小さな町から韓国語

小さな町から韓国語

田舎暮らしをしながら、韓国語教室を運営しているおばさん先生のブログ

先日まで、『사람의 아들』というかなり重いテーマの韓国本を読んでまして、ちょっと疲れました。

 

 

で、その後は、軽めに行くことに。

 

『保健室のアン・ウニョン先生』や『地球でハナだけ』といった作品で、日本でも人気のある作家さん、정세랑 (チョン・セラン)さんの、歴史ミステリー長編小説を読み始めるまして・・・

 

じっくりというより、一気にいってしまいました。

 

舞台が7世紀の韓国、統一新羅時代。

主人公は、幼いころに亡くなった兄に代わって男装をして唐に留学した설자은(ソル・ジャウン)。

 

新羅に帰国したこの主人公が、周りで起こるいろいろな事件を解決していくという内容なのですが、韓ドラの歴史ドラマを見ている気分で、楽しむことができました。

 

作者の言葉によると、アガサ・クリスティーやエリス・ピーターズといった、昔の推理小説家の本をヒントに、この作品を描いたそうで、今後シリーズ化がすでに決まっているようです。

 

정세랑 (チョン・セラン)さんの本は、日本語にもどんどん翻訳されているので、このシリーズもいずれ日本語で出版されるのかもしれません。

 

韓国語教室の生徒さんから多く質問される内容の1つが

 

【-이고】って何ですか?」。

 

テキストの例文に何気なく、さらっとこの 【-이고】 が登場してくるので、気になるようです。

 

今日はこの 【-이고】 について説明したいと思います。

【-이고】の正体は?

答えから言ってしまうと、

 

【-이고】 は、【-이다】【고】からできているものです。

【-이고】【이】の基本形は【-이다】なのです。

 

【-이다】 は、名詞に付いて「~だ、~である」という意味を表す指定詞です。

【-이다】の活用した形が、おなじみの【입니다】とか【이에요】です。

 

【-이고】この 【-이다】 に並列や接続の意味を表す語尾の【-고】(~して、~で)がくっついているだけなのです。

 

ですので【-이고】 を使えば、名詞を並べて「○○で、〇〇だ」という文が作れるのです。

 

제 여동생은 21살이고 남동생은 19살이에요.

(私の妹は21歳で、弟は19歳です)

 

前に来る名詞のパッチムありなしは関係なくすべて【-이고】

よく、勘違いされているのが、前に来る名詞にパッチムがなければ【-고】をそのままつけてよくて、パッチムがあれば 【-이고】にするという考え方。

 

先ほど説明した通り、 【-이고】 の【이】は、【-이다】【이】なので理論的にパッチムがあろうがなかろうが、【-이다】には何の影響もありません。

 

例えば、次の2つの文。名詞それぞれパッチムありなしですが、どちらも【이다】で表現しますよね。

 

학생이다. (学生だ)

가수이다. (歌手だ)

 

ということで、 前に来る名詞にパッチムのありなしに関係なく 

 

【이다】【고】【-이고】 になるのが正解です。

 

でも、実際にはパッチムがない名詞に直接【고】だけを付けているケースもよく見かけます。

 

そして、韓国の国立国語院の見解でも、慣用的にパッチムがある名詞の場合には【이】を省略してもよいというルールにもなっているそうです。

 

ですので、次の2つの文はどちらもOKとも言えます。

 

저 사람은 가수이고 배우다. ←OK

저 사람은 가수고 배우다. ←慣用的にOK

 

応用編: 【-이고】 の過去形

最後に【-이고】の過去形もよく使うので紹介しておきます。

 

過去形の場合には、前に来る名詞のパッチムありなしで少し変わります。

パッチムがある場合には-이었고】、パッチムがない場合には-였고】となります。

 

그는 너무 좋은 사람이었고 나에게 항상 잘해주었다.

(彼はとても良い人で、私にいつも親切にしてくれた)

 

거기에 있는 사람들 전부 남자였고 나 혼자만 여자였다.

(そこにいる人たちは全部男性で、私一人だけ女性だった)

いろいろ気づく生徒さんから、こんな質問を受けました。

 

「オンライン辞書で単語を調べてみると、発音の仕方も記載されていて、変なマークが書いてあることがあるんですが、何でしょうか」

 

例えば、こんなのです。

 

[사ː람]

 

【사】の後にある、点々マーク【ː】のことのでした。

 

これは、「長母音」をあらわす記号です、という話をし、さらに次のようなちょっと深いお話もしてみました。

 

韓国語の標準発音法の第3章によると・・・

 

母音には、長短、つまり、音の長さがあります。

長母音と短母音があるってことなのです。

 

たとえば、有名な例では、

 

「目」と「雪」。どちらも【눈】ですが、発音を書くならば、

 

「目」→[nun] 

「雪」→[nuːn] 

 

となって、「雪」の「ヌン」は、ちょっと伸ばし気味の「ヌーン」になる感じ。

 

「こんなこと意識して話してるのか?」

 

というと、最近の若者たちは、長母音を発音しなくなってるそうなので、特に気にはしなくてもいいだろうと思います。

 

KBSのアナウンサーなんかは、長母音、短母音きちんと区別して発音して、ニュースを読んでますし、

 

通訳・翻訳専門の大学院などでは、きっちり発音の区別をするように訓練を受けるようですが、

 

一般人レベルでは、区別なしでいいはずです。

 

私も、区別せずに発音してきましたし。

 

でも、気持ち的に意識してみると、リズミカルなきれいな韓国語の発音になるんだろうなあという気はします。

 

例えば、こちらの本は、KBSのアナウンサーが朗読してくれてているテキストなのですが、長母音がきちんと意識されているので、「ああ、なるほどねえ」と違いを感じます。

本当に耳心地の良いきれいな発音です。

 

 

この本は、発音の変化の表記を書いてくれていて、長母音には上に線をつけて印してくれています。きれいな発音を真似たい方の音読におすすめです。