小さな町から韓国語

小さな町から韓国語

田舎暮らしをしながら、韓国語教室を運営しているおばさん先生のブログ

テキスト中で、こんな例文が出て来ました。

 

A: 잠깐 나가는데 왜 창문까지 닫으세요?
(ちょっと出かけるだけなのに、何で窓まで閉めるんですか?)

B: 나갔다 오는 사이에 비가 올까 봐 닫아 놓는 거예요.
(出かけて戻ってくる間に、雨が降るかと思って閉めておくんです。)

 

ここでの新出文法は、「 비가 올까 봐」の部分だったのですが、生徒さんは、「 닫아 놓는 거예요.」の「-는 거예요」にひっかかりを感じたそうです。

 

「-는 거예요」」は、本当によく登場する語尾です。

 

つくり方はシンプルで、動詞や形容詞の連体形に「것이에요」の縮約形「거예요」がくっついてできている形です。

直訳すると「~することです」「~するものです」となります。

 

ですが、改めて考えると

 

どう訳す?

どういう時使う?

 

という疑問が起きてくるのも分かります。

 

これ単体で文法として取り上げられてることもほぼないですし。

 

「-는 거예요」の役割は、「理由や背景、事情を相手に説明する」です。

 

①事情や理由を説明する

A: 요즘 왜 이렇게 바빠요?
(最近なんでそんなに忙しいんですか?)

B: 다음 달に 이사하는 거예요.
(来月、引っ越しするんですよ。)

 

②相手に「こうだよ」を教えてあげる(新情報の提示)

A: 이 앱은 어떻게 써요? 로그인이 안 돼요.
(このアプリはどうやって使いますか?ログインができません。)

B: 아, 그건 먼저 회원가입을 하는 거예요.
(あ、それは先に会員登録をするんですよ。)

 

などなど、例はキリがないのですが、

 

「実は~なんです、だから〇〇なんですよ」と事情、背景、理由を説明したり、

「~は〇〇なんですよ」と、相手の知らない新情報を伝えたり、

 

という場面で使われます。

 

日本語で言うと「~んです」に近いのかなと思います。

 

例①

A:かわいい服ですね。

B:昨日、デパートで買いました。

 

例②

A:かわいい服ですね。

B:昨日、デパートで買ったんです。

 

こちらの2つの例文、言ってる事実は同じなのですが、相手に背景を説明をする時には「~んです」を使った②の方が会話らしい感じがすると思います。

 

この「~んです」が、「-는 거예요」の働きに似ているなあと、個人的には思っています。

 

最初の例文に戻ると、Bさんはただ「窓を閉める」という事実を伝えているのではなく、「(出かけている間に雨が降ったら困るから)閉めておくんだよ」と、自分の行動の理由を相手に説明しているからこそ、「-는 거예요」 が使われているのだと思います。

 

これから韓国語の会話を聞くときは、ぜひこの「〜んです(説明・背景)」のニュアンスを意識してみてください。

 

実は私、4月に入院をしていたのですが、入院中ってとにかく暇なんですよね……。

 

そこで、スマホで、韓国の俳優さんが多く出演する日本ドラマ『10回切って倒れない木はない』を観て過ごしていました。

このドラマ、作中にもちょこちょこ韓国語が出てくるのですが、タイトルの『10回切って倒れない木はない』も、韓国の有名なことわざから取られたものです。

韓国語のオリジナルはこう言います。

열 번 찍어 안 넘어가는 나무 없다

直訳すると、まさに「10回叩いて(切って)倒れない木はない」。


本来は「どんなに難しいことでも、何度も挑戦し続ければ必ず成功する」という、努力や不屈の精神を応援する素敵な意味のことわざです。

実はこの言葉、私にとってすごく思い出深いもの。というのも、私が韓国に住み始めた25年前、現地でやたらとこのことわざを耳にしたからなんです。

ただ、当時この言葉が使われていたのは、「ビジネスや勉強や生活などの困難に立ち向かう時」ではありませんでした。

「好きな女性に何度でもアタックする」という、ゴリゴリの恋愛文脈で使われていたのです。

当時の記憶をさかのぼると、当時の韓国男性はとにかく情熱的。
一度や二度フラれたくらいでは、絶対に諦めません。

「ことわざの言う通り、何度でも、何度でもアピールし続ければ、いつか必ず振り向いてもらえるんだ!」

そんな熱いマインドを熱弁されたり、実際に猛アタックして付き合えたという実体験をドヤ顔で語られたりすることが本当によくありました。

 

女性の方も「何度もあきらめずアタックしてくれるなんて、本当に私のことが好きなんだ」と、ポジティブとらえる姿勢を見せていたようにも思います。

ということで、この「押しの一手」の姿勢、当時の韓国ではかなり肯定的に受け入れられていたのですが……。

 

私を含め、現地の日本人コミュニティの間では、正直こんな声が漏れていました。

「えっ、さすがにしつこくない……?」

「押してばかりって、ちょっと重いよね……」

「相手が嫌がってたら、普通に迷惑では……?」

グイグイ押していく情熱的な韓国文化に対して、控えめ大好きニッポンという感じででしょうか。

しかし、時代は流れました。


最近の韓国では、この「押して押して」の恋愛スタイルに対して、否定的な意見も出ているようです。

意見というより、ヘタをしたら「それ、ストーカー行為で犯罪になっちゃうよ」という指摘までチラホラ見かけるようになりました。

実際のニュース記事でも、弁護士さんがこのようにコメントしています。

(この記事以外にも似たような意見の記事がいくつも見かけました)

 

 

“우리가 예전에 열 번 찍어 안 넘어가는 나무가 없다 이런 속담이 있고, 그걸 굉장히 긍정적으로 어떤 동기 부여를 할 때 많이 썼다”며 “그러니까 계속 찍어라라는 의미로 썼지만 사실 스토킹의 경우에는 상대방이 움직이지 않고 있는데 계속해서 열 번 찍는 그런 행위를 하는 것은 범죄에 해당할 수 있다”고 말했다.

【意訳】
「昔は『10回切って倒れない木はない』ということわざがあり、モチベーションを上げるために肯定的に使われていました。『だから諦めずにアタックし続けろ』という意味でしたが、実際のところ、相手が拒絶している(動かない)のに何度もアタックを繰り返す行為は、ストーカー犯罪に該当する可能性があります」と話した。
 

 

時代が変われば、かつて美徳とされていたものが否定的なものに変わる……まさにその典型例ですね。

この記事を見たとき、当時の在韓日本人チームで集まって「ほら!やっぱり見てごらん!あの『10回うんぬん』って、やっぱり迷惑だったんだよ!」と、25年前のモヤモヤを答え合わせしたくなりました。

もちろん、このことわざの精神がすべて悪というわけではありません。超健康的で超純粋な「10回切って倒れない木はない」の胸キュンストーリーだってあるはずです。

でも、「やっぱり押しすぎは良くないよね」と、改めてしみじみ思ってしまう、純日本人の私なのでした。

 

この「10回アタック精神」をどう思うか・・・好み?としか言えないんでしょうね、きっと。

先日、お気に入りのエッセーを読んでいた時のことです。

ページをめくっていると、ある単語が目に飛び込んできました。

「어컬트적」

うん、これはお初にお目見えする単語な気がする。

私は韓国語のリーディング中に知らない単語に出会うと、いつも決まったステップで攻略を試みます。

ステップ①:文脈から意味を推測する

ステップ②:漢字語か、純韓国語(固有語)かアタリをつける

今回のターゲットは「어컬트적」。


そのスペルの雰囲気から、私は「うーん、これは純韓国語(固有語)だろうな」と推測しました。ただ、お尻にくっついている「적」だけは、漢字の「〜的」だろう。

そうアタリをつけて、さっそく相棒の「紙の辞書」を開き、「어컬트」のページを探してみました。

……ところが、載っていない。

紙の辞書にないということは、新語か、造語か、あるいは外来語か?

私はそこから、テキスト上の「어컬트」という文字をじーーーっと見つめ続けました。ひたすら凝視します。

そして次の瞬間、ピキーンとひらめいたのです。

「……あ! オカルト(Occult)だ!!」

어컬트(オコルトゥ)= オカルト

最初の印象で勝手に「純韓国語(固有語)」だと決めつけていましたが、見事なまでに外来語でした。

第一印象とはあまりにかけ離れた正体でしたが、不思議なもので、「オカルト」だと分かってしまった今となっては、もう「어컬트」がオカルトにしか見えません。

一つの単語をめぐって、私の脳はかなりいい汗をかきました。


たまにはこんな風に自力で謎を解き明かす「脳の運動」も楽しいものですね。