皆さんこんばんは。
アクション映画とホラーをこよなく愛するワタクシいわしがこれまでの鑑賞記憶と調査から独自の論点で好き勝手に語る『映画独論』シリーズ。
おかげさまで10回目の節目を迎えることができました。
少ないながらも楽しみにしてもらっている方々に少しでも新しいジャンルの開拓のお手伝いになりますようネタを振り絞っていきますのでこれからもご贔屓にお願いいたします。

さて記念すべき10回目のネタですが、ここ最近アジア特に香港アクションに興味を持っていただいている方が増えまして、それならより間違いない作品に巡り合っていただきたいという思いから以前書きました『ハリウッドの脇役列伝』に続きましてその香港アクション映画編を特集したいなと思います。
今回紹介します俳優たちはこの人が出ていればその作品のアクションレベルはほぼ間違いなく高くなるという方を特に取り上げました。
いずれもどこかで見たことあるという感じなので今後の作品選びの一つの題材にしてみてください。



まず紹介しますのはこの方

『ケネス・ロー(ロー・ワイコン)』

でございます。

ジャッキー・チェンの作品でよく見かける人も多いと思いますが、現在も現役でドニー・イェンと戦っているほか渋い俳優としても活躍されていますね。
元々彼はムエタイの選手であり、引退後俳優の道を志していました。そんな彼はバーの用心棒をしていたところでジャッキー・チェンの目にとまり、彼のスタントチームに招かれます。
そしてジャッキーのスパーリングパートナー兼ボディガードを務めながら様々な作品に出演し、稀代のアクション俳優として名を上げるのです。
彼を一躍スターダムにのし上げたのがジャッキーの『酔拳2』で演じたラスボス『ジョン』でした。ここでジャッキー相手にみせたキックだけで相手を攻め立てるスタイルが話題になり、90年代のジャッキー作品最高の悪役として有名になるのでした。
以降の作品でもジャッキーの好敵手として出演するほかコメディエンヌな一面もみせるなど息の長いアクション俳優兼バイプレーヤーとして今日にいたります。
彼のアクションの魅力は何といっても変幻自在のトリッキーな足技の数々に尽きます。
何せこの開脚・柔軟性ですから(笑)

彼のベストワークはいろいろありますがやはりテクニックのすべてを出しているといっても過言ではない『酔拳2』でしょう。クライマックスのジャッキー戦だけでも見る価値ありますし、間違いなく衝撃を受けること請け合いです。
のちにしばらく続いたジャッキーの対格闘家路線にも影響を与えています。


ジャッキーのスタントチームと二分する大きなスタントチームが彼の兄弟子サモハン率いる『洪家班』です。
そしてここからも香港を代表するハイレベルなバイプレーヤーアクション俳優を輩出しています。
それがこの方、

『コリン・チョウ』

でございます。

わずか12歳で子役のダブルとしてスタントマンデビューした彼は、18歳の時にサモハンに見出されスタントチームにはいります。
数々のサモハン作品で出演しましたが、なかでもジェット・リーの敵役として印象的な作品が多く、多くの作品で彼と死闘を繰り広げました。
彼の凄さは香港だけでなくハリウッドにも通用しているということです。1998年にカナダに移住し活動拠点を移すとハリウッド作品に挑戦します。語学の勉強を含めその努力の結果につかみ取ったのがあの『マトリックス』シリーズのセラフの役だったのです。
その後もハリウッドアクション作品と香港アクションと股にかけて活躍中であり、キレのいいアクションを見せてくれています。
彼のアクションの魅力はファイトスタイルが自在なこと。作品に応じて見せる格闘アクションも変えていきその万能さは感嘆の一言です。
これには作品によって扱う格闘技や拳法を研究するサモハンの意識も大きく影響しているのかもしれません。

彼のアクションのレベルの高さはジェット・リーとの戦いの作品でも十分堪能できますが、初心者にこれというベストをあげるならドニー・イェン主演の『導火線』を挙げたいと思います。
ここでのドニーとのクライマックスの総合格闘技を絡めた一騎打ちはその年の香港アクションアワード金賞に輝いたほどのレベルの高さで、ドニーもマイベストに掲げるほどの出来です。
目まぐるしく繰り広げられる技やガチの殴りあいの迫力は間違いなくハマることでしょう。



スタント能力が一流なのはもちろんのことですが、中には演者だけでなく指導者としても超一流な名脇役がいます。
それがこの方、

『ション・シンシン(熊欣欣)』

でございます。

本土生まれの彼は広西地区の武術学校で教官を務めるほどの実力者でしたが、ジェット・リーの『阿羅漢』でスタントデビューし、同じくリーの『天地黎明』で彼のスタントダブルを見事に演じ切ったことからツイ・ハークに認められます。
その後続編の『天地大乱』では中盤の敵ボスクン大師を演じ、さらにその続編となる『天地争覇』で最高の当たり役となる足技の怪物『鬼脚七』に抜擢されるのです。
その後もツイ・ハーク作品の名脇役としてアクションを見せるほか、『ワンチャイ』シリーズの七役は彼の代名詞となるほど有名になります。現在も悪役・チョイ役問わず印象的な格闘アクションを見せてくれていますが、彼の魅力は彼自身が見せるアクションだけに留まりません。
彼は武術指導家としても高名であり、彼の手掛けるアクション作品は軒並みそのレベルが高いことで評価されています。
海外においてはユエン・ウーピンコリー・ユンに並ぶ人気ぶりでアジア圏においては彼を起用すれば間違いないといわれるほどです。

演者としての彼のベストワークは数々のワンチャイシリーズで演じている鬼脚七役のアクションでしょう。特に『天地争覇』でみせる足技は怪物に相応しいすさまじさです。
武術指導としての関連作品も数多くありますが、中でもハリウッド作品の『三銃士』は評価されています。さらに新星ジャン・ルーシャーが主演デビューした『エンジェルバトラー戦闘無双』のハイレベルな格闘シーン数々はアクションファンの評価も高い作品です。



本格派にもいろいろありますがこの人は別格の本格派といえます。
それがこの方

『シン・ユー』

でございます。

ルックスからは元ちびノリダー伊藤淳史みたいなおさるさんフェイスでおおよそ主役とは思えぬ感じですが、この方実は本物の少林寺の武僧出身です。第38代の師範代まで務めた彼は文字通り超人的なパフォーマンスを本物の少林寺で行っていたわけですが、チャウ・シンチー『カンフー・ハッスル』で寡黙な足技の達人を演じて以降俳優を目指します。
その後は大小・出番の多い少ないを問わずいろんなアクション作品に出演しては印象的な格闘シーンをみせてくれています。
演技的にも『イップマン序章』で見せた主人公の友人役で悲愴感漂う戦いを繰り広げるなどバイプレーヤーとしても注目を集めて始めています。

彼のアクションの魅力は『本物の少林寺』を感じさせる迫力です。悪役であろうと少しの出番であろうと彼が戦うときはその格闘シーンは非常にレベルが高いです。
そしてその彼自身の武骨さがまた強烈なインパクトを呼び込みます。例えばウー・ジン『拳陣』という作品ではファイターのひとりとしてワンシーンながらもウー・ジンとの一騎打ちは事実上の頂上決戦の扱いですし、『孫文の義士団』では数シーンながら悪役としてのインパクトを刻み付けています。
そんな彼のベストワークはこれまたドニー・イェン主演の『導火線』から。彼は本作で悪役兄弟の末弟タイガー役を演じているのですが、中盤のクライマックスともいわれるシーンで彼はドニーとガチンコの一騎打ちを繰り広げていて、まさに一撃必殺のアスファルト上でのスープレックスをくらったり、ガチのパンチを食らうなど受けの美学を感じざるを得ない名シーンを見せてくれています。



最後に紹介したいのがこの方、

『アンディ・オン』

でございます。

ユエン・ウーピンに自ら売り込みをかけツイ・ハーク『ブラック・マスク2』主演を勝ち取った胆力の彼はなんと映画デビューまではカンフーの心得がなく、現場にて武術を吸収していったという努力の人でありある意味の天才肌であります。
役柄に没頭し武術も演じ切るという憑依型の彼は元アスリートという面から作品を追うごとにカンフーもそして演技力も身に着け、いまではドニー・イェンとも対等に渡り合えるほどの実力の持ち主となりました。
彼もシン・ユー同様に様々な作品に出演し、ノンクレジットの作品にも出演してアクションを見せるなど義気に熱い俳優としても知られています。
そんな彼のエピソードを示すのがドニー・イェン主演の『特殊身分』での話。トラブル続きの相手方によって難航していた作品に自らドニーの相手役として買って出たのが彼でした。
そこで見せた見事な総合格闘技ベースのファイトスタイルは彼のアクションのポテンシャルをさらに広げたと評価されています。

主演作品も数多くあるアンディ・オンですがアクションにおけるベストワークならば先の『特殊身分』『帝戦BAD BLOOD』でのハイスピードアクションでしょう。途中退場は残念ではありますがそれまでに見せる対熊欣欣戦やジャン・ルーシャーと組んだ対ケネス・ローチャーリー・チャン戦は非常に見応えあります。
演技力でも賞を取っている彼は『インビジヴル・ターゲット』で見せた演技は熱くさせると話題ですのでぜひ観てもらいたいものです。

いかがだったでしょうか?
あくまでワタクシの個人の考察によるものなので必ずしもそう思われない方もいるかもしれませんが、今回紹介した彼らの関連するアクション作品は見る限りレベルは高く、彼らが演じる格闘シーンは間違いなく見応えあるものばかりです。
間違いの少ないアクション作品選びの一つとしてぜひ参考にしてもらえればと思います。
アクションだけでなくドラマとしても盛り上げる名脇役も取り上げていきますかね次回以降に( ´∀` )

そういったところで今回の独論はここまで。
次回はまたどんなネタでお会いしますかお楽しみに(^O^)/


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いわしの映画独論第1回『アクション映画のトレンド格闘技って?』


いわしの映画独論第2回『ハリウッドアクション女優の系譜』


いわしの映画独論第3回『次世代、第2の○○』問題を斬る(笑)


いわしの映画独論第4回『アクション俳優のブレイクに“アレ”は欠かせない』


いわしの映画独論第5回『アクション女優の系譜第2弾!~アジアンアクション女優編~』


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