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トランプ氏が大統領になったら台湾を防衛するか?

 

 

6月27日のテレビ討論会でバイデン大統領が振るわなかったことから、米大統領選挙

は一気にトランプ氏優位となったことから日本への影響を考察する。彼の政治方針は

基本的にアメリカ第一主義であって、バイデン大統領が同盟国間、友好国間の協調を

重視する政策を取っていたのとは対照的である。よって、情勢の不安定な地域ではか

ろうじて抑えられていた紛争の火種が爆発する可能性がある。

 

 

最も危険だと考えられる地域は近年軍事力を拡大し続けている中国と台湾である。

その理由は次の3つである。

 

1 中国の景気低迷が予想されること

  野村総合研究所によると「2023年の中国の実質GDP成長率は、ゼロコロナ政策

 の影響で大きく落ち込んだ前年の反動で、5.2%と政府目標の5%前後に達成した

 が、2024年は+4%台に低下することが見込まれる。」とあり、中国経済の成長

 は失速に転じることが見込まれる。

 https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2024/fis/kiuchi/0425

 

  また、上述のことを受けてか欧米からの中国への投資が急速に減少しており

 「2023年の中国への外国直接投資が前年比80%以上減少し、30年ぶりの低い水

 準となった」と報じられている。投資金額の減少も経済成長を大きく失速させる

 ことにつながるだろう。

 

 

2 中国政府が国民の不満を外に向けるだろうということ。

  第二次世界大戦前のドイツでみられたように、国家は経済的困難な状況に陥った

 際に国民の不満をそらすため他国に対して攻撃的になることがしばしばある。

  現在の中国は経済面ならばわずかにプラス成長はしているものの高度な監視社会

 化や将来への希望が持てないことによる国民の不満は高まっている。

 

  そのため、国民のガス抜きのため対外的に強硬姿勢を取る可能性が高くなっている。

 

3 中国がもともと台湾攻略の準備をしていること

  中国はかねてから台湾を攻略する準備をしており2027年までに台湾侵攻の準備を

 整える方針を取っている。

  中国の権力を掌握した習近平氏の任期は2028年3月までなので、4期目を狙うため

 に任期内に台湾を攻略して自らの権威を高めようとする可能性がある。その場合、

 2027年までとなっている準備期間を4期目の選挙に間に合わせるため多少早めに終

 わらせるだろう。

 

 

 よって上記1~3から中国政府は2027年までに台湾に侵攻しようとする可能性が高い。

 

 

  これに対してトランプ政権は台湾が侵攻されたときどのような行動をとるか検討

 したところ次のように考えた。

 

1 何もしない

  恐らく最も可能性が高いパターン。理由は次のとおり。

 ①そもそもトランプ氏はビジネスマンであって、イデオロギーで動く人ではない。

 ②トランプ氏の支持層はアメリカが外国に搾取されていると考えており、ウクライ

 ナ支援に対しても否定的である。

 ③トランプ氏は1次政権時代はアフガニスタンでの戦争疲れを感じていた人々から

 も支持を受けていた。

  そして、タリバンとアフガニスタン撤退の合意をしている。

 ④アメリカと台湾の関係は長年「戦略的あいまいさ」を用いており、直接同盟関係

 があるわけではないためアメリカが台湾を防衛する義務がない。

 ⑤トランプ氏は台湾有事の際に台湾を防衛するか?という質問に対して明言を避け

 ている。

 

 

 

 

  これら①~⑤の理由からアメリカは台湾を防衛せず見捨てる可能性が高いと考え

 られる。

  中国が台湾に侵攻した際は、台湾問題について介入しない代わりにアメリカが有

 利な条約を結べ、と要求するだろう。

  1の⑤で引用した記事に記載されている円グラフから、台湾の民間人はアメリカ

 が台湾を防衛することについて悲観的な見方が多いとわかる。

 

 

2 武器支援等限定的な支援をする。

 

  可能性は無?

  トランプ氏は支持者の反応に対して敏感であり、トランプ政権時代イランに対し

 て強硬的な姿勢を取っていたのはトランプ氏の支持層がイランに対して強硬的だっ

 たからである。イランの要人を暗殺した際も民主党支持層は否定的だったのに対し

 て共和党支持層は好意的だった。

 

 
  そして、共和党支持層に限らずアメリカ人は中国の伸長に対して警戒心を抱い
 ており、トランプ氏支持層からも台湾防衛を求める可能性がある。
  そのため、ウクライナと同様、台湾に武器のみを供給しようとするだろう。
  しかし、ウクライナと異なり、台湾は四方を海に囲まれているため、武器の運
 搬手段は船か飛行機となる。
  船や飛行機による物資の運搬は中国軍に見つかりやすいため、事前に中国軍を
 撃退する必要があり、結局は全面戦争のリスクがある。
  また、アメリカは余剰兵器の多くをウクライナに送っており、特に弾薬につい
 ては枯渇が指摘されている。そもそも送る兵器があるのか?という問題がある。
 
3 米軍を派遣する。 
 
  可能性は微妙?
  トランプ支持層が対中強硬姿勢を望んだ場合は米軍を派遣する可能性がある。 
  ただし、中国軍と直接戦闘を行うこととなる。

  アフガニスタン撤退の合意をした大統領が中国軍と直接対峙するのは考えに

 くい。

  また、そもそも勝てるのか?という問題がある。
  台湾軍は24万人いるが、中国軍は必ずしも全員を相手にする必要はなく、十
 数時間以内に革命政府を樹立させる短期決戦であれば実際に中国軍が対峙する
 の数千人に抑えられる可能性がある。数千人というのはカーネーション革命
 のようにあらかじめ軍隊内部に内通者を作れば達成可能だろう。数十万人の軍
 隊でも基幹となる人物はせいぜい数百人であるし、そもそも台湾には親中派も
 数多くいる。

  そのため、米軍を派遣するという判断を短時間で行い、あらかじめ台湾周辺

 に十分な数の部隊を配置しておかないと間に合わない可能性がある。

 

 

 

  まとめると、台湾情勢については、2~3年以内に戦争が勃発する可能性が

 高く、悲劇的な結果に終わる可能性も十分ある。