小さな町から韓国語

小さな町から韓国語

田舎暮らしをしながら、韓国語教室を運営しているおばさん先生のブログ

生徒さんから受けた質問なのですが、でも、私の耳も全く同じ現象を感じるので、すごく共感できることがありました。

 

それは、

 

다음에

 

という言葉の聞こえ方。

 

「次に~」という時、韓国語ネイティブは「다음에」と言いますが、

 

ある人の「다음에」は、カタカナで書くと「タウメ」に聞こえる。

 

でも、ある人の「다음에」は、「ダウメ」と音が濁って聞こえる

 

という生徒さんのご指摘なのですが、私も全く同じ経験をしました。

 

「タウメ」という発音が正解か?「ダウメ」という発音が正解か?

 

結論から言うと、話をしている韓国語ネイティブはみんな「다음에」を発音してて、私たちの耳が勝手に「タ」に聞こえたり、「ダ」に聞こえたりしているだけのことだろうなあと推測できます。

 

本来「다」というのは、平音で息の出方がとても弱い、優しい音です。

日本語で、息の出方が弱い音と言えば、濁音です。今回の場合だと「ダ」が近いです。

 

だから、韓国人が「다」と発音する時、

 

息の出方がすごく弱く発音されたら「ダ」に聞こえる。

でも、息の出方が濁音ほど弱くなく発音されたら「タ」に聞こえる。

※日本語の「タ」は、韓国語の平音より息の出方が強く、激音より息の出方が弱い音です。

 

ということだと思います。

 

つまり、息の出方は個人差なので、その個人差が私たちの耳に「タ」とか「ダ」に聞こえてしまってるということなんだろうと、考えられます。

 

逆に言うと、日本人が「다」を発音する時、気を付ける必要がありそうです。

 

「다」は、「タ」だとおもって、息を出しまくって発音する。そうすると、息が強すぎて「다」ではなくて、「타」に聞こえてしまいます。

 

息の出方の強弱まで神経使ってたらたまったもんではありませんが、結論から言うと「タウメ」と聞こえても「ダウメ」と聞こえても同じ「다음에」であって、個人差の息の出方によって聞こえ方が違って聞こえるという、聞く側の耳の問題(?)になってしまうということのようです。

 

 

釜山好きの私の心を見透かしているかのように、スマホのアルゴリズムが次々と釜山ネタをおすすめしてきます。気になる最新情報に目移りしつつも、画面をスクロールしながらどこか懐かしい気持ちに浸っていました。

思い出せば20数年前、私は現地で韓国人の生徒さんたちに日本語を教えていました。日本から私の友人が遊びに来たときのことです。

 

「先生のお友達なら、大事におもてなししなきゃ!」と、

 

地元の生徒さんたちが車を出して、あちこち案内してくれたのです。

その時、地元の釜山っ子たちが「釜山最高の夜景を見せてあげる!」と連れて行ってくれたのが、荒嶺山(황령산)でした。

「夜景と言えば황령산!」と意気込む生徒さんに連れて行ってもらったものの、ただ暗い山道を登り、駐車場すらない広めの道端に車を停めて、高い場所から夜景を眺めるというスタイル。

 

文字にすると少し素朴に聞こえるかもしれませんが、そこから広がっていたのは息をのむほど美しい絶景でした。函館や香港といった世界的な夜景スポットと肩を並べるかどうかは分かりませんが、誰もが「おおーっ!」と声を上げて感動するほどの輝きでした。

 

あまりの美しさに魅了された日本の友人たちは、帰国直前に「もう一回行きたい!」とおねだりし、滞在中になんと2回も足を運んだほどです。

そんな思い出の荒嶺山ですが、今ではすっかり釜山を代表する超人気名所に生まれ変わったようです。

 

道はきれいに整備され、山頂付近には本格的な「荒嶺山展望台」や大きな木製ウッドデッキ、さらにはおしゃれなカフェまで完備されているんだとか。

当時は「静寂とスリルが漂う、地元民だけが知る穴場」という風情でしたが、今や洗練された夜景スポットへ。

 

20数年という月日の流れを感じると同時に、地元の人々に愛されてきた大切な場所を、こうして素敵にアップデートして活かしている点にもすごいなあと思います。

ところで、この「황령산」という名前、実は日本人にとってはかなりの難関発音です。

まず、日本人が苦手とする「ㅇ」のパッチムが連続します。さらに「ㅇ」パッチムの後に「ㄹ」が続くため、発音が変化する鼻音化が起こります。

 

なので、ハングル通りに読もうとするのではなく、正しく発音するなら「황녕산(ファンニョンサン)」となります。

当時の私も友人たちも、耳で聞こえたまま「ファンニョンサン!ファンニョンサン!」と連呼していましたが、きっと「ㅇ」のパッチムは綺麗に発音できていなかったでしょうし、本来の綴りは「ファンリョンサン」と書きつつも発音が「ニョンサン」に変わるなんてルールも、知る由もありませんでした。

 

でも、そんな無知だった頃の思い出も含めて、今となればどこか懐かしく、楽しい記憶として心に残っています。

 

ぜひ、新しい황녕산にも行ってみたいものです。

先日、釜山に旅行に行かれた生徒から、こんな質問(というか、心の叫び?)をいただきました。

「釜山の英語表記って『Busan』ですよね。あれ、どうしても違和感があるんです。『Pusan』のほうがしっくりきませんか?」

……150%、大賛成です!!

みなさんも、一度はこのモヤモヤを感じたことがあるのではないでしょうか。

 

これには、2000年に韓国政府が公式なローマ字表記ルール(国語のローマ字表記法)を変更したことで、PusanがBusanになったというのが背景にあるのです。

 

ルール改訂前は、激音(息を強く出す音)にアポストロフィ( )をつけて区別していました。

 

例えば、인천→Inch’ŏn

 

でも、ルール改訂後は、アポストロフィを廃止し、平音には濁音のアルファベットを割り当てて、平音と激音を区別することになりました。

 

平音「ㄱ・ㄷ・ㅂ・ㅈ」 = g・d・b・j

激音「ㅋ・ㅌ・ㅍ・ㅊ」 = k・t・p・ch

 

부산の「부」は、平音の「ㅂ」なので、「b」が割り当てらた・・・ということですね。

 

私が釜山にいたころは、釜山国際映画祭は「PIFF(Pusan International Film Festival)」が正式名称でしたが、今では「BIFF」になってしまっていて・・・個人的には、いまだに心が「BIFF」を受け入れられずにいます。

もちろん、この改定には韓国国内でも激しい論争があったようです。

 

反対派の言い分は、


「語頭の『ㅂ』は、英語圏の人や日本人には『P』の音に近く聞こえる。『Busan』と書くと、外国人は濁音で『ブーサン』と発音してしまい、かえって本来の発音から遠ざかる!」

 

というもの。

 

一方、賛成派の言い分は、


「アポストロフィのような特殊記号はIT時代・パソコン処理に適していない(システムエラーの原因になる)。

『ㅂ=B』『ㅍ=P』と1対1で機械的に対応させた方が、国民全員が迷わず書けて明快だ!」

 

というもののようです。

 

要するに、「外国人に正しく発音してもらうための分かりやすさ(旧表記)」を取るか、「デジタル時代の作業効率と自国ルールのシンプルさ(新表記)」を取るか、という戦いだったということですね。

そして結果として勝利したのが、現在の「Busan」でした。

 

他にも地名で言うと

 

大邱 대구  Daegu

金浦 김포  Gimpo

 

なども影響をうけたパターンです。

 

ちなみに、「キムチ(김치)」も、このルールに当てはめると gimchi になるのですが、料理名などの固有名詞は慣習が強く残っているため、例外的に kimchi も広く認められているそうです(そこは柔軟)。

 

仕組みや理由は頭では理解できても、耳や目から入ってくる「Busan」のしっくりこない感、この気持ち悪さったらありません。もう慣れて行くしかないですね。