皆さんこんばんは!
アクション映画とホラー映画が元気の素、映画フリークのいわしでございます。
2020年もはやくも一ヶ月が過ぎようとしていますが、ようやく今年一発目となる映画コラムシリーズです。

今回のテーマですが何かと芸能界でも事件やスキャンダルなどで取りざたされているスターの二世たち。
今回はその中でも『アクションスター』というジャンルに特化して活躍している二世俳優たちについて取り上げてみようと思います。

古くから日本の慣用句に『親の七光り』だとか『カエルの子はカエル』などといった親子に関する言葉があります。
日本の芸能界でも親の道をたどって芸能界デビューを果たす人も少なくはありませんが、たいてい二世で親以上の成功を収めるという話は聞きません。
ましてや親と同じジャンルで親以上の成功を収めるといった例は、歌手の宇多田ヒカルや俳優・タレントの堺正章などほんの一握りしかいません。
偉大な親を持てば持つほどそのハードルも高くそびえたつもので、あるものは心くじけて犯罪に手を染めてしまったり、親から独立して暗中模索のまま苦しみ続けているものも少なくありません。

アクション映画で活躍するスターの二世たちも例外にもれず、あえて親と同じジャンルに挑戦し様々な人生の経緯をたどっています。
今回はそんな中から特にハリウッド編として例をあげて、二世アクションスターたちの傾向とその魅力を紹介していきたいと思います。


まず二世俳優が同じジャンルで活躍する上で辿る方向性大きく二つあります。
一つは親の庇護のもとで経験を重ねていくもの。これは現役で活躍する親の作品に出演することで知名度を高めて自身も活躍の場を広げていくパターンです。
もう一つは親から独立し自身で経験を積んでいくもの。親の七光りを嫌い親と同じジャンルでありながらあえて親とは違うスタイルで活躍を狙うパターンです。こちらでは想像以上に茨の道で心くじけていく者も少なくありません・


そんなハリウッドの二世アクションスターとして最も活躍し有名となったのは彼、
『ブランドン・リー』

でしょう。
彼の父親はいうまでもなく伝説のアクションスター、ブルース・リーです。
長男として生まれた彼は幼少から父直伝のジークンドーを習い、そのポテンシャルはかなりのものでした。大学時代に演劇に目覚め、俳優を目指しますがここで彼は偉大な父の幻影に悩まされます。
カンフースターとして世界的に有名になった父同様にブランドンにも同じ期待が寄せられるのですが、彼は父のスタイルに反発しガンアクション主体のアメリカンなアクションスターを志します。
しかし香港映画でデビューするも不発。迷走する彼はドイツの低予算アクションに主演するなど苦労を重ねますが、やがて父のスタイルを受け入れ自らも父の弟子であるダン・イノサントに師事してジークンドーを学びなおしてハリウッドに凱旋してきます。
マーシャルアーツスターとして覚醒した彼は本格アクション作品『ラピッド・ファイアー』で注目されブレイクしますが、次作品のダークファンタジーアクション『クロウ飛翔伝説』の撮影中に実弾を腹部に受け帰らぬ人となってしまいます。
享年28歳。皮肉にもこの『クロウ』は彼の最期の作品として大ヒットし、若くして亡くなった父同様に神格化されたのでした。
現在生きていれば55歳。ジャッキー以上の活躍も期待できたかもしれない逸材だっただけに悔やまれる二世俳優でした。


そんなブルース・リーが『ドラゴンへの道』で戦ったハリウッドマーシャルアールスターの草分け的存在がチャック・ノリスですが、もちろん彼の息子も父親同様に次世代アクションスターとして名乗りを上げた一人でした。
それが彼、
『マイク・ノリス』

です。
父チャックの長男として生まれた彼もブランドンと同じように父から空手を習い、タイトルを獲得してきました。
もともとチャック・ノリスの作品は弟のアーロンらと組んで家族編成で作る作品が多いのですが、そんな中でマイクはアクションコーディネーターや脚本なども手掛け、親からの独立を図るもアメリカいち尊敬されるアクションスターともされる父の後継は荷が重く、低予算のアクション作品に主演するも低迷。日本公開作品もないのがそれを物語っています。
また年齢不詳な父親に比べ、若くしてオッサン気味のフォルムだった彼は同世代のスティーブ・マックイーンの息子チャドらと組んで二世俳優アクションをけん引してきましたが、空手のキレやアクションの見せ方など玄人好みの域を脱しなかったのが残念でありました。


さて前述した二世俳優たちの方向性について、前の二人はあえての親への反発という道を選択したスターたちでしたが、反面親の作品で徐々に認知度を上げようとしている二世たちもいます。
その代表格といえるのが最近ではこの人、
『クリス・ヴァン・ダム』


でしょう。
父親は言わずと知れたあのジャン・クロード・ヴァン・ダム。彼には他にも次男のニコラス、長女のビアンカがいますが肉体派モデル・女優として活躍するビアンカはかなりの美人で話題となりました。
長男であるクリスはデビューは9歳のころの父の作品『ディレイルド』。ここでは親父の蹴りに紛れて彼自身も父親譲りの回し蹴りをみせており華々しくデビューを飾りました。
しかしその後は父の人気が低迷。自虐の作品までつくる彼を見ながらクリスは成長し父の再起を待ちます。
そして掴んだ『エクスペンダブルス2』での再ブレイク。これにより息を吹き返したヴァン・ダムは作品リリースを復活させていきます。
そしてこの頃からクリスも本格的にヴァン・ダム作品に出演開始。『ハード・ソルジャー』ではヴァン・ダムに協力する捜査官役で『ファイナル・ブラッド』では敵傭兵チームのひとりとして出演。なんと父親とのマーシャルアーツ対決を実現させ、世のヴァン・ダムファンの話題をさらいました。
父よりもモデル体型で長身なクリスは父ほどの派手なアクションはないもののポテンシャルはあり、何より長身ならではのダイナミックな見せ方ができるのが強みです。
問題は彼の主演作がいつになるのかですが、独り立ちができるのかどうかこれからが気になるところです。


最後に取り上げるのは現在活躍するハリウッド二世アクション俳優の中で最も過酷で数奇な運命を歩んでいるスターを紹介しましょう。
それがこの方、
『ケイン・コスギ』

でございます。
彼は二つの方向性のどちらも経験しかなり苦労を重ねてきた俳優です。父親は日本人初の100万ドルアクションスターとなったショー・コスギ
ニンジャ映画でブレイクしたショーはケインがわずか5歳のころから自身の主演映画に出演させ、弟とともにハリウッドでアクションをみせてきました。
幼少から空手やテコンドーなど神童ともいわれたケインの実力は本物で子供ながらにキレのあるアクロバットやマーシャルアーツをみせるなどその道は順風満帆のようにおもえました。
運命が変わってきたのは日本とハリウッドの合作アクション『兜』あたりから。ここでケインは本格的にスターを目指すためにあえて日本に残って修行することにします。
しかしアクション不毛だった当時の邦画界には居場所はなく、父頼みの作品の出演や特撮アクションなどの偏った作品の結果、彼はアスリート系タレントという道を模索します。
筋肉番付などのスポーツ番組で超人的なポテンシャルをみせるも本来のアクション俳優の道は遠く、満を持して作った主演映画『マッスルヒート』も不発に終わり、ケインはこの頃から偶然知り合ったサモハンらとの縁をきっかけにタレントを縮小しアクション俳優の道を目指すのでした。
そして悪いことにケインは父からの独立を宣言して勘当されてしまい、外国語映画への出演を模索する日々を過ごすのでした。
ジャッキーの『フーアムアイ』『エンジェルバトラー』などでの出演を経てようやく『デッドオアアライブ』でハリウッドに凱旋を果たし、スコット・アドキンス『ニンジャアベンジャーズ』でアクションスタント部門で認められるなど評価は高まりつつありますが、主演作品はハリウッドではまだ『TEKKEN』の続編的作品しかなく次世代アクションスターとしても踏ん張りどころとなっています。
彼が単なるB級アクションスターで終わるのかどうかは定かではないですが、ポテンシャルは父親のはるか上をいくだけにブレイクしてほしい二世俳優筆頭ですね。

いかがでしたでしょうか?
ハリウッドで親と同じアクションスターとして大成することはほんとに難しく、ましてや親が偉大であればあるほどその道は険しいものであることには間違いありません。
ただこれアクションの本場香港ではちょっとまた違ったりするのですがそれはまた次の機会の独論で(笑)
アクション好きな皆さん、ぜひ彼らの作品を見てみて二世アクションスターたちのポテンシャルを楽しんでみたくださいませ。


過去アーカイブス

いわしの映画独論第1回『アクション映画のトレンド格闘技って?』


いわしの映画独論第2回『ハリウッドアクション女優の系譜』


いわしの映画独論第3回『次世代、第2の○○』問題を斬る(笑)


いわしの映画独論第4回『アクション俳優のブレイクに“アレ”は欠かせない』


いわしの映画独論第5回『アクション女優の系譜第2弾!~アジアンアクション女優編~』


いわしの映画独論第6回『意外な邦画アクションの歴史と冬の時代』


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