古道巡礼 八十里越

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会越

八十里越

2021年10月9日‐10日

【行程】両日晴れ 歩行距離約30キロ

 9日:燕三条駅9:10(タクシー)吉ケ平10:00‐20…番屋乗越12:55…ブナ沢14:15…空堀小屋跡15:00…殿様清水15:30

10日:殿様清水6:05…鞍掛峠6:50-7:00…小松横手7:45…田代平8:20-8:45…八十里峠(木ノ根峠)9:25…松ヶ崎10:20‐30…国道289号12:50-13:15…ゲート14:10(タクシー)14:20…ひとっぷろ入浴…只見駅15:30(只見線)小出駅17:10(上越線)浦佐駅

万緑の原生林が続く(ブナ沢の徒渉直後)奥は烏帽子岳

 

三条から只見までの八十里はブナの巨木と、もちブナに満ちた、想像を遥かに上回る、言葉で表現できない万緑の森が続いてました。動物も豊で、要所にほやほやの熊のウンチが。翌日は2か所でドスンドスンという足音を立てガザガザと森の奥に逃げる番人とのニアミスもありました。

 

長大な街道で、一里が十里に感じられるほど急峻で険しいの道のりから「八十里越」と呼ばれた約30キロの古道は、新潟県三条市(旧下田村)から福島県只見町の県境地に存在しています。大正時代物資の輸送は鉄道に代わり、国道の整備も進み、その役目を終え一気に衰退したそうです。日本有数の豪雪地帯であるがゆえ、加速度的に荒廃し、廃道化しました。近年地元の有志により、整備されましたが、沢筋は抉れ、雪崩によりスラブ化し、獣道のような箇所もあり、整備されたとはいえ一筋縄ではいかぬルートでした。

美人すぎるもちブナ

未開通の国道からみる叶津川

 

八十里越は全長302キロの国道289号線の一部。現在も19キロは一般車両が通行できない未開通区間となっており、地形図は蛇行するように旧道の点線国道が記されてます。上越の未開通区間国道252号線の清水峠と同様、ただの山道で一年のうち半年以上は雪に閉ざされている辺境酷道です。

 

一方豪雪地帯で有るが故に、真の大自然が残り、世界的にも類のないアパランチシュート(雪喰地形)や巨大なスラブ壁が山肌の要所に見られる特異な山襞が特徴的です。

 

街道は福島と新潟を結ぶショートカットルートとして、昭和45年国道に指定され、昭和60年頃この大自然の中央を突き抜けるルートで着工されましたが、30年を経過しても未だに開通していません。トンネル掘削技術の向上等で福島県側は完成しましたが、雪崩が頻発する新潟側19キロの完成には数年を要するようです。

 

そんな環境の八十里越。国道開通前に歩いてこそ価値を有するものとして、年1回山行する山仲間で企画。

一泊2日で前時代の残滓濃い八十里越を歩いてきました。

スタート地点の吉ケ平自然体感の郷

崩壊寸前の分校は取り壊され、跡地に吉ケ平山荘がまもなく完成する

豪雪帯の添景「ゾウぶな」 

椿尾根にて

新緑時のような透き通る葉と容色のブナに見とれてしまう

瓜実のブナ

最初の峠の番屋乗越

ここを越すと風景ががらりと変わる

工事中の国道289号線 着工から30年経過しているそうだ

沢筋は残置ロープでトラバース

火薬跡 

岩盤を火薬で崩し山道を切り開いた場所。火薬を詰め込んだ穴がいくつも残っていた。

ブナ平

ブナ平

ブナ沢 

倒木で自然のダムが形成されていた

高清水沢

 

 

 

 

空堀小屋跡

ここから地形図上の国道289号となる

地形図上の国道289号線にある巨大ブナ

極上の水が湧きだす殿様清水にて

ここも国道289号上です

つまみ当番さんの工夫したお摘みが次々と提供される

殿様清水から見る烏帽子岳の大岩壁

八十里越最高地点(975m)の鞍掛峠

ここで長岡藩家老上席・軍事総督の河合継之助は、新政府軍との戦で陥落した長岡城を後に、会津へ向けて落ちのびた。

この峠で、重傷の継之助は1人で歩けず、もう戻れぬ領地を振り返り、「八十里こしぬけ武士の越す峠」の自嘲の句を詠んだとのこと。

鞍掛峠の先の水平山道で展望が開ける

1527峰からウイングを拡げる峰々が美しい

小松横手は優良展望地だ

小松横手から浅草岳と破間川源流

田代平へと続くブナ林

ここも国道289号

田代平

田代平から八十里峠間はアップダウンの続く悪路となる

ここも国道289号

八十里峠(木ノ根峠) 新道 独特の雰囲気を醸し出している

八十里峠古道

酷道289号塞ぐ倒木 絵になります

眺望絶佳の松ヶ崎

開通前の289号線 着工から30年以上経過

ひとっぷろで入浴し、一日3本しかない只見線で帰京