居が高い!なんて方も多数いるとおもいます。
それでも間違いの少ない作品選びをしたい!そんな方々のために今回の独論は違う観点からの作品選びを紹介していきたいと思います。

中国の歴史アクションはその事件、時代とともに必ず名高い『有名人』が存在します。
三国志の時代では数多のきらびやかな有名武将たちが今でも広く知られているわけですが、こと歴史カンフー映画においても有名な人物は多くそして多くの作品を残しています。
今回はこの人物の名前が出てくる作品はほぼアクションにおいてはハズレることは少ないという有名人を幾人か紹介し、皆様の作品選びの参考にしてもらえればと思います。


まずご紹介しますのが、近年最もカンフー映画で取り上げられている達人
『葉問(イップマン)』
でございます。
かのブルース・リー唯一の師匠としてしか名の知れていなかった彼が有名になったきっかけはやはりドニー・イェンが演じた『葉問』によるところがずいぶん大きいと思われます。
元々は裕福な家の出で武術家としても順風満帆であったが、45歳のときに侵攻してきた日本軍によって仏山の自宅が奪われると、極貧生活となり、香港に渡ってからは苦労の連続だったそうです。
香港に渡ってからは弟子をとりつつも孤独にさいなまれ、アヘンを吸うなど退廃的な生活となり79歳でこの世を去っています。
元来悪戯な性格らしく晩年も弟子の家にきていきなり蹴りをくらわして『油断したな』と笑うなどなかなかにやんちゃだったらしく映画での静かで理知的なイメージはフィクションのようです。
作品的にはテレビシリーズも含め8作品ほどあり、若手のデニス・トーや晩年を演じたアンソニー・ウォン、耽美的な葉問を演じたトニー・レオンなどが葉問を演じましたがやはり世間一般からは葉問俳優といえばこの人
『ドニー・イェン』



が一番に思い浮かぶでしょう。
今年はそんな葉問最後の活躍を描いた『葉問4 完結編』も公開されますのでお楽しみですね。


次に紹介しますのはカンフー映画で最も多く描かれている時代、清朝対少林寺の事件で活躍した代表格となる達人を二人。
まずはこの方
『方世玉(フォン・サイヨ)』
でございます。
漢人弾圧をねらう当時の征服国家であった清に対して、大軍相手に反旗を翻した少林寺出身の伝説の十拳士というものがありまして、彼らは『広東十虎』と呼ばれていました。
方はその中でも最も若い拳士であったとされますが、実は彼は実在する人物ではなく武侠小説で描かれた人物です。
しかし悪人たちと戦い、活躍する姿にいつのまにか実在するかのように語られ始め、現在も多くのカンフー作品で題材とされています。
若さゆえの猪突猛進型の性格で純粋がゆえに悪人に騙されることも多く、演じる際は若く美形なアクションスターが演じることが多いのが特徴です。
小説ではその性格が災いし少林寺焼き討ち事件の際に清軍と戦って戦死したとされその悲運さからも人気の高い達人ですね。
彼が登場する作品で代表作はやはり『嵐をよぶドラゴン』でしょう。ショウブラザーズの代表作といってもいい作品でありクライマックスうの壮絶なアクションが見どころです。
ジェット・リーが演じた『方世玉』シリーズもコミカルな味わいがついて人気です。
そんな方世玉を演じた代表格が
『アレクサンダー・フーシェン』

です。
彼の演じた方世玉がのちの像を固定させるきっかけになるほどフーシェン=方世玉を演じた彼はなんと実際の方世玉同様に28歳の若さで他界してしまいました。
『嵐を呼ぶドラゴン』の続編『続嵐を呼ぶドラゴン』『少林寺列伝』シリーズなどのフーシェン演じる方世玉アクションも素晴らしいのでぜひ鑑賞していただきたいです。


さてもうひとりはこの方
『洪熙官(ハン・カーロ)』
でございます。
彼もまた前述した方世玉同様に広東十虎のひとりとして数えられていますが、この方は文献上では実在していたらしくしかも中国拳法『洪拳』の創始者とされています。
映画作品上は彼は常に冷静沈着で、猪突猛進の方世玉と対の感じで描かれることが多いです。
そしてファイトスタイルも優美な方と違い、質実剛健な荒々しい武骨な格闘アクションとして描かれるなどこの時代におけるカンフー作品の2トップ的立場になっています。
彼を描いた作品もたくさんありますが、一押しはやはり『嵐を呼ぶドラゴン』。またジェット・リー『新・少林寺伝説』も見応えある作品です。
そんな洪熙官俳優といえば代表格はこの方
『チェン・カンタイ』

ですね。
フーシェンとのコンビもさることながらそのダンディな魅力は個人作品としても評価が高く、男も惚れるという感じのかっこよさが魅力です。


中国の政治的プロパガンダとして現在でも取り上げられる英雄もいます。
それがこの方
『陳真(チェン・ジェン)』
です。
彼が活躍したのは第二次世界大戦前の時代。欧米列強の侵略の中で特に日本に対して果敢に中国人民の抵抗を訴えた人物でした。
しかし実際にはこの陳真という人物は実在はしていません。
彼が生まれる元となったのは陳真の師匠となっている実在した武術家『霍元甲(フォ・ユンジャ)』の活躍が影響していて、彼の立ち上げた『精武体育会』をもとに映画監督ロー・ウェイが作り上げた作品が大ヒットしたことによりキャラクターが独り歩きした結果でした。
のちに『精武門』ものとよばれる作品群はそのほとんどが師匠を殺した日本軍に戦いを挑み、そして日本軍の象徴ともいうべき敵を倒すも軍部に裏切られ非業の死を遂げるパターンなのですが、そこからのIf的な続編もありなかなかバラエティに富んでおります。
なおこの『精武門』ものはアクションスターたちの登竜門的な役割もあり、世界的に活躍するジャッキー・チェンドニー・イェンたちも『精武門』ものに主演しています。
そんな陳真の猪突猛進で劇場型の性格を決定づけたのが演じた
『ブルース・リー』

でした。
数多くのアクションスターがこの陳真を演じてきましたがリーを超えるものはいません。
そして精武門シリーズとして代表的なのはやはり『ドラゴン怒りの鉄拳』でしょう。
この作品自体も幾度もリメイクされていますが、本作以外では正当な続編扱いの『レッドドラゴン新精武門』、現代的なテイストを加えたIf的続編『レジェンドオブフィスト怒りの鉄拳』あたりがオススメです。


さて今回の企画最後に紹介しますのは、中国で最も有名で最強の武術家と呼ばれるこの方
『黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)』
でございます。
彼は少林寺史上最強と呼ばれたほか東洋医学の医師としても優秀で、官軍を指導したり、自警団を率いて治安を守るなど英雄的活躍をしたといわれているまさに文武両道、完全無欠のヒーローだったとされています。
彼がここまで有名になったのは彼の死後に製作された映画や小説の大ヒットによるものでその数は伝記ものとして世界最多の記録をもつほど。
一時期は年間に中国で公開された関連作品が90本に上るほどでこれを見るだけでも彼の中国での英雄ぶりが分かると思います。
完璧な文武両道に相応しくその性格も完璧主義で冷静沈着と非の打ちどころもない超人的人物として描かれていましたが、最近ではそんなキャラを避け、弟子には厳しいが女には弱い、頭でっかちな排他主義者というコミカルな要素を加え新たなファン層を獲得しています。
武術としては目に見えぬ連続蹴りの『無影脚』を必殺技に作品によってはあの酔拳をつかったり、獅子舞で見事な戦いをみせるなど多種多様な戦いをみせます。
そんな彼を描いた作品としてはやはり『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズがおすすめです。
勧善懲悪ものとしてカンフー映画としてもレベルが高いものが多く、この冠がつくものならばまずハズレはないでしょう。
黄飛鴻俳優としては有名どこも結構演じてはいますが生涯通じての看板としてるのは今ならばこの方
『チウ・マンチェク』

で間違いないでしょう。
彼はシリーズ4作目から演じて以降テレビシリーズや映画化作品でも黄飛鴻を演じていてまさに生涯黄飛鴻俳優として語るべきスターです。
最近でも復活したワンチャイシリーズで再び黄飛鴻を演じていてもはや他の作品と切り離すことすら難しく思えるほどです。


いかがでしたでしょうか?
今回挙げた方々は代表的な英雄でありまだまだ題材となった人物はいるのですがアクション的には間違いないものばかりです。
そして代表的な演者も紹介してきましたが実はこのほとんどを演じたという最高のアクションスターの存在も忘れてはいけません。
彼が演じ掘り起こしたからこそ今日の隆盛を築いたといっても過言ではないのです。
その俳優が
『ジェット・リー』

です。
歴史的英雄を演じさせたら彼の右に出るものはいません。彼はイップマンを除いては今回紹介したすべての人物をえんじており、特に黄飛鴻はチウ・マンチェク以上に有名です。
かつて中国の至宝とまでいわれた彼のカンフーの美しさは素晴らしく、ワンチャイシリーズの三部作『天地黎明』『天地大乱』『天地争覇』はカンフー好きとして絶対に押さえておくべき作品です。
さらには太極拳の創始者張三豊を演じた『大地無限』などもオススメです。

最後にこんな英雄たちがもしも現代に現れたらという奇想天外な作品を紹介して今回はしめたいと思います。
それがこの作品
『カンフーリーグ』

です。
現代にタイムスリップした黄飛鴻、葉問、陳真、霍元甲が若者の恋や強敵との対決に奔走するコメディアクションですが、なかなかにぶっ飛んだ作品です。
気になる方はワタクシの記事も併せてみてみてください。
いわしアクション映画日記VOL. 809『カンフーリーグ』


そういったところで今回の独論テーマはここまで。
新たな作品探しの参考になりますように次回もテーマをひっさげてきますのでお楽しみに。


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時代背景からみたカンフー映画の楽しみ方を書きました

いわしの映画独論第8回 『歴史を知ると数倍楽しくなるカンフー映画たち』


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