全米空手チャンピオン出身で香港映画界最強の女ドラゴンと評価の高いシンシア・ラスロック主演のポリティカルアクション作品。


FBIでは蔓延する香港ドルの偽札が横行し、その掃討に苦慮していた。

その流れの大元が香港にあると掴んだ当局は非協力的な香港警察の代わりに組織の壊滅のためFBIから捜査官として香港での刑事経験もあるサンフランシスコ市警に所属する刑事シンディーを派遣する。


香港に渡った彼女は友人のジュディーの家に居候し、組織が絡んでいるという新聞社『香港ポスト』に新人記者として潜入を試みる。

慣れない中で先輩記者ロニーと早速火災が起こっているという現場へと向かうシンディー。

古い建物から次々と逃げ出す中で、出てきたひとりが中に子供が残っていると叫び出す。

正義感から撮影そっちのけで救出へと向かうシンディー。

その頃現場には落ち目の新聞社『中華日報』の記者であるホイとタイが来ていた。

一発逆転のスクープを狙いたい彼らは燃えさかる現場で迫力ある写真を撮ろうと近づくがその時、2階から子どもを抱いたシンディーが太腿もあらわな格好で飛び出してくる。

てっきり母親と思ったホイたちは独占インタビューとばかりにシンディーを囲むのだが、子どもは母親の元へ。

彼女がライバル会社の記者と知ったホイたちは愕然とするばかりであった。


その夜。

シンディーは早速、偽札の証拠を集めようと会社に潜入するが、監視にバレてしまい敵方に追い回されてしまう。

何とか逃げ切った彼女であったが、これにより組織のボスであるウォンは外部からの潜入捜査が入ったことを確信し、アジトから偽札の痕跡を消してしまう。


一方、社員たちへの給与もままならない中華日報は電気代が止められる寸前まで困窮していた。

バラバラ殺人の一報が入っても取材費すら出ないデスクの面々はやる気もなく、その場で証拠写真をでっち上げようとしている始末。

ホイは何とか奮起させようと父親でもある社長に直訴するもまともに取り合ってもらえず。

ホイは何とかスクープをモノにするため、シンディーたちを張り込みし、事件を待つという姑息な手段に出るのだった。


組織のボスであるウォンは偽札に関する嫌疑で検察より裁判を起こされていた。

自身に有利な判決にさせようと、検察側の買収を試みるが、検察側の代表であるユーはウォンの買収を頑なに断り、真っ向対立の姿勢を崩していない。

そこでウォンはユーを拉致し、脅迫しようと企む。

彼の拉致現場に偶然にも居合わせたホイは無我夢中でシャッターをきり、拉致した犯人たちの車のナンバーを抑えるも、助け出せずそれをスクープネタとして売り出そうと考える。


拉致されたユーはウォンの目の前でも脅迫に屈しない態度を見せるのだが、ウォンはそんな彼に何やら薬を注射し、ユーは昏倒してしまうのだった。


数日後。

ウォンに対する裁判が始まるが、証言台にたったユーは支離滅裂な言動と行動を繰り返し、精神的に不安定な状態であるとして休廷を余儀なくされ、ユーは精神病院へと移送され入院することとなる。

突然の父親の変貌ぶりにショックを受けるジュディーは真相を探ろうとシンディーと行動を共にしようとするが、そこに保健調査員を名乗る男がやってくる。


タイミングよく現れた男に警戒感を強めるシンディーは組織の人間と誤解し、蹴りを入れてしまう。

ユーが精神障害を発症した理由を聞き出そうとする男。失礼なものいいにジュディーもシンディーも激怒するが、そこにシンディーをはっていたホイが男によって見つけられてしまう。

ホイはユーの突然の変貌ぶりにこの前の拉致現場が影響していると考え、それを知らせるためやってきていたのだった。


ホイが持ってきた写真からユーも自分が追っている偽札組織を捜査していたことを知るシンディー。

ジュディーと共に家に戻っていくとそこには組織から派遣された殺し屋が待ち構えていた。

ジュディーを逃がしつつ、一騎討ちを繰り広げるシンディーだが意外に相手は強敵な上に、ジュディーが逃げ遅れていたため、シンディーは殺し屋を閉じ込めると二人で家を飛び出すことに。

そこにタイミングよくあの保健調査員がやってきて二人は殺し屋から逃れることに成功する。


この保険調査員、実はシンディーが所属する『香港ポスト』の先輩記者ロニーから依頼されてやってきた人間であり、そのロニーも実は香港警察から組織の捜査のために潜入している捜査官であった。

正体を隠す調査員チンもまたロニーの警察仲間であり、潜入捜査官として組織に接触しようとするシンディーらを監視、そして協力するのであった。


ホイを加え、4人は組織の内情を探るため、ユーを拉致した実行犯グループをおびき出し、黒幕の正体とアジトを探るが、与えられた情報をもとに潜入するも敵に悟られ証拠は隠されてしまい、奮闘虚しく不法侵入ということで警察に逮捕されてしまう。


ジュディーを除く三人はそれぞれに釈明と説明を重ね、何とか釈放されるのだが、組織の報復は既に始まっていた。

ホイの所属する中華日報がウォンの手下たちによって襲われ、社長を含めた従業員たちが重軽傷を負い、これ以上の詮索をするなと圧力をかけられる。

報せを聞いたホイは彼らが担ぎ込まれたという病院に駆けつけ、その経緯を聞かされる。

ほかの従業員たちはさらなる報復を恐れてホイに自重を勧めるのだが、息子の熱意に打たれた社長はこの事に関しての特大スクープを取ってこいとハッパをかけてホイを送り出す。


一方、ジュディーの家に戻ったシンディーとチンはそこでお互いの素性を知り、言い合いになる。

それを知ったジュディーは二人とも素性を隠して自分に近づいていたことにショックを受け、二人とも家から追い出すのだった。


ホイの後追い記事が中華日報の最新号に掲載されたことにより、ウォンは彼らにさらなる報復を画策する。

ユーが入院しているなか、ウォンはジュディーをも拉致誘拐し、彼らを消そうと手下を通じて遂行させる。


シンディーたちはウォン達を追い詰めるため入院しているユーに協力してもらい、組織の告発の動画を撮り香港警察に証拠として提出して捜査への協力を得ようとするのだが、そこにジュディーが拐われたという報せが入る。

ウォンが示してきた廃工場に向かうシンディーとチンとホイ。

ジュディーを救出するため3人は組織の屈強なボディガードや多勢の手下たちが待ち受ける廃工場へ命がけの救出作戦に出るのだが...


レディースアクション史上最強の呼び声も高いシンシア・ラスロック主演のアクション作品。


90年代、香港アクションの一大潮流となったレディースアクション作品もの。

『天使行動』シリーズのムーン・リーや『皇家始祖』シリーズのミシェル・ヨー、シンシア・カーンといった類まれなポテンシャルをもつアクション女優達が台頭するなかで、アクションの新天地を求めてやってきたシンシア・ラスロックは頭ひとつ飛び抜けている感じである。


それもそのはず、シンシアは全米において5度の空手チャンピオンに輝いたガチの格闘家出身であり、それでいてアクションへの順応性はサモ・ハンをして天才的と言わしめるほど。

『皇家始祖』シリーズの第1弾である『レディーハード香港大捜査線』ではミシェル・ヨーを主演にしていたが、そのポテンシャルの高さからシンシアとのダブル主演になったほどである。


レディースアクションものでは実は暗黙の了解ではないが、香港や中国人以外のアクション女優が主役をはるということはほとんどない。

しかしその方程式を無視して、シンシアは数多くある香港レディースアクション作品で唯一無二の単独主演を飾った女優であり、その作品こそが本作である。


ストーリー的には当時の香港アクションものを象徴するかのごとく薄めで、特に凝った演出はなく、とにかくシンシアのアクションを魅せるために付随しているようなもの。

レディーレポーターと名はつくものの、事件記者らしい活躍と言えば冒頭での火災現場での子供救出シーンくらいだろう。

これから後は記者としての活躍もなければ活動を見当たらない(笑)。


反対にいえば共演となるマン・ホイの方が熱血記者としての見栄えがするというもの。

いきなり登場して味方になる謎の保険調査員に最後のショウブラザーズ出身のスター、チン・シュウホウが演じていて、格闘アクションを披露し、終盤ではキックボクサー出身のビリー・チョウと一騎討ちを繰り広げ、見せ場を作っている。


監督も務めるマン・ホイはこの当時、シンシアと付き合っていたとも言われており、アクション指導にはコリー・ユンを迎えて、まさに本作はアクションのレベル上げに全フリしているような布陣といえる。


そんな本作のアクションはまさにシンシアの独壇場といったところ。

レディースアクションお得意のデスウィッシュスタントは冒頭火災現場のシーンで3階からダイブしたりと身体を張る一方で、格闘アクションにおいては敵方がかなり強敵なメンツばかり。

先述したキックボクサー出身のビリー・チョウをはじめ、後半では本場タイから呼び寄せたと思われる本物のムエタイチャンピオンが敵中ボスとして登場し、シンシアに容赦ない膝やキックを叩き込んでいく。


なおかつクライマックスでは『プロジェクト・イーグル』で傭兵部隊のリーダーを演じていたヴィンセント・リンとカルトアクションの金字塔『しっくす・すとりんぐ・さむらい』のジェフ・ファルコンが登場し、シンシアと死闘を繰り広げている。

彼らもまたスタントマン出身で香港アクションに活路を見出そうとやってきたアクション俳優であるが、さすがは元地がしっかりしてるだけあって、アクションレベルは非常に高く、ジェフ・ファルコンに至ってはシンシアと本格的なクンフー対決まで見せてくれている。


残念ながら彼らの活躍を観る機会はそうないのだが、ハイレベルなポテンシャルのるつぼだった当時の香港アクションはまさに世界のアクション映画市場においてもトップクラスであったことに間違いない。


また地味ではあるが、マン・ホイもやられの美学というか敵の攻撃を受けて吹き飛ぶというスタントマンの見せ所的なアクションで目の肥えた香港映画ファンも納得の巧者ぶりをみせている。


インパクトある活躍をみせながらもこれまでユン・ピョウやアンディ・ラウ、サモ・ハンといった実力者のサポート的なところに収まっていたシンシア。

そんな彼女の香港時代唯一の主役となった本作は、見せきれていなかった爆発的なマーシャルアーツアクションを思う存分披露し、その実力はレディースアクション界当代きっての最強女ドラゴンと呼ぶに相応しいもの。

日本では円盤化(DVD化)されていないレア作品であるが、ハリウッドでもレジェンドアクションアクトレスとしてその名を残す彼女の若き日のキレキレな格闘アクションを堪能できる本作、機会があればその無双ぶりを確認していただきたいところである。


評価...★★★★

(ストーリーや展開の緩さはさておき、シンシアと強敵4人との戦いは最大にして最高の見どころ)










TSUTAYA DISCAS

 



Yahoo!ショッピング(ヤフー ショッピング)