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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

被控訴人Y1は,同Y2の従業員を介し,控訴人らが開催したファッションショーの映像の一部をテレビ番組で放送し,控訴人会社X1の著作権(公衆送信権)・著作隣接権(放送権)を,控訴人X2の著作権・人格権(氏名表示権)を各侵害したとして,共同不法行為責任に基づく損害賠償を求めたところ,原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らが控訴した事案。

 

 

損害賠償請求控訴事件

【事件番号】      知的財産高等裁判所判決/平成25年(ネ)第10068号

【判決日付】      平成26年8月28日

【判示事項】      被控訴人Y1は,同Y2の従業員を介し,控訴人らが開催したファッションショーの映像の一部をテレビ番組で放送し,控訴人会社X1の著作権(公衆送信権)・著作隣接権(放送権)を,控訴人X2の著作権・人格権(氏名表示権)を各侵害したとして,共同不法行為責任に基づく損害賠償を求めたところ,原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らが控訴した事案。

控訴審は,本件ファッションショーのうち本件影像部分に表れた部分において,控訴人らが著作権者であるとは認めらない等とし,同部分の放送が「その実演」(著作権法92条1項)を公衆に提供・放送する場合に当たらない等として,各控訴をいずれも棄却した事例

【掲載誌】        判例時報2238号91頁

 

著作権法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

二 著作者 著作物を創作する者をいう。

三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。

四 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。

六 レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。

七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。

七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。

八 放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。

九 放送事業者 放送を業として行う者をいう。

九の二 有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。

九の三 有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。

九の四 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。

九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。

イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。

ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。

九の六 特定入力型自動公衆送信 放送を受信して同時に、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することにより行う自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。)をいう。

九の七 放送同時配信等 放送番組又は有線放送番組の自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。以下この号において同じ。)のうち、次のイからハまでに掲げる要件を備えるもの(著作権者、出版権者若しくは著作隣接権者(以下「著作権者等」という。)の利益を不当に害するおそれがあるもの又は広く国民が容易に視聴することが困難なものとして文化庁長官が総務大臣と協議して定めるもの及び特定入力型自動公衆送信を除く。)をいう。

イ 放送番組の放送又は有線放送番組の有線放送が行われた日から一週間以内(当該放送番組又は有線放送番組が同一の名称の下に一定の間隔で連続して放送され、又は有線放送されるものであつてその間隔が一週間を超えるものである場合には、一月以内でその間隔に応じて文化庁長官が定める期間内)に行われるもの(当該放送又は有線放送が行われるより前に行われるものを除く。)であること。

ロ 放送番組又は有線放送番組の内容を変更しないで行われるもの(著作権者等から当該自動公衆送信に係る許諾が得られていない部分を表示しないことその他のやむを得ない事情により変更されたものを除く。)であること。

ハ 当該自動公衆送信を受信して行う放送番組又は有線放送番組のデジタル方式の複製を防止し、又は抑止するための措置として文部科学省令で定めるものが講じられているものであること。

九の八 放送同時配信等事業者 人的関係又は資本関係において文化庁長官が定める密接な関係(以下単に「密接な関係」という。)を有する放送事業者又は有線放送事業者から放送番組又は有線放送番組の供給を受けて放送同時配信等を業として行う事業者をいう。

十 映画製作者 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。

十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。

十の三 データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

十一 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。

十二 共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。

十三 録音 音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。

十四 録画 影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。

十五 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。

イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。

ロ 建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。

十六 上演 演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずることをいう。

十七 上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。

十八 口述 朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること(実演に該当するものを除く。)をいう。

十九 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。

二十 技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号及び第二十二号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権、出版権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号、第三十条第一項第二号、第百十三条第七項並びに第百二十条の二第一号及び第四号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(以下「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

二十一 技術的利用制限手段 電磁的方法により、著作物等の視聴(プログラムの著作物にあつては、当該著作物を電子計算機において実行する行為を含む。以下この号及び第百十三条第六項において同じ。)を制限する手段(著作権者等の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物等の視聴に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

二十二 権利管理情報 第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権、出版権又は第八十九条第一項から第四項までの権利(以下この号において「著作権等」という。)に関する情報であつて、イからハまでのいずれかに該当するもののうち、電磁的方法により著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録され、又は送信されるもの(著作物等の利用状況の把握、著作物等の利用の許諾に係る事務処理その他の著作権等の管理(電子計算機によるものに限る。)に用いられていないものを除く。)をいう。

イ 著作物等、著作権等を有する者その他政令で定める事項を特定する情報

ロ 著作物等の利用を許諾する場合の利用方法及び条件に関する情報

ハ 他の情報と照合することによりイ又はロに掲げる事項を特定することができることとなる情報

二十三 著作権等管理事業者 著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第二条第三項に規定する著作権等管理事業者をいう。

二十四 国内 この法律の施行地をいう。

二十五 国外 この法律の施行地外の地域をいう。

2 この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。

 

(放送権及び有線放送権)

第九十二条 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。

2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

一 放送される実演を有線放送する場合

二 次に掲げる実演を放送し、又は有線放送する場合

イ 前条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録音され、又は録画されている実演

ロ 前条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

 

税理士法30条の法意

 

最高裁判所第2小法廷判決/昭和42年(行ツ)第73号

昭和43年2月16日

所得税額決定等無効確認請求上告事件

【判示事項】    税理士法30条の法意

【判決要旨】    税務代理行為をするについて代理権限を証する書面の提出を効力要件と考えない原審の見解は、是認することができ、同条項の法意を民訴法80条の場合と同様に解すべき合理的根拠はない。

【掲載誌】     税務訴訟資料52号274頁

 

税理士法

(税務代理の権限の明示)

第三十条 税理士は、税務代理をする場合においては、財務省令で定めるところにより、その権限を有することを証する書面を税務官公署に提出しなければならない。

 

脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血を急性胃腸炎と誤診した医師に、患者の死亡に対する起因力八〇パーセントの限度で損害賠償義務が認められた事例

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      福井地方裁判所判決/昭和56年(ワ)第267号

【判決日付】      平成元年3月10日

【判示事項】      一、脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血を急性胃腸炎と誤診した医師に、患者の死亡に対する起因力八〇パーセントの限度で損害賠償義務が認められた事例

             二、医師に患者の家族に対する説明義務の不履行はなかったと認められた事例

             三、患者家族の「一か八かで手術断行を」という医師への申入が確固たる自己決定権の行使ではなく、また医師が自己の信念に従った診療をしている場合に極めて成功率の低い手術の強行を求めるもので、適正な自己決定権の行使とはいえないとされた事例

【参照条文】      民法709

             民法415

【掲載誌】        判例タイムズ703号186頁

             判例時報1347号86頁

 

民法

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

 

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

第3章 商標権侵害・意匠権侵害とは

商標権侵害

商標権は、特許庁に商標登録を出願し、審査の結果、登録が認められると発生する権利です(商標法18条1項)。

商標権者は、指定商品等について登録「商標」を独占的に「使用」することができ(商標法25条)、第三者が商標権者に無断で指定商品等に登録「商標」又は類似の商標を「使用」することは、商標権侵害となります。

 

「商標」の定義は、商標法2条1項各号に規定されており、「業として」商品を生産等する者がその商品について使用する標章をいうため(商標法2条1項各号)、商標権侵害となるのは、第三者が、「業として」登録商標等を「使用」(商標法2条3項各号)した場合です。

 

意匠権侵害

意匠権は、特許庁に意匠登録を出願し、審査の結果、登録が認められると発生する権利です(意匠法20条1項)。

意匠権者は、「業として」登録意匠及びこれに類似する意匠を独占的に実施することができます(意匠法23条)。

そのため、第三者が意匠権者に無断で登録意匠を「業として」実施した場合、意匠権侵害となります。ここでいう「実施」は、意匠法2条2項各号に定義される行為をいいます。

 

個人による模倣品輸入は「業として」した行為に当たらない?

海外事業者が模倣品を日本国内に持ち込む行為が商標権又は意匠権侵害に当たれば、差止請求などの民事的措置や税関における輸入差止めが可能となります。商標権や意匠権の侵害が認められるのは、上記のとおり、「業として」登録商標が使用された場合や、登録意匠が「業として」実施された場合などです。

 

したがって、海外事業者からの模倣品の流入が「業として」行われたものでなければ、商標権侵害にも意匠権侵害にも問うことができません。

そして、「業として」という概念は、反復継続して行うことを想定しているため、海外事業者からの模倣品流入でも、個人宛の輸入であれば、「業として」した輸入に当たらないと考えられてきました。

そのため、海外事業者から個人が模倣品を輸入する場合、商標権侵害や意匠権侵害に当たることの立証は困難であり、この点を奇貨としてか、本来は「業として」の輸入であるにもかかわらず、個人使用目的での輸入と仮装して模倣品が流入することさえありました。

 

停止条件附代物弁済契約に基づいてなされた売買予約による所有権移転請求権保全の仮登記の効力

 

 

売買契約否認等本訴並びに所有権移転登記手続反訴事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和34年(オ)第183号

【判決日付】      昭和37年7月6日

【判示事項】      停止条件附代物弁済契約に基づいてなされた売買予約による所有権移転請求権保全の仮登記の効力

【判決要旨】      停止条件附代物弁済契約をなしたのに、登記申請手続を誤つて売買予約による所有権移転請求権保全の仮登記が経由された場合、後日停止条件が成就して仮登記の目的たる不動産所有権が仮登記権利者に移転したときは、仮登記権利者は、仮登記義務者に対し右仮登記の本登記手続を請求しうる。

【参照条文】      不動産登記法

             不動産登記法55

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集16巻7号1452頁

 

不動産登記法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 不動産 土地又は建物をいう。

二 不動産の表示 不動産についての第二十七条第一号、第三号若しくは第四号、第三十四条第一項各号、第四十三条第一項、第四十四条第一項各号又は第五十八条第一項各号に規定する登記事項をいう。

三 表示に関する登記 不動産の表示に関する登記をいう。

四 権利に関する登記 不動産についての次条各号に掲げる権利に関する登記をいう。

五 登記記録 表示に関する登記又は権利に関する登記について、一筆の土地又は一個の建物ごとに第十二条の規定により作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。

六 登記事項 この法律の規定により登記記録として登記すべき事項をいう。

七 表題部 登記記録のうち、表示に関する登記が記録される部分をいう。

八 権利部 登記記録のうち、権利に関する登記が記録される部分をいう。

九 登記簿 登記記録が記録される帳簿であって、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)をもって調製するものをいう。

十 表題部所有者 所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者をいう。

十一 登記名義人 登記記録の権利部に、次条各号に掲げる権利について権利者として記録されている者をいう。

十二 登記権利者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に利益を受ける者をいい、間接に利益を受ける者を除く。

十三 登記義務者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人をいい、間接に不利益を受ける登記名義人を除く。

十四 登記識別情報 第二十二条本文の規定により登記名義人が登記を申請する場合において、当該登記名義人自らが当該登記を申請していることを確認するために用いられる符号その他の情報であって、登記名義人を識別することができるものをいう。

十五 変更の登記 登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記をいう。

十六 更正の登記 登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記をいう。

十七 地番 第三十五条の規定により一筆の土地ごとに付す番号をいう。

十八 地目 土地の用途による分類であって、第三十四条第二項の法務省令で定めるものをいう。

十九 地積 一筆の土地の面積であって、第三十四条第二項の法務省令で定めるものをいう。

二十 表題登記 表示に関する登記のうち、当該不動産について表題部に最初にされる登記をいう。

二十一 家屋番号 第四十五条の規定により一個の建物ごとに付す番号をいう。

二十二 区分建物 一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項に規定する専有部分であるもの(区分所有法第四条第二項の規定により共用部分とされたものを含む。)をいう。

二十三 附属建物 表題登記がある建物に附属する建物であって、当該表題登記がある建物と一体のものとして一個の建物として登記されるものをいう。

二十四 抵当証券 抵当証券法(昭和六年法律第十五号)第一条第一項に規定する抵当証券をいう。

 

(仮登記)

第百五条 仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。

一 第三条各号に掲げる権利について保存等があった場合において、当該保存等に係る登記の申請をするために登記所に対し提供しなければならない情報であって、第二十五条第九号の申請情報と併せて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるものを提供することができないとき。

二 第三条各号に掲げる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。

(仮登記に基づく本登記の順位)

第百六条 仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。

 

(仮登記に基づく本登記)

第百九条 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者(本登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

2 登記官は、前項の規定による申請に基づいて登記をするときは、職権で、同項の第三者の権利に関する登記を抹消しなければならない。

 

横田基地夜間飛行差止等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成11年(オ)第887号、平成11年(受)第741号

【判決日付】      平成14年4月12日

【判示事項】      外国国家の主権的行為と民事裁判権の免除

【判決要旨】      外国国家の主権的行為については、国際慣習法上、民事裁判権が免除される。

【参照条文】      民事訴訟法1編2章

             日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定18-5

             日本国憲法98-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集56巻4号729頁

 

日本国憲法

第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

② 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

 

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 第1 上告代理人榎本信行,同吉田栄士の上告理由について

 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲及び理由の不備をいうが,その実質は単なる法令違反を主張するものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

 第2 上告代理人榎本信行,同吉田栄士の上告受理申立て理由第四,第五について

 1 本件は,上告人らが,我が国に駐留するアメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)軍隊の航空機の横田基地における夜間離発着による騒音によって人格権を侵害されているとして,被上告人である合衆国に対して,午後9時から翌朝7時までの間の上記航空機の離発着の差止めと損害賠償を請求した事案である。

 2 原審は,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年6月23日条約第7号)18条5項の規定は,上記相互協力及び安全保障条約に基づき我が国に駐留する合衆国軍隊の構成員の公務執行中の不法行為に基づく損害賠償請求訴訟について,合衆国に対して我が国の裁判権に服することを免除したものであり,差止請求訴訟についても同規定の趣旨が類推適用されるとして,被上告人の民事裁判権免除を認め,上告人らの本訴請求は不適法であり却下すべきものであるとした。

 3 しかしながら,前記規定は,外国国家に対する民事裁判権免除に関する国際慣習法を前提として,外国の国家機関である合衆国軍隊による不法行為から生ずる請求の処理に関する制度を創設したものであり,合衆国に対する民事裁判権の免除を定めたものと解すべきではない。

 外国国家に対する民事裁判権免除に関しては,いわゆる絶対免除主義が伝統的な国際慣習法であったが,国家の活動範囲の拡大等に伴い,国家の私法的ないし業務管理的な行為についてまで民事裁判権を免除するのは相当でないとの考えが台頭し,免除の範囲を制限しようとする諸外国の国家実行が積み重ねられてきている。しかし,このような状況下にある今日においても,外国国家の主権的行為については,民事裁判権が免除される旨の国際慣習法の存在を引き続き肯認することができるというべきである。本件差止請求及び損害賠償請求の対象である合衆国軍隊の航空機の横田基地における夜間離発着は,我が国に駐留する合衆国軍隊の公的活動そのものであり,その活動の目的ないし行為の性質上,主権的行為であることは明らかであって,国際慣習法上,民事裁判権が免除されるものであることに疑問の余地はない。したがって,我が国と合衆国との間でこれと異なる取決めがない限り,上告人らの差止請求及び損害賠償請求については被上告人に対して我が国の民事裁判権は及ばないところ,両国間にそのような取決めがあると認めることはできない。

 以上によれば,本件訴えは不適法であり,これを却下すべきものとした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

昭和37年法律第44号による改正前の旧所得税法(昭和22年法律第27号)のもとにおいて雑所得として課税の対象とされた金銭債権が後日回収不能となつた場合と徴収税額についての不当利益の成否

 

 

不当利得返還請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和43年(オ)第314号

【判決日付】      昭和49年3月8日

【判示事項】      昭和37年法律第44号による改正前の旧所得税法(昭和22年法律第27号)のもとにおいて雑所得として課税の対象とされた金銭債権が後日回収不能となつた場合と徴収税額についての不当利益の成否

【判決要旨】      昭和37年法律第44号による改正前の旧所得税法(昭和22年法律第27号)のもとにおいて、雑所得として課税の対象とされた金銭債権が後日貸倒れによつて回収不能となつた場合に、その貸倒れの発生と貸倒額とが客観的に明白で、課税庁に格別の認定判断権を留保する合理的必要性がないと認められるときは、当該課税処分そのものが取消又は変更されなくても、国は、同処分に基づいて先に徴収した所得税のうち右貸倒額に対応する税額を不当利益として納税者に返還する義務を負うものと解すべきである。

【参照条文】      民法703

             旧所得税法(昭和22年法律第27号、ただし、昭和37年法律第44号による改正前のもの)9-1

             旧所得税法(昭和22年法律第27号、ただし、昭和37年法律第44号による改正前のもの)10

             旧所得税法(昭和22年法律第27号)10の6-1

             旧所得税法(昭和22年法律第27号)27-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集28巻2号186頁

 

民法

(不当利得の返還義務)

第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

 

所得税法

(雑所得)

第三十五条 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。

2 雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。

一 その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額

二 その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額

3 前項に規定する公的年金等とは、次に掲げる年金をいう。

一 第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定に基づく年金その他同条第一号及び第二号に規定する制度に基づく年金(これに類する給付を含む。第三号において同じ。)で政令で定めるもの

二 恩給(一時恩給を除く。)及び過去の勤務に基づき使用者であつた者から支給される年金

三 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金(第三十一条第三号に規定する規約に基づいて拠出された掛金のうちにその年金が支給される同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者(同項に規定する加入者であつた者を含む。)の負担した金額がある場合には、その年金の額からその負担した金額のうちその年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する年金として政令で定めるもの

4 第二項に規定する公的年金等控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一 その年中の公的年金等の収入金額がないものとして計算した場合における第二条第一項第三十号(定義)に規定する合計所得金額(次号及び第三号において「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額」という。)が千万円以下である場合 次に掲げる金額の合計額(当該合計額が六十万円に満たない場合には、六十万円)

イ 四十万円

ロ その年中の公的年金等の収入金額から五十万円を控除した残額の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額

(1) 当該残額が三百六十万円以下である場合 当該残額の百分の二十五に相当する金額

(2) 当該残額が三百六十万円を超え七百二十万円以下である場合 九十万円と当該残額から三百六十万円を控除した金額の百分の十五に相当する金額との合計額

(3) 当該残額が七百二十万円を超え九百五十万円以下である場合 百四十四万円と当該残額から七百二十万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額

(4) 当該残額が九百五十万円を超える場合 百五十五万五千円

二 その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が千万円を超え二千万円以下である場合 次に掲げる金額の合計額(当該合計額が五十万円に満たない場合には、五十万円)

イ 三十万円

ロ 前号ロに掲げる金額

三 その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が二千万円を超える場合 次に掲げる金額の合計額(当該合計額が四十万円に満たない場合には、四十万円)

イ 二十万円

ロ 第一号ロに掲げる金額

 

国税通則法

(更正の請求)

第二十三条 納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。

一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。

二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。

三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。

2 納税申告書を提出した者又は第二十五条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。

一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき その確定した日の翌日から起算して二月以内

二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内

三 その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき 当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内

3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細、当該請求に係る更正前の納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。

4 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。

5 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。

6 輸入品に係る申告消費税等についての更正の請求は、第一項の規定にかかわらず、税関長に対し、するものとする。この場合においては、前三項の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。

7 前二条の規定は、更正の請求について準用する。

 

 

第2章 商標法・意匠法とは

そもそも、商標法や意匠法とはどのような法律なのでしょうか。まずは両者の共通点、相違点を確認しておきましょう。

 

商標法

私たちがCMや店頭で見かける商品やサービス(以下、商品)には、名前が付けられています。商品を選択する際、「○○社の✕✕なら有名だし良さそう」と判断することもあるでしょう。しかし、○○社と縁もゆかりもない会社が勝手に「✕✕」という商品名で同じような商品を販売すると、○○社の売上はもちろんのこと、消費者との信頼関係にも響きかねません。

 

そこで、商品などに付けられる表示(=商標)を勝手に他人が使用できないよう規制し、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り」「需要者の利益を保護する」ために作られたのが商標法です。商標として法の保護を受けるためには、その表示が商標としての要件を満たした上で、特許庁で登録を受ける必要があります。

 

商標とされる要件はいくつかありますが、例えば普通名称(同業者が一般的に使用している名称)は登録できません。住宅販売会社が自社の商品に「ハウス」と名付けても、住宅の名前としてはあまりにも一般的過ぎるため、商標とは認められないのです。

 

一方で住宅とは無関係の商品を指定すれば、商標登録が認められる場合があります。加工食品を指定商品とした「ハウス食品」は、その実例です。

 

商標は表示は名称だけではありません。図形や立体的形状(人形など)、最近では「動き」や「音」の他、「色彩」なども商標登録が可能になっています。

 

意匠法

「意匠」とはいわゆるデザインのうち、特に市場に向けて量産される工業製品のデザインを指します。同じ機能でもより洗練されたデザインにすることで消費者の購買意欲を高める効果が期待できるため、勝手に他者がデザインを真似できないよう意匠法によって保護する必要があるのです。

 

意匠は商標と同様に、意匠と認められる一定の要件を満たし、登録を受けて初めて「権利」となります。要件としては、視覚的に何らかの美感を生じさせることや、容易には創作できないものであることなど、デザインならではのものが挙げられます。

 

自社オリジナルのキャラクター人形など、登録しようとする対象が商標と意匠のどちらにあたるのかの線引きが難しい場合があります。法の目的には「産業の発達に寄与する」とありますが、意匠法では「さらに意匠の創作を奨励」する目的があること、また要件として新規性が求められていること(意匠法3条1項)など商標法と異なる点がいくつかあります。

 

対象物の何を保護するかによって登録先を決める方法もありますが、両方に登録するという選択肢もあります。いずれにせよ登録の際は専門家(弁理士)のアドバイスを受けることをおすすめします。

 

従来の商標法・意匠法の課題

商標法、意匠法ともに登録されれば登録対象の専有権を得られます。商標であれば、他者が登録商標によって指定される商品を模倣、あるいは類似した商標を使用した場合にその使用・販売の差止や損害賠償の請求ができるようになるのです。

 

これらの請求権は、模倣品を海外から輸入する行為に対しても行使できます(商標法・意匠法各第2条参照)。ただし、改正前の規定ではその行使に一定の制限がありました。

占有権の侵害は侵害者が業として、すなわち事業として模倣品や類似品を販売・輸入したことが要件となっており、「個人が海外の事業者から自分が使用する目的で模倣品を輸入する」行為は「業として」ではないとされていたのです。

 

しかしインターネットによって海外との取引が拡大し、個人でも容易に輸入が行えるようになると、海外事業者が輸入業者を通さず模倣品を「個人使用目的」とし、小口の個人輸出を大量に行うケースが増えました。実質的に事業といえるにもかかわらず「個人輸入」を隠れ蓑にし、税関をすり抜ける手口が横行するようになったのです。

 

今回の商標法・意匠法の改正は、このような事情が背景にあります。

 

通行地役権の承役地の譲受人が地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない場合に地役権者が譲受人に対して地役権設定登記手続を請求することの可否

 

 

通行地役権確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成8年(オ)第2343号

【判決日付】      平成10年12月18日

【判示事項】      通行地役権の承役地の譲受人が地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない場合に地役権者が譲受人に対して地役権設定登記手続を請求することの可否

【判決要旨】      通行地役権の承役地の譲受人が地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない場合には、地役権者は、譲受人に対し、同権利に基づいて地役権設定登記手続を請求することができる。

【参照条文】      民法177

             民法280

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集52巻9号1975頁

 

民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

 

(地役権の内容)

第二百八十条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。

個人の居住の用に供される不動産を取得するための借入金の利子と所得税法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」


    所得税更正処分等取消請求事件
【事件番号】    最高裁判所第3小法廷判決/昭和61年(行ツ)第115号
【判決日付】    平成4年7月14日
【判示事項】    個人の居住の用に供される不動産を取得するための借入金の利子と所得税法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」
【判決要旨】    個人の居住の用に供される不動産の譲渡による譲渡所得の金額の計算上、当該不動産の取得のために代金の全部又は一部の借入れをした場合における借入金の利子は、当該不動産の使用開始の日以前の期間に対応するものに限り、所得税法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」に含まれる。
【参照条文】    所得税法38-1
【掲載誌】     最高裁判所民事判例集46巻5号492頁

所得税法
(譲渡所得)
第三十三条 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。

(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)
第三十八条 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。
2 譲渡所得の基因となる資産が家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産である場合には、前項に規定する資産の取得費は、同項に規定する合計額に相当する金額から、その取得の日から譲渡の日までの期間のうち次の各号に掲げる期間の区分に応じ当該各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。
一 その資産が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供されていた期間 第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該期間内の日の属する各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるその資産の償却費の額の累積額
二 前号に掲げる期間以外の期間 第四十九条第一項の規定に準じて政令で定めるところにより計算したその資産の当該期間に係る減価の額


       主   文

 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。

       理   由

 上告代理人山本剛嗣の上告理由について
 一 原審の適法に確定した事実関係は、次のとおりである。(1) 上告人は、昭和四六年四月一六日、Aから、自己の居住の用に供するために、東京都世田谷区a丁目b番c所在宅地四七二・六二平方メートル(以下「本件土地」という。)及び同土地上の鉄筋コンクリート造陸屋根地階付き二階建家屋一九五・八一平方メートル(以下「本件建物」という。)を、一括して代金五一〇九万八一二五円で買い受けて取得し、その後、同年六月六日にこれを自己の居住の用に供した、(2) 上告人は、同年四月一七日、株式会社日本不動産銀行(現在の株式会社日本債券信用銀行)から、本件土地建物を取得するために、三五〇〇万円を年利率九・二パーセントで借り入れ、昭和五四年八月一六日右借入金の全額を完済したが、右借入金のうち本件土地建物の取得のために使用したのは三〇〇〇万円であり、右三〇〇〇万円に対する借入れ後本件土地建物を自己の居住の用に供した日までの期間(五一日間)に対応する利子の額は三八万五六四三円であった、(3) 上告人は、昭和五三年一月七日本件土地の一部一九八・三五平方メートル(以下「甲土地」という。)を同所b番dとして分筆し、また、本件建物のうち甲土地上にある部分二五平方メートルを取り壊して甲土地を更地とした上、同月三一日これをB外一名に代金四八〇〇万円で譲渡した、(4) 次いで、上告人は、翌五四年八月二二日本件土地のうち、甲土地を除くその余の部分二七四・二七平方メートル(以下「乙土地」という。)及び本件建物のうち乙土地上にある部分一七〇・八一平方メートルを三宝建設株式会社に代金一億〇七八四万八〇〇〇円で譲渡した。
 二 そこで、所論にかんがみ、個人の居住の用に供される資産の譲渡による譲渡所得の取得費について検討する。
 譲渡所得の金額について、所得税法は、総収入金額から資産の取得費及び譲渡に要した費用を控除するものとし(三三条三項)、右の資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、当該資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額としている(三八条一項)。右にいう「資産の取得に要した金額」の意義について考えると、譲渡所得に対する課税は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税する趣旨のものであるところ(最高裁昭和四一年(行ツ)第一〇二号同四七年一二月二六日第三小法廷判決・民集二六巻一〇号二〇八三頁、同昭和四七年(行ツ)第四号同五〇年五月二七日第三小法廷判決・民集二九巻五号六四一頁参照)、前記のとおり、同法三三条三項が総収入金額から控除し得るものとして、当該資産の客観的価格を構成すべき金額のみに限定せず、取得費と並んで譲渡に要した費用をも掲げていることに徴すると、右にいう「資産の取得に要した金額」には、当該資産の客観的価格を構成すべき取得代金の額のほか、登録免許税、仲介手数料等当該資産を取得するための付随費用の額も含まれるが、他方、当該資産の維持管理に要する費用等居住者の日常的な生活費ないし家事費に属するものはこれに含まれないと解するのが相当である。
 ところで、個人がその居住の用に供するために不動産を取得するに際しては、代金の全部又は一部の借入れを必要とする場合があり、その場合には借入金の利子の支払が必要となるところ、一般に、右の借入金の利子は、当該不動産の客観的価格を構成する金額に該当せず、また、当該不動産を取得するための付随費用に当たるということもできないのであって、むしろ、個人が他の種々の家事上の必要から資金を借り入れる場合の当該借入金の利子と同様、当該個人の日常的な生活費ないし家事費にすぎないものというべきである。そうすると、右の借入金の利子は、原則として、居住の用に供される不動産の譲渡による譲渡所得の金額の計算上、所得税法三八条一項にいう「資産の取得に要した金額」に該当しないものというほかはない。しかしながら、右借入れの後、個人が当該不動産をその居住の用に供するに至るまでにはある程度の期間を要するのが通常であり、したがって、当該個人は右期間中当該不動産を使用することなく利子の支払を余儀なくされるものであることを勘案すれば、右の借入金の利子のうち、居住のため当該不動産の使用を開始するまでの期間に対応するものは、当該不動産をその取得に係る用途に供する上で必要な準備費用ということができ、当該個人の単なる日常的な生活費ないし家事費として譲渡所得の金額の計算のうち外のものとするのは相当でなく、当該不動産を取得するための付随費用に当たるものとして、右にいう「資産の取得に要した金額」に含まれると解するのが相当である。
 以上のとおり、右の借入金の利子のうち、当該不動産の使用開始の日以前の期間に対応するものは、右にいう「資産の取得に要した金額」に含まれ、当該不動産の使用開始の日の後のものはこれに含まれないと解するのが相当である。
 三 以上の見地に立って本件をみるのに、前記の事実関係によれば、上告人は、資金三〇〇〇万円を借り入れることにより、自己の居住の用に供するため本件土地建物を買い受けて取得し、昭和四六年六月六日これを自己の居住の用に供したというのであるから、右三〇〇〇万円に対する借入れ後同日までの期間に対応する利子の額である三八万五六四三円は、上告人の昭和五三年分及び同五四年分の各譲渡所得の金額の計算上、同法三八条一項にいう「資産の取得に要した金額」に該当するが、昭和四六年六月七日以降のものはこれに該当しないというべきである。原審の判断は、結論においてこれと同旨であるから、是認することができる。論旨は、違憲をいう点を含め、独自の見解に基づいて原判決の法令違背をいうものにすぎず、採用することができない。
 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷