みなさまこんばんは。

アクション・ホラー映画フリークのいわしでございます。
私の今までの鑑賞記録と考察から作品の新たな発見を促す映画コラム『いわしの映画独論』4回目でございます。

今回のお題ですが、アクション俳優たちがブレイクする時必ずやっているものについて考察したいと思います。

世の中で、ブレイクしたとされるアクション俳優たちはごまんといるわけですが、そんな彼らには必ずといっていいほどあるきっかけがあります。
それは今現在確実にブレイクし、話題となったアクション俳優たちの実に
『99%』
が経験しているものです。

それは全員
『悪役』
の経験があることです。

意外かと思うかもしれませんが、世にブレイクするきっかけとなったタイミングでその俳優が悪役を演じていたというのは結構よくあることで、大きな環境に移るとき、ハリウッドに進出するとき、あるいは注目をあびるきっかけとなるとき悪役の経験は重要なポイントになっています。

例えば今や重鎮のアクション俳優であるドルフ・ラングレンが一般の映画好きに注目されるきっかけとなったのはシルベスター・スタローン主演の人気作『ロッキー4』の宿敵ドラゴ役でした。
この役をきっかけに彼は『レッドスコルピオン』『パニッシャー』といったメジャーなアクション作品の主役に抜擢され、今でもコンスタントに作品を発表し続けているのであります。

そのシルベスター・スタローンも自身の低迷期時期にコメディアクションの『スパイキッズ3-Dゲームオーバー』でコミカルな悪役を演じています。

格闘系を売りとする俳優たちはそれはまさにブレイクのための必須条件といっても過言ではありません。
大なり小なりの悪役経験はマーシャルアーツ系のアクション俳優たちにとってはブレイクのための試金石ともいえます。
これはハリウッドのみならずアジアのアクション作品でも同様にいえます。

香港映画界の大御所である
『サモ・ハン』

『SPL狼よ静かに死ね』のサモハン

 

は本格的な悪役は『SPL狼よ静かに死ね』が最初だといわれていますが、実は彼は『燃えよデブゴン』でブレイクする前は結構な数の作品で悪役を演じています。
ジャッキー・チェンがジョン・ウーと共演した幻の作品『ジャッキー・チェンの少林門』では敵のナンバー2の役どころで壮絶に戦っているほか、アンジェラ・マオ『破戒』でも悪の武芸者として主演しています。

悪役は意外に主役よりも注目を浴びやすいのはあるかもしれません。主役なら制限されるアクションも悪役なら思い切り発揮できるパターンもあります。
例えば『マッハ!!!!』で脚光を浴びた
『トニー・ジャー』

『ワイルドスピード/スカイミッション』より

 

はハリウッド初進出の作品はあの『ワイルド・スピード/スカイミッション』でしたが彼のえぐいムエタイアクションはハリウッドの正義役が扱うには暴力的すぎるとこがあります。
しかし悪役であれば残酷なキャラクターであるため制限なく見せることができます。

『ジェット・リー』

『リーサル・ウェポン4』のジェット・リー

 

も同様に香港映画ではヒーロー的な役が多く、ワイヤーを使った派手な見栄えのするアクションばかりでした。
しかし初の悪役挑戦となった『リーサル・ウェポン4』では冷酷なまなざしに敵を殺すためのえぐいカンフーをハイスピードでみせることで彼の役者としての新たな一面を見たわけです。
リーはハリウッド初挑戦にしてこのインパクトあるアクションのおかげでブレイクを果たしたわけです。

ところで悪役経験はアクション俳優としてブレイクに欠かせないといいましたが、実はアクション女優についてはまったく該当しません。
該当しないどころか悪役の経験はむしろ主役デビューへの足かせとなる場合があります。
香港アクションで活躍していたミシェル・ヨーシンシア・ラスロック、とかはいわゆるラスボスや役的に重要な悪役というのはありません。
西脇美智子大島由加里、ソフィア・クロフォードらは悪役としての実績が続いたため正義の役どころが少なく、大方の印象としても彼女らは悪役としてのイメージが強いです。
ハリウッドでもアクション女優と呼ばれる方は意外にブレイク前に悪役をしていたというのはきかないです。
やはり女優の場合は清廉潔白のイメージ付けがアクションにおいても大事ということなんでしょうかね(笑)

それでは最後にこんな意外な人も悪役経験があるという俳優さんを少し紹介して今回のコラムを締めたいと思います。

最近ハリウッドでも活躍の場が増えてきた
『ドニー・イェン』

『ワンスアポンアタイムインチャイナ天地大乱』のドニー・イェン

 

彼はブレイクのきっかけとなったのは有名な『ワンスアポンアタイムインチャイナ天地大乱』でのラン提督役でした。ここではジェット・リー演じる主人公との一騎打ちはその年のアクション動作部門で金賞を獲得したほか、同時期には『ドラゴン・イン』という作品で悪役の宦官を演じ壮絶な戦いを繰り広げ話題となっています。
彼はジャッキー・チェンの『シャンハイ・ナイト』でもラスボスを演じてジャッキーと戦っていましたね。

そしてその
『ジャッキー・チェン』

『ファイナルドラゴン』のジャッキー・チェン

 

ですが彼も実は悪役の経験があるのです。
数こそ少ないですが、まだ『酔拳』でブレイクする前。ジミー・ウォング主演の『ファイナルドラゴン』という作品で彼は堂々のラスボスを演じ、ジミー相手に死闘を繰り広げています。
またやられ方もジミーさんの作品らしい実にズルい方法で倒されていますので興味ある方はぜひ。

そして絶対になさそうな感じをうけるのが
『ブルース・リー』

『かわいい女』のブルース・リー

 

です。
実は彼はTVドラマシリーズで凶暴な暗殺者役として悪役は経験済み。『かわいい女』というアクションドラマにおいてウィンスロー・ウォンという殺し屋役で主人公を襲うのですが最後は跳び蹴りをかわされてビルの窓から墜落死するという彼らしからぬ間抜けな死に様をみせています。
ドラマ自体は廃盤で手には入りにくいかもしれませんがスチール写真はあるようなのでぜひ探してみてください。

最後を飾るのは最強のオヤジこと
『スティーブン・セガール』
 

『マチェーテ』のセガール

 

です。
彼の映画キャリア上いつも不死身ですし、動かなくても最強というマンネリを超えたマンネリで全部同じように見えるのですが、ハリウッドの彼の作品群では『マチェーテ』の麻薬王役まで悪役はしたことがないとされてきました。
しかし実は沈黙シリーズが定着する前。彼は出稼ぎで出演した韓国映画がありました。
それが韓国アクションの『クレメンタイン』という作品です。
彼はそこで主人公の宿敵ジョン・ミラーという地下の格闘王の役で出ていて、なんと主役に勝ってしまいます。
彼の一騎打ちでの無敗伝説はまさに『マチェーテ』まで破られることはなかったんですね。
ちなみにそのジョン・ミラーですが最後は友情が芽生えてしまっていて悪いけどいいやつみたいな扱いになっていました。

いかがだったでしょうか?
意外にもブレイクするアクション俳優たちは悪役がキーポイントになっているんですね。
ちなみにこの法則の例外となる可能性がある注目のアクションスターとして『イコ・ウワイス』があるのですが、彼が本格的にハリウッドに進出するときもしかしたら強烈な悪役を演じるかもしれませんね。

それでは次回のコラムネタをお楽しみに!

 

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