アンニョンハセヨ(^-^)ノ
引き続き韓国映画なんやけどさ~
注:怖い映画です・・・(*´>д<)
前回の記事では
これまでに観た韓国映画の中から
特に好きな作品を選ばせてもろたんですが
そのチョイスを見て
皆さんはお気づきになられたことでしょう。
私の得意分野のうちの一つが
「殺人事件系」
またはシンプルに、「事件系」だと。
(コメディやロマコメも得意ですけどねー)
確かに、私は「事件」の映画が好きです。
韓国映画を観ていく過程で、自分でもそれに
ハッキリ気づいたほどです。
だって韓国映画は「事件」を描くことに
非常に長けているんですから。
ゆえに、この作品を観ることを
私は以前からとっても楽しみにしていました。
DVD、いきなりお正月に買ったんですけどね・・・
観たら、予想を裏切ってくる映画でした。
ずっとずっと、いい方にね。
ビー・デビル
ビー・デビル
原題:김복남 살인사건의 전말
英語題:Bedevilled
中国語題:金福南杀人事件始末
(2010年、韓国映画、115分)
監督:チャン・チョルス
脚本:チェ・グァニョン
撮影:キム・ギテ
照明:ナム・ジナ
音楽:キム・テソン
出演
ソ・ヨンヒ → キム・ボンナム
チ・ソンウォン → チョン・ヘウォン 銀行員
ペク・スリョン → トンホおばあさん
パク・チョンハク → マンジョン ポンナムの夫
ペ・ソンウ → チョルジョン マンジョンの弟
オ・ヨン → トゥクス 渡船船長
イ・ジウン → ヨニ ポンナムの娘
キム・ギョンエ → パジュ(坡州)おばあさん
ソン・ヨンスン → スニおばあさん
イ・ミョンジャ → (犬便)おばあさん
ユ・スンチョル → 痴呆おじいさん
チョ・ドクチェ → ソ警士
チェ・シヒョン → ミラン タバン(喫茶)レジ
タク・ソンウン → パク・チス 銀行同僚
ホン・スンジン → ヤンキッズ
ファン・ミノ → ドジャース
ホン・ジェソン → チャン警士
チョン・ギソプ → チェ警長
アン・ジャンフン → チャン氏 渡船船長
ミョン・ロジン → 銀行支店長
キム・ギョンラン → 貸出老人
チェ・ミン → 被害者
パク・チョンスン → 被害者の父
ソン・ウォニョン → 所長
ハン・ドンハク → アパート管理人
ペク・オックァ → 清掃おばさん
輝国山人の韓国映画様から転載させていただいてます。
物語: ソウルの銀行に勤める独身女性ヘウォン(チ・ソンウォン)は、トラブル続きの都会生活から逃れるように、子どもの頃に暮らした思い出の島にやってくる。
そこは、たった9人の住民が暮らす絶海の孤島であった。彼女を出迎えたのは、生まれてから一度も島を離れたことがない幼なじみのキム・ボンナム(ソ・ヨンヒ)。
人なつっこい笑顔でヘウォンの帰郷を喜ぶボンナムだったが、その表情の陰には、地獄のような苦しみに耐えてきた日々があった。
注:かすかにネタバレ気味です(^┰^;)ゞ
そんなん不謹慎やとは思うけど
この映画を残酷な殺人事件を楽しむ(?)
ホラー映画らしいホラー映画だと思って観ると
おそらく肩透かしを食らうかもしれません。
私個人の感想ですが、後半部分に関しては
それほど残酷度が極端に高い映画だとは
思えませんでしたし、そういった残酷描写を
売り物にした作品でもありませんでした。
いや、むしろ・・・「もっとやれ!」と
「もっと残酷にやれ!」と、私は思っていました。
やられた仕打ちに比べて、生ぬるいんじゃないかと。
それほど、前半部で明らかになる
ボンナムの境遇が酷いものだったから。
私はこの映画を恐ろしがって観るとゆうよりも
激怒しながら観ていました。
↑『アジョシ』(2010年)の
人身売買ばーさん(ペク・スリョン)も出てきます。
第一印象は「不愉快な映画」です、これは、もう。
女性も男性も、観れば気分が悪くなることでしょう。
結果的に、作った人の主張を思えば
『トガニ 幼き瞳の告発』(2011年)に近い味わいの
映画だったように、私には思えました。
閉ざされた狭い世界に受け継がれてきた
悪しき、伝統的な因習への批判を感じれば
しかし、それが過疎の孤島だけのものではなく
世界中のそれぞれの大都会においてさえも
当たり前のように存在する、暴力、虐待、DV
あってはならない男尊女卑の関係
いたいけな子どもを狙った汚らわしい性犯罪
そして
それらを見て見ぬふりする保身からの無関心。
人の心配よりもまず我が身の可愛さ
困っている人がいても
面倒ごとには極力かかわらないとゆう
事なかれ主義に徹した
ヘウォンの性格は正直、今の時代の日本でも
多くの人びとにあてはまるとしか言い様がない。
この映画は幾つかの現実の事件をベースに
してるそうなんだけど、その物語が提示するのは
私たち誰にとってもありうる人間関係、境遇だと
私には思えた。
そして、そういった逃げ出せない小さな世界の中で
ただもう日々をやり過ごし、耐え抜いてきた結果
子どもを守れなかった母の怒りの爆発と復讐は
むしろ、子を持つ親御さんなら当然のこととして
共感すら感じられることでしょう、と言ったら
言い過ぎでしょうか??
子どものいない私ですら、「もっとやれ!」ですから。
法律には反するのかもしれないのだけど
私にはボンナムの復讐は正当なものだったと
思えてなりません。
それを見ることは心が痛むものではあるけれど。
けど、驚いたことに映画を観終える頃には
意外なほどに新鮮な感動がある、と断言できます。
この映画は事件の原因から始まり
事件の発生に行き着きますが
事件の結果によって生じた主人公の変化は
納得のいくものであり、そして彼女が自分の中で
過去の思い出と折り合いを付けるラストは
私の心を震わせるほどのものでした。
私はこの映画を、怖い映画、残酷な映画を
観たくない人たちにも
チャレンジしてほしいと思うのだけど
その理由はこの結末にあります。
驚くべきことに後味の悪い映画ではない、と思う。
そして、ヘウォンとボンナムとゆう二人の女性の
少女だった頃の関係を思えば
結末には涙を禁じえません。
島での暮らしの中でヘウォンとゆう遠く離れた存在だけが
自分と娘をソウルへと逃亡させてくれるとゆう望みを
かなえてくれるんじゃないかと儚く期待していた
ボンナムの思い。
そこまで具体的には言い切れないけど
体を洗う場面でボンナムがヘウォンの胸に
強く触れる描写や
ボンナムがへウォンと少しでも触れ合っていたいと
欲している描写がありますが、それはヘウォンが
島に来てくれた喜びを感じさせるのと同時に
やはり、ボンナムがそれまでの人生を通して
小学校時代から、ボーッとするほど好きだった
ヘウォンこそを愛していたことの証だったと
私には思えてなりません。
ボンナムの結婚生活にはかすかな愛も
存在していませんから。
この映画はまた、ただ一人の親友を強く愛した女と
それほど気にかけていなかった女の話でもあり
ヘウォンが過去を思い出していく過程に
その二人の女の深いドラマがあると思え
そして事件が起こった島からは人が消え
忘れ去られていくけど、へウォンはやはり
自分があの島で育ち
ボンナムと思い出を共有したことを
ずっと忘れることはないでしょう。
その他、この映画は、本当に丁寧に
観れば観るほど、場面場面が不思議にかかわり
関連していたり、多くの暗喩を含んでいると
思えますが・・・書きだしたらキリがないので
このへんで( ゚ー゚)( 。_。)
一つ、どうしてもわかんないことがあるのですが
ヘウォンが島から渡船船長のトゥクスと逃げ出そうと
必死で慌ててる時に
「早くしろ この野郎」
「手を動かせ クソ野郎ども!」と怒鳴り
それに対してトゥクスが
「頭おかしいのか? 俺1人しかいないぞ」と
言い返したことの、意味はなんなんでしょ??
ヘウォンはまごつくトゥクスに、誰か複数の人物を
重ね合わせたんでしょうか??
銀行の仕事でいつも上司とかに急かされてたとか??
わからないなりに好きなシーンなんですけど
もしわかってる人がいたら説明してほしいです・・・。
この作品は、正義に関する映画。
この建て前ときれい事と保身と
上っ面だけの自己弁護ににまみれた世界に
正義を取り戻すための映画、だと思った。
強い意志を感じます。
そして同時に、映画らしい感動的なドラマでもある。
確かに、血もいっぱいドババと出るし
鎌もグサーッと刺さる。
けど、できれば観てみてください。
素晴らしい傑作です。
ふぅ~
やっとこの映画を記事にできました(o´Д`)=з
最後に、この『ビー・デビル』が題材の一つとした
「密陽女子中学生集団性暴行事件」を描いた映画
『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』って作品が
2月10日から公開されます。
私は気持ち的に無理で、観に行けないのですが・・・
興味を感じた方は是非、観に行ってください
でわ、また、アンニョンヒガセヨ(^.^/)))
※ 2020年9月1日 画像を追加しました。
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