皆さんは、器械体操をご覧になることありますか?私は体操は器械体操も新体操も熱烈なファンということではないけれど見るのは好きです。

器械体操の種目に「鞍馬」とか「跳馬」というのがありますが、なぜ、馬なのでしょう?




これらの種目は、当初騎兵隊で上級馬術の訓練の一つとして行われていたVaulting(軽乗)に由来するという説があると言われている、ということになっていますが、騎兵隊と言われて想像するのはいつ頃の時代ですか?上級馬術が云々と言われると17世紀以降、第2次世界大戦まで、という感じではないでしょうか?別の記事に書きますが、もっと古いんですよ。


Vaultingは現在、馬術競技として残っていますが、まさしく馬上で行う体操競技です。日本では軽乗(ケイジョウ)と言います。欧米やオセアニアではとても盛んな競技です。



以下の写真と動画は、WEG2018トライオンから。



調馬索により直径13メートル以上の輪線上を駈歩でいく馬に飛び乗ったり飛び降りたりしながら馬上で体操する競技。




日本でも乗馬クラブによってはバランスレッスンの目的(落馬対策)でこの軽乗の飛び乗りや飛び降りを取り入れているところもあると聞いたことがあります。弦巻スポーツ少年で妹の友達がやっていました。私も一緒に申し込む運びになってましたが、若い頃にちょこっと器械体操の経験がある母が、内容を知り「あなたには無理!」と直前で回避した経緯があります。確かに私には無理な相談だったと思う(笑)




演技内容、メンバーの体格などにもよるでしょうが、駈歩する馬の上で体操・人間ピラミッド的な運動するので、馬は大型が多く、重種であることも。単に上に乗せる重さだけでなく、こういう運動を馬上でするので、物見などせず、安定した動きを維持できる馬であることが重要だと思います。そうなると、やはり穏やかな重種が向いているのでしょう。




ペアで行うパ・ド・ドゥは男女でないとダメということではないようです。女性同士のペアが多かったです。






南半球のオーストラリアはアメリカに来るのにフライト時間が14時間以上。軽乗は馬の輸送を断念、貸与馬だったそう。馬が変われば、当然、その体格や性格などから動きが変わります。見ればわかりますが、普通の乗馬以上にタイミングがものを言う競技です。リフトに失敗、持ち上げてもらう前に滑り落ちるというシーンがありました(あまり目立たないところは、さすが)。いつもの馬と違う馬で演技するというのは、勇気のいることだと解説者が言っていました。とにかくその馬を絶対的に信頼しないとできないことだと。


優勝のドイツチーム。




パ・ド・ドゥはイタリアのペアが優勝。




こうしたハイレベルの競技ということとは別に、これの起源がそうであったように、ドイツでは乗馬する人は基礎教育として軽乗をまずは嗜むらしい。。。



『木馬:ドイツで行われている謎の競技』に続く