皆さんこんばんは。
アクション映画とホラー映画をこよなく愛する映画マニアいわしでございます。
ワタクシいわしの過去膨大な鑑賞記録と記憶、考察による映画コラムシリーズ今回で9回目となります。

今回のお題は過去にハリウッド編、アジアン編とお送りしてきました『アクション女優の系譜』の第3弾としていよいよ邦画界の女優を考察していきたいと思います。

そもそも邦画のアクションは長らく男性中心の世界でした。剣劇アクションが全盛だった時代において女優の立ち回りは限定され、常に主役である男性主人公に守られるのが主でした。
その中でも女剣士ものや女博徒ものなどは異端的な扱いで、派手な邦画時代劇アクションにおいてはまだまだ当時の男尊女卑の思想を色濃く残したものだったようです。


格闘アクションにおいては女性主役の作品が一般化したのはつい40年位前のこと。
まだまだ歴史的には浅く、その系譜はハリウッドとも他のアジア系とも違った独自の経過をたどったのでした。


そんな邦画界において最初に人気となったアクション女優は最初にして最高のアクション女優とよばれた

『志穂美悦子』

でした。


彼女は千葉真一が創設したアクションクラブ『JAC』の看板女優であり、唯一無二の存在でした。
彼女の魅力は少林寺拳法に裏打ちされたしっかりとした格闘能力の高さに加え、スタントもこなせる高い身体能力、何より当時もアイドルたちをさしおいての抜群のルックスの良さと健康的な肢体につきます。
キャンディーズやピンクレディといったトップアイドルが覇を競う中で当時の人気のバロメーターともいえるプロマイド写真の売り上げは断トツの1位でした。
彼女が注目されるきっかけとなったのは特撮ヒーロー『キカイダー』で主役の相棒兼ヒロインの『ビジンダー』での出演。ここで彼女はホットパンツ姿で目も覚めるようなキックやアクションをみせスターの足掛けをつかむのです。
以後彼女が主演した『女必殺拳』シリーズは名を変えながらヒットを連発し、世界的にも当時アジアを席捲していたアンジェラ・マオをしのぐ注目を集めたのでした。
しかしJACが解散したあとはアクション女優としての活躍の場そのものが少なくなり、演技派への移行を余儀なくされアクションとは関係ない環境で活躍の場を広げるもミュージシャンの長渕剛との結婚を機に芸能界から完全引退してしまうのでした。
現在フラワーアーティストとして再注目されているがいまだかつて彼女を超える逸材が現れていないのが現状です。

志穂美悦子が引退した後に彼女クラスの人気のアクション女優が出てこない理由は、図らずも彼女と同じ成功パターンを模索したこと、そして当時の女優の質と方向性にありました。

次のアクション女優のブレイクとして、ある意味特撮物への出演が暗黙の了解となった邦画界はその後も志穂美悦子のイメージに沿った女優を発掘しますが、いかんせん当時の邦画界に徒手空拳のアクションものの需要は少なく、期間限定の特撮ヒロインから脱却した後の道筋は暗いものでした。
そんな閉鎖的なアクション界に見限りをつけたものも多く、アクション女優として大成するために大島由加里高城富士見西脇美智子といった特撮系出身のアクション女優たちは本場香港に渡り活躍の場を求めていきました。

さらに邦画界でアクション女優が育たなかった理由の一つとして作品群の内容の問題です。
志穂美悦子がブレイクした『女必殺拳』シリーズは確かに志穂美のアクションが見所ではありましたが、それと同時にエログロ場面も見所でした。
当時の作品には必ずヌード要員の女優が出演し、主役の志穂美にはできないハードな濡れ場を担当。奇しくもそれが売りの一つとして今も脈々と続いています。
また志穂美のブレイクによりにわかにアクション女優ブームが起こったものの、彼女のようにしっかりしたバックボーンを持つ女優は稀有で、乱造されたアクションものには元ヤンキーだった、元女子プロレスラー、挙句にはただバイクに乗れるだけでもアクション女優として名乗れる時代だったのです。
そんな彼女らはヒットのためにおっぱいをあらわにして戦ったり、全裸で立ちまわったりとアクションよりもエロを重要視させる作品を連発させたことにより女性アクション映画=低俗といったレッテルをはられ長い冬の時代をむかえるのです。


そんな冬の時代を打破できる可能性をもった二人の女優が2000年代になって登場します。
二人は結果としていまだ志穂美悦子以上のブレイクには至ってはいませんがその方向性は注目すべきものです。

まず一人目に紹介するのが

『水野美紀』

です。

彼女はCMで注目され、格闘ゲーム『ストリートファイターⅡ』のCMで春麗のコスプレで話題になりブレイクしました。
元々少林寺拳法をたしなんでいたものの本格的なアクション女優として活躍するために倉田保昭のもとで訓練し、志穂美悦子路線を担う存在として『恋人はスナイパー』『千里眼』といった作品で格闘アクションを披露し期待を集めます。
現在も『女囚さそり』などでアクションを披露することもありますが、『恋の罪』でのフルヌード出演など演技派としてのシフトに変わりつつあり、アクションファンとしてはもったいないと思う次第です。


もうひとりは

『亜紗美』

です。

彼女は元セクシー女優で数多くのアダルト作品に出演していましたが、井口昇監督の助言によりアクション女優をめざした変わり種です。
しかしもともとダンスの素養があり、マーシャルアーツへの造詣も深かった彼女は様々な作品でノースタントのアクションをこなし、さらに元セクシー女優という経歴もいかした邦画界で唯一無二の『脱げるアクション女優』として独自の活躍をしています。
2019年に初主演作品でアクション女優からの引退を表明しましたが、元から脱げるといったポテンシャルはこれまでになくセクシー演技を含めた今後の活躍が期待されます。

この二人は出自は違えどある意味邦画アクションにおける進化系でした。
水野美紀は志穂美悦子の路線を継ぎながらも特撮ものに頼らない純粋培養のアクション女優系であり、亜紗美は雑多のごとく現れたヌード要員女優の持つエロができながら主演に匹敵する高度なアクションもできるハイブリット女優系です。
しかしそれでも半ば神格化された志穂美悦子を超えるものとはならないのでした。

邦画アクションはいまだ『ポスト志穂美悦子』を求める過程でありその呪縛から逃れることができません。
特撮アクションは日本が誇るアクションジャンルとして世界でも認知されてきましたが、いまだここからアクション女優として世界的な活躍をした女優は現れてはいないのが現実です。
さらにアクション映画と銘打っていながらも主演女優のヌードや濡れ場で話題をつかもうとする悪しき体制もいまだ根強く残っています。

そんな中、個人的にレジェンド志穂美悦子を超える可能性をもつ若手のアクション女優を3人紹介して今回の独論はしめたいと思います。


まず若手ナンバー1のポテンシャルをもつ

『武田梨奈』

琉球空手2段の腕前を持つ彼女はアクションコーディネーターの西冬彦に見出され、『ハイキックガール』で主演デビュー。その格闘能力の高さとリアルヒッティング上等の度胸から彼の作品の看板女優として主演を重ねています。
世間的には『セゾンCM』での頭で瓦を割る少女で注目されましたが、タイやインドネシアといったアクション新興国では早くも世界的に注目されていて、ジージャー・ヤーニンといった同世代のアクション女優たちとも肩を並べる存在です。
近年では演技派としての活躍もしていますが、やはり彼女の魅力は高度なテクニックによる華麗な足技とクールビューティーな美貌。28歳とまだ若いので志穂美悦子以上の活躍も期待できる存在です。


そして二人目はファッションモデル出身の

『清野菜名』

『バイオハザード』ミラ・ジョヴォヴィッチのアクションに感銘を受けたとする彼女は、アクション俳優の坂口拓のもとで特訓し、園子温監督の『TOKYO TRIBE』で注目されます。
切れ味鋭いアクションとヌードも辞さない胆力、さらにアイドルさながらの魅力でテレビや映画でも活躍を広げており、先の武田梨奈とも『少女は異世界で戦った』で共演しており格闘アクションの競演をはたしております。
全国的なブレイクも近い若手女優のひとりですね。


最後に紹介するのが清純派女優として活躍している

『土屋太鳳』

です。

彼女は創作ダンス出身の柔軟な体と抜群の運動神経を駆使して『るろうに剣心』シリーズの作品にてキレのいい格闘アクションを披露。NHKの朝ドラへの出演などで国民的女優として認知されてきましたが、彼女のポテンシャルとしてはやはりアグレシッブな格闘シーンが似合っており、キリっとした美貌とかわいらしい声のギャップにも注目です。
アジアンアクション女優最強のミシェル・ヨーチャン・ツイイーといった面々もダンス出身であり、これから先世界的にも大化けする可能性もありそうです( ´∀` )


いかがでしたでしょうか?
新時代の邦画アクション界を担う彼女らがどうなるのか期待は高まるばかりですが、いずれにせよ日進月歩レベルで進化していくアクション映画界に刻まれるような作品に巡り合えることを祈りたいものです。
今回紹介した女優さん以外にもモデル出身の青野楓宮本華音といった空手有段者出身女優や菜々緒本田翼など格闘技トレーニングなどによって開花する女優、はたまた特撮から復活する女優やガチの格闘家出身など確実に邦画界のアクション女優の活躍の土台は広がりつつあります。
そのさらなる詳しい詳細については今後の独論でまた取り上げるかもしれません。
それでは今回の『いわしの映画独論』はこの辺で。次回はどんなお題で紹介しますかお楽しみに。
(^^)/


コラムの過去アーカイブスはこちらより

いわしの映画独論第1回

いわしの映画独論第2回

いわしの映画独論第3回

いわしの映画独論第4回

いわしの映画独論第5回

いわしの映画独論第6回

いわしの映画独論第7回

いわしの映画独論第8回


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